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結界のない学園

「……戦争?」


「はい。フォース国は戦争を仕掛けられたと言っています。ここキルア国には、研究のためとはいえ、魔術師が大勢います。そう思われても仕方がないでしょう」


 私達を出迎えてくれた学園スタッフは、首を横に振ると、溜め息をつきながら答えてくれた。


「学園長は?」


「それが、壊れた結界を維持し続けるのに魔力を全て使ってしまったようで、今は赤ん坊の姿に……」


「クソッ、遅かったか」


「でも、何とか喋れるみたいで、もう少ししたらお話は出来るかと思われます」


「もう少ししたら──ですか?」


「はい。先生は今、他のスタッフが『おしめ』を変えています」


 私が質問をすると、スタッフの人は戸惑いながらも答えてくれた。


「……あ、ああ。警備の方は、どうなってる?」


「問題ありません。研究所のスタッフが学園の敷地内を取り囲むようにして警戒に当たっています。生徒には寮から出ないようにと言ってあります」


「ありがとう。まだ妖精王は眠りから覚めないよな?」


「早くても、あと47年はかかるかと……」


「警備の方を見てくる。シャルロット、君は私の研究室にいてくれ!!」


「先生?!」


 先生は近くの窓から飛び降りると、ソリに乗って学園敷地内にある森の方へ向かっていった。先生が去ってから気がついたが、あれは私が卒業試験の時に発表した魔力圧縮型の乗り物『スイートカー』の応用版だった。


 ────ドォォォォォン。


 地響きがして顔を上げると、フォース国に時空の歪みから魔力が打ち込まれたところだった。


「シャルロット!!」


 窓から顔を出した私に、正門の手前からこちらへ向けて大きく手を振っていたのは、セスノット国の国王、マルクス陛下だった。




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