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転移魔術

「シャルロットが陛下を幸せにすればいいんじゃないか? さっきの格好で迫れば、イチコロだぞ」


「先生!!」


「陛下のことは好きなんだろう? 嫌いな奴の呪いを解こうなんて、普通は思わない」


「嫌いじゃありません。でも好きって訳でも無いんです。確かに専属の宮廷魔術師になって、婚約もしましたが……」


 そこまで言って顔を上げると、口を開けて驚いているガルシア先生と目が合った。


「婚約?! 陛下と??」


「はい」


「何だ、やることやってんじゃん!!」


「何もしてません。ただ、幼い見た目の陛下を放っておけなかっただけなんです」


「それじゃ、様子を見ることにしますか……。私は、可愛い教え子の幸せを祈ってますよ」


 先生は私に向けて手を翳すと、空間転移魔術の魔法陣を出現させた。足下には銀色に光る魔法陣が煌めいている。


「先生、1つ質問があります」


「はい、シャルロットさん」


「青い霧は毒が含まれているという噂が流れているのですが、本当は衣服を溶かす霧だったんですよね?」


「青い霧には、もともと致死量に満たない微量の毒素が含まれていました。小屋へ辿り着く前に、体調が悪くなって、帰ってくれればいい──そう思って、小屋の周りにある空気中の成分に含ませていましたが、ある時、身体の弱い兵士が霧のせいで亡くなってしまったという噂を聞いて、衣服を溶かす霧に変えたのです。誰も小屋へ来られないようにする事が出来れば、毒でも服を溶かす薬でも、何でも良かったんですよ」


「そうだったのですね──ガルシア先生、また会いに来ていいですか?」


「もちろん。何時でも会いに来てください──と言いたい所ですが、今度は来る前に知らせてくださいね」


「承知しました。先生、お元気で」


「ええ。あなたも……」


 魔法陣が足下で回り始めた。高速で回転すると、眩しい光を放って私は王都へ空間転移していたのだった。




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