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38/56

第38話 「恐ろしい遠吠え」

悪魔の雄叫び・・・

得体の知れない声って、恐ろしい・・・




 ••✼••国境の村チレカ••✼••



 ここは、イスヤリヤ王国と、魔族の国のあるイノセント王国との国境の地にある村チレカ。

 チレカはイノセント王国にあり、大きな橋をかいして行き来する。

 このチレカ村にも温泉があり、トロ達はチレカ村温泉の主人にも、『ポショ村温泉のようにして欲しい』と頼まれ、仕方なく温泉を湯に浸かれる温泉施設へと改造改装。

 そしてトロ達が、チレカ村に滞在して、そろそろ2週間がすぎるかと言う時に、妙な噂が村中に広まっていた。

 その噂とは・・・


『夜な夜な恐ろしい遠吠えがするとき、スタンピードが起きる』


 と、言うものだった。

 スタンピードとは、魔物や動物の集団が興奮して同じ方向へ大移動する現象の事を言うのだが、これからトロ達が活動拠点とする『魔族の国イノセント王国』では、度々スタンピードが起きているらしい。

 スタンピードが起きると、周辺の村や街に甚大な被害が発生するのは間違いないので、魔王の指示のもと魔王軍が定期的にダンジョンの魔物狩りを行っているとの話しはよく聞く。

 だが、スタンピードの起きる周期はだいたい予測がついているらしいので、魔王軍もスタンピードの起こらないようにと、定期的にダンジョンの魔物狩りを行っている。

 にも関わらず、なぜか時期でもないのに小規模のスタンピードらしき現象が起き、沢山の魔物の死骸が発見されたと言うのだ。

 そして小規模のスタンピードが起きたその夜に、遠吠えとも雄叫びともつかない、恐ろしい声がチレカ村にも聞こえてきたと言う。


 またその声ときたら、今まで誰も聞いたことのない声で、女性の悲鳴にも聞こえるし、悪魔の雄叫びにも聞こえると言われ、イスヤリヤ王国でも、イノセント王国でも恐れられているのだそうだ。




 ・⋯━☞朝の9時頃☜━⋯・



 ••✼••チレカ冒険者ギルド••✼••


 ザワザワザワザワ・・・


「今日はヤケに他の冒険者達がざわめいているな・・・」


「なんなのかしら?」


「ですね なんでしょうね?」


「俺、ちょっと聞いてきます!」


「え? あ、ああ・・・頼む」


「はい!」


 タッタッタッタッ・・・



 ワイサが、そう言って他の冒険者達に話しを聞きに行った。

 その間にトロ達は、何か手頃なクエストが無いか掲示板を見ることにした。




 ••✼••掲示板前••✼••



「うぅむ・・・雑用ばかりだな」


「そうね だったら、イノセント王国の中心部へ入っちゃいましょうよ!」


「ううむ・・・それもいいんだが・・・」


「え? え? で、でもイノセント王国って、アース・ドラゴンクラスの魔物がゴロゴロ出るって言いますよ?」


「そうだな ジャイアント・オーガに、ステゴノドンに、オーク・キングも出るらしいな?」


「ええっ?! そんな巨大な魔物達が、わっさわっさ出るの?!」


「そうだよ?「そうよ!」


「ええええ~~~・・・(汗)」


「でも、アース・ドラゴンほどの硬さじゃないさ!」


「そうよ! アース・ドラゴンほどの硬さじゃないわ!」


「・・・ナディーさんも、よく知ってるね?」


「そんなのトロが言うんだから、きっとそうなのよ!」


「って、ええっ?! よく知らないの?」


「当たり前じゃない!

 私、イノセント王国のこの村に来たのは初めてなんだから!」


「「・・・・・・(汗)」」



 どこまでも、トロを信じるナディーだった。

 そんな話しをしていたら、ワイサが戻って来た。



 タッタッタッタッタッタッ!


「師匠! 聞いてきましたあ!」


「おお、ご苦労さん! どうだった?」


「はい この頃、ちょくちょく起きている小規模のスタンピードとは、本来のスタンピードではなくて、何者かが意図的に起こしたものなのかも知れないって事です」


「意図的に起こした?」


「・・・?!」


「はい! なので、本来のスタンピードとは、魔物の数は千を超えるんだそうです。

 でも、今回のように、ちょくちょく起きているスタンピードは、20~30体から多くても50体程度のものらしくて、何時も謎の恐ろしい、遠吠えとか、雄叫び、とかが聞こえたあとに、魔物の死骸が発見されているんだそうです!」

 

「ううむ・・・そうか わかった」


「「・・・・・・(汗)」」



 ワイサのその話しを聞いたトロ達は、居心地の悪さを感じた。

 なぜなら、その謎の恐ろしい遠吠えには心あたりがあるし、小規模のスタンピードにも心あたりがあるからだ。


 実はトロ達は、このチレカ村へ来てからというもの、レベルが一気に上がっている。

 そう。それは、アース・ドラゴン討伐程度のレベルではない。



 


 ■===========■

 ・⋯━☞STATUS☜━⋯・

 ■===========■

 名前 トロ

 性別 女

 年齢 54

 種族 人族

 職業 種生成術師/賢者/テイマー

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 状態

【健康】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 LV 528

 HP 528

 MP 628

 STR 301

 ATK 241

 DEF 129

 DEX 133

 INT 452

 MAT 57

 SPD 68

 LUK 114

 EXP 9141722

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 習得魔法

【ヒールLv7】【ハイ・ヒールLv4】【種生成Lv8】【ファイヤー・ボールLv6】【ウォーター・ボールLv5】【エアー・カッターLv4】【アース・ニードルLv4】【アース・ウォールLv4】【テレポーテーションLv6】【全ステータス強化魔法Lv5】【全ステータス弱化魔法Lv6】【光魔法Lv5(ライト)(ライト・セイバー)】【状態異常回復魔法Lv5】【浄化魔法Lv7】【付与魔法Lv7】【変身Lv8】【誘導ファイヤー・ボールLv6】【超冷却Lv4】【スーパー・インパクトLv4】【パーフェクト・バリアLv5】【いただきます】【奴隷解除魔法Lv4】【掘削&整地魔法Lv4】【運搬魔法Lv4】【彫刻魔法Lv4】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 習得スキル

【ステータス】【鑑定Lv6】【異空間収納∞】【剣術Lv6】

【熱耐性Lv6】【冷耐性Lv5】【物理耐性Lv5】【魔法耐性Lv5】

【テイムLv5】【索敵Lv7】【恐怖耐性Lv6】【麻痺耐性Lv5】

【呪い耐性Lv5】【魅了耐性Lv6】【混乱耐性Lv5】

【隷属耐性Lv5】【石化耐性Lv5】【即死耐性Lv6】

【幻覚耐性Lv5】【洗脳耐性Lv5】【毒耐性Lv6】

【獲物自動解体Lv7】【限界突破Lv5】【茨の縛りLv3】

【御用だ!Lv4】【鋼の鎖の楔縛りLv5】【不意打ち回避Lv5】

【防音結界Lv5】【隠匿Lv5】【隠密Lv5】【錬金術Lv6】

【魔導インターネットLv5】【索敵Lv6】【眠りLv4】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 称号

【召喚巻き込まれ異世界人】【賢者】【ロンデルの主人】

【色女】【ワイサの師匠】【賢者テイマー】

【パーティー名『トロと愉快な仲間達!』リーダー】

【ドラゴン・スレイヤー】【魔法土木工事作業主任者】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 資格

【普通自動車】【原動機付自転車】【サファイア級冒険者】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 従魔

 ●ロンデル 

【ワイルド・フォレスト・キャット】

 ●ロプロプ

【ファイヤー・ナパーム・ワイバーン】

 ●ロキシー

【エルダー・ロック・ゴーレム】

 ■===========■





 ■===========■

 ・⋯━☞STATUS☜━⋯・

 ■===========■

 名前 ワイサ

 性別 女

 年齢 16

 種族 人族

 職業 剣士

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 状態

【健康】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 LV 478

 HP 578

 MP 146

 SP 292

 STR 799

 ATK 431

 DEF 773

 INT 48

 SPD 773

 LUK 65

 EXP 7272004

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 テクニカル・スキル・ポイント

 TSP 28

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 SP 452

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 習得魔法

【プチ・ヒールLv6】【ハイ・ヒールLv2】【トーチLv3】【クリーンLv3】【パーフェクト・バリアLv4】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 習得スキル

【1文字斬りLv8】【スラッシュLv8】【心頭滅却Lv6】

【気合いLv6】【流星斬りLv4】【限界突破Lv4】【恐怖耐性Lv4】

【獲物自動解体Lv4】【索敵Lv4】【警戒Lv3】【1馬力Lv4】

【威圧Lv4】【威嚇Lv4】【魅了Lv3】【変身Lv4】

【魅了耐性Lv1】【一刀両断Lv1】【鑑定Lv4】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 称号

【豪剣士】【ドラゴン・スレイヤー】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 資格

 【サファイア級冒険者】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 ■===========■






 ■===========■

 ・⋯━☞STATUS☜━⋯・

 ■===========■

 名前 ナディー

 性別 女

 年齢 17

 種族 人族

 職業 シンニング・テイマー

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 状態

【健康】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 LV 398

 HP 498

 MP 80

 SP 108

 STR 72

 ATK 59

 DEF 32

 DEX 59

 INT 108

 MAT 39

 SPD 59

 LUK 330

 EXP 4772006

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 習得魔法

 【電撃魔法Lv4】【ヒールLv4】【ハイ・ヒールLv4】

 【ピュリフィケーションLv4】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 習得スキル

【テイムLv4】【従魔の治癒Lv4】【従魔の増強Lv4】

【従魔の防御Lv4】【従魔の加速Lv4】【従魔の復活Lv3】

【限界突破Lv4】【眠りLv4】【索敵Lv5】【変身Lv5】

【鑑定Lv5】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 称号

【ビースト・テイマー】【シンニング・テイマー】【パーティー名『トロと愉快な仲間達!』の副リーダー】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 資格

【アクアマリン級冒険者】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 従魔

 ●シシー

 【クノイチ・アサシン】

 ●リリー

 【クノイチ・アサシン】

 ■===========■





 ■===========■

 ・⋯━☞STATUS☜━⋯・

 ■===========■

 名前 クレオ

 性別 男

 年齢 15

 種族 人族

 職業 催眠術師

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 状態

【健康】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 LV 388

 HP 488

 MP 3521

 STR 21

 ATK 32

 DEF 32

 DEX 59

 INT 194

 MAT 39

 SPD 59

 LUK 98

 EXP 4500730

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 習得魔法

 【電撃魔法Lv4】【ヒールLv4】【ハイ・ヒールLv4】

 【ピュリフィケーションLv4】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 習得スキル

【闘志向上催眠Lv5】【倦怠感催眠Lv5】【混乱催眠Lv4】

【恐怖払拭催眠Lv4】【狂戦士催眠Lv5】【限界突破Lv4】

【隠密Lv4】【眠りLv4】【索敵Lv4】【変身Lv5】【鑑定Lv4】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 称号

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 資格

【アクアマリン級冒険者】

 ■===========■




 いつの間にか、トロとワイサは、【サファイア級冒険者】になっていた。

 このように、一気にレベルが上がったのは、一気に多くの数の強力な魔物を盗伐したからであり、実はトロ達が『謎の恐ろしい遠吠え』の発信源なのだ。


 何を隠そう、『謎の恐ろしい遠吠え』を発しているのは、ロプロプなのである!


 ロプロプが雄叫びを発すると、その声を聞いた魔物が押し寄せてくるのだ!

 つまりは、ロキシーの【タゲ取り】同様の効果があると言える。

 また、その雄叫びと言うのが、噂に違わず、遠くから聞くと『女性の悲鳴』にも聞こえるし、『悪魔の雄叫び』にも聞こえると言う。

 爆心地に居るトロ達には、ロプロプの雄叫びなんてそんな風には聞こえないが、遠くから聞くロプロプの雄叫びは、まさに『女性の悲鳴』にも、『悪魔の雄叫び』にも聞こえるのだった。

 何も知らない者達にとって、得体の知れないその声への恐怖心と言ったら計り知れない!


 そして、今夜も・・・




 ••✼••イノセント王国••✼••


 ••✼••チレカ領北詰••✼••



「では、ロプロプ頼む!」


「了解ですぞ!・・・すぅ~~~~~~・・・」


「「「・・・・・・・・・」」」



 そう言うと、トロ達は全員耳を塞ぐ。

 そして・・・



「キィエェエェエェエェエェエェ~~~!!!!」


「「「!!・・・・・・(汗)」」」



 ロプロプの放つ叫び声は、怪鳥の叫びそのもの。

 だがこの声は、遠くから聞くと、女性の悲鳴にも、悪魔の雄叫びにも聞こえてしまうようである。


 そして、しばらく経つと・・・



 ドドドドドドドドドドドド・・・


「来たな!」


「来た! 来た来た来た来た来たあ!!」


「ワイサあ━━━っ!!」


「はあい!! ・・・キッ!!」


 ピシィ━━━━━━ッ!!



 今度はワイサの威圧!!


 トロの声を合図に、ナディーとクレオは意識を保つために、気合を入れる!

 これにより、ナディーとクレオは、ワイサの威圧の巻き添えを回避。

 ロプロプの叫び声により押し寄せて来た魔物達を、ワイサの威圧で戦意を損失させ、ある魔物は固まり、ある魔物は意識を失い倒れ、またある魔物は逃げ去ってしまった。


 今回残った魔物は8体。


 この頃は、残る魔物の数が減ってきたのは、仕方ない事だと思う。

 なぜなら、スタンピードなど起きていないのだから。

 普通に湧く魔物達を呼び寄せているだけで、こう続けて何度も狩り続けていたら、それは魔物の数も減ってくるのは必然である。



「片付いたな・・・」


「そうね!」


「他は逃げちゃいましたよ」


「ふう・・・仕方ないですね」


「そうか・・・うむ では、魔石と良さげな素材だけを取って帰るとするか」


「「「はい!」」」



 こうして今回も、トロ達のなんとも奇抜な狩は終わった。




 ••✼••チレカ宿屋••✼••



「お帰りなさい」


「「「「ただいま~~~」」」」


「そうそう! 今夜も聞こえましたよ! 例の雄叫び!」


「「「「あはは・・・(汗)」」」」


「なんとも恐ろしい声です・・・ああ、嫌だ・・・

 いったい、なんなんでしょうね? あの不気味な声は・・・」


「「「・・・(汗)」」」


「そう・・・ですね はは・・・(汗)」



 夜勤の受付嬢も、その謎の声に心底怯えている様子だった。

 そんな受付嬢の言葉とは裏腹に、適当に返事をして無関係を装うトロ達。

 だが、とうとうバレてしまう事になるとは、トロ達は思いもしなかった。



 ・⋯━☞数日後☜━⋯・


 ••✼••チレカ冒険者ギルド••✼••



 ワイワイガヤガヤ・・・


「なんだか何時もよりも騒がしいな?」


「俺、ちょっと聞いてきます!」


「ん? ああ、頼む!」


 タッタッタッタッ・・・



 そう言って、ワイサがギルドの受付に、何があったのか聞きに行った。

 何かあれば、すぐ動いてくれるワイサには感謝だな。

 やっぱり、今までソロでやって来たからか、即動く行動力がある。

 

 片方トロ達は、他の冒険者達の話しに耳を傾けてみた。



《昨夜もまた、あの声が聞こえたってよ!》


「「「!!・・・(汗)」」」


《ああ、俺も聞いたよ! やっべぇよ! あの声・・・(震)》


「「「!?・・・(汗)」」」



 魔族の冒険者達でさえ、『あの声』にビビって震えていた。

 それほどまでにか・・・?!


『その声の主は、トロの後ろに立つ、美女(ロプロプ)なんですが・・・』


 なんて、とても言えない・・・(汗)

 言える雰囲気ではない。

 ここまで大事になるとは予想もしなかった・・・(焦)

 トロ達は、居心地の悪さに、思わずギルドから出ようかとも考えていた時だった!


 突然、受付嬢がこう叫んだ!



「みなさん! 緊急クエストです!!」


 ザワッ!!・・・


 

 受付嬢の声に、瞬時にギルド内が静まる!



「村の北東にあるチレカ・ダンジョンにて、小規模のスタンピードが発生しました!!」


 ザワザワッ!・・・


「スタンピードの原因はまだ解っていません!

 報告によりますと、オパール級からアクアマリン級の魔物が、この村チレカに向かって来ているとの事です!!」


「はあっ!! アクアマリン級だってぇ?!」


「冗談じゃねぇぞっ!! そんなのパーティーで1体倒すだけでも、やっとのレベルじゃねえか!」


「そ、それで数は?」


「はい! おおよその数は、50~60体とのこと!」


「「「ええええっ?!」」」


「無茶だよ!!」


「魔王様は、何してんだ?!」


「バカだな! 魔王様の管轄は、魔王城周辺の4箇所のダンジョンだけじゃねえか?」


「そうだ! 魔王城周辺の北と東と南と西のダンジョンだけだろ?

 もし、そのダンジョンのスタンピードなら、50~60体どころじゃねえ!!」


「確かに・・・」


「「「・・・・・・」」」



 冒険者達のそんな声が聞こえてくる。

 そう。 魔王の管轄である、魔王城周辺の北と東と南と西の4箇所のダンジョンでは、放置すれば季節ごとにスタンピードが起こると言われていて、北のダンジョンは2年周期に春に1回、東のダンジョンは2年周期に夏に1回、南のダンジョンは2年周期に秋に1回、西のダンジョンは2年周期に冬に1回起こるらしい。

 なのでほぼ2年周期の季節ごとにスタンピードが起こるのだそうだ。

 そこで魔王は、魔族の精鋭達を集めて、スタンピードが起こらないようにと、定期的にダンジョンの魔物の討伐を行って魔物の数を減らしているのだそうだ。

 なので、魔王の管理する管轄である4つのダンジョン以外は、各領内に存在するダンジョンの管理は各領主の管理下となり、スタンピードもその領の冒険者ギルドが領主の命を受けて、対応する事になっているそうだ。

 なので今回のチレカ・ダンジョンの小規模のスタンピードも例外なく、チレカ男爵の命により、チレカ冒険者ギルドが対応する事となったそうだ。

 

 トロ達が、冒険者達の話しに耳を傾けていると、ワイサがトロのもとへ戻って来た。



 タッタッタッタッタッタッ!


「師匠! 聞きましたか?」


「ああ、聞いたよ 小規模のスタンピードだってな?」


「はい! そうなんです

 でも師匠! この程度のスタンピードなら、いつも通りより少し多いってたげの事じゃないですか?」


「え? あ、ああ・・・まあ、そうだな(汗)」



 そうワイサが言っていたが、この時トロは、ワイサが何を言いたいのか察した。



「なあワイサ?」


「あ、はい! なんですか?」


「まさかとは思うが、自分達でこのスタンピードを片付けようなんて思ってないよな?」


「ええ? 師匠、やらないんですか?」


「お、おい、待て待て! やっぱり、やる気だったのかよ(汗)」


「・・・へ?」


「あのなワイサ? ただでさえロプロプの声が『悪魔の雄叫び』なんて言われて恐れられていて、俺達は動きづらくなっているから夜に行動しているのに、わざわざ俺達の動き辛いこの状況が悪化させるような事をしなくても・・・」


「じゃあ、ロキシーさんの【タゲ取り】でも、いいんじゃないですか?」


「いや、ロキシーの【タゲ取り】はダンジョン内ならまだしも、広い地上では有効範囲が狭すぎる

 今回は何時もよりも多く、魔物は50~60体らしい

 ロキシーのタゲ取りで間に合わなければ、ロプロプの雄叫びを使わざるを得ない

 そうなったら、きっと・・・」


「ううむ・・・・・・」


「「・・・・・・(汗)」」



 正直、トロも迷っていた。

 いざとなれば、ロプロプの雄叫びは使わざるを得ない。

 ただ、もし『悪魔の雄叫び』の声の主がロプロプだと知られたら、トロ達が他の冒険者達にどう思われるか?

 村の人達には、恐れられるのではないか?

 また、冒険者ギルドでも、どんな対応をされるか不安で仕方がない。

 騒ぎを起こした冒険者パーティーとして、処罰されるかも?

 それでも、冒険者達や村の人達の命には変えられない。

 トロにとって、究極の選択を迫られていたのだった。


 いつの間にか組まれていた冒険者達の簡易的なスタンピード討伐チーム。

 だが、トロ達のパーティー『トロと愉快な仲間たち』は、いつの間にか勝手に特殊パーティーとして名を挙げられていた。




 ••✼••ギルド受付••✼••



「なんだってえ?!」


「どうか、お願いします!

 トロさん達のパーティー『トロと愉快な仲間たち』は、できれば率先して先頭に立って討伐に参加して欲しいのです!」


「んんんんんんああああああ~~~もおおおおおおっ!!

 こうなったら、仕方がない!!」


「「「えっ?!」」」


 ザワワッ!・・・


「ワイサ! ナディー! クレオ! 

 ロンデル! ロプロプ! ロキシー!

 シシー! リリー! レレー! 

 サファイア級冒険者パーティートロと愉快な仲間たち

 行動開始だ! 行くぞっ!!」


「「「!!・・・はいっ!!」」」


 ザワザワザワザワ・・・



 トロは、迷いを振り払い、小規模スタンピード攻略のため、この村の人々や、他の冒険者達を守るために、立ち上がったのだった!




 ••✼••チレカ村付近の草原••✼••



 チレカ村を出て、1キロほど北東へ向かった。



「ふうむ・・・あれか?」


「そのようですね」


「さて、どうしよっか?」


「ううむ・・・」



 遠くに、魔物達の姿がようやく見える距離。

 村から出て、まだそんなに経っていないのに。

 他の冒険者達は後ろの方で、米粒ほど小さくなってしまったが、まだ見える距離。



「マズイな・・・もう、こんな所まで来ているのか

 今回は、数が多い! だが、先ずはロキシーのタゲ取りで通常通りでいくが、果たしてそれで抑え切れるかどうか・・・」


「それでも、ここで叩くしかないわよね?」


「うむ・・・」


「俺1人でも10匹はいけますよ!」


「おっ! 頼もしい! 威勢がいいねえ!」


「私は1匹ずつかなあ(汗)」


「僕は、催眠術に集中しますね!」


「俺もロンデル、ロプロプ、ロキシーの強化魔法と、魔物に弱化魔法に集中するよ

 それと、できる限り【茨の縛り】で無効化する!」


「わかったわ! 私はいつも通りに、シシー、リリー、レレーのカバーに集中するわ!」


「よし! じゃあ早速、ロキシーにタゲ取りしてもらって、魔物達を村な向かわせないようにするぞ!」


「おーけー!」


「いいわよ!」


「任せてよ!」


「よし!  OK! なら、やるか!!」


「「「はいっ!!」」」



 こうして、トロと愉快な仲間たちのスタンピード討伐の始まりである!



子供の頃、近所の田んぼから聞こえるカエルの合唱が怖かった・・・

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