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解呪法を探して

「陛下に恨みを持つ者の犯行でしょうか? 陛下、お心当たりは?」


「政敵なら大勢いるが、魔術師となると話は別だ。私は宮廷魔術師しか知らないし、呪いを掛けられるような恨みを買った覚えもない」


「それならどうして……」


「私も、その点がずっと引っかかっているんだ。辞めてしまった魔術師団長も城内の犯行ということから、少なからず部下を疑っていたようだ。城には防御結界も張ってあるからな」


「まさか、それが原因で辞職を?」


「いや、いろいろあってな……。それだけじゃないんだ。彼には別の部署で働いてもらっている」


「私──東の魔術師に会いに行きます」


「正気か? 東の地域にある森の奥深くに住んでいる魔術師だよな? きのう言ってた、近づくと青い霧が現れて、霧に触れたものは全て呪い殺されるという──行って違ったりしたら、殺されるだけかもしれないぞ?」


「分かってます。しかし、宮廷魔術師が調べて分からなかったのであれば、そうした方が良いでしょう。上手くいけば、解呪方法が分かるかもしれませんし……」


「確かに呪いを確実に解くのであれば、可能性は潰していった方がいい。しかしだな……」


「気が進みませんか? 暴虐の魔術師ですよ? もとより殺されるつもりはありません」


「分かった。その件は、シャルロットに任せよう。明日からは、私の専属魔術師として働いてくれ」


「承知いたしました。陛下その……」


「なんだ?」


「城には寮があると伺いました。その──部屋をお借りすることは、出来ないでしょうか?」


 屋敷にいてもいいと、現当主であるモルトローズ侯爵から言われていたが、あまり気は進まなかった。城で暮らした方が、いくらか過ごしやすそうだ。


「シャルロットの任務内容は護衛も兼ねているからな……。執務室の隣に部屋は用意してある」


「えっ?! 隣ですか??」


「なんだ不服か? 近い方が便利だろう?」


 私は、この人の概念に『プライバシー』という言葉はないのだろうかと思った。本人には無いのだろうが、部下のプライバシーは守って欲しい。


「分かりました。覗き見とか、絶対にしないでくださいよ!!」


「ふっ……。するわけないだろう?」


「あっ、今、鼻で笑いましたね?! 私だって、そのうち成長するんですからね!!」


「そうであろうな」


 陛下は笑いながら少しだけ悲しい目をしていた。この人の呪いは絶対に解いてあげよう──何となく、そう思ったのだった。




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