表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/60

判決

「シャルロット・モルトローズに50年間の国外追放を命じる」


 判決が言い渡された瞬間、私の両親は法廷の傍聴席で泣き崩れていた。


 何かがおかしいと思っていたが、当時14才だった私は周りの人間に上手く伝えることが出来なかった。


 私の国外追放が決定した後に解雇されたメイド長は、私と最果ての地まで共に歩いてくれた。


 それは冬の寒い日の朝だった。防寒具を着込んだ私は、明るくなる前に家を出た。


 伯爵家としての体裁を保つためなのか、両親に別れの挨拶をすることも出来なかった。また金銭的なものは一切持ち出せなかったため、解雇されたメイド長に連れられるようにして家を出た。


 当時、頼れる大人がいなかった私は、メイド長だけが頼りだった。手をつないで一緒に歩いていたメイド長は、私の事を何かにつけて褒めてくれ、歩けなくなりそうになると励ましてくれた。


 メイド長の故郷は、『最果ての地』の手前にある村だったらしく、定年より一年早く引退したこと。退職金を少し多めに渡されたことを教えてくれた。


 私が申し訳なく思っていると「お嬢様のせいではありませんよ」と慰めてくれた。相手の気持ちを察せられる能力は、『さすがメイド長だな』と思ってしまう。


 最果ての地には、魔術師の養成学校がある。一定の魔力量がないと受験できないが、その代わり性別、年齢、国籍、身分に関係なく試験を受けることが可能だと聞いている。


 魔力量の検査基準を満たしていたため、応募して返事が来る前に出発してしまったという状況ではあったが、受からずとも学校で働き口がないか聞いてみるつもりだった。


 何でもいいから、働いてみたい気分だった。周りの大人達は「学生のうちは、勉強しなさい」って言うけれど、学んだ内容が仕事に生かせなければ、意味がないだろう──そう思っていた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ