第39話 「悩むクレオ」
みんな頑張りました!
••✼••チレカ村付近の草原••✼••
チレカ村を出て、1キロほど北東へ向かった。
「ふうむ・・・あれか?」
「そのようですね」
「さて、どうしよっか?」
「ううむ・・・」
遠くに、魔物達の姿がようやく見える距離。
村から出て、まだそんなに経っていないのに、他の冒険者達は後ろの方で、米粒ほど小さくなってしまったが、まだ見える距離。
「マズイな・・・もう、こんな所まで来ているのか
今回は、数が多い! だが、先ずは通常通りでいくが、果たしてそれで抑え切れるかどうか・・・」
「それでも、ここで叩くしかないわよね?」
「うむ・・・」
「俺1人でも10匹はいけますよ!」
「おっ! 頼もしい! 威勢がいいねえ!」
「私は1匹ずつかなあ(汗)」
「僕は、催眠術に集中しますね!」
「俺もロンデル、ロプロプ、ロキシーの強化魔法と、魔物に弱化魔法に集中するよ
それと、できる限り【茨の縛り】で無効化する!」
「わかったわ! 私はいつも通りに、シシー、リリー、レレーのカバーに集中するわ!」
「よし! じゃあ早速、ロキシーにタゲ取りしてもらって、魔物達を村に向かわせないようにするぞ!」
「わかったわ!」
「クレオは、催眠術でパーティーみんなのステータスを上げてやってくれ!」
「はい! 頑張ります!!」
「じゃあ、皆んな用意はいいか?」
「おーけー!」
「いいわよ!」
「任せてよ!」
「はい!」
「よし! OK! なら、やるか!!」
「「「「はいっ!!」」」」
こうして、トロと愉快な仲間たちのスタンピード討伐の始まりである!
トロは、ロンデル、ロプロプ、ロキシーに、【全ステータス強化魔法Lv5】をかけた!
ブォン!ブォン!ブォン!ブォオォン!
「ひゃっはあー! 力がみなぎるぜぇ!!」
「流石に、効きますなあ!!」
「来た来た来た来た来たぁ~~~!!」
続けてクレオが、催眠術を発動!
「むんっ!・・・んんん~~~」
キィ~~~~~~ン・・・
「うおっ・・・なんだか、何でも出来そうな気がする!!」
「ですな! 今なら、メルセンベルグの王都を半日で全滅出来そうですぞ!」
「それはやめて・・・(汗)」
「うんうん! 今なら、エンシェント・ドラゴンの攻撃にだって耐えられそうだよ!」
「それは、凄いなぁ(汗)」
「はあい! 力がどんどん湧いてきます!!」
「私まで、なんだか興奮してきちゃった!」
「ああ~~~うずうずする! 師匠~~~!」
「準備は良さそうなだ?」
「うむ! さあ、【タゲ取り】いきますよお~~~!」
「ああ、頼む!」
ドドドドドドドド・・・!!
魔物達がどんどん近付いて来る!
ロキシーは、【変化】スキルで巨大なゴーレムの姿に変化!
そして、ロキシーの【タゲ取り】の有効範囲内に入ると、ロキシーは【タゲ取り】を発動!!
「よっ!」
ボスン!
「タゲ取り~~~行くぞぉ~~~むんっ!!」
ピシィ━━━ッ!
「「「「「!!・・・」」」」」
魔物達の赤い目が更に赤く光り輝く!
魔物達の視線が一斉にロキシーへ移る!
ロキシーは、身体を丸くして攻撃に備える!
魔物達はロキシーに襲いかかる!
「ぐをぉおわあああああ━━━っ!!」
ズガン! ゴスン! ドゴッ! ガキィン!
「ぬっ!・・・んんっ!・・・」
魔物達の攻撃がロキシーに向いたのを確認したら、トロが魔物達に向かって、【全ステータス弱化魔法Lv5】を発動!
すると魔物達の全てのステータスが5分の1へと低下!
そして続いて、トロとロンデルとロプロプの、【茨に縛り】が発動!!
次々とロキシーに攻撃する魔物達は茨の縛りによって拘束されついく!
それを合図に、トロが叫ぶ!!
「いっけえ━━━━━━っ!!」
「「「うわああああああ━━━っ!!」」」
トロの掛け声と同時に、ロンデル、ロプロプ、ワイサが魔物達に攻撃!!
そして、ナディーの『戦いの歌』により、シシーとリリーが魔物達に攻撃!!
そしてレレーは、ロンデル、ロプロプ、ロキシー、シシー、リリーの回復に集中!
ワイサの一刀両断!!
「一刀両断!・・・ぬぅをぉおおおおおおお!! とおっ!」
ワイサは高く飛び上がり、1番手前のオーガキングに向かって、剣を振り下ろす!
「つえぉおおおおるるるらああああああああ━━━っ!!」
ズバアン!! ドサッ!
「っふう~~~・・・」
「ひぃええええええ~~~! マジで一刀両断かよ?!」
「「?!・・・」」
ワイサの一刀両断により、茨の縛りでオーガキングは、身動きが取れないとはいえ、左肩から右脇腹にかけて袈裟懸けで真っ二つに!
だが、ワイサの【一刀両断】は、まだ覚えたばかりでレベルは1のはず。
ワイサの奴、どれだけバカみたいに強いんだ?!
「あれれ?! 意外と簡単に切れちゃったなあ?」
「「「はあっ?!」」」
「じゃあ次は、流星斬りをいってみよーか?」
「「「・・・(汗)」」」
「ぬをおおおおおおお~~~!」
ブォン!ブォン!ブォブォブォブォブォ・・・!
「ほあちゃああああああああ~~~!!」
ワイサは次は、【流星斬りLv4】をオークキングに向かって放った!!
剣をヘリコプターのプロペラのようにブンブン振り回して、オークキングに攻撃!!
シュパパパパパパパパァン!!
バラバラバラバラバラ・・・ッ!
「っふう~~~・・・!!」
「うっひゃあぁあぁあぁ~~~!! 豚さんバラバラだよ!」
「「~~~!!」」
まさにトロが言ったように、ワイサの放った【流星斬り】によって、丸々と太ったオークキングがダイコンの輪切りのようにバラバラに!
「こええ~~~(汗) 強すぎんだろワイサ・・・(震)」
「「~~~・・・(震)」」
一方ロンデルとロプロプは、元の姿に戻って大暴れ!
ロンデルは、噛み付きと引っ掻き!
ロプロプは、引っ掻きとクチバシ攻撃!
流石のロンデルとロプロプでも、2~3撃で1体を倒していた!
またもう一方のシシーとリリーは、2体で寄って集って切り裂き攻撃!
それでも確実に1体ずつ魔物を倒していった!
「行っけえ! 行けえー! シシー! リリーとレレー!
とっべえ! 飛べえー! シシー! リリーとレレー!
見た目は小っちゃな女の子だけど こんなに強いぞ 頑張るぞ~!
みんな友だち~~~ 仲間だけれど~~~!
誰よりも強く~~~ なりたいぞ~~~!」
ナディーの『戦いの歌』により、シシーとリリーは猛攻撃!
そしてレレーは、シシーとリリーの回復役に集中!
そんな皆んなの頑張りにより、魔物達は次々と倒されていく。
だが魔物達は、50体以上!
ロキシーのタゲ取りでは、3分の2ほどしか効果はなく、残りの十数体が村に向かって走り出したのだ!
「ロキシー! タゲ取りはまだいけるか?!」
「ごめぇん! 今が限界かも?」
「んなっ?! やっばっ!!」
「「ええっ?!」」
「すまん! 皆んな、ちょっとココを堪えててくれ!
村に向かった魔物達を、なんとか静止させてみる!」
「「「はいっ!!」」」
トロは、村に向かった魔物達を追った!
そして、片っ端から【茨の縛り】を放つ!
だが、全ての魔物達を静止させるのは、流石に無理だった!
ドドドドドドドドッ!
「茨の縛り! 茨の縛り! 茨の縛り! 茨の縛り━━━っ!
くっそおおおっ! 間に合わん!! はっ?!」
ふと気が付くと、冒険者達がもうそこまで来ていた!
やばい! あの冒険者達では、この魔物達には対抗できない!
なんとかコチラへ魔物達の敵意を向けなければ!!
もう、こうなったら手段を選んでられない!
「ロプロプぅ━━━っ! 頼む━━━っ!」
「あ、はい! お任せをっ!!」
トロの掛け声を合図に、ロプロプは大きく息を吸って・・・
「すぅうぅうぅうぅ~~~・・・」
そして、【雄叫びLv5】を放った!!
「キィエエエエエエエエエエエエエ~~~ッ!!」
「「「「「!!!・・・」」」」」
ロプロプの雄叫びを聞いた冒険者達は、一瞬で身体が固まった!
『スタンピードが起きると聞こえる恐ろしい悪魔の雄叫び』である。
ロプロプの雄叫びを聞いた魔物達は、くるり!とUターン!
ロプロプに向かって一斉に走り出す!
するとロプロプは、空高く舞い上がり、魔物達目掛けて【ファイヤーナ・パームLv4】を放った!
「ヤバいっ!! 皆んな退避ぃ━━━っ!!」
「「「きゃあああああ~~~!!」」」
バタバタバタバタバタッ!
ナディーとワイサとクレオは、慌てて退避した!
そして、ロプロプのファイヤー・ナパームが炸裂!!
「コワァアアアアアアアア━━━ッ!」
ドオオオオオオオオオオ~~~!!
ズドォオオオオオオオ~~~ン!!!!
「あちゃちゃちゃ!!」
「きゃああ! あっつういっ!」
「あっつ! あっつう!!」
「あぢぢぢぢぢぃっ!! 」
ロプロプの放ったファイヤー・ナパームは、大爆発を起こして、魔物達を真っ黒焦げにして四方八方へ吹き飛ばした!!
トロとナディーとワイサとクレオは、ロプロプからは結構離れてはいたが、ロプロプの放ったファイヤー・ナパームの爆発の熱風で少し火傷をした・・・
だが、その火傷は大した事はない。
それよりもトロ達は、ロプロプのファイヤー・ナパームの威力を、改めて思い知ったのだった。
街を一晩で荒野にできるって言うのは、どうやら本当の事らしい。
「あ”あ”~~~ビックリしたあ!
よおし! そろそろ仕舞いだあ!!」
「「「はあいっ!!」」」
ワイサの一刀両断!
「うぃやあああるるるらぁあああああ~~~!!」
ザバアッ!! ドスーン!
続いて、流星斬り!!
「うわあっちゃあああああああ~~~!!」
ブォブォブォブォブォブォ!! スパパパパパパパパァン!
バタバタバタバタバタッ!
「ワイサは、終わったようだな!」
ナディーの戦いの歌!
「いっけえ! いけえ! シシー♪
きっりぃ~さけぇ~~~リリー♪」
「うをあちゃあ~~~!」
「たあああああ~~~!」
シュバ! ズバッ! チャキィン! ズバズバズバズバッ!
「勝利わぁ~黙然~~~♪ やっつぅ~けぇ~ろぉ~~~♪
貴女の武器は最強よぉ~シシー♪
貴女なら何だってできるわ~リリー♪」
「燃えてきたわぁ~~~!!」
「何だってできるわぁ~~~!!」
ズバドバシュバギャバダバドバズバズバッ!!
「勝利の雄叫びを吠えろ~~~シシーとリリー♪」
「「いええええ~~~い!!」」
「ナディーも、終わったようだな」
「ゴッチも、終わりですぜ! ご主人様!」
「おうっ! ご苦労さん! ロキシー! 平気か?」
「ぜんぜん平気っ!」
「おぅいえす! 頼もしいな!
ロプロプー! 降りてこぉーい!」
「はあ~~~い! ご主人様ぁ~~~!」
バサッ! バサッ! バサバサバサッ!・・・ポン!
ロプロプは、地上に降りると、美少女に変化した!
そしてロンデルとロキシーも、美少女に変化した!
「よおし! みんな、よくやってくれた! 凱旋だぁー!」
「「おおおおお~~~!!」」
「「「「「「うおおおおお~~~!!」」」」」」
「・・・」
トロ達は、小規模スタンピードを見事に制覇した!
それを見ていた冒険者達は唖然・・・(汗)
しかも、『悪魔の雄叫び』の声の主が、ファイヤー・ナパーム・ワイバーンのロプロプだった事も大騒ぎに!
だが、その騒ぎはそれほど長くは続かず、逆に・・・
『あのファイヤー・ナパーム・ワイバーンのロプロプさんなら納得』
と、そんな流れで、いつの間にか『悪魔の雄叫び』の噂も聞かなくなった。
それと、ロプロプが直接、他の冒険者達にアレコレと聞かれる事もなかった。
まあ、怖くて聞けないだろうな。
ロプロプと言えば、『トロと愉快な仲間たち』の、『ファイヤー・ナパーム・ワイバーン』なのだから。
だが、なぜかクレオはあまり嬉しそうに見えなかった。
「クレオ、どうかしたのか?」
「え? あ、いえ、その・・・」
「なんだ? 何か心配事や悩み事でもあるのか?」
「・・・えっと、僕って役に立ってるのかな?」
「はあ? 何を言ってるんだよ!
今日は凄かったじゃないか! クレオも大活躍だったよ!」
「そ、そうでしょうか・・・」
「?!・・・なんだよ? 何か失敗でもしたのか?
そんな風には、見えなかったが・・・」
「いえ、そうではないのですが・・・」
「・・・?」
実はクレオは、今のパーティーの中で1番レベルが低かった。
また、非戦闘職なので、あまり活躍できていないと感じていた。
それを言うなら、トロもナディーも非戦闘職である。
ワイサのように、剣を振り回して敵をぶった斬る!なんて華々しい活躍が見れる訳ではない。
ただ、トロとナディーは、従魔を従えて戦わせる事によって自分も強くなる。
でもクレオは、従魔などは居ない。
『催眠術師』であるため、仲間達や敵に対して催眠をかけて、仲間達の能力を向上させたり、敵の能力を低下させたりする戦闘方法なので、クレオが実際に動いて活躍している風には見えないかも知れない。
そんなクレオだったから、以前のパーティーでは実力を認めてもらえずに解雇されていたのだから。
だから今回もクレオは、『役に立っていない』と言われ、また何時かはパーティーを解雇されるのでは?と心配で不安で仕方がないのだ。
トロも、そんなクレオの気持ちを、何となくだが察していた。
なので、そのうちにクレオの実力を目に見えて解るようにしてあげたいと思っている。
そして、ある日のこと・・・
・⋯━☞夜就寝前☜━⋯・
••✼••チレカ村 宿屋の一室••✼••
「さあ、いよいよ『魔族の国』へ乗り込むぞ!」
「「「おお~~~!」」」」
「魔族の村や街で、本場の魔族達がどんな物を食べているのかを俺は知りたい!」
「「「おお~~~!」」」
「そう言えば、私も魔族ってどんな物を食べているのか知らないわ?」
「やっぱり、生肉かな?」
「おいおいクレオ! 魔族だからって、野蛮な連中じゃないぞ
人族だって、優しい人も居れば、乱暴な奴も居る
善人も居れば、悪人も居るんだから、魔族だって同じだ!
ここチレカ村にだって、人と仲が良く優しい魔族が多いだろう?
人も魔族も見た目だけで判断するのは、それは差別だぞ?」
「うぅむ でも、見た目悪そうな奴からは、必ずと言っていいほど、よく絡まれるんだけどなぁ・・・」
「うん・・・私も、そう(汗)」
「確かに・・・」
「あはは・・・まあ、そんな事もあるかも知れないが、見た目悪そうだからって、最初から敵意丸出しはやめとこうな?」
「「「はい・・・」」」
こんなトロの、なんて事ない話しが、本当だったりする。
「この大陸の東寄りに、造船技術に長けた街『リクツネフの街』があるらしい
海の街とも言えるから、『海の幸』が食えるかも知れないぞ?」
「「「おおお~~~」」」
「聞いた事あるぅ! 生の魚が食べられるって話しよね?」
「ああ、そうだ!
よく知ってるなナディー?」
「ふふん! 宿に居た女の人に聞いたんだけど、生の魚で『刺身』って言うらしいわよ?」
「刺身?! おおお! まさかこの世界でその長名が聞けるとは!」
「「「この世界?」」」
「ああ、いやいや(汗) この大陸でぇ~だな(汗)」
「「「ふぅん・・・」」」
ヤバいヤバい! 今のは発言は軽率だった(汗)
もし俺が別の世界から来ただなんて知られたら・・・
『勇者召喚で召喚された勇者の1人』とバレたりでもしたら大変だ!
この仲間達に最悪知られたとして良しとしても、何処からこの情報が漏れるか分からない。
だがトロは、ナディー達にトロが異世界人だと薄々勘付かれている事を知らない。
トロが異世界人でもなければ、『種生成』なようなチートな能力など持っているはずがないと。
トロは、慌てて話しを戻す。
「ええ~~~とにかく!
俺は、むかし何度か生の魚を食べた事がある(日本で)んだが、特に脂の乗った身は最高だぞ?」
「「「おおお~~~!」」」
「俺もそのサシミという魚を食べてみたいです師匠!」
「あ、いや・・・サシミって名前の魚じゃないんだが・・・
そうだな! だがそのクリツネフの街へ行くには、広大なこの大陸を端から端へ移動する事になる
魔族ならなんとかなるだろうが・・・
この大陸は魔族の国でもあるが、かなりレベルの高い魔物の多い大陸でもある!
俺だって初めての国だ。何が起こるか分からない。
なので、これからは人族が極端に少なるなるので、さっきも話したように魔族達の見た目だけで相手を判断するんじゃないぞ?」
「「「はあい!」」」
「途中、幾つかの村や町などに寄ったり、必ず野営もする事になるだろうから、気を引き締めていこう!」
「「「はい!!」」」
こうしてトロ達は、この大陸の東の海岸地にある『リクツネフ』を目指して進み始めた!
チレカ冒険者ギルドで聞いた話しでは、リクツネフ行きと書かれた看板の道を、ただ道なりに進めば良いとの事。
獣車(馬車)も通る道なので、それなりに広いのだが、当然コンクリートやアスファルトではないし、雨が降ると泥濘むのは間違いない。
こんな道だから獣車の轍が酷くて普通に歩くだけでも足が取られる。
このままでは、何時かは誰かが足を取られて怪我をするかも知れない。
それは自分かも知れない?・・・などと思いながら歩いていたら・・・
ゴキッ!
「あだっ!!」
「「「?!・・・」」」
「あぃたあ~~~! 足をくじいちまったよ~~~(汗)」
「え? 大丈夫なの?」
「この轍がぁ~~~もお!(怒)」
「確かに、この轍は厄介ですよねぇ?」
「まだ、そんなに歩いてもないのに!
んもお~~~あったまにきたあ!!」
「「「ええ?」」」
トロは、【土木整地魔法】と、【錬金術】とで、泥濘んだ道の土をレンガのように固めて敷き詰め、ダンプカーが通っても平気な道路を作りながら進んでやった!
もちろん、面倒だし魔力も精神力もヘトヘトになるし、報酬なんてある訳がないのだが、結構皆んなで楽しめた。
••✼••大きな岩の側••✼••
「おお、ちょうど良い!
今日は、ここで野営をしようか!」
「「「はあい!」」」
「僕、椅子とテーブルを用意しますね!」
「師匠! 何か肉とかありますか?」
「ああ、ビッグ・ボアの肉があるから、それを焼いて食おう」
「はい!」
「私は、食器を用意するわね!」
「ああ、頼む!」
皆んな慣れたもので、テキパキと用意してくれる。
1日目は、少し岩陰になった場所で野営する事になった。
空間魔法を施したテントを設置し、ボア肉を焼いて食べた。
『空間魔法』を施した『マジック・テント』は、広げても外見は畳半分ほどにしかならないが、中に入るとテニスコートの半分ほどの広さになり、ベッドや冷暖房魔導具やシャワー室にトイレまで設置された、とても便利な魔導具だ。
俺は、野営用の道具をマジック・バッグから取り出す事し、この世界で買った肉焼きセット(この世界では『肉焼き』と言う)を設置して、ビッグ・ボアの肉を食べやすい大きさ(サイコロ)に切って焼いていく。
ビッグ・ボアの肉は、猪肉と牛肉をくっ付けたみたいな味と歯ごたえで、それでいてあまり油っこくなくて、なかなか美味い。
この世界では、焼き料理も煮料理も、『塩』だけでなんでも食べるらしく、『焼肉のタレ』たるものは存在しない。
なのでトロが『種生成』で作った『焼肉のタレ』で食べる。
既に日本では、焼肉用に美味さを追求され開発されたタレだ。
この世界でも美味くないはずがない。
「うぉおおおっ! うんまっ! 師匠! 美味いっす!」
「だろう? このタレは、俺の故郷では焼肉・・・肉焼きにはこれだと鉄板なんだ!」
「本当に美味しい!」
「うま! うま!」
「「「「「「ガツガツバリバリ!」」」」」」
ナディー、ワイサ、クレオは、美味しい美味しいと食べてくれる。
それだけでも、嬉しいってもんだ。
ロンデル達従魔達は、焼肉のタレなど付けずに、ただ焼いただけでそのまま食べていた。
やはり、野生の血がそうさせるのか?
ジュースの代わりに、種生成で大量生産した女装役剤を飲んだ。
元々皆んな女の子なので、何も問題ない。
薄い桃味なので、とても美味い!
それに、女装剤と同様に、どんな怪我も病気も完全に治るので言うことなし!
そして寝る前に、テントの周りに念の為に結界を張り、そして魔物を近寄らせない『魔物避けのお香』を炊いて、朝までぐっすり眠れた。
・⋯━☞翌朝☜━⋯・
「お! もう朝か」
「おはよおございますう~~~ししょお~~~」
「おお、おはよ・・・って、あれ? クレオは?」
「おはよ! クレオ? そう言えば居なわねぇ?」
朝目が覚めると、クレオの姿が無かった。
トロは、テントから外に出てみた。
••✼••テントの外••✼••
「えっと・・・あれえ? アイツ、何処へ行ったんだ?」
トロは、キョロキョロと辺りを見て回ったが、クレオの姿は無かった。
段々と、胸騒ぎがしてくる。
もしかしたらクレオの身に何かあったのでは・・・?!
結界は、魔物や悪意ある者以外なら、なんの問題ない出入りできる。
だから、クレオにも自由に出入りできるのだ。
なのでクレオが結界内に居ないのなら、クレオは自ら結界外へ出て行ったとしか考えられない。
トロは、焦った!
「クレオ━━━っ! 何処だあ━━━っ!」
「えっ?! クレオ居ないの?」
「ああ、アイツ居ないんだよ!
どうやら結界の外へ出て行ったらしいんだ!」
「ええー?! あの子1人じゃ絶対に危ないわよ!」
「そうなんだよ もしかしたら寝ぼけて徘徊しているのかも?
そろそろ魔物避けのお香も消える頃だ! 早く見付けないと!」
「!!・・・ワイサ! ワイサー!
クレオが居ないのー! 一緒に探してえ!!」
「なんだって?! クレオが居ない? なんで?!」
「そんなの私にも分かんないわよ! とにかく早く見付けなきゃ、クレオが1人の時に魔物に遭遇しちゃったら大変よ!」
「あ! そう言えば、ロンデルと、ロプロプと、ロキシーも居ないぞ?」
「「ええっ?!」」
「え? え? なんだ?! どういう事だ?!」
そうなのだ。
クレオと他に、ロンデルと、ロプロプと、ロキシーまで姿が見えない。
いったい、何がどうなってるのか理解できず、トロはただただオロオロするしかなかった。
・・・と、その時だった!
「キィエェエェエェエェエェ~~~!!」
「「「あっ!!」」」
「なんで?! ロプロプ!!」
「なになになに?! どういう事?!」
「あ、アッチです!!」
タッタッタッタッ・・・!
「あっ! ワイサ!?」
ワイサは、ロプロプの声のした方向を指差し走って行った!
トロとナディーもワイサに続いて走った!
ロプロプの声のした方向には森があった。
雄叫びを放つという事は、魔物を引き寄せているって事だ。
まさか、クレオの身に何かあり、ロプロプがクレオを助けるために雄叫びを放ったのかと思った。
いったい、クレオに何があったのか?
トロは、生まれて初めて、大切なものを失うかも知れないと言う怖さに震えた。
冒険者パーティー『トロと愉快な仲間たち』は、最強です!
でも、1人だけ劣等感を感じていた者が居た・・・




