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Sクラス

 私が通うことになったSクラスは、特別クラスで魔力量の多い人が通うクラスだった。選択授業のため、基本的には朝以外に顔を合わせる機会がなかったが、危険な実技実習などはSクラスのみで行うこともあった。


「炎を的に当てる練習です。いいですか? 的ごと吹っ飛ばすのではありません。的の中央に当ててください」


 先生の話によると、魔力量の多い人は、魔術を使う際に、調節するのが苦手な人が多いということだった。


 10メートル先に立っている的の中央にはリンゴの絵が描かれていた。あれに命中させれば今日の実習は終了らしい。


 初めての魔術で的ごと吹っ飛ばしてしまった私は、炎を的に当てるのに苦労していた。同じクラスの他の子達は、次々と的に命中させて教室へ戻っていった。


「シャルロットさん、苦戦しているようですね」


「先生……」


 先生は長い黒髪を風に靡かせながら、こちらへ歩いてきた。


「魔術に慣れていない内は、出来なくても仕方ありません。イメージを明確にしてみてください。細く長い槍で突き刺すようなイメージです。出来ますか?」


「やってみます。ファイアボール」


 再び炎を手に込めると、的へ向かって炎を放った。的へ真っ直ぐ向かっていった炎は、的を壊すことなくリンゴの右上に穴を空けていた。


「良くなってきましたね。今日は、ここまでにしておきましょう」


 私は息を吐くと、その場に座り込んだ。


「先生……。魔術って、難しいんですね」


「シャルロットさんは、魔力量が多いですからね。他の人より、より難しく感じるのでしょう」


「20万は多いですか?」


「は?」


「魔力量20万は多いのでしょうか?」


「本当に? シャルロットさん? 魔力量20万なんて聞いたことがありません。普通の魔術師で100程度です。Sクラスで多い者でも1万くらいかと──私でも2万ですから」


(私、先生の10倍の魔力量なの?! 確かにヤバいわ)


「この事は、あまり他人へバラさない方がいいでしょう。学園内だけならまだしも、政治面で悪用されると厄介です」


「は、はぁ……」


(私が国外追放された令嬢だってこと、先生は知らないんだろうな……)





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