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居候

 私はメリーの家があるソレイユ村へ帰るのは止めにして、しばらくの間、侯爵家に身を寄せることになった──つまりは、居候である。


「モルトローズ侯爵、婚約の話はご存知でしたよね?」


「すまない。本当のことを話したら、そのまま帰りそうだったのでね。陛下は頑固なところはあるが、悪い方ではないんだ。味方にしておけば、今後も姉上の役に立つんじゃないかと思ってね」


 私は21才年上の弟の性格が分からずに、どう接すれば良いのか分かりかねていた。弟には息子が1人いるらしのだが、母方の祖父と一緒に暮らしているらしい。私の義理の妹に当たる侯爵夫人は、既に亡くなっているという話をセバスチャンから聞いていた。


「婚約はしません。宮廷魔術師になりましたので、部屋を見つけるまで屋敷に居させていただければと思います。すぐに、出ていきますので……」


「姉上は、ずっと居てくれて構わないんですからね。何もしなくたって、分家や他の貴族を牽制する事が出来ますし」


「何か、面白がってます?」


「まさか。急に姉弟(きょうだい)が出来て嬉しい限りですよ」


「その性格は、お父様譲りかしら」


「恩赦の件は、私も一役買ったんですよ。フレベルク家から事実を聞き出して、ヴィンセント家の令嬢の企みを暴いたのは私です。15才の時でしたが──それがきっかけで、姉上の冤罪を晴らすことが出来ましたし、何より新しい街道造りの公共事業をモルトローズ家に任せてもらえるようになったんです。その事業成功の褒賞として『侯爵』の地位を得ることができたんですよ」


 フレベルク家の話も執事であるセバスチャンから聞いていた。悪役令嬢ことエミリアの実家であるヴィンセント公爵家は、私を無実の罪で国外追放したあげく、王子を誑かしたとして公爵家は取り潰し、エミリアは国外追放になっていた──ここまでは、小説の内容と一緒である。


 けれど、取り巻きのフレベルク家と親しかった第三王女のユリア様も同罪として、城の敷地内にある離宮に幽閉されていた……。そんな話は小説では出てこなかいし、何より ユリア王女は、私に優しかったのだ。


 フレベルク家のマリーはエミリアの企みに加担したとして、郊外の修道院へ行くことになったが、私と同い年のユリア王女も側にいながら止めることや、他の王族に報告しなかったとして罪に問われてしまっていた。




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