第35話 「温泉でリフレッシュ!」
••✼••ポショ宿トロの部屋••✼••
トロ達は宿へ戻り、昼前までドカンと眠った
・⋯━☞翌日の昼前☜━⋯・
「ふ・・・んん・・・」
「目が覚めましたか?」
「ああ、ロンデル・・・昨夜は、ありがとうな」
「いえいえ、どういたしまして」
「ふふ・・・(照)」
「・・・?」
『やっべぇ!! ロンデルが何時もより顔が濃く見える!
すんげぇ美人で、しかも! すんげぇ優しい!
思わず、その胸に顔を埋めたくなる!
もちろん、本気で俺を心配してくれているからだろうけど、今までこれほどロンデルに恋愛感情を抱いた事など無かったのに・・・!』
トロは、なぜか自分からベッドの上に女の子座りで座るロンデルの背中に自分の背中を合わせるように座った。
ロンデルから、すんごく良い香りがする。
いつも以上にロンデルを意識している自分が居る。
『ってか、従魔に対して、なんて感情を抱いてんだ?!』
すると、不意にロンデルが振り向いた!
ロンデルの顔がやけに近い!
「なんですか?」
「ぴゃあ!! な、なん、なんれもないらぉ!!」
「・・・ふぅん?」
トロは、思わずロンデルから顔を背けた。
従魔のロンデルに対して、抱きたいとか、抱かれたいとか、守ってもらいたいとか、もう自分でも理解できない想いがボコボコ湧き出て頭の中がぐちゃぐちゃだった。
日本で暮らしていた時、恋をした女性に対してでも、これほどまで愛おしく感じた事など無かった。
トロを助け出したロンデルは、今のトロにとって『白馬の王子様』なのか?
それとも何かが違う気がする。
でもトロは、ロンデルを愛しているのは間違いなかった。
ただ、従魔としてなのか、頼りになる仲間としてなのか、1人の女性としてなのかは解らないが。
わちゃあ! めちゃくちゃ恥ずかしい!
ロンデルの顔をまともに見れない!
トロは、胸を抑えながら深く大きく深呼吸を何度もした。
どうにもこうにも心臓がバクバクして、耳の中にまで心臓があるかのようで脈打つ音が煩くて仕方がない。
「すぅ~はぁ~すぅ~はぁ~~~(照)」
「んんん? ご主人様?」
「へあはっ!? なんでもない! なんでもないからっ!!」
「はぁ、そうですか・・・???」
『なんなんだこの感情わぁ━━━?!
治まれ~~~治まれ~~~治まれ~~~!!
うっわ! マジやっべ! 恥ずかしくて堪んねぇ!
うっわあ! うっわあ~~~! やべぇ━━━!!
くっ殺せぇっ! 殺してくれぇ━━━!!
この感情は、絶対にロンデルに知られたくな━━━い!』
結局この日は夜まで、トロはベッドから出る事はなかった。
そして、日もとっぷり落ちた頃・・・
コンコン!
「宿の者ですー! そろそろ食事を食べちゃってくださいなー!」
「あっ! すみません! 今すぐに行きます!!」
「おおっ!「うむ!「やったあ!」
「さあ! 食うぞぉー!!」
「ご主人様、元気が出みたいですね!」
「うむ! そのようですな!」
「はやく! はやくご主人様あー!」
「わかったわかった! そんなに強く引っ張るなよロンデル(汗)」
トロがそう返事をすると、ロンデル達はトロに遠慮してずっと我慢していたようで、顔がパァ!と明るくなった。
これは、申し訳ない事をした・・・
「さあ、飯食いに行くか!」
「「「「はいっ!!」」」」
こうしてトロ達は、夜の食事に食堂へ向かった。
••✼••宿の食堂••✼••
「おっ!」
「あら、トロ! もう、大丈夫なの?」
「ああ、心配かけてすまなかったな」
「うぅん! 気にしないで!」
食堂へやって来ると、客はナディー達だけになっていた。
この宿屋には、時計などという気の利いた物は無いので正確な時刻は分からないが、おそらく夜の9時はとっくに過ぎているだろう。
もういい加減に食事を済ませてしまわないと、宿屋の人達に迷惑をかけてしまう。
宿屋はこんなに静かなのに、隣の酒場からは、野郎達のワイワイと騒ぐ声が聞こえてくる。
毎晩飽きもせずによくやるなと思いながら、トロ達は黙々と食事をする。
食べ終わると、自分で食器を持ってカウンターへ。
「美味しかったよ~マスター!」
「おう! 次からはもう少しは早く食べてくれな?」
「とぅいまてん・・・(汗)」
「あはは・・・(汗)」
「・・・・・・」
そう宿屋の主人は言うが、怒ってはなさそうだ。
まあ、あんな事件があった後だからな・・・
トロを気の毒に思い気を使ってくれていて、あまり強くも言えないのだろう。
まったく皆には、感謝感謝だよ。
飯食ったら、風呂に入りたくなった。
温泉旅行などに行ったなら、先に風呂に入ってから、夕食をゆっくり食べるのが良いような気がするが。
でも、この世界では、風呂と言えば『サウナ』が一般的らしい。
なので、ゆっくり浸かれる湯船のような物が無い。
サウナの後の水桶や、お湯の桶などはあるが。
でも、この村には、温泉がある。
イノセント王国へ向かう者達は、みんなこの村で温泉で身を清めてから移動するんだとか。
魔族達は風呂に入る習慣が無く、魔法で身体を清めるのが一般的なんだそうだ。
なのでイノセント王国には、風呂が無いのだ。
でも、日本人としては温泉は身体を清めるだけでなく、健康維持のためだとか、女性なら美容効果が目的だったりで、ゆっくり湯に浸かったする。
やっぱり湯に浸かると疲れが取れる気がする。
そう言えば、日本で暮らしている時だって、温泉になんて入る機会など無かった。
アホな家族はトロだけを残して温泉旅行へ~~~などと堪能していたが、トロはいつも1人家で留守番だった。
社会人になってからも社畜生活だったために、温泉の『お』の字も無い。
退職してから自由を手に入れても、温泉なんて行く事など無かったし、1人で行く気にもならなかった。
だが今は違う。
ここムトランティアでは、トロは本当の自由を手に入れた。
なので、温泉に入りたくて堪らなかった。
ただ残念な事に、このムトランティアという世界では、『湯に浸かる』という文化は無く、ちゃんとした湯船が無いのだ。
でもなぜか、『サウナ』だけはある。
サウナから出たときに身体を冷やすための水風呂(水桶)はあるのだが・・・
日本人としては、せっかく温泉があるのに湯に浸かれないなんて物足りなくて仕方がない。
無いのだったら、造ればいい!!
ってな訳で、トロは温泉を経営している主人に懇願し、温泉施設に大きな湯船を造る事になった。
もちろん、自分が温泉を楽しみたいという気持ちも大きいが、この世界の人々にも湯に浸かる温泉の良さを知ってもらい、冒険での疲れを癒し元気を出してほしいってのもあった。
仲間や温泉施設スタッフ達にも手伝ってもらって、たったの2日で完成!!
工事に関しては素人集団だったとは言え、魔法で土木工事が出来るのだから、それはそれは楽チンだった。
その時トロは、魔法で作業をするために、『掘削&整地を覚える豆』と、『運搬魔法を覚える豆』と、『彫刻を覚える豆』を生成し調理し食べて、【掘削&整地魔法Lv4】【運搬魔法Lv4】【彫刻魔法Lv4】を覚えた。
掘削&整地魔法はその名の通り、掘削と整地を簡単にイメージ通りにできる魔法であり、運搬魔法は重い物を宙に浮かせて運ぶ魔法であり、彫刻魔法はその名の通り彫刻がイメージ通りにできる魔法である。
特に彫刻魔法では、頭にイメージした通りだけではなく、イデアに干渉して様々なレリーフをも掘る事ができ、温泉施設内をエジプト古代文明やメキシコ古代文明などのレリーフや、古代ギリシャ彫刻などのご立派な彫刻やレリーフも思いのまま!
お約束として雰囲気作りに湯船の縁には、上半身がライオンで下半身が魚の口から湯を吐き出すマーライオン、掲げた水瓶から水を出す水を汲む女神像、人魚姫像、オマケには小便小僧まで設置。
床は大理石のように完璧に磨き上げ、壁は様々な文明のレリーフ、所々に古代ギリシア彫刻が立ち並び、それはそれは大型高級温泉施設のようになってしまったが、ツッコミは不要、まあ何も言わないでくれ。
確かに、やり過ぎたかとは思う・・・(汗)
でも、みんな喜んでくれているので、良しとしよう。
最初はみんな温泉に浸かるという文化が無かったせいか、みんな怪訝な表情で湯に浸かるトロ達を見ているだけだったが、1人入ってとても気持ちが良いと言うと、我も我もと次々と湯に浸かる人が増えて、1週間後には湯に浸かる温泉スタイルが大流行となって、温泉の経営者もウハウハとなった!
お礼としてトロ達は、何時でもタダで温泉に入れるようになっていた。
そして後で気付いたら、称号に【魔法土木工事作業主任者】が追加されていた。
その内に、宿屋にも『シャワー室』くらいは作ってやろうかとも考えている。
どうせ作るなら、自分で経営して金儲けなんて言われそうだが、トロは経営や金儲けにはあまり興味が無い。
トロが冒険するだけで、勝手に金がボッコボッコ入るのだから。
そして・・・
••✼••ポショ温泉にて••✼••
トロとクレオとワイサ、そしてロンデル達は、新しくできた温泉の『男湯』の湯船に浸かっていた。
温泉の主人が、貸切にしてくれたのだ。
男湯だったが、みんな女の子の姿だった。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
・⋯━☞10分ほど前☜━⋯・
••✼••温泉男湯脱衣場••✼••
「何してんだクレオ?」
「早く服を脱ぎなよ!」
「へえっ?!・・・で、でも・・・(恥)」
クレオは、つい最近まで男の子だってので、トロとワイサが真っ裸になって目の前に居るのが恥ずかしくて背を向けてモジモジしていた。
「何だクレオ、お前もしかして恥ずかしいのか?」
「ふぅん?」
「んなっ?! そ、そりゃあ、恥ずかしいに決まってるじゃないですかあ!!
ぼ、ぼぅ、ぼく、僕は男なんですよ!!
何でトロさんは男に変身してくれないんですかあ!!」
「無茶言うなよ? 男な変身したって、集中力が切れればすぐに女に戻ってしまうんだから。
ってか、今のクレオだって女の子じゃんか!
それに、ワイサが女湯に行きたくないってんだから、俺もワイサに付き合ってやらなきゃ、しょーがないだろ?」
「そんな事言われても意味わかりませんってばあ!」
「ああもお、わかった! じゃあ、もう出ようぜ?」
「え”っ?! なんで?」
「俺達と風呂に入るのが嫌なんだろう?
だったら出るしかないだろ!」
「そ、そん、そんな事言ってませんよお!!
あーもーはいはい! わかりましたよ!
入ればいいんでしょ! 入れば!!」
「「ふふふふ・・・」」
てな具合で、今に至る・・・
••✼••温泉男湯••✼••
カポ━━━ン! カタン! チャポン・・・
「どぅぅぅぅぅ~~~・・・」
「おおおおおおおお~~~・・・」
「んんんんんんんんんー~~~・・・」
トロとクレオとワイサが湯に浸かり唸っている。
だが、ロンデルとロプロプとロキシーは、湯にゆっくり浸かるという意味が理解できず、小さな女の子の姿に変化して、湯船の中を悠々と泳いで楽しんでいる。
日本人としては、温泉のマナーについて、ひとこと言ってやりたいとは思ったが、でもまあここは異世界だ。
異世界に日本のマナーだのなんだのと押し付けるのもどうか?と思い、そっとしておいた。
そして、ナディー達はどうしてるか?とふと思った時だった!
カラララララッ!
「うわぁ~~~! コッチの方が広いじゃなあい!」」
「うわ?!「うええ?!「ええー!!」
「「「?・・・」」」
なんと! 入って来たのはナディーとシシー達だった!
「なんと! 本当に広いですね姉御!!」
「ホントだ! 女湯とは違うぜ!」
「おぃおぃこらこら!!
何してんだよ! 女湯は、アッチだろーが!」
「別にいいじゃない? トロ達だって女の子なんだし?」
「いやいや、そういう事を言ってるんじゃなくでだなぁ・・・(汗)」
「ふふふふ・・・」
「な? なんだよクレオ?」
クレオが、トロにしてやったり!みたいなジト目で見て薄ら笑をする。
やられた・・・なんか悔しい!
でもまあ、みんな女の子なんだし、今日は貸切出し、何も問題ないか。
それより、シシーとリリーが服を脱いだのを初めて見た!
なんだ、普通に人と変わらない女の子じゃないか?
トロ達は、心ゆくまで温泉を楽しんだ。
ああ~~~温泉入りたい!




