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テント生活

 スタンピードは、程なくしてセスノットの国境付近へやって来た。


 出発した次の日から野営続きで辛かったが、途中で魔術学園の人やガルシア先生と合流してテントへ入れて貰えたので、生活環境はいくらかマシになった。


「なんだ? このテントは。まるで家みたいじゃないか」


 ギルド長が心配して、私の様子を見に来てくれていたが、ガルシア先生の魔術具テントを見て仰天していた。


「いいな、このテント。今度、売ってくれないか」


「生きて帰れたらな。いくらでも作ってやるさ」


「おぅ!! 絶対に俺らが勝つんだ。今回は、こんなに魔術師の応援があるんだ。負けられねぇ」


「確かに、あんただけは負けそうにないねぇ」


「まぁな。その調子で、テントの値段は負けてくれ」


「あんた図太いね」


「図太くなくちゃ、ギルド長なんかやってられねぇよ」


「……」


 二人の会話を冷や冷やしながら見ていたが、どうやらガルシア先生とギルド長は打ち解けたようだった。拳と拳をぶつけ合っている。


「明日からだな」


「明日から何日だろうな」


 国境付近へは、周辺の街や村から集められた兵士と魔術学園からの魔術師が数名、それからギルドに登録している冒険者の人達が集まっていた。


 スタンピードは100年に1度と言われているが、前回来たのは70年前である。前回は2週間で決着がついたが、今回もそうとは限らない。前回からの期間が短いからといって、魔物の量が少ないとは限らないのだ。しかも、今回は国境付近に出現したせいで、対応する人間が前回の2分の1の人数だと聞いている。


「王都からの応援は来るのか?」


「ああ──必ず。フォース国からも来る」


「うっそ。あんな遠くから? 2週間はかかるだろう?」


「2週間で決着がつけばいいがな。スタンピードを甘く見ない方がいい。これは先人達の教えだ」


「はい、はい。分かりました。見張りは、やる気満々のギルド長に任せて私達は、もう寝ます」


「まかせろ。始まったら終わるまで、気が抜けないだろうからな。今のうち休んどけ」


「はーい、アリガトゴザイマス」


「ギルド長、お休みなさい」


「嬢ちゃん、お休み。俺が見張っとくから、ゆっくり休めよ」


「ありがとうございます、ギルド長」


 私とガルシア先生は、テントの中で土や汚れを落とし、タオルで身体を拭くと決戦へ向けて、早めに就寝したのだった。




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