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スタンピード

「えっ、嬢ちゃんが?」


「はい」


 しばらくしてやって来た、ギルド長に案内された私は、応接室のソファーで簡単な挨拶と自己紹介をしていた。目の前に座っているギルド長と呼ばれた人物は、期待を裏切らない『むさ苦しい』感じのするギルド長だった。


「すまない。人は見た目で判断しちゃいけねぇとは思っているんだが、思ったより幼く──いや、可愛らしかったんで」


「構いません。そう思われて当然だと思います」


 先日、誕生日を迎えて16才になったところだったが、どういう訳か学園の結界内では身長が一切伸びなかったのだ。まだ子供に見えても仕方がないだろう。


「そう言って貰えると助かる。ところで、嬢ちゃんは魔術学園の出だったな?」


「はい」


「じゃあ、実戦経験は……」


「ありません」


「どうしたもんかねぇ」


「……」


 私の返答を聞いてギルド長は明らかに顔を顰めていた。難しい討伐依頼だろうか……。ギルドから討伐依頼される魔物は、討伐の難しさからSS~Eまで分類されており、先生からはS級の魔物までだったら1人で討伐しても大丈夫だと、お墨付きを貰っていた。油断しなければの話だとは思うのが。


「そう言えば、嬢ちゃんはどうしてこの街に来たんだ?」


「それは……」


 私は無実の罪で国外追放されたこと、学園で魔術を習得したこと、母から帰ってきなさいというメッセージを受けて、国へ帰る途中だという事を簡単に説明した。


「ちょっと待ってくれ──てことは何か? 嬢ちゃんは国に戻ったら、52才になってるってことか?!」


「いえ。記録上は、そうかもしれませんが、実際に生きてきた期間は16年です」


「あっ、うん。そうなんだけど──国に帰るのは怖くないのか? 自分を国外追放した人達がいるんだぞ。今の王城だって、どうなっているか分からない」


「全く怖くないと言えば嘘になります。でも、考えても考えても、どうすればいいのか分からなくて……。後悔する前に、母にだけは会っておこうかと」


「全く何てことだ。タイミングもタイミングだな」


「どういうことですか?」


「スタンピードだ」


「スタンピード……」


 聞いたことがある。講義で何回も聞いていたし、前世のアニメでも主人公達がスタンピードで苦しめられるのを何度か見ていた。


 魔物の大量発生で、倒しても倒しても後から湧くように出てきて、下手をすると1週間以上の戦闘になると言われている。1番長い時で1ヶ月戦ったという記録もある。そんな時は、国が1つ崩壊したり都市が1つ壊滅することも珍しくはない。


「なんてこった」




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