第9話 「空飛ぶ従魔」
••✼••トスターコチマ街道••✼••
コチマを出て5日目。
コチマからトスターまで徒歩で4日程度って、コチマの宿屋の主人に聞いていたが 、色々あって2日ロスしてるから、もう1日ほどでトスターに到着かな?ってことろか。
でも、この世界で徒歩とは、1日にどれくらいの時間を歩き続けたのが基準になるんだろう?
江戸時代の人は、1日12時間も歩き続けた人も居たと聞くが、現代人の俺には半日歩き続けるなんて絶対に無理だ。
だから、宿屋の主人が言う基準は、俺の歩く能力では当てにならないと思うから、参考にならない。
とりあえず、仮に考えてみよう。
大人の徒歩の速度がだいたい時速4km、平均1時間で4km歩けたとして、俺の歩ける程度は、2時間歩いて、1時間休憩・・・と繰り返しても。。。
朝8時から2時間歩き、休憩。
時刻はだいたい10時。
また歩き始めて2時間後に昼休憩。
時刻はだいたい昼の12時過ぎ。
ここで1時間休憩したとして~
でも、余裕をもって~
午後2時前頃から歩き始めて2時間後に休憩。
時刻はだいたい午後4時すぎか?
またちと休憩して~
また歩き始めて2時間後に野営。
ってな具合で考えると、実質歩けるのは1日6時間で、距離としてはだいたい24~5kmってところか。
そして、徒歩で4日の距離を、俺を基準に考えると、1日25km歩けると単純計算して、コチマ村からトスターまでは100kmの距離ってわけか。
だとしてもこれは、机上の空論だ。
歩き慣れた人なら、もっと早いかな。
それに、アスファルトの上を歩く条件での考えな訳で、この世界にアスファルトなど有る訳もなく、足元の悪い土や砂利な訳だ。
なにしろ俺は、基本歩くのが嫌いだ。
実際俺は、タバコを買いに近所のコンビニへ行くだけでも、車を引っ張り出すような不精者。
歩くのは苦手なタイプの人間だ。
だから皮算用なんか当てにならない。
そんな事を考えていたら、歩くのが嫌になってきた。
「はぁ~~~」
「どうしました? ご主人様」
「俺さぁ・・・歩くの苦手なんだよねえ」
「歩く事が・・・ですか?」
「うぅむ ほらもう、足が痛くなってきたしさ」
「はぁ・・・そうですか 確かに、人型の二本足だけで歩くのは、私の本来の姿で歩くよりは疲れますね?」
「だろう?! だからさぁ、一層の事、何か乗り物ても作っちゃおうかな?って思ってね!」
「乗り物を作る・・・ですか?」
ロンデルには、理解できないようだ。
確かに、魔獣には理解できない事柄かも知れない。
動物や魔獣のように、人間よりも身体能力のある者には、考えつくものではないだろう。
人間だからこそ、楽に速く移動したいために、便利な道具を作るという術を手にしたと言える。
それだけ人間とは、脆弱な生き物なんだよな。
だったら、移動魔法とか、魔法の道具を作れば良いのでは?
例えば、自動車とか自動車とか自動車とか・・・
自動車しか思いつかない。
現代的な発想はやめよう!
ここは異世界。
ファンタスティックな剣と魔法の世界。
どうせなら空飛ぶ乗り物とか。
でも、あまり目立つ物は避けたい。
たとえ目立っても、この世界ではごく当たり前のものは何??
そう考えると、魔獣を使役する事かな?
例えば、馬のように、背中に人を乗せて運んでくれるような。
アロマ嬢が乗っていた獣車は、恐竜みたいな奴が引っ張ってたな。
まさか、あんなのには乗りたくない。
単純に怖いし・・・
ましてや、生まれてこの方、馬にも乗った事などもない。
でも、世界中を旅したいと本気で考えるのなら、この先きっと乗り物は必要だ。
魔物や盗賊に襲われたときに、逃げる手段としても有効だしな。
じゃあ、なにが良い?
などと考えていたら、ロンデルが当然慌て騒ぐ。
「ご主人様っ!!」
「ん?! なんだ、どうした?」
「奴です! こんな所まで追って来るなんて!」
「やつ? はっ!!」
ロンデルが指差す上空に目をやると、まるで巨大な翼竜に長い尻尾が生えたような化け物が空を飛んでいた!
しかも、どうやらロンデルとは、因縁の相手らしい。
もしかして、ロンデルは奴に怪我されたのか?
ポン!
「グルルルル・・・うううう~~~!」
「ロンデル?!」
ロンデルは、魔獣の姿に戻った!
人型では太刀打ちできないと判断する程の相手なのだと理解する。
でも、俺は?!
空を飛ぶ相手に、魔法は当たりそうもない!
「なんだあれ?! なんだあれぇ?!」
「ふぎゃあ━━━!!」
「ロンデル?」
「フゥーーー!!」
「いやいや・・・デカイぞ? すんげぇデカイぞぉーあれー!!」
めちゃくちゃデカかった!
翼を広げたら12mを超えると言われる「翼竜ケツァルコアトル」よりもデカイかも知れない?
あんな奴から逃げられるのか?!
もう、恐怖しかない!
足がすくんでしまう。
「恐怖耐性Lv2」が無かったら、今頃失神していたかも?
どうしたものか・・・どうしたものか・・・
対抗手段が思い付かず、オロオロしていたら、奴は急降下して迫って来た!
ヤバっ!!
俺達を狙っているのか?!
仕方がない!
魔法で応戦するしかない!
トロは、勇気を振り絞って、ファイヤー・ボールで攻撃!
「ファイヤー・ボール!!」
ボシュン!・・・
「ファイヤー・ボール!!」
ボシュン!・・・
「ファイヤー・ボ━━━ル!!」
ボシュン!・・・
「くっそ!ダメだ! 当たらない!!」
空に向かって放つファイヤー・ボールって、こんなにも遅いのか?!
と思うほどに、遅く感じた。
まったく当たる気がしない!
「にゃあー!!」
(ご主人様! 危ない!!)
「うっ!・・・うをわあ!!」
バサッ!! ブォン!!
急降下してくる化け物。
「っふぉ━━━っ! やっべぇ!! あっぶねえ!!」
「あうううう~~~!!」
「ロンデル・・・!」
流石にロンデルも、空を飛ぶ相手には分が悪いようだ。
やはり、ロンデルの異様な程の空飛ぶ怪物への敵意を見て、ロンデルの足を傷付けたのは、奴に違いないと確信した!
そう思うと、物凄く頭に来た!
最初に感じた恐怖など吹っ飛んだ!
この時、トロの恐怖耐性のレベルが3に上がった!
「こうなったら、魔法の乱れ打ちだぁ!!」
「にゃあ!!」
「マシンガンをイメージして~~~」
トロは、ファイヤー・ボールを、マシンガンをイメージして、連続的に放った!
「うおおおおおお━━━っ!!」
ドドドドドドドドドド━━━ッ!
バスン! ボシュン!
「にゃ?!」
トロの放った連続的なファイヤー・ボールが何発か直撃したが、まるで効いていないようだった!
皮膚が硬いのか? それとも火に耐性があるのか?
「バカなっ!! 直撃のはずだ!!」
「んにゃ!」
「奴は、火の耐性の皮膚を持っているとでも言うのか?!」
「んにゃあ!!」
「おおっと、いけねえ!! 自分の世界にどっぷりはまってしまった!」
アニメであったセリフを口にして、少し照れるトロ。
「んにゃにゃにゃあ!!」
「ん!? なんだロンデル?」
ポン!
「ん? ロンデル???」
ロンデルは、また人型に変身した!
おそらく、トロに詳しく説明するために、言葉を話せる人型に変身したのだろう。
「ご主人様! 奴には、火は通用しません!」
「はあ?! なんだってぇ?!」
「奴は、火を吐きます! ですから、奴は元々火に耐性があるのです!」
「それ、先に言ってほしかったぁ~ん(汗)」
「はっ?!」
「なんだ?」
すると奴は、大きく旋回して高く上昇してから、一直線に向かって来るようだ!
そして、口を開けているように見える。
それに奴の口の中には、火の玉が!
「ご主人様! 奴は火の玉を吐くつもりのようです!」
「なにい?! 火の玉だってえ?! SF映画の怪獣かよ!!」
「奴の吐く火の玉は、着弾後に大爆発を起こします!」
「火を吐くなんて、どんな口と腹をしてるんだ?!」
「魔法です!」
「魔法?! あの怪物も魔法を使うのか?!」
「はい! 魔物の中には、魔法を使う奴らも居ます! 特に奴、ワイバーンの吐く火の玉は、岩のゴーレムの硬い身体をも砕く強さです! 絶対に避けてください!!」
「な、な、な、なんだとおおお?! めちゃくちゃじゃないか! ど、ど、どうやったら勝てるんだよお!!」
「いえ、奴に勝とうなんて考えないで、逃げて下さい!!」
「勝とうと考えるな?! そんなにヤバい奴なのか?!」
「はい! ヤバいです! 私も逃げるのがやっとでしたから! って、来ます!」
「はっ?!」
ギュ━━━ン!!
奴は、ワイバーンというらしい。
確か、ワイバーンも異世界名物!
「すげぇ! あれがワイバーンなのか! って、感心してる場合じゃないな!」
「逃げてえ!!」
ギュ━━━ン!
ワイバーンは、45°の角度で急降下しながら、火の玉を吐いた!
ボン!
「?!」
ドオォオォオォオォ━━━ン!
「あぢゃぢゃぢゃぢゃあぢぃ~~~!!」
「ご主人様あ!!」
ワイバーンの吐いた火の玉は、大地に直撃した瞬間に大爆発!!
直撃は間逃れたものの、爆炎と衝撃波がトロを襲う!
トロは、全身に火傷を負ってしまった!
逃げながら慌ててヒールを連発するトロ。
「ヒール!ヒール!ヒール!ヒールぅー!」
シュパン!シュパン!シュパン!シュパン!
「あああっくそぉおおっ! あっぢぃなあ!! くっそお! くっそおおお━━━っ!! もお怒ったぞぉ!!」
「ご主人様?」
「ロンデル! 奴は、火の玉を連続で撃てるのか?!」
「ぬっ?! それは・・・たぶん、すぐには無理かと?」
「ふむ クールタイムが必要なんだな?」
この世界の魔物はどうか解らないが、どんな必殺技でも、連続的に放つことは難しいはず。
大砲でも、詳しい仕組みなどは知らないが、一度砲撃した後は、砲身を掃除して、玉を詰めて、火薬をセットして・・・と、次の法撃までには準備が必要だ。
必殺技クラスの大きな魔法だって、きっとすぐには次の攻撃はできないはず!
今のうちに、新しい開発しようと考えた!
「ロンデル!」
「は、はい!」
「今から新しい魔法を開発するから、3分・・・2分だけ時間を稼いでくれ!」
「にふん? にふんとは?」
「あ! え~~~と、種を作って、煮て食べるくらいのじかんだ!」
「わ、解りました!」
ポン!
ロンデルは、また魔獣の姿に変身して、ワイバーンの気を引くように威嚇した!
「ぎゃあああおおお━━━!」
「?! キシャー!」
「ふっ!」
ワイバーンは、ロンデルの思惑通りに、ロンデルに向かって攻撃を始めた!
その隙に、トロは意識を集中して、ある豆の種を生成した!
イメージは次の通りだ。
●名称:誘導ファイヤー・ボール
●目標をロックオンする。
●目標に向かって追撃する
●有効範囲に接近したら爆発する。
●術者の指示で爆発できる。
●術者の指示で消滅させられる。
ポン!
「よし! 次は栽培と塩ゆでだ!」
トロは、種を植えて栽培。
あっという間に芽が出て、ぐんぐん育って、プクプクと太ったサヤがたわわに生った!
早速豆をバラして、器に水と一緒に豆を入れて、ファイヤー・ボールで加熱!
塩ゆでと言いながら、塩を入れるのを忘れたが、この際気にしない!
ほんの20秒ほどで茹で上がった!
茹で上がった豆をその場でひっくり返して、拾って浄化して無心に食べた!
幾つ食べたのかは、数えていない。
そして覚えたのが・・・
【誘導ファイヤー・ボールLv4】
要した時間は、2分30秒!
チッ! オーバータイムか。
それでもロンデルは、頑張ってくれている。
そんなロンデルの為にも、絶対に成功させたい!
「すまん! ロンデル! もういいぞ!」
「はい! ご主人様!」
「待たせたな! 化け物!」
「クワァ━━━!!」
ワイバーンは、先程と同じように大きく旋回して上昇し、また一直線に向かってくる!
やはり、口には火の玉が!
ロンデルは、ワイバーンを狙って、「誘導ファイヤー・ボール」を放った!
「喰らえ! 誘導ファイヤー・ボール!」
ボシュン!
「?!」
バサッ!
ワイバーンは、トロが放った誘導ファイヤー・ボールを交わそうと旋回するが、トロの放った誘導ファイヤー・ボールは、ワイバーンを追いかけ飛び続ける!
「クワアッ!?」
バサッ! バサバサッ!
「へっへぇーん! お前はもう終わりだー!」
そして、誘導ファイヤー・ボールが、ワイバーンに接近した時!
ドオオオオオオオ━━━ン!!
「ギヤッ!」
「やった! やったぞ!」
「おおおっ!」
ドスン!
ワイバーンは、クルクルと回転しながら墜落!
トロとロンデルは、落ちたワイバーンに向かって走り出す!
そして・・・
「グワァー! クワアアー!」
「やりましたね! ご主人様!」
「ああ・・・」
「ふん! たかが卵一つで、執拗に襲いやがって!」
「はっ?!・・・・・・」
「はい?」
「ロンデル? 今、なんつった?」
「はい? 卵一つ・・・ですか?」
「・・・・・・お前」
「はあい?」
なんだか、すんごく嫌な予感がする。
もしかして・・・
「なあ、もしかして、ロンデルお前、このワイバーンの卵を盗んだのか?」
「いえ、食べてやったのです!」
「はあ?! 食べてやった?! このワイバーンの大切な卵を、お前は食べたのか?!」
「いえいえ! 大切だなんて! このワイバーンは番ではありません! ですから卵は孵化しません! だったら、私が食べだ方が栄養となり、卵の有効活用となって・・・」
「いやいや、屁理屈はいいよ!」
「あ、はい?」
「だからつまり、ロンデルお前は、このワイバーンの卵を盗んで食べたんだな?」
「はい! まあ、あまり美味くはなかったですが」
「はぁ━━━······お前ねぇ?」
「何でしょうか?」
「クワー! クワワァー!」
なんと!
ロンデルは、このワイバーンの卵を食べたと言うのだ!
そりゃあ、怒るだろ!
番じゃないから、産んだ卵は有精卵じゃないから孵化しないと言いたい訳か。
だから、食べてやったと?
って、そこが問題じゃな━━━い!!
初めてロンデルに出会った時、ロンデルが足を怪我していたのは、ワイバーンの卵を食べたから、ワイバーンに襲われた訳だったのだ。
「バカぁ━━━!!」
「ひっ!」
「そりゃあ、襲われて当然だろ!」
「は!? いや、しかし・・・」
「なんだか、このワイバーンが気の毒になってきた・・・」
「は? あの、何故?」
「ぬわぁにが、なにゆえだよ!! お前だって、大切な物、例えば食べるのを楽しみにしていた肉を盗まれたり食われたりしたら、頭に来るだろう?!」
「そ、それはもちろんです! 我なら絶対に許しません!!」
「だろう?! だったら、ワイバーンだって同じだよ! 大切な卵をお前に食べられたんだ! 怒るのも当然だろうが!!」
「もっ、申し訳ありません!」
「ああ、いや、謝るなら、このワイバーンに謝れよ?」
「え? は? う・・・え?」
ううむ。
どうやら、魔獣のロンデルにしては、他の魔獣の卵を盗み食べる事など、悪い事という認識は無いようだ。
まあ、それはそうなのかも知れない。
たぶん、この世界の魔獣にとっては、生きるためには食うしかない。
弱肉強食ってやつだ。
だが、今俺と行動を共にしている訳だし、俺が主人なのだから、出来るなら俺の倫理観を合わせて欲しいものだ。
でも、それには、ロンデルにだけ話しても伝わらないし、解決しないだろう。
だとしたら?
「コイツ、テイムできないかな?」
「はあ?! 正気ですかご主人様!! 今しがたコイツに襲われたばかりなんですよ?!」
「ああ~まあ、そうなんだけどな? でも、その災いの発端はロンデル、お前だぞ?」
「うっ!・・・そ、しうかも知れませんが」
「うむ」
どうやら、なぜワイバーンに襲われたのか、その理由が自分にあるのは理解しているようだ。
ならば、話しは早い!
「ティム!」
「んなっ?! ご主人様何を?!」
「コアッ?!」
果たして、テイムできるのか?
ま、普通に大丈夫だろう。
本気で俺達を殺す気だったなら、地上に落ちたとしても、火の玉を吐いてもおかしくない。
なのに、このワイバーンは、しなかった。
いや、殺される覚悟を決めただけかも知れない?
それでも、きっとテイムできると確信していた!
『今後とも、よろしくお願いいたします 我がご主人様』
できた!!
それに、直接頭の中に響くようなこの声は?!
「うおおっ! これは、異世界名物の『念話』ってヤツだな!?」
『そうです! 念話です』
「ふおおっ!」
きたぁー!
再世界名物永久無料念話サービス!!
初めての能力に興奮してしまった。
だが、ボリュームを抑えないとだな。
まるで、地下室でのスピーカーから大音量の演説を聞いているかのような声の響き。
これも慣れが必要なのだろう。
しかし、テイムできると確信していたとは言え、簡単すぎるだろ。
それに、ついさっきまで戦っていた相手なのに、テイムした途端にこんなにも従順になるのもかね?
流石は異世界名物!
魔獣から従魔になったが最後の強制力ってヤツだな。
『我に名前を付けて下さい』
「あ、そうか! 名前か・・・」
「・・・・・・」
俺が新しい従魔の名前を考えてると、ロンデルはめちゃくちゃ複雑な顔をしていた。
それもそのはずだよな。
俺はともかく、ロンデルとこのワイバーンは、ついさっきまで殺し合っていたのだから。
それはそれ! これはこれ!
「よし! 決めた! お前の名前は、ロプロプだ!」
『ロプロプ? わかりました! これからは私は、ロプロプと名乗りましょう!』
「うん! よろしくな! ロプロプ! ああ、それと、事情も知らずに『化け物』と言って、すまなかった・・・」
『いえ、とんでもございません』
「ぐるるるる・・・」
クシャミを我慢してるような顔をするロンデル。
あはは・・・ロンデル。
そんな顔するな?
そもそも、お前がロプロプの卵を食べたのが悪いのだからな。
それはそうと、ロプロプを回復してあげないと!
「とりあえず、回復してやろう! ヒール!」
シュパン!
『ほおおお・・・これは! ありがとうございます!』
「いや」
「はぁ・・・」
「まあまあ、ロンデル! 元はと言えば、お前が発端の喧嘩だろ? でも今はこうして、仲間になったんだから、仲良くしてくれ! な?」
「ぶうう・・・わかりました」
『よろしく頼むぞ ロンデル殿』
「うっ おお、よろしく」
「ふふっ よし、じゃあロプロプのステータスを見てみようか!」
フォン!
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・⋯━☞STATUS☜━⋯・
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名前 ロプロプ
性別 雌
年齢 38
種族 獣族 (ファイヤー・ナパーム・ワイバーン)
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LV 28
HP 973
MP 47
STR 38
ATK 37
DEF 36
DEX 31
INT 30
MAT 29
SPD 48
LUK 32
EXP 10652
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習得魔法
【ファイヤー・ナパームLv2】
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習得スキル
【威圧Lv2】【ひっかきLv8】【鷲掴みLv4】【羽ばたきLv3】【噛みちぎりLv3】
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称号
【賢者トロの従魔】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
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「ぶほっ!! つっ、強っ!!」
「ふん!」
『いえいえ、何を仰いますか! ご主人様のあの魔法には、私は何もできませんでした!』
「そ、そう? 急拵えの魔法だったが、ロプロプにそう言ってもらえると、励みになるよ!」
こうして俺達に、新しい従魔、ワイバーンのロプロプが仲間になった!
「ところでさあ、ロプロプ?」
『なんでしようか?』
「ロプロプに乗って空を飛ぶって、できる?」
『それは、難しいと思います』
「ダメなぁ・・・・・・」
『はい 申し訳ありません』
「いや・・・」
『でももし・・・』
「え?」
『もし、ご主人様が、小さな子供だったなら、飛べるかも知れませんが』
「おおっ! マジでっ?!」
『はい 申し訳ありません』
「いやいや・・・ふふふ そうか!」
「・・・・・・」
もし、空飛ぶ従魔に乗れたらカッコいいと思ったんだけどなぁ・・・
ダメだったか。
でも、もし俺が小さな子供だったなら?
・・・やってみる価値はありそうだ。
ワイバーンの仲間が増えた!
かつては、ロンデルの宿敵?だったのだが、今後は仲良くして欲しいものだ。
そして、もしトロが小さな子供なら、ロプロブに乗って空を飛べるかも知れない?
なんだか、危ない事を考えている?