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魔術師団長?!

 謁見の日から数日たったある日、陛下から呼び出された。


『宮廷魔術師の仕事について話がある。執務室へ来るように』


 そんな内容の手紙を受け取った私は『陛下の執務室ってどこよ』と思いながらも、侯爵家の馬車で城へ向かった。侯爵家に迷惑がかかったり、不敬罪になっても困るので、無視することも出来ない。


 今回もセバスチャンが、私の後をついて来ていた。私のお目付役といったところだろうか。執事のセバスチャンが、陛下の執務室前までエスコートしてくれる。


「ありがとう、セバスチャン」


「セバスでございます」


「……ごめんなさい」


「いいえ。誰しも間違えることがございます。失敗を恐れる必要はございません」


(セバスチャン、これからの話し合いのことについて、言っているのかしら?)


「セバス、貴方も一緒に部屋の中へ入ってくれる?」


「仰せのままに」


 セバスチャンは再び一礼をすると、部屋のドアをノックをしてから中へ入った。


「ごきげんよう、陛下」


「あっ、もうこんな時間か……」


「陛下、お忙しいようでしたら、後日改めて参ります」


(そして、そのままソレイユ村へ帰りたい)


「あと3分で終わるから、ソファーに掛けて待っててくれ」


「承知致しました」


 私は空いているソファーへ腰掛けると、セバスチャンが椅子の後ろへ立った。陛下の侍従と思われる男性が、私に気を遣ったのか紅茶を出していた。


 陛下は書類を片付けると、先ほど紅茶を出してくれた侍従に書類を手渡してから、こちらへやって来た。


「待たせて、すまない」


「いいえ、構いません」


「それで、先日言っていた宮廷魔術師の件についてだが……」


 やっぱり空きがないから無理だという話だろうか? それとも、他の魔術師が『暴虐の魔女』と一緒に仕事をしたくないと言い出したのだろうか──そう思って顔を上げると、そこには真剣な表情をした陛下がいた。仕事ぶりや話の内容、真剣な表情は『国王陛下そのもの』だった。しかしながら、見た目は小学生である。ちぐはぐな印象に何とも言えずにいた私の様子を見て、陛下は苦笑していた。


「何でしょう?」


 私は何を言われても大丈夫なように、腹の底に力を込めて覚悟を決めた。


「宮廷魔術師が所属する魔術師団の団長が、先日引退してね──君にお願いしたいと思っている」


「団長?! 私がですか?」


「ああ」


 私は『この人は一体何がしたいんだろう』と思いながらも、陛下の青い瞳を見つめていた。




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