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国外追放の真実

 それからの日々は、結婚式を挙げることもなく、ただ執務に追われていた。国を留守にしていた分、陛下の仕事は溜まっており、私とアンドレが書類の仕分け作業を手伝っていた。


 ある日の夜。中庭にある噴水に呼び出された私は、陛下からプレゼントを手渡されていた。


「先週、誕生日だったんだってな。遅くなって、すまない」


 手渡された小さな小箱には、ブルーダイヤが綺麗にカットされたネックレスが入っていた。月夜に照らされた宝石は、陛下の瞳と同じ色をしていた。


「ありがとうございます」


 私はペンダントを身につけると、陛下と2人で噴水の前にあるベンチへ座った。寒くはなかったが、風が少し冷たく、身震いすると陛下が肩を抱き寄せて身体を擦ってくれていた。


「シャルロット、君が国外追放された件についてなんだが……」


「はい」


 賠償問題の話だろうか? そう思って陛下を見れば、陛下は辛そうに俯いていた。


「過ぎてしまった事は、しかたありません。恨みがないかと聞かれれば、無いとは言い切れませんが、『仕方が無かった』と、そう思うことに決めたんです。理由は分かりませんが、ジルベール様は呪いに掛かっていたようですし……」


「そう、その呪いについてなんだが……」


「何か分かったのですか?」


「結論から言えば、分からなかった。だから、これから話す話は推測になる。聞いてくれるか?」


「……はい」


「シャルロットは、城の敷地内に教会が建っていたのを覚えているか?」


「そう言えば、幼い頃に両親に連れられて一度だけ行ったことがある様な気がします」


「そう。私が生まれる前には、城の敷地内の北の端に建っていたそうなんだ」


「……そう言われてみれば、そうだったかもしれませんね」


「その頃の教会は、貴族達の手によって、秘密裏に黒魔術が行われていたそうだ」


「黒魔術?」


「呪いとは違う、特殊な魔術だ。20年前に国内で使用すること自体が禁止になったし、国外との協定で、どの国も使用しないと公言している──逆に言えば、それぐらい強烈で、危険な魔術なんだ」


「その黒魔術が、この城の教会で行われていたのですか?」


「分からない。シャルロットが追放される少し前に、全焼してしまったんだ」


「……え?」




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