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第7話 「変化と変身」

 



 ••✼••トスターコチマ街道••✼••



 勇者召喚に巻き込まれ、自分は勇者とは無関係だと1人別行動を取るオッサンのトロ。

 ロンデルという名の、ワイルド・フォレスト・キャットを従魔に従え、トスターの街へ向かう。


 途中で、「オーク専隊」と出会い、思いがけず「ビッグ・フォレスト・オーク」を倒し、「オーク肉」を手に入れる。


 そして、ロンデルと一緒に、そのオーク肉で焼肉して食べたら、これがまた美味い!

 まさか、異世界の豚肉?を食べられるなんて、実に素晴らしい体験だった。


 だが、これは現実。

 なのに、持ち得る力はチート。

 半分夢なのでは?と思うほどに、思い通りに何もかもが事が進み、怖くなるほどだ。

 とにかく、運が良いのだ。

 そう言えば、トロのステータスには、「運」が表示されていない。

 これは、どういう意味なのか?


 その意味は、ずっと後になって知る事になる。



「そろそろ昼だな?」


「にゃあ!」


「何か食べるか?」


「にゃん!」


「・・・つっても、オーク肉しかないけど」


「にゃあん!」


「あははっ 『にゃん』じゃあ、何言ってるか解らないなぁ?」


「にゃあぁあん?」


「ロンデルが人の言葉を話せたらなぁ・・・人の言葉を話せる豆でも作るか!」


「にゃあん?」


「!・・・いや、待てよ?」


「にゃ?」


「・・・・・・それよりも」


「うんにゃ?」



 トロは、不意に足を止めた。

 この時、トロは思い付いたのだ!

『ロンデルに人の姿に変身する能力を与えたら?』



「うむむ・・・いや、できるかも知れない」


「にゃあん?」


「・・・・・・うん! やってみるか!!」


「ぐるるるにゃあん?」



 トロは、ロンデルに変身できる能力を与えてみようと考えたのだ。


 こんな漫画みたいな能力、有り得ないとは思うものの、今まで思い通りの能力が身に付く豆が作れたのだから、「人に変身できる能力の豆」が、本当に作れるかも知れない?



「やってみる価値はありそうだな」


「にや?」



 トロは、手を握り、そして意識を集中する。


 ●主人であるトロが命じた通りの姿に変身する能力。

 ●ロンデル自身の思い通りの姿に変身する能力。


 そう。

 トロが子供の頃に観たアニメ、「超能力少年ビビル2世」が使役する3つのしもべの1つ、「クロヒョウのムデロ」がイメージにピッタリだ。

 ムデロは、自由に姿を変える能力があったのだ。

 まさに、ロンデルにピッタリではないか?



 ポン!


「できた! 思い通りの姿に変身できる能力の種」


「にゃん?」


「成功か否か、まだ解らないけど・・・」


「ううう?」



 とにかく、トロは種を植えてみた。

 みるみるうちに芽が出て、プクプクと太ったサヤがたわわに実り、曰くとした豆が80個も()った。

 鑑定してみると・・・・・・



 ○=================○

 ・⋯━━━━━━☆★☆━━━━━━⋯・

 ⋯━━☞変身スキルを覚える豆☜━━⋯

 ・⋯━━━━━━☆★☆━━━━━━⋯・

 1粒食せば自由に変身する魔法スキルを覚える。

 経験値が1入る。

 ・⋯━━━━━━☆★☆━━━━━━⋯・

 ○=================○



「うむ まんまだな」


「うにゃ!」


「ロンデル、コレ食べてみるか? いや、是非食べて欲しい!」


「うんにゃ!」



 なんだかロンデルが、「食べてもいいよ!」と言っているように見えた。 

 トロは、その豆を塩ゆでにして、半分の40個をロンデルに食べさせ、残り半分の40個を自分で食べた。


 そして、ロンデルのステータスを見てみた。



 ■===========■

 ・⋯━☞STATUS☜━⋯・

 ■===========■

 名前 ロンデル

 性別 雌

 年齢 18

 種族 獣族(ワイルド・フォレスト・キャット)

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 LV 26

 HP 851

 MP 45

 STR 38

 ATK 40

 DEF 34

 DEX 29

 INT 28

 MAT 27

 SPD 36

 LUK 30

 EXP 8982

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 習得魔法

【全ステータス強化魔法Lv2】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 習得スキル

【ひっかきLv8】【噛み付きLv6】【体当たりLv4】【猫パンチLv3】【猫キックLv3】【変化(へんげ)Lv4】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 称号

【賢者トロの従魔】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 ■===========■



「おおっ! 変化(へんげ)スキルになってる!」


「うにゃ!」


「じゃあ、次は俺だな!」



 ■===========■

 ・⋯━☞STATUS☜━⋯・

 ■===========■

 名前 トロ

 性別 男

 年齢 54

 種族 人族

 職業 種生成術師

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 LV 7

 HP 187

 MP 102

 STR 19

 ATK 21

 DEF 15

 DEX 10

 INT 56

 MAT 56

 SPD 11

 LUK 11

 EXP 439

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 習得魔法

【ヒールLv2】【種生成Lv3】【ファイヤー・ボールLv3】【ウォーター・ボールLv3】【エアー・カッターLv3】【アース・ニードルLv3】【アース・ウォールLv3】【テレポーテーションLv2】【全ステータス強化魔法Lv2】×5【全ステータス弱化魔法Lv2】【光魔法Lv4(ライト)(ライト・セイバー)】【状態異常回復魔法Lv3】【浄化魔法Lv4】【付与魔法Lv3】【変身Lv4】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 習得スキル

【ステータス】【鑑定Lv2】【異空間収納∞】【剣術Lv3】【熱耐性Lv4】【冷耐性Lv4】【物理耐性Lv4】【魔法耐性Lv4】【テイムLv2】【索敵Lv2】【恐怖耐性Lv2】【魅了耐性Lv2】【呪い耐性Lv2】【魅了耐性Lv2】【混乱耐性Lv2】【隷属耐性Lv2】【石化耐性Lv2】【即死耐性Lv2】【厳格耐性Lv2】【洗脳耐性Lv2】【毒耐性Lv2】【獲物自動解体Lv4】


 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 称号

【召喚巻き込まれ異世界人】【賢者】【ロンデルの主人】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 資格

【普通自動車】【原動機付自転車】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 従魔

 ●ロンデル 

【ワイルド・フォレスト・キャット】

 ■===========■



「あれ?! 俺のは変身魔法ってなってるぞ?」


「にゃあ?」


変化(へんげ)スキルと変身魔法?・・・何がどう違うんだ?」



変化(へんげ)」と、「変身」は、大きく違う。

 魔獣が変身する場合は、スキルによる「変化(へんげ)」となり、精霊の力を借りているのだ。

 だが、トロが変身する場合は、魔法による「変身」となる。

 その能力が、スキルによるものか、魔法によるものかの違いだが、精霊の力を借りるか否かという大きな違いがるのだ。

 なぜならロンデルは魔獣である。


 魔獣と魔物は完全に別ものだ。


 魔獣は、妖精に近い存在である。

 だが魔物は、「負の念」が滞り凝縮して生み出された悪の念の塊と言えるので、人や亜人や魔族や他の動物達にとって「害悪」でしかない。



「はは・・・なんだかドキドキするな」


「にゃん!」


「じゃあロンデル・・・人の姿に変化(へんげ)してみてくれるか?」


「にゃん!」



 ロンデルは、大きく頷くと目を瞑る。

 するとロンデルの身体が青白く光り輝き、光のシルエットが人型に変化していく。



 シパァ━━━ッ!


「うおっ! 眩しい!」



 そして、光が消えたとき・・・



「うわっ! どっ、なっ、うわわっ!」


「どうか なさいましたか ご主人様?」


「は、裸っ?! ふ、服っ! 服を着てぇ!! って、着る服が無いのか! ええ~~~と・・・」



 なんと!

 ロンデルは、トロの指示通りに、本当に人型に変化していた!

 という事は、やはりロンデルはトロの言葉を理解していたのだ!


 そして何よりも驚いたのは、物凄く美人だったのだ!(そこ?)

 これぞ、オリエンタル・ビューティー!

 黒目黒髪のスレンダー美少女だった!


 だがトロは、ロンデルが雌だった事を忘れていた。

 ロンデルは魔獣なので服など着ていないので、人型に変化(へんげ)したならば、裸になるのは当たり前である。


 トロは慌てて、マジック・バッグからタオルを数枚取り出し、ロンデルの胸と腰に巻いた。



「これで一安心・・・って、余計にエロいな(焦)」


「エロい? それは、どういう意味でしょうかご主人様?」


「あああっ! あ、い、いや、コッチの話しっ! と、とにかく今は元の姿に戻ってえ!」


「はい、わかりました ご主人様」


 シパァ━━━ッ!


「にゃあん!」


「おおおっ! 元に戻ったね? ってあれ? タオルは何処に行った?」


「にゃあん?」


「・・・? まあいっか!」


「にゃあん」


「しかし、ロンデルが人型になると、すんげぇ美人になるんだなぁ?」


「にゃあ~~~ん!」



 なにかしら、ロンデルが喜んでいるように見えた。

「美人」と言ったからだろうか?

 だとしたら、魔獣であるロンデルも、案外単純なのかも知れない。



「いやいやいや また1つ楽しみが増えたぞ! って、ああいや、けっして嫌らしい意味じゃないからな?」


「にゃあん!」


「ふぅ・・・よし! 次は俺の番だな!」


「にゃあ!」



 トロは、ステータスの「習得魔法」から、「変身Lv4」をタップして詳細を見てみた。



 ○==============○

 ・⋯━━━━━☆★☆━━━━━⋯・

  ⋯━━━━☞変身Lv4☜━━━━⋯

 ・⋯━━━━━☆★☆━━━━━⋯・

 習得魔法の1つ。

 変身したい姿を強くイメージしながら、

「変身」と合言葉(じゅもん)を唱える。

 魔力10使用。

 元の姿に戻る時は、

「元の姿に戻る」と強く念じる。

 魔力10使用。

 ・⋯━━━━━☆★☆━━━━━⋯・

 ○==============○



「なるほど! 理解した! でも変身時と元に戻る時にも魔力は10も使うのか ま、これも妥当なんだろうな?」


「にゃん!」


「よし! とにかく変身してみよう!」


「うにゃ!!」



 トロは、変身魔法を発動してみることにした!

 説明通りなら、自分のイメージ通りの姿に変身できるばずだ。


 先ずは、簡単にイメージできるものが良いな。

 簡単なもの・・・簡単なもの・・・簡単なもの・・・


 なんて考えていたら、ロンデルの凄が強くイメージとして心に焼き付いた!

 そして!



「変身」

 シパァ━━━ッ!


「うおっ?!」


「ご主人様!?」


「うぬぅ?! ど、どうなった?!」


「私にとても似て・・・ると、思います」


「は?! じゃあ、ロンデルにソックリに変身したのか?!」


「・・・だと、思われます!」



 ロンデルの言葉が解る!

 ロンデルがさっき人型の女性に変身した時の声で言葉が聞こえる?

 なるほど・・・・・・

 魔獣同士だから、言葉が理解し合えるのか?

 という事にしておこう!

 もう、深く考えない!

 どうせ頭が悪いのだから、どんなに考えたって答えなど出ないのだから。


 腕を見てみる。

 確かに、猫のような腕だ!

 振り向いて尻尾を見てみる。

 確かに、尻尾がある!

 でも、思うように動かせない。

 これはきっと、尻尾の無い人間から、尻尾のある魔獣に変身したので、尻尾の神経というか、今まで無かったはずの、まったく新しい筋肉を動かす事になるので、思い通りに動かせる様になるには訓練が必要だろう。



「よし! 解った! って、これで元に戻れなかったらと思うと、すんげえ怖ぇ~~~」


「ご主人様・・・(汗)」


「あ、いや、すまん! 今の言い方は語弊があるな 変な意味ではないからな? けっして、ロンデルに似た姿で居るのが嫌だと言っているのではないからな?」


「もちろん 理解しております」


「う、うん では、元に戻るぞ!」


「はい」


 シパァ━━━ッ!



「元に戻る」と、強く念じたら、本当に元の姿に戻れた!



「ひゃっはあ━━━っ!! おんもしれぇ~~~!!」


「にゃあ?」


「もっともっと変身してみよう!!」


「あにゃあ!!」



 本当に面白かった!

 思わず嬉々として、子供のようにはしゃいでいまった!


 と、その前に、全身が映せる鏡、「姿見」が欲しいと思い、「姿見が生る種」を生成して育てた。

 縦180cm、横45cmの姿見が3つ生った!


 何度やっても、我ながら気味が悪くなるほどのチートな能力だよなコレ・・・・


 もう、何も突っ込まないぞ。

 その中の1台の姿見を目の前に設置し、後の2台は異空間収納に収納した。


 そして、次に変身したのは、若返る前の「肉体年齢54歳の自分」に変身した!

 姿見で見てみると、確かに この世界へ来たばかりの若返る前の自分の姿だった。

 こうして改めて見てみると、我ながらショックだった。

 前髪の生え際と、モミアゲの辺りが、白髪でモサモサしている。

 目の下と眉間には深いシワ。

 垂れた頬。

 所々にポツポツとシミがある。

 こんなにもオッサンだったんだな・・・と。

 そして早々に、肉体年齢二十歳前後の元の姿に戻る。


「それ元の姿じゃないだろう?」

 って?

 まあ、そこは突っ込まないでくれ。


 なんだか楽しくて堪らなくて、何度も変身した!


 3度目に変身したのは、ゴブリンだ。

 死にたくなった・・・

 すぐに元の姿に戻った。


 4度目に変身したのは、ドラゴンだった。

 いかん・・・ドラゴンでは、姿見が小さすぎて自分の姿の全貌を確認できない!

 見下ろすと、ロンデルが小さく見える。

 当たり前だな。

 ロンデルが、全身の毛を逆立てていた。

 そりゃあ、ビビるだろうな・・・


 元の姿にもどる。


 5度目に変身したのは、昭和から現在まで続く、日本の国民的アニメキャラの、「ドザえもん」だ。

 なんと、まさか本当にドザえもんに変身できるなんて・・・

 なんだか、CGだな。

 異次元ポケットの中は、どうなっているのだろうか?

 秘密道具は有るのだろうか?

 有る訳ないか・・・

 今度、ゆっくり調べてみよう。


 元の姿に戻る。


 よし! 解った!!

 イメージしたものには、だいたい変身できる事が解った!


 次に思い付いたのは、「異性に変身出来るのか?」という事。

 試してみよう。 

 イメージするのは、金髪碧眼の美少女。

 (作者は金髪碧眼が好きなのか?)


 ・・・変身できた!

 姿見に映る自分の姿は、まさに金髪碧眼の美少女そのものだった!


 だが、身体中に電気が走ったかのような衝撃を受け、気が付いたら倒れていた。



 ドサッ!


「うっ・・・しまった・・・MPが・・・・」


「ご主人様ぁ!?」


「ロンデル・・・? 人型に変化(へんげ)し・・・た・・・のか?」


「ご主人様! シッカリして下さい! ご主人様ぁ━━━!!」


「・・・・・・」



 やってしまった。


 MPが無くなる寸前なのに、変身魔法を使ってしまったので、足りない分をHPで補う事になったのだが、MP切れで意識を失ってしまったのだった。


 マズイ! 女の姿のまんまで失神なんて、非常にマズイ!!

 こんな時に、盗賊にでも遭遇したら最悪だ!

 散々弄ばれた挙句に、売り飛ばされてしまうぞ!!



「ろ・・・んで・・・・・・る・・・・・・」


「ご主人様ぁー! ご主人様ぁ━━━!!」



 トロは、ロンデルの呼び掛けも虚しく、意識を失ってしまった。




 果たして、トロの運命は?!




調子に乗ってMPを使い過ぎて失神!

果たしてトロは、どうなってしまうのか?


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