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第4話 「チート」

 



 ••✼••宿屋の部屋••✼••



 昨夜は、酷い目に遭った。

 結局、ポーションで治しきれなかった他の2人にもヒールをかけてあげたのだが、その後俺はすぐに部屋へ戻るつもりが、お礼をしたいと言われ、他の冒険者達からってたかって強引に酒を飲まされてしまった。

 俺は、けっして酒に弱い訳ではないのだが、この世界の酒は、お世辞にも美味いとは言えない。

 アルコール分もかなり低い。

 酔いたけりゃ、結構な量を飲まなきゃ酔えない。

 もう腹がタプタプなのに、ちょっとフワッとする程度にしか酔わない。


 しかし、嫌々飲まされる酒ほど不味いものはないな。


 だからか、胸焼けが酷く、吐きそうになった。

 俺はただ、ヒールをかけてあげただけなのに、ここまでしてくれなくても良いのに。

 だって、俺にとってヒールなんて、湯水のようにバンバン使っても、直ぐにMPが回復しているし、金を貰うほどの事をしたなんて認識はないのだから。


 俺は、次の日の朝早くに、宿をチェックアウトした。

 その際に、携帯食の干し肉を5日分と、2Lほど入った水袋を4つ買った。

 その他に、旅に出るなら必要だと、宿屋の主人の使い古しの背負いカバンと、小鍋と、木製のスプーンと、コップと、塩を買わされた。


 宿の主は、なかなか、したたかな人だ。


 幸い、先立つ物はある。

 昨夜、ヒールをかけてあげた3人から、20万Tia貰ったし、足りない分として、「テント」と魔物を寄せ付けないという「結界魔石」と、「魔石ランタン」と、そして「毛布」を貰った。


 そしてその野次馬の中には、午前中に世話になった行商人のギルも居て、村を出るなら軽装でも良いから揃えておけと、強引に旅人の服と、軽装鎧を買わされた。

 結局、助けた冒険者達から貰った20万Tiaも、スッカラカンだ。

 まあ、上下スウェットは目立つし、軽装の方が良いか。

 なら、この世界の普通の格好?になるのか良きとした。


「木を隠すなら森の中」


 って訳だな。


 これだけ揃えば、そこそこの旅がで来るだろう。


 このコチマ村から西へ道沿いに3、4日ほど歩けば、『冒険者の街トスター』があるという。

 俺は、コチマ村を出た。





 ••✼••メルセンベルグ王城••✼••



 ここは、メルセンベルグ王城の国王謁見の間。


 4人の学生達は、メルセンベルグ国王の前に居た。



「おおお! 我が呼び掛けに応えし勇者達よ! よくぞ我が王城へ参られた!」


『呼び掛けに応えた覚えはないぞ?』


『しっ! 黙だってろ! 下手な事を言ったら首が飛ぶぞ!』


『チッ!』


「「・・・・・・(汗)」」



 どうやら玉座にふてぶてしく座るオークのような王が、4人を日本からこの世界へ召喚した張本人のようだ。

 既に鑑定スキルが使える勇者は、メルセンベルグ王国を鑑定してみると、確かに魔力は1000を超える化け物だ。

 召喚魔法なら、本当に使えるかも知れない。

 逆に元の世界へ送り返す術は、どうだか解らないが。

 メルセンベルグ王国は魔導軍事国家であり、実力のある者こそ尊いとの解釈で、人族や亜人や獣人よりも魔力の強い魔族を疎む傾向にある。


「人族こそ神に選ばれし至高の種族」


 という思想が最も強い国家だと言える。

 早い話しが、メルセンベルグ王国の王族は世界で最も尊い存在であり、


「魔力の少ない卑しい者達よ!みんな俺達に従えよ!」


 って言いたい訳だ。

 なので、この世界には、大昔に異世界から召喚された勇者が、魔王を討伐したという歴史があり、メルセンベルグもそれに乗っかり、力を示したい訳だ。


 アホだな。


 だいたい魔族は、人族になんか興味などない。

 魔族は魔族で平安に暮らしているのだから、人族こそ邪魔しに来んな!てな感じだ。

 なので、魔族が人族の町村を襲った事など1度も無いし、むしろ襲って来たのは人族の方だった。

 確かに過去に人族と魔族は争っていたが、それはもう大昔の話。

 メルセンベルグ王国が勇者を召喚したのは、他国を制圧するつもりだからであり、「魔王討伐」は、あくまでも体の良い建前だ。

 それを知らない4人の学生達は、メルセンベルグの国王の話を信じてしまう。


 その後も、国王からの延々と長ったらしい話が続き、最後に4人のステータスを確認された。


 1人目の男子は、勇者の称号も持ち、レベルは既にカンストの99!

 2人目の男子は、聖騎士の称号を持ち、レベルは同じくカンストの99!

 3人目の男子は、プリーストの称号を持ち、やはりレベルはカンストの99!

 そして1人の女子は、大魔道士の称号を持ち、やはり同じくしてレベルはカンストの99!


 4人とも、レベルがカンストの99で、後は世界中の仙人と呼ばれる猛者から、それぞれのジョブの技や魔法を習得し、更に世界中の何処かに隠されたユニーク武具を探し出し、魔王を討伐してくれ!

 元の世界へ戻る方法は魔王が知ってるから!て具合の話しだった。

 ってか、魔王を倒してしまったら、元の世界へ帰る方法が聞けないんじゃないの?


 ま、これも異世界名物のテンプレだな。


 王の謁見が終わると、それぞれ100万Tiaを持たされ、早速とばかりに王城から放り出されてしまう。



「なんなの! ねぇ、なんで私達こんな扱いなわけ? 私達は勇者なんでしょ!?」


「知るかよ! 一々俺に聞くな!」


「だって! 感謝の言葉も無いのよ?! いくら王様だからって・・・」


「くそっ! たったの100万Tiaだと? あのケチ玉の助豚野郎!」


「うるさいよお前ら! とにかく、俺達4人の武器とか魔法とかを見付けに旅立たなきゃいけないんだぜ!」


「なんで、そんな面倒な事しなきゃいけないんだ? 俺達もうレベルカンストだぜ? このまま魔王城へ行って魔王を倒せばいーじゃん!」


「でもよお? ゲームだと、魔王を倒すためには、特別な何かが必要なんじゃね?」


「何だその特別な何かって?」


「だから、魔法とかスキルとか、後ユニークとか何とかって、王様が言ってなかったっけ?」


「そんな事言ってたか?」


「おいおい大丈夫かよ? 王様の話しを聞いてなかったのか?」


「俺、オーク語は話せないんだ」


「オークってなあに?」


「豚の頭をした二足歩行の怪物?」


「やだあ! 何それキモー! でも、あの王様オークに似てたぁ!」


「だよなあ?」


「「「あははははは!!」」」


「俺達こんなんで、大丈夫なのかな?・・・・」


「「「・・・・・・」」」



 彼らは、この世界でのレベル99は、決して強い訳では無く、更に強くなるためには、「限界突破スキル」を習得しなければならない事を知らない。

 また、各ジョブの最強魔法や技を教えてくれる仙人と呼ばれる猛者の居場所や、そしてユニーク武具などの隠された場所などは、誰にも解らない。

 勇者達で探せって事だった。

 また、魔王を倒したなら、ユニーク武具は「勇者の武具」として後世に伝えるから渡せ!ときた。

 なんとも胡散臭い話だった。


 事実上の、「完全丸投げ」だ。


 早くも漠然と、「元の世界へ帰れないフラグ」が立った気がした4人だった。




 ••✼••コチマ村西詰••✼••



 その頃トロは・・・・・・



 冒険者の街トスターか。

 なかなか面白そうじゃないか?

 俺は、その街を目指す。

 まだ薄暗い中、冒険者の街トスターへ向かって俺は歩き始めた。


 昨夜は、例の冒険者達に、パーティーに入れと強く誘われたが、断固として断り続けた。

 俺が冒険者パーティーとして活動したなら、きっと他の召喚者達に、俺のヒールの事が耳に入るはず。


 だから宿では、「ケロイド」と名乗った。

 宿の主の腕にケロイドがあったからだ。

 適当な名前が思い付かなかったのだから、仕方がないだろう?

 できる限り、目立ちたくない。

 その為には、自分の回復魔法はもちろん、種生成術も知られちゃいけない。

 バレたらきっと面倒な事になるに決まっている。


 コチマ村では、顔も名前も知られているので、できれば変装もしたい。

 ただ変装するだけではダメだ。

 もし叶うなら、若返りたい!


 そう強く思ったからか、手の中に1粒の豆が生成されていた。



 ポン!

「?!・・・・・・これは?」



 トロは、手の中の豆粒を鑑定してみた。



 ○==========○

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 ⋯━☞若返りの豆☜━⋯

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 1粒食せば肉体年齢1年分若返る。

 最大 肉体年齢5歳まで若返る。

 経験値が1入る。

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 ○==========○



「なんだこれは? 若返りの豆だと?」



 トロは、半信半疑ながら、慌てて近くの林の中に身を隠した。

 そして、地面に埋めてみた。

 すると、1分も経たずあっという間に芽が出て、たわわにプクプクと太った枝豆のサヤが生り、全部で80個の「若返りの豆」ができた!


 トロは早速、35個の枝豆を塩ゆでにして食べた。

 本当に身体が若返ったようだ!

 身体が若返ったせいか、すいすい動ける!

 身がとても軽い!

 これは素晴らしい!


 だが、鏡を持っていないので、顔を確認できないが。



「こんな時、手鏡でもあれば・・・・・・」



 などと考えていたら、また手の中に豆粒が1粒生成されていた。



 ポン!

「は?・・・・・・な、なに?」



 再び、手の中の豆粒を鑑定してみた。



 ○==========○

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 ⋯━☞手鏡の生る豆☜━⋯

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 植えると手鏡が生成される豆。

 食べると経験値1入る。

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 ○==========○



「はあっ?! 嘘だろう!! 手鏡が生る豆って、どんなだよ?!」



 とにかく、植えてみた。

 するとまた、みるみる芽が生えて、たわわにクソバカデカいサヤが8つも生った!

 そのサヤを開いてみると、本当にイメージした手鏡が入っていた!



「バカなっ?! こんな事、有り得ない! 本当に手鏡じゃないか?! ってか、手鏡は一つで十分なのだが・・・・」



 こんな事ができるのなら、他にどんな事ができるのだろうか?

 純粋に知りたい!

 トロは、思い付く限り、様々な種を生成した!


 そして、MPが尽きて、ぶっ倒れた。



「はっ?!・・・俺はいったい、どうしたんだ? 倒れた・・・のか? ステータス・オープン!」

 フォン!


「あ!・・・MP0 HPも少し減っている なるほど、そういう事か(汗)」



 どうやら、MPを使い切ると、代わりにHPを消費するようだ 同時に意識を失い倒れてしまうようだな。

 これは、安全処置なのか、それともただの疲れなのだろうか?

 これも、ラノベなどでよくあるテンプレだな。

 しかし、面白くて楽しくて仕方がない!


 とにかく、全ての種を植えて育ててみた!


 MPが回復してから、それぞれの豆を鑑定してみた。



【初級回復魔法薬︰別名ロー・ポーション(最大HPの35%回復)】×5本。

【初級魔力回復薬︰別名MPポーション(最大MPの35%回復)】×5本。

【状態異常回復魔法を覚える豆】×15個。

【熱耐性スキルを覚える豆】×20個。

【冷耐性スキルを覚える豆】×20個。

【物理耐性スキルを覚える豆】×20個。

【魔法耐性スキルを覚える豆】×20個。

【マジック・バッグ(最大収容量3㎥)】×6個。

【最大HPが増える豆】×80個。

【最大MPが増える豆】×75個。

【ファイヤー・ボールを覚える豆】×10個。

【ウォーター・ボールを覚える豆】×10個。

【エアー・カッターを覚える豆】×10個。

【アース・ニードルを覚える豆】×10個。

【アース・ウォールを覚える豆】×10個。

【短距離転移魔法テレポーテーションを覚える豆】×4個。

【剣術を覚える豆】×10個。

【全ステータス強化魔法を覚える豆】×5個。

【全ステータス弱化魔法を覚える豆】×5個。

【光魔法を覚える豆】×15個。

【浄化魔法】×24個。

【付与魔法を覚える豆】×15個。

【テイム・スキルを覚える豆】×3個。

【索敵スキルを覚える豆】×10個。

【恐怖耐性を覚える豆】×10個。

【麻痺耐性を覚える豆】×10個。

【呪い耐性を覚える豆】×10個。

【魅了耐性を覚える豆】×10個。

【混乱耐性を覚える豆】×10個。

【隷属耐性を覚える豆】×10個。

【石化耐性を覚える豆】×10個。

【即死耐性を覚える豆】×10個。

【幻覚耐性を覚える豆】×10個。

【洗脳耐性を覚える豆】×10個。

【毒耐性を覚える豆】×10個。



「ははは・・・嘘だろう? もう、訳が解らなくなってきたから、全部食ってしまえ!」



 鑑定結果は、俄には信じられないものだった。

 想像した通りの豆ができているのだから。

 取り敢えず、全部塩茹にして食べた。

 そして、ステータスを見てみると・・・



 ■===========■

 ・⋯━☞STATUS☜━⋯・

 ■===========■

 名前 トロ

 性別 男

 年齢 54

 種族 人族

 職業 種生成術師

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 LV 5

 HP 104

 MP 24

 TP 9

 STR 17

 ATK 19

 DEF 13

 DEX 8

 INT 54

 MAT 54

 SPD 9

 LUK 9

 EXP 202

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 習得魔法

【ヒールLv2】【種生成Lv3】【ファイヤー・ボールLv3】【ウォーター・ボールLv3】【エアー・カッターLv3】【アース・ニードルLv3】【アース・ウォールLv3】【テレポーテーションLv2】【全ステータス強化魔法Lv2】×5【全ステータス弱化魔法Lv2】【光魔法Lv4(ライト)(ライト・セイバー)】【状態異常回復魔法Lv3】【浄化魔法Lv4】【付与魔法Lv3】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 習得スキル

【ステータス】【鑑定Lv2】【異空間収納∞】【剣術Lv3】【熱耐性Lv4】【冷耐性Lv4】【物理耐性Lv4】【魔法耐性Lv4】【テイムLv2】【索敵Lv2】【恐怖耐性Lv2】【麻痺耐性Lv2】【呪い耐性Lv2】【魅了耐性Lv2】【混乱耐性Lv2】【隷属耐性Lv2】【石化耐性Lv2】【即死耐性Lv2】【幻覚耐性Lv2】【洗脳耐性Lv2】【毒耐性Lv2】


 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 称号

【召喚巻き込まれ異世界人】【賢者】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 資格

【普通自動車】【原動機付自転車】

 ■===========■



 バカげてる!!

 チートなんて、生易しいものではなかった。



「魔法って、こんなにも簡単に覚え、ステータスも、こんなにも簡単に上げられるものなのか?!」



 ヤバい! ヤバ過ぎだ。

 流石に、「やり過ぎた感」がした。



「あははははは! 笑ってしまうな! なんなんだコレ?! チートにも程があるだろう!!」



 まさに、チートだった。

 下手すりゃ、勇者なんかよりも、俺TUEEEE!なんじゃね?

 いや、それどころか、俺が本物の勇者なんじゃないのか?

 なんて思えてくる。

 称号に、【勇者】が無いのだから、違うのだろう。

 その代わり、【賢者】がある。

 賢者と言われれば、そうなのかも知れない。


 とにかく、面白くて仕方がなかった。


 しかし、試しに作ったマジック・バッグは、必要無かったな。

 俺には、異空間収納があるのだから。

 売るか! 資金源になる。

 それに1つあれば、異空間収納のカモフラージュにもなる。


 だが、恐ろしくもある。


 もし、この鑑定結果が事実なら、【豆生成術】とは、とんでもないチート能力だ!

 正直、ゾッとした。

 こんな物が世に放たれたら、戦争だって有り得る。

 無闇にチートなモノの作り置きは、しない方が良いだろう。

 この能力もバレないようにしなきゃ。

 権力者や支配思想者にでも奪われたり、捕まって薬漬けにでもされたら、それこそこの世界は破滅の一途だ。

 第2、第3の魔王の誕生だな。

 それくらいヤバいモノだ!


 トロは、武者震いするのだった。



調子に乗って、色々試してみたら、とんでもない事になっていた!

トロは、そんなチート能力を誰にも知られずに、生きていけるのか?

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