第44話 「酒は飲んでも呑まれるな」
マウケサ村。
そこは、酒好きが集まる酒場の村。
••✼••マウケサ村前••✼••
「ようやく、マウケサ村が見えてきたな・・・」
「ふぅ・・・やっとね! 疲れたわ(汗)
ゆっくり湯に浸かって疲れを取りたいけど・・・
この村には温泉なんてあるのかしら?」
「さ、さあ・・・どうだろうな?(汗)」
「ええっ!! トロも知らないの?!」
「知らないよぉ~~~(汗)
俺だって初めて来る村なんだから~~~」
「師匠! マウケサ村って、どんな村なんですか?」
「ううむ・・・そうだなぁ・・・
俺の聞いた話しでは、『酒が美味い』って聞いたんだけど」
「「「「酒っ?!」」」」
皆んな『酒』と聞いて、少し驚いた様子だった。
なぜなら、『トロと愉快な仲間たち』のパーティーメンバー達は、トロ以外は皆んな成人したばかりの年齢ではあるが、酒を飲むと誰もが『バカ』になる事を知っているからだ。
特にワイサやクレオは、サイチ村で苦い経験がある。
普段は気の優しいはずの人が酒を飲んで変貌し、襲われた経験があるのだ。
なので、飲めば変貌するようなモノを、なぜわざわざ飲むのか不思議でならなかった。
この世界の成人年齢は15歳である。
歳上から順番に・・・
トロは、54歳。
ナディーは、17歳。
ワイサは、16歳。
そしてクレオとエヴァは、15歳である。
皆んな一応は成人年齢であり、酒の飲める年齢ではある。
だが、日本の常識では、酒は20歳にならないと飲んではダメ!って事になってる。
その理由は、まだ成人として完成されていない若い身体では、アルコールの摂取は害悪でしかないからだ。
アルコールは、若い方が脳への影響が大人の脳よりも大きいだとか、若くしてアルコールを摂取するとアルコール依存症になるリスクが高いだとか、急性アルコール中毒になりやすいだとか色々と理由があるようなのだ。
なので、トロは仲間達にはアルコールは飲ませまいと思っていた。
自分は強くはないが飲むつもりだが・・・フフフッ
日本では滅多に飲まなかったアルコール。
ここは異世界だ。 日本の法律や常識など関係ない。
少しくらい羽目を外したって構わないだろう。
「それにしても、すごい数の獣車ですね!」
「そうだな・・・もしかして、宿に空室が無いとか?」
「「「「ええええ~~~っ!!」」」」
「いやだって、こんな数の獣車が村の外で定着してんだぜ?
村の宿屋に空室が無いから仕方なく外で・・・って、普通考えるだろ?」
「「「「ええええ~~~・・・(汗)」」」」
「えええ~~~って、言われても・・・(汗)」
そうなのだ。
同じデザインの獣車が幾つも並んで定着していた。
きっと、さぞ大きな商隊なのだろう。
違うデザインの獣車もあるので、商隊は1つや2つではないだろう。
おそらく、各地へ酒を運ぶための商隊だと思われる。
獣車を引く従魔もなかなかの大きさで、重い荷物を運ぶには並の馬などでは無理だと思われる。
獣車の作りもシッカリしていて、車輪も分厚く重い物を運ぶために造られたと想像が付く。
••✼••マウケサ村門••✼••
門鑑の代わりに冒険者プレートを掲示し、ナディーの従魔達の分だけ通行料金を支払い、マウケサ村の中へ。
••✼••マウケサ村の中••✼••
もう既に気付いてはいたが、そこら中から酒の匂いがプンプンする場所がある。
酒房や酒蔵が多いのだろう。
あまりアルコールに強くないトロにすれば、匂いだけで酔いそうだ。
トロは、足早にアルコールの匂いがしない場所まで急ぐ。
「え? ええ? 何? トロ?!」
「ちょっと酒の匂いが・・・(汗)」
「確かに、お酒の匂いがするわね!
酒蔵やお酒を飲む店や場所が近くにあるのねぇ~」
「ナディーは、よく平気だね?」
「え? だって私、お酒飲んだことあるもん!」
「「「うええええっ?!」」」
「なんだそれ?! マジか!! ってかナディーってお酒飲むの?!」
「ええ飲むわよ! 大人だもん! だから何?」
「大人だもんって・・・(汗)
ああいや、まあ、そう・・・そうだよな!
ナディーはもうとっくに成人してんだから、当たり前だよな・・・(汗)」
「うん そうね! もう私とっくの昔に大人だし!」
「昔にって・・・(汗)」
なんとナディーは、お酒を飲んだ事があるそうな。
大人だと言うナディーだが、トロからすれば、まだまだ子供にしか見えない。
なぜなら日本では、成人は18歳という認識だからだ。
でも少し前までは、成人は20歳とされていた。
トロにしてみれば、20歳過ぎでもまだまだ子供に見えてしまう。
そう思うトロの身体も、今は少女なのだが・・・
確かにナディーは、仲間の中で1番歳上だ。
トロと出会う前にも、酒の飲む機会なんて、まあまあ、あったはずだろうし。
だが、他のメンバー達は、まだ酒の経験は無さげだ。
なんとしても、今はまだ若い仲間達には酒の味を覚えさせてはならないと思った。
とにかく、先に宿で部屋を確保しなければ!
トロ達は、宿屋へ向かった。
••✼••マウケサ宿屋••✼••
「・・・・・・なんですと?!」
「ごめんねえ~!
皆んな呑兵衛ばかりで、やたらと泊まり客が多くてね!
一つも部屋は空いてないんだよ~~~(汗)」
「「「「「━━━・・・(凹)」」」」」
久しぶりに、宿屋で『空室なし』を食らった。
しかもこの村には宿屋は3件あったのだが、この宿はその3件目なのだった。
この村は、美味い酒が飲めるってんで、どうやら酒好きな奴らが、この村に集まって来るようだ。
さて、どうしたものか・・・
そう言えば、村の外にも数多くの獣車を見かけたが、酒を買って村を出る人々(魔族)が多いのはこれが理由か。
「仕方ないな・・・村の外で野営するか」
「「「「ええええ~~~っ?!」」」」
「ええ~~~って! 仕方ないだろう?
宿には空室が無いってんだから~~~(汗)」
「やっぱり、お酒のせいなの?」
「うむ みたいだな・・・(汗)」
「はあ・・・仕方がないわね」
トロも、決して酒は嫌いではないが、げんなりしそうけほどの長い行列に並んでまで飲みたいものなのかと聞かれたら疑問だ。
元々呑兵衛ではないので、記憶を無くすほどに飲むなんて経験がない。
でも、夏の暑い日にビールを1杯ガブ飲みするのは美味いとは思う。
その1杯の後に飲むビールは、ただ苦いだけで美味いとは思えないが。
他の酒類も正直なところ、トロには味が分からない。
日本酒だって、甘いだの辛いだの言われたも、どれもこれも同じ味にしか感じない。
とまあ、トロの場合は、酒に関してはそんな程度だ。
酒好きとは言えないので、酒の知識なんてまあそんな程度だろう。
トロにとって重要なのは、飲むよりも食べる事なのだ。
でも折角この村に来たんだから、一度は酔い潰れるほど飲んでみたい。
そして、また村の外へ向かって歩いていて気付いた!
村の中に建ち並ぶ建物と建物の間から見える『ブドウ畑』。
そのブドウにはトロには覚えがあった。
なぜなら元々この世界には、『ブドウ』という果物が存在したなかった。
つまり、この世界に今現在栽培されているブドウとは、元々はトロが広めたモノだからだ。
もちろん、『ワイン』を作るために広めたモノだ。
ワイン用のブドウとは、粒が小さめでアジが濃厚なのに甘さは砂糖のように甘いのだ。
ワイン用のブドウとは甘くないイメージが持たれ気味だが、実は日本で改良された食用の巨峰などのブドウなどよりも、かなり甘くそして酸味もあるのである。
ワインが甘くないのは、ブドウの糖分が醸造の過程でアルコールに変わるためである。
また酸味は、発酵中の生育を助け細菌から保護されるためなのだと言う。
もとろんトロは、ワインの作り方など知らなかった。
魔道ネットでワインの作り方を調べた結果、ワインにするために最も良いブドウをイメージして『種生成』で作り、この世界に広めたのだ。
それが今ではワインが『最も美味い酒』としてこのマウケサ村で醸造されるようになったのだ。
なにせ、せっかちなトロだ。
ワイン用のブドウも、年に3回収穫できるように設定してあり、また数週間の醸造でワインになるように設定されているので、やたらとワインの広まるのも早かったようだ。
ところが、この世界にもワインに似た酒はあるにはある。
だが、ワイン用の果実は『白野菜』と、白野菜の仲間の、『赤野菜』であり、白も赤もどちらも甘味は強烈だが、白野菜から作られたワインはとにかく甘く、その原因は全ての糖分がアルコールに変わらない内に飲んでしまうようであり『甘い酒』として世に広まったようなのだ。
赤野菜から作られたワインは渋みが多く渋いワインしか作れないのだが、『赤い酒』として世に広まったようだ。
それらは元々はワインではなく『回復魔法薬』だったという。
精製過程でアルコールが精製され含まれるので、何時しか『酒』として販売されるようになったのだが、トロのブドウから作るワインが広まってから、なぜだか甘い酒や赤い酒はあまり売れなくなったそうな。
元々、それほど美味くはない酒のようだった。
だが、トロのブドウから作ったワインは、トロが試飲した時には安っぽい味しかしなかったが、この世界の人達には新鮮でめちゃくちゃ美味しかったようだ。
今では、酒=ワインと言われるほどだとか。
それくらい今ではブドウのワインが大人気のようである。
なので、大陸全土から、このマウケサ村までワインを仕入れに商隊が集まるようになってしまったとのこと。
••✼••マウケサ村の外••✼••
宿で部屋を取れなかったので、仕方なく村の外へ出た。
道路を挟むように、獣車が並んで停められ、まるでこれから耐久レースでも始めるのか?と思うような光景だ。
馬車や獣車に、魔導で動くであろう自動車のような乗り物のキャラバンまである。
そして各々の獣車のメンバー達で火を囲み、何かの肉を焼いて食べては酒を飲む。
そんな奴等の集まりだ。
さて、自分達は何処にテントを張ろうか・・・
そう考えながら、仲間達とトボトボ歩いていた。
だが、ここへ来ている連中はほとんどが野郎ばかり。
しかも魔族がほとんどだ。
中には、人族の行商も居るようだが、見渡す限り多種多様な魔族達ばかりで少し居心地が悪い。
皆んな酒も入って、ワイワイと賑やかだ。
トロは正直、あまり騒がしい場所が苦手だ。
村から離れるほどに、獣車の配置がチラホラとまばらになってくる。
それにしても、バカに数が多い。
この村へ来るときには、これほどまでに増えてはなかったのに。
これではリトキヤ同様に、酒にありつける事は難しいかも知れないな・・・
と、そう思った。
••✼••マウケサ付近の森沿い••✼••
商隊の数も減り、最後尾のキャラバンから数百メートルは離れたかと思える位置に、野営をする事に決めた。
もうこうなったら、酒の事は忘れよう。
正直、残念だけど・・・
なんて事を考えながらテントを張っていたら、聞き覚えのある声に名を呼ばれた。
「おや? トロさんではないですか!」
「はえ?・・・おお~~~っ! モデンナさん!」
「「「「・・・?」」」」
今トロに話し掛けて来た人は、トロを『旅の商人』と初めて呼んだ人で、名前を『モデンナ・ウカリウ』という。
また、魔術師でもあり、見た目は40半ばに見えるが、実年齢は120歳を超えているんだとか。
そして実は、トロの『種生成』で作り出した『調味料各種と胡椒』や、『米や麦などの穀物』や、『肉焼きのタレ』や、『ワイン用ブドウ』を広めた張本人でもある。
今では、トスターの街に大商会を持つ大店となっているとか。
でも、酒好きなために、こうして定期的に『ブドウのワイン』を自分で買い求めに来ているんだそうだ。
また、今の女の子の姿のトロをも知る、ギルド職員以外での数少ない人物でもある。
そしてモデンナさんは、トロのテントを張るのを手伝ってくれた。
なんとも優しい人だ。
「手伝ってくれて、ありがとうございました!」
「いやあ! このくらい、大した事じゃないよ
それより、この村にはまた新しい酒でも売りに来たんですかい?」
「はっ? いやいや、違いますよ!」
「あれ? では、いったいどうして?」
「あはは この村のずっと先の、リクツネフの街へ向かう途中なんですよ!」
「おお、なるほど! 生の魚料理を堪能するためにリクツネフへ行くんですね!」
「まあ、そんなことろですかね!」
「ほいほいほい! なるほどなるほど!」
そんな他愛の無い話しをしていたら、ナディー達の夕食の準備が終わったところだった。
「トロ~~~! 夕食の準備ができたわよ~~~!」
「あ、はぁーい!
モデンナさんも、夕食をご一緒にどうですか?」
「ほおほおほお! それは、有難い!
トロさんの料理は最高ですからな!」
「いやいや・・・(照)」
今夜の料理は、フォレスト・ビッグ・バードの肉に、ジャイアント・ブルの肉に、キャベツに似た『キャベッツ』の千切りと、サニーレタスに似たサニレタだ。
たまには野菜も食べなきゃと思ったからだ。
フォレスト・ビッグ・バードの肉は焼き鳥風に串焼きにし『焼き鳥のタレ』で食べる。
ジャイアント・ブルの肉は『生姜焼きのタレ』で食べる。
また、サニレタに包んで食べても良いかも。
そして、飲み物は『甘口のスパークリングワイン』だ。
もちろん、トロの『種生成』で作ったモノだが、モデンナさんはえらく気に入ったようだった。
そりゃそうだ。
甘口スパークリングワインとは、トロが『種生成』で作る時に、『ジュースのように甘く』と設定していたので、まるでジュース感覚でガブガブ飲める。
「こ、これは、実に美味いですなあっ!!
こんな弾ける酒は初めて飲みましたわい!!」
「そうでしょう! そうでしょう!!
俺のせか・・・故郷でも数はそんなに出回りませんが、なかなか人気のある酒ですよ!」
「ほほお! これは、気に入りましたぞ!
もし宜しければ、私にも少し回してくれませんかな?」
「いいですよ! 大樽(72ℓ入の4斗樽)でしたら、2~3樽なら分けてあげますよ!」
「おおおっ! それは有難い!有難い!!
それで、幾らくらいで?」
「それはもう、言い値でいいですよ」
「ほお・・・ふぅむ・・・そうですなあ・・・
これくらいで、如何でしょう?」
ジャラッ・・・
「!・・・こんなに?!」
モデンナさんから巾着袋を受け取った。
中には、白金貨5枚に、金貨が2枚入っていた。
白金貨は日本円で100万円で、金貨は日本円で1万円である。
なので、520万Tiaとなり、日本円でも520万円となる。
つまり、スパークリングワイン1樽260万Tiaという訳だ。
単純計算でも、スパークリングワイン1Lで、36000円?!
トロは、異空間収納内で、『種生成』から栽培から収穫まで、スパークリングワイン144ℓと、大樽2個と、小さなマジック・ポーチをチョチョイとやって作った。
そして、スパークリングワインを樽に入れて、そしてまたマジック・ポーチに樽を入れておいた。
元々『種生成』で作ったモノだから、元手はタダである。
儲けた!!
「ありがとうございます!!
では、これに・・・」
「これは?」
「マジック・ポーチです!
その中に、スパークリングワインの入った大樽2個を入れています
マジック・ポーチはオマケです」
「おおおっ! これはこれは! ありがとうございます! ありがとうございます!!
しかしトロさんには、何時も盛大なサービスをありがとうございますね!」
「いやいや! モデンナさんほどの大店です!
一介の商人としては、大きなコネが是非とも欲しいですからね!」
「いやいや! それは、コチラのセリフですよ!
わはははははははっ!!」
「あはははははははっ!!」
「「「「・・・」」」」
トロは、日頃から思っていた。
モデンナほどの大店との繋がりがあればと。
モデンナもまた、トロほどの偉大な魔法使いとの繋がりが欲しいと思っていた。
トロは知らなかった。
実は今のトロは、魔王に継ぐ『怒らせてはいけない存在』として、特にイスヤリヤ王国の貴族達からも恐れられている事を。
『謎の旅の商人』と呼ばれたり、冒険者とは別の顔を知られており、『謎の大魔法使い』とも呼ばれたりして、そしてその実体を知るものは居ないと言われている事を。
そんな事は知る由もなく、トロは久しぶりに酒に酔うのだった。
「もお~ねえトロ? お酒はそれくらいにしたら?」
「ふえ? ないいっれんれすかあ~ナディーさん!
これからや、らいれふかあ~~~ひっく!(酔)」
「はっはっはっ! まったく、良い酒ですなあ~~~」
「はあ・・・まったくもお~~~(困)」
「「「・・・・・・(汗)」」」
ついつい飲みすぎてしまったトロ。
でもこんなに美味い酒に酔ったのは、初めてではないだろうか?
日本では、ちょっと飲んでフラッとなる程度で止めていた。
初めて体験するベロベロに酒に酔った心地良さに、トロは完全に酒に呑まれてしまっていた。
そんな時だった!
森の陰から、1体のジャイアント・フォレスト・ベアが飛び出して来た!
この辺りは、魔族の衛兵達に定期的に魔物を狩っていたはずで、魔物が出て来るなんて事は滅多に無いはずだった。
トロもそれを知ってはいた。
だが、滅多に無いはずの魔物の気配に気付いたのだが、酔っているせいて反応が酷く遅れた!
しかしなんと! ジャイアント・フォレスト・ベアは、トロに向かって襲って来たのだ!!
熊とは甘い匂いを好むと聞く。
トロは、仲間内で1番スパークリングワインを飲んでいたせいか、トロからは確かに甘い匂いがしていた。
ジャイアント・フォレスト・ベアがトロに襲いかかるのは必然だった。
『ジャイアント・フォレスト・ベアがトロに爪攻撃!!』
「グワオウッ!!」
ズバッ!!
「ぎゃっ!!」
・・・ドサッ!
『トロは、503ポイントのダメージを受けた!!』
「し、師匠お━━━っ!「トロ━━━っ!!」
「きゃあ!!「わあっ!!」
「「「ご主人様っ!!」」」
「あぐう・・・」
「茨の縛りっ!!」
パシーッ!
「あわわわわわわ・・・(震)」
トロは、まともにジャイアント・フォレスト・ベアの爪攻撃を受けてしまった!
トロは、避けることもバリアを張る暇もなく直接ダメージを受けた!
糸の切れたマリオネットのように地べたに転がるトロ。
その後すぐに、ワイサがジャイアント・フォレスト・ベアを『茨の縛り』で無力化した!
モデンナは、ただただ獣車の陰に隠れて震えていた。
「ご主人様っ!! なんとっ・・・これはいかん!!」
「ナディーさん! ご主人様に回復魔法をっ!!」
「はっ・・・はいっ!!」
ロンデルの指示に慌てて回復魔法をトロに施す!
ロンデルの判断は正解だった。
なぜなら仲間の中で1番回復魔法に長けているのはナディーだからだ。
「トロ! 大丈夫う?!」
「う・・・うう・・・ぐふっ・・・」
「トロ!!」
トロの傷は深かった!
胸をバッサリ切り裂かれ、肺にまで傷が達していたらしく、尋常じゃない量の吐血をした!
トロが瀕死なのは誰の目にも理解できた。
「今、ハイ・ヒールをかけてあげるからね!!
・・・ハイ・ヒール!!」
フゥ~~~ン・・・
「ううっ・・・ぐうう・・・」
流石はナディーだ。
たった1回のハイ・ヒールで、ほぼ全回した!
だがまだ酔いは覚めていないので、フラフラなトロ。
トロは、フラフラながらも立ち上がるとこう言った。
その時、トロの身体はオッサンに戻っていた!
「全員! 退避━━━っ!!」
「「「「?!・・・」」」」
バタバタバタバタバタッ!
「ひやあっ?!」
バタバタバタバタバタッ!
ナディー達は、トロの指示に従い退避する!
モデンナもそんな皆んなを見て慌てて退避した!
これから何が起こるかを、瞬時に察したのだった。
そしてトロは・・・
「痛かったぞゴラァ!
お前なんか、丸焦げにしてやるう━━━っ!!」
「きゃあ!! あの構えはっ!!」
「ヤバい!! ご主人様あっ! どうか落ち着いて!!」
「ダメですな! もうここは逃げましょう!」
「えっ?! なんですの?! なんですのお?!」
「いいからエヴァも逃げるんだよお!!」
「早く逃げろ━━━っ!! モデンナさんも逃げて━━━っ!!」
「ひゃあ?!」
バタバタバタバタバタッ!!
トロは、両腕を高く挙げて、空に向かって空中に魔力の塊を生成!
「お前なんかあ~~~! お前なんかあ~~~!!」
トロの頭上の魔力の塊がどんどん大きくなってゆく!
ブーン⋯ブーン⋯ブーン⋯ブン⋯ブン⋯ブン⋯ブンブンブンブンブンブン・・・
「エネルギー充填120ばーせんとぉ!!」
・・・
「対ショック、対閃光、防御!」
・・・
「最終セイフティーロック解除!!」
・・・
「「「「ひぃえぇえぇえぇえぇ~~~(汗)」」」」
「喰らえ━━━っ! スーパー・インパクトお!!」
シパァ━━━ッ!
トロは、そう叫ぶど当時に両腕をジャイアント・フォレスト・ベアの頭上に目掛けて振り下ろした!!
スドオオオオオオオオオオ~~~ン・・・
「「「「うわあ━━━っ!!」」」」
「「きゃあ━━━っ!!」」
トロの放ったスーパー・インパクトが炸裂した瞬間!
辺りは眩しい光に包まれ真っ白になる!
そして、耳をつんざく爆音と衝撃に、上も下も分からなくなるほどに皆んな吹っ飛んだ!
バラバラバラバラバラ・・・
「「「「・・・・・・(震)」」」」
「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
吹き飛んだ土や小石が降ってくる!
そしてようやく砂煙が晴れると、トロ達が野営していた場所には直径8mもの大きなクレーターが出来ていた。
しかも、モデンナの獣車も完全に吹っ飛んでいた。
獣車を引く従魔は、どうやら逃げることができて無事だったようだ。
「はあ・・・はあ・・・はあ・・・どうだ!
はっはっはっ! 木っ端微塵に跡形も無いぜ!
どーだ! ざまーみろ!! へへーんだ!!」
「「「「「・・・(汗)」」」」」
トロは、ジャイアント・フォレスト・ベアを一撃で倒したのが嬉しかったのか、腰の手を当て胸を張り自慢げに言う。
だが・・・
タッタッタッタッ・・・
「バカあ━━━っ!!」
パカッ!! ポン!
「あだっ! あっだぁあぁあぁあぁ~~~!!
なん! な、な、ナディー?」
ナディーが、トロの頭に拾った木の枝で『叩き攻撃』を食らわす!
その瞬間、トロの身体はまた少女に。
「こ、こらあ! そんな木で叩いたら痛いだろう!!」
「うるさい!! 何考えてんのよバカトロ━━━っ!!」
「は? え?・・・???」
思わずキョトンとするトロ。
一瞬、なぜナディーに叱られたのか理解できないトロ。
「こんな場所でスーパー・インパクトを放つなんて、バカにも程があるわよお━━━っ!!」
「によわ? へ?」
キョロキョロ・・・
慌ててトロは、辺りをキョロキョロと見渡す。
でもトロは、まだ酔っているので状況をあまり把握できない。
「ほら! 見てみなさいよ! この有様あ!!」
「・・・・・・てへっ(照)」
パチィーン!
「きゃん!」
ナディーの平手打ちがトロのお尻に炸裂!!
堪らず女の子のような悲鳴をあげるトロ。
「てへっじゃないわよ! はやく酔いを覚ましなさい!
どうするの?! この始末!!
モデンナさんの獣車まで吹き飛ばしちゃって!」
「あだっ! こ、これは・・・ご、ごめんなさい・・・(汗)」
「謝る相手が違うでしょ!!」
「はっ、はいぃっ!!」
「いやはは・・・これは驚きましたな・・・(汗)」
「!!・・・(焦)」
トロは、モデンナの顔を見てやっと状況を理解し始めたのか、血の気が引いて青ざめる・・・
「もっ・・・申し訳ありませぇん!!
こ、この損害はシッカリと賠償させて頂きますので!!」
「あはは・・・はいはい それはもちろんの事ですが、いやはや本当に驚きましたな!
イスヤリヤ王国の貴族共がトロさんを恐れるのも無理は無いですな!」
「いやあ・・・それほどでも・・・(照)」
「トロ! それ、褒めてないからっ!」
「すっ・・・すぃましぇん・・・(焦)」
「「「「・・・(汗)」」」」
こと後トロは、シッカリとモデンナに損害賠償として、新しい獣車の弁償と、多額の賠償金を支払ったのだった・・・
酒は飲んでの呑まれるな・・・だな(汗)
トロ、やらかしました・・・(汗)




