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第33話 「奴隷商人と盗賊」



••✼••トスター冒険者ギルド••✼••



「それって?! まさか勇者が関係していたり?」


「いえっ! 勇者は関係ありません! 奴隷商人です!」


「奴隷商人?!・・・」



 トスター冒険者ギルドの受付嬢から、とんでもない話しを聞いた。

 ここ、ほんの数日前に、イスヤリヤ王国とイノセント王国との国境付近に、小さな『ポショ』という名の小さな村があるのだが、その村から魔族の子供と達女性達が忽然(こつぜん)と姿を消したと言うのだ。

 そんな現象は以前からずっとあり、そのポショ村だけの話しではなかった。

 だが、今回は居なくなった人達の数が過去最高に多く、子供12人、女性8人の計20人もの人達が、数日間にかけての夜中に次々と姿を消したらしい。

 そんななか、めちゃくちゃ怪しい奴が居たので捕まえてみたら、あっさりと奴隷商人だと判明したと言う。


 トロ達は、早速ポショ村へと向かった。

 



••✼••ポショ村冒険者ギルド••✼••



 トロ達は、魔族の国イノセント王国にもっとも近い地にある、『ポショ村』の冒険者ギルドに居た。

 ここポショ村には、魔族の国との国境に近いこともあり、魔族が多い村だった。

 特に多いのは純魔族だ。

 その次に多いのが亜人であり、そして人族だった。

 なんとこのポショ村では、人族が1番少なかった。


『亜人』とは、獣人、エルフ、ドワーフなどである。

『純魔族』とは、日本では一般的に伝説や物語などで怪物扱いされる種族だ。

 バンパイヤ、サキュバス、鬼人、竜人、天使、悪魔などである。

 これら亜人や純魔族を含めて『魔族』とされている。

 天使や悪魔が純魔族だなんて、なして???

 とは思うのだが、この世界ではそう言う概念なのだから、そう認識するしかない。

 おそらく、そういう認識であり概念なのは、『人族至高主義』のメルセンベルグ国王が関係しているのだろう。

 なんとも、メルセンベルグ王国らしい馬鹿げた考え方だ。

 



「うわぁ~~~! ケモ耳いっぱい!!」


「「「あはは・・・(汗)」」」



 トロは、ケモ耳が大好きだった。

 気分で耳や尻尾がピョコピョコ動くのが、堪らなく可愛くて仕方がないのだ

 困った時には耳が垂れて、尻尾がダラリと垂れ下がり、

 嬉しい時には耳がピン!と立ち、尻尾をビュンビュン振る。

 もうそれが、可愛くて可愛くて堪らない!!


 触りたい!! 抱きしめたい!! ナデナデしたい!!


 『ビーグル犬風』の犬娘の垂れ耳なんて、まるでツインテールみたいに揺れて可愛くて堪らない!

 困ってる狐娘の大きな耳が垂れる姿なんて、ホント可愛くて堪らない!

 しつこいようだが、トロはケモ耳が好きで好きで堪らないのだ!!

 できる事なら、ナディーやクレオにも、ケモ耳に変身する豆を食べさせてやりたいくらいだ!



「ムフフフフ・・・」


「「・・・?」」


「ウフフフ・・・ケモ耳可愛い♡」


「「「・・・・・・(汗)」」」


「ん? どうした、みんな?」


「まさかとは思うけど、私達にも耳や尻尾を生やしたいだなんて考えてないでしょうねえ?」


「ギクぅ!!・・・

 そ、そん、そんな事は、な、ない、ない、ないぞ?」


「ぎくって言ったよねえ、今!」


「うん! 確かに言ったよね?」


「言いましたね師匠・・・」


「あは、あはは・・・そんな事はないっすよ?」


「「あ・や・し・い・・・(汗)」」


「あはは・・・あはははははははっ(汗)」



 コイツ、人の心が読めるのか?

 マジでオジサン、口に出るほどギクッ!としたぞ?

 ってか先に、『ケモ耳可愛い♡』なんて言っちゃってたな俺・・・(焦)

 などと、回想している間もニヤけていた。


 こっそりと、異空間収納内で、『ケモ耳に変身する豆』を、作ってしまっていた。

 実はこの豆、俺の『ケモ耳』と言う合言葉(じゅもん)で発動し変身する設定だ。

 そして変身後10分経ったら、自動的に変身が解ける設定だ。

 そのうち、こっそりと食事に混入させてやろうか・・・と企むトロだった。

 でも、そんな事をしたら、俺達の仲間意識が揺らぐ可能性があるのでやらないが・・・

 それならば、この子達が何がやらかしたときに、『お仕置き』として食べさせる事にしよう。

 まあ、それは今は置いといて・・・


 今回、俺達がこのポショ村へやって来たのは、メルセンベルグ国王から来た奴隷商人が捕まったという話しをトスター冒険者ギルドで聞いたからだ。

 もちろん、イスヤリヤ王国やイノセント王国も奴隷など認めていないし完全なる違法である。

 ポショ村は小さく、外敵から村を守る外壁も無く、他の町や村からは馬車で数日かかるほどの距離がある。

 いくら魔族は人族よりも強いとはいえ、危機感を感じていないのか、もう少し警備に力を入れた方が良いのでは?と思う。


 これほど人よりも若い魔族の女性や子供達の多い村でなら、金さえ払えばなんでもする盗賊なら、夜に魔族の女性や子供達を捕まえるのは容易いはず。

 そして奴隷として売ろうという魂胆だろう。

 だが、その奴隷商人は、身なりや言葉遣いはごく普通の商人を装っていたが、あからさまに魔族を見下していてので、あっさりとバレて捕まったと言う大バカだったそうだ。

 オマケに護衛として連れていた盗賊の2人も、シッカリとお縄となったとのこと。

 その盗賊2人も、誰が見ても怪しかったので、奴隷商人と同じようにあっさり捕まったとか。

 もうバカとしか言いようがない。


 ぷぷっ!・・・まさに大バカだ。


 そしてその奴隷商人と盗賊2人は、ポショ村を統治する、ギスラン・ルイ・ポショ子爵の管理する、200年以上前から存在する元要塞の地下牢獄に放り込まれているらしい。

 トロ達は、ソイツらに会ってみたかった。

 なにせ、ソイツら3人だけのはずがない。

 きっと仲間が、村の外のどこかに隠れているに違いない。

 そして、今も捕まった魔族達が居るのなら、助けたいと思ったのだ。



••✼••ポショ子爵邸前••✼••



 トロは、ポショ子爵邸へ仲間達とゾロゾロと向かい、門番に話しかけてみた。



「なんだお前達は?」


「俺は冒険者パーティー、『トロと愉快な仲間たち』のリーダーをしているトロという者だ」


「トロと愉快な・・・おおっ!

 あの有名なドラゴン・スレイヤーの?!

 サファイヤ級冒険者達ではないですか!!」


「えへへ・・・まあ、そうですね(汗)」


「「「・・・・・・(汗)」」」



 この時トロのレベルは450を超え、冒険者としての等級もサファイヤ級となっていた。

 サファイヤ級とは、このイスヤリヤ王国では最強レベルである。

 この村にでも知られるほどに有名になっていたとは・・・

 まあ、今はその方が都合が良い。

 こちとらドラゴン・スレイヤーの称号持ちの侯爵同等の身分だ。

 相手が子爵程度なら、少々の事なら押し通せるだろうし、話しも聞いてくれるだろう。



「えっとですね、ここ数日前にメルセンベルグから来た奴隷商人を捕まえたと聞きましてね!」


「ああ、そうです! つい、2日前の事ですね!」


「ふむ 実はですね、1度ソイツらと話しをさせてもらえないかと思って・・・」


「ドラゴン・スレイヤーの貴女方がですか?

 それはいったい、どう言う・・・」


「ええ 奴らはおそらく、まだ仲間が他に居るはずです!」


「なんですとっ!! 他に仲間が?!」


「はい ですから何とか奴らから聞き出して、とし奴隷として捕まえられた人達が近くに居るのなら、助け出したいと思ってます!」


「!!・・・ううむ なるほど! 少々、お待ちください!!」


「あ、はい・・・」


 タッタッタッタッタッタッ・・・



 そう言って門番は、ポショ子爵邸へ向かって走ってった。

 しばらく待っていると、執事長らしい人物がやって来て、快く屋敷内へ案内された。

 流石はドラゴン・スレイヤーの称号の効果はてきめんだな!




••✼••ポショ子爵邸応接室••✼••



「よくぞ、おいで下さいました!

 私がこの村を治める、ギスラン・ルイ・ポショ子爵です

 貴女方のお噂はかねがね、随分とご活躍しているようですね!」


「ふはっ・・・いやいや、それほどでも(汗)」



 トロは思わず吹き出しそうになる。

 半ば強引に決められたパーティー名だからだ。

 だがこの世界の人々には幸いなことに、『変な名前』という認識は無いようだ。

 


「して、本日はどのようなご要件で?」


「え?・・・」



『あれ?! 奴隷商人と話しをさせて欲しいのと、奴隷商人の仲間が居るかも知れないって事まで、話が伝わってないのかな?』



 どうやらポショ子爵には、『ドラゴン・スレイヤー』が我が屋敷へやって来た!って事だけが伝わっていたのではないだろうか?

 なにせ、ドラゴン・スレイヤーの称号を持つサファイヤ級冒険者達のパーティーだ。

 そんな、この国最強とも言われている冒険者達と懇意(こんい)にできたなら貴族としても箔が付くと言うもの。

 と、そのように下級貴族間では、もっぱらの話題となっていた。

 それを知らないトロ達は、とにかく何でも容易く受け入れられるのは有難い・・・程度に考えていた。


 それはそれとして、今はとにかく奴隷商人との面会が敵うかが先だ。

 その旨をポショ子爵に伝えた。



「なるほど・・・

 奴らの他にも仲間が居るかも知れない・・・と」


「はい おそらく、居たとしたならきっと奴隷として捕まえられた人達も一緒に居るのかも知れないと思いましてね!」


「ふむ、解りました!

 では、奴らとの面会を許可しましょう!」


「ありがとうございます!」


「ふふふ 良かったね!」


「ああ、まずは・・・だけどな」


「もし奴らの仲間が居るなら、いつか奴隷商人を助け出すために、また奴らがやって来るかも知れないですしね?」


「そうなんだよ! それもあるからな・・・」


「ふむふむ ならば、急いだ方が良さそうですね」


「よろしくお願いします!」



 こうしてトロ達は、奴隷商人達が捕らえられているという、元要塞の地下牢獄への通行許可を得た。




••✼••元要塞跡地下階段••✼••



「そうだ、君達! ここでは変身しておこう!」


「え? なんで?!」


「ええ~~~!!」


「だってほら、俺達の素顔を知られない方が良くないか?」


「「「!!・・・」」」


「確かに、そうかもね?」


「そう・・・ですね」


「そうかも知れないけど、まあ、うん」


「そうと決まれば!」



 トロ達は、美少女戦隊に変身した!

 ナディーは、すぐに変身したが、クレオは少し考え込んでから変身した。

 たぶん、女の子に変身する事に抵抗があったのだろう。

 だが奴らに素顔を知られて後々に仕返しでもされたら堪らない。

 渋々変身したクレオだった。



「ええと・・・ロンデル達は獣人の姿でいいか?」


「そうですね! 私は何でも構いませんが?」


「ですな! 我らはどんな姿にも変身できますからな!」


「私も変身のレベルが上がったよ!」


「ふふふ そうか!」


「シシー達も変身しておく?」


「分かったぜ姉貴!」


「姉御が言うなら!」


「了解だよ!」



 トロとナディーの従魔達も変化(へんげ)した!




••✼••元要塞跡地下牢屋前••✼••



 トテッ⋯トテッ⋯トテッ⋯トテッ⋯⋯⋯



 地下への階段を降りると、トロ達の足音が妙に響く。

 すると、まだ牢屋まで来ていないのに、足音で誰かが来たのを察したのか、トロ達の顔を見るなりいきなり大声で叫ぶ奴隷商人。



「はっ! お、おいっ! 俺をここから出してくれっ!!

 金なら出す! もちろん言い値でいい!!」


「「「!!・・・・・・」」」



 なんだコイツ?

 俺達が顔を見せたら、第一声が『ここから出せ』てか?

 どうせ誰に対しても、そんな事を言っているのだろうけど。

 だが、『金を出したら誰でも言う事を聞く』と考えてる所が許せない!

 誰が出すか!

 

 しかし、他2人の盗賊達の姿が無い。

 おそらく、他の牢屋にでも入れられているのだろう。

 もし盗賊の奴らが奴隷商人に逆恨みなどしたら、同じ牢屋入れられていたなら、奴隷商人に手を掛けてしまうかも知れない?

 それを防ぐためなのだろう。



「なあ! なあ! 聞いてるか!?

 もし出してくれたなら、アンタ達一人一人に好みの種族の奴隷をすぐにでもタダで付けてやってもいいぞ?

 クックックッ・・・今なら選り取り見取りだぜ♪」


「「「「?!・・・・・・・・・」」」」



 コイッツぅ━━━っ!!

 怒りでトロの頭の中に電撃が走った!!


 コイツは、今どこの国で捕らえられているか解ってるのか?

 自国メルセンベルグ王国でなら、そんなバカみたいな交渉でも通じるかも知れないが、ここは奴隷を絶対に許さないイスヤリヤ王国だぞ!

 でもコレで、すぐにでも自由にできる奴隷が未だ近くに居ると言う事。

 それはつまり、このポショ村の近くに仲間が奴隷を引き連れて潜伏している事が確定だ!



「ほほお? そうかぁ~~~

 で? 何処で、その取り引きをしてくれるんだ?」


「おおっ! アンタ話しが解るねえ?

 実はな? この村から東の森の中へ入ったら、俺達の仲間の野営キャンプがあるんだ

 奴らは俺が戻るのを待ってる! な? だから!」


「ほお・・・」


「だがな? 奴隷達には食い物を与えていないから、そろそろ餓死する奴らが出るかもしれねぇ」


「んっ?! な、なに?!」


「「「?!・・・・・・」」」


「だからさ! 早く俺をここから出してくれよ!

 じゃなきゃ、健康で使い道のある奴隷を与えてやれないぜ?」


「んぐぐぐぐぐ・・・(怒)」



 トロは、今すぐにでも、この奴隷商人をぶっ殺してやりたいと思った!

 だが、流石にそれはできない。

 ナディーとクレオさえも、顔を真っ赤にして怒りが爆発寸前ギリギリなのかプルプル震えながらも耐えていた。

 でも従魔達は、おそらく奴隷について理解できていないのかケロっとしていた。

 だがっ!!

 トロの中で、これから何を行うかはもう決まった!



「そ、そうか・・・少し考えさせてくれ」


「え? あっ! おいっ!!」



 トロは、そう言って牢屋から離れた。

 ナディー達も、トロの後をついて歩き出す。



「おいおいおいっ!! 待ってくれよ!

 おいこらあっ! ここから出せ━━━っ!!」


・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



 奴隷商人の悲壮な叫び声が、地下室の硬い石の空間にエコーのように響いていた。

 トロは、そんな奴の声を無視して地上へ出た。

 そして、奴の仲間が潜伏していると言う森の中へ行ってみた。




••✼••ポショ東の森の中••✼••



 ポショ村から東へ向かった先の森の中へ入ると、もう何年も前から整地されていただろう道が作られていて、広場になった場所には、まるで昭和アニメに出てくるサーカス団のようなデザインのようなどデカい獣車が停められていた。 

 おそらく、捕らえられ奴隷にされた魔族達が、その派手なバカデカい荷台に入れられているはずだ。

 一見逆に目立つ派手なデザインは、たぶん『奴隷なんて入ってませんよ~』ってな具合の、奴隷とは無関係を装ったカモフラージュだろう。


 しかし、こんな広場や道まで作るなんて、どんだけ用意周到なんだ?

 イスヤリヤ王国では、時々魔族の女性や子供が神隠しに遭ったかのように姿を消す事がある。

 また、姿を消すのは魔族ばかりではなく、人族も少なからず居る。

 『神隠し』とは言ってはいるが、みんな誰もがメルセンベルグ国王の奴らに捕らえられて奴隷として売られたと考えている。

 だが、イスヤリヤ国王も黙って見ている訳では無い。

 定期的に、メルセンベルグへ間者を送り込み、イスヤリヤ王国から捕らえられて奴隷にされた人々を救おうと活動はしている。

 それでもなかなか成果は上がっていなくて、毎回数人の奴隷として売られた人達を取り戻すのがやっとであり、救い出す人達よりも捕えられる人達の方が多いのが現状だ。

 なら、メルセンベルグに連れて行かれる前に何とかしなければ!


 トロ達は、【隠密】スキルを発動し、奴らの様子を伺っていた。


 しばらく見ていたが、奴らは獣車から離れる様子は全く無く、このまま見ているだけでは埒が明かない。

 仕方なく、トロは新しいスキルを覚える豆を生成した!

 トロは、今しがた生成し食べられるように加工した豆を、マジック・バッグから取り出す振りをして、異空間収納から取り出した。



「・・・」


「トロ、それは何?」


「うむ 睡眠効果のある『眠りスキル』を覚える豆だよ」


「なるほど! そのスキルでアイツらを眠らせる訳ね!」


「そうだ! このスキルで奴らを寝るらせたら【茨の縛り】で縛りあげて、その隙に捕まった魔族達を救い出す!」


「うんうん! なるほど、解ったわ!」


「流石は師匠!」



 トロは、【眠りスキルを覚える豆】を10個ずつ皆に配って食べさせた!

 皆のステータスのスキル欄には、【眠りLv4】が追加された!

 そしてトロは、今練っている作戦を話す。



「俺が先ず、奴らを【眠り】で眠らせる!

 そして俺の合図で、奴らを【茨の縛り】などの縛りスキルで縛ってくれ!」


「「「「了解!!」」」」

 「「「「「了解!」」」」」


「それから・・・」


「では、行きますか?」

 ロプロプが、そう言ってトロを見詰める。


「おう! 先ず俺が・・・」


「どおりぁああああ━━━っ!!」

 いきなりロプロプが飛び出した!!


「あっ!! こらあっ!!」

 トロは慌ててロプロプを制止させようとするが・・・


「「うおおおおおおお━━━っ!!」」

 続いて、ロンデルとロキシーまでも飛び出す!!


「こっ、こらあ━━━っ!!」


「あっ! 何やってるんですかぁー!」


「きゃあ!!「うわっ!!」

 ロプロプ達の勢いに驚いてひっくり返るナディーとクレオ。


「「「うりゃああああ━━━っ!!」」」

 シシーとリリーとレレーまでも飛び出してしまう!


「ああっ!! シシー!リリー!レレー!!」


「ああああ・・・」

 呆然と立ち尽くすトロ。


「「「「・・・・・・・・・(汗)」」」」

 呆気にとられるナディーとクレオとワイサ。



 なんと!

 トロの作戦を無視して、トロとナディーの従魔達は一斉に飛び出してしまった!!



「おわっ! なんだお前達はっ?!」


「眠りなさい!!」


 ドカッ! バキッ! ドスッ! ドゴッ!


「ぐはっ!!「ぐへっ!!「ぎゃっ!!「どわっ!!」


 パタパタパタパタッ・・・


「「「「・・・・・・・・・・・・(汗)」」」」



 あっという間だった・・・

 トロとナディーの従魔達は、獣車の周りに居た4人と、前方に居た4人、後方に居た2人の合計10人の盗賊達を、あっという間にボコボコにやっつけて、【茨の縛り】で縛りあげてしまった!

 


「『眠りスキル』で眠らせると言ったのに!

 なんでボコボコにして眠らせてんだよお~~~(汗)」


「ふははははっ! 他愛無いですな!!」


「ご主人様! やっつけましたよー!」


「見たか姉御!「やったぜ!!」


「「ばあかあ━━━━━━っ!!」」


「「「「「「んおっ?!・・・」」」」」」


「はあ~~~・・・まったく

 作戦を練った意味が無いじゃないかぁ~~~(泣)」


「「「「「「へっ・・・???」」」」」」



 まあ、確かに敵は10人。

 そして従魔は9人。

 そりゃあ、盗賊達よりも圧倒的に強い従魔達なんだから、レベル100にも満たない奴らが何人居ようがロンデル達に敵う訳が無い。

 それに、ロプロプがその気になれば、鬱蒼とした森なんて一瞬で火の海だ。

 従魔が1人だけでも盗賊達を倒すのはカンタンだろうけど、トロの作戦を無視して飛び出すとは・・・

 従魔達なら、指1本でも奴らを殺せただろうに・・・

 それを、よくぞ殺さずにボコって眠らせられたな。

 ロンデル達にすれば、盗賊達を殺さずに眠らせるためには、半熟卵を崩さずに殻をむくくらい難しかったはず。

 大したものだよ。 そこは関心したのだが・・・

 でもそれはそれ。 主人の命令を無視するのは問題だ。

 これはもっと、教育が必要だと思ったトロとナディーだった。


 バカデカい獣車からは、案の定ポショ村で居なくなった人達が見付かった。

 報告にあった人達たった。

 だが、その内の子供達4人と、女性1人が瀕死の状態だった。

 慌てて浄化魔法で身体を綺麗にし、ハイ・ヒールで回復してあげた。

 お腹も空いているようだったので、甘い実を食べさせてあげた。

 すると皆みるみる内に元気になった!

 捕まっていたのは、魔族が5人と獣人の女の子5人と、そして人族の女の子2人の子供達と、魔族の女性4人と獣人の女性3人と、そして人族の女性1人だった。

 人族の女性なんて、ワンワン泣いていた

 訳を聞いたら、たまたまイケメンの盗賊に知らずに恋してしまい、誕生日前だが2人だけで祝おうと夜中に盗賊の帰りを待っていたら、その盗賊に騙されて捕まって奴隷にされたとか?

 そして皮肉にも今日が彼女の誕生日だったとか?

 なんとも・・・可哀想な・・・(泣)

 ま、これで1つ勉強になっただろう。

 誕生日の前祝いなんて、死亡フラグであるとこを。

 しかしよくぞまあ、みんな耐えてくれたもんだ。

 少々問題はあったものの、皆無事に助けられて良かった。

 後は、【隷属化】を解除するだけだ。


 トロは、異空間収納内で【奴隷解除魔法を覚える豆】を生成し、食べられるように加工して、こっそり食べた。

 するとトロのステータスの魔法欄には、【奴隷解除魔法Lv4】が追加された!


 これだけの大人数の人達を、たった数日で攫うなんて。

 それに、ポショ子爵はいったい何をしていたんだ?

 チョロ過ぎるだろうと、言いたくなる。

 一応、ポショ子爵も奴隷商人や奴隷として捕まった人々の確保には力を入れていたようだが、捕らえられた人々を救い出すまでは、下手に手出しできなかったようだ。

 間違いがあれば、彼らの命が危うい。

 これも仕方ない事なのだが・・・


 トロは、全ての奴隷化された人々の奴隷解除を施した。

 すると、彼らの首や手首に着けられていた鉄の輪が、まるで茹でられたアサリの様に、自らパカン!と2つに割れて外れて落ちてしまった。

 さらに、首の後ろに刻印された『隷属の紋』も、煙と化して消え去った!

 その後、彼らが乗せられていた獣車に盗賊達をゴミのように投げ込み、ポショ村へと向かった。



••✼••ポショ村中央広場••✼••



「良かった! 本当に無事で良かった!」


「ありがとうございました!」


「いえいえ(汗)」


「「「「ワイワイガヤガヤ・・・」」」」



 解放された人々は、各々の家へと帰って行った。

 その日の夜は、トロ達を歓迎と感謝と功績を称える意味で盛大な宴が行われた。

 だが、魔族の多い村だけあって、魔物も食べるようで、『ブラッディ・ボア(血まみれ猪?)』の肉は、獣臭くてダメだった。

 ロンデル達は、被り付いて美味そうに食べていたが。

 魔物でも、ココ鶏のもも肉は大味だが最高だった!

 【種生成】で作った『蒲焼のタレ』をつけて食べたら堪らなく美味く、村人達に奪われるほどの大反響で、村の道具屋に卸してくれとせがまれたくらいだ。

 んで、樽で売ったった♪



・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



 しかし今回、奴隷商人を捕らえたのは1人だけだ。

 きっと他にも居るに違いない。

 すぐには根絶は難しいだろうけど、いつかきっとこの世界から奴隷制度を完全に消し去ってやる!!


 そう意気込むトロを怪しい目付きで睨む、フードを深々と被る者が居た事に、トロ達は気付くことはなかった・・・




••✼••ポショ村宿屋の一室••✼••



 そして薄っすらと夜が開ける頃に、ようやく宴も終わったが、トロ達は宿屋へ戻ってもなかなかテンションが下がらなかった。。



「いやぁ~~~飲んら飲んらぁ!」


「ダメでしょ! お酒なんか飲んじゃ」


「そうですよ! 今のトロさんは女の子なんだから」


「あぁあぁ~師匠ぉ~~~しっかりしてくださぁい!」


「別に構わないじゃらいかぁ!

 らまにわ羽目を外しらっれぇ~~~♪」


「「「・・・・・・・・・」」」



 トロは完全に出来上がり、ベロンベロンのヘベレケだった。

 この時、ナディーとクレオは、なぜだか不穏な雰囲気を感じていた。

 だがトロには、そんな雰囲気を感じている様子など無かったので、ナディーとクレオは気のせいだと言う事にした。

 酒に酔っている状態のトロには、そんな雰囲気を感じられるはずもなく・・・

 トロ達は、この日の夕方まで、ひたすら寝まくった。



 そしてこの日の夜、事件は起きた!



 

 ギィ⋯ギィ⋯ギィィ⋯⋯⋯


「ううう・・・便所、便所・・・」




••✼••ポショ宿屋1階トイレ前••✼••



 トロは1人、宿屋の1階に居た。

 ポショ村の宿屋のトイレは、1階になる。

 


 カチャ・・・キイィイィ~~~パタン!


 トイレに入ると、トロはスカートとパンツを足首まで下げて、そのまま用を足す。



「ふぅ・・・」

 シャア~~~・・・


「うううっ! ぶるるるっ!

 小便出したとき震えるのは、男も女も同じなんだな・・・

 って、ああああ~~~!! やっちまったっ!

 今俺、女だっけ? 立ったまんま出しちまった(汗)」



 この世界のトイレは、狭い部屋にオマルや桶を起き、その上に穴が空いた板を乗せて、その穴へ排尿排便するのだが、トロは女の子に戻ってしまっていたのを忘れていて、その床の穴に目掛けて出してしまった・・・

 最初は良かったのだが、段々勢いがなくなると、足首まで下げたスカートとパンツまでビチョビチョに。

 どうしたものかとパニクっていたら、不意にトイレのドアが開いた!



 バン!

「うをっ! 誰っ?! むぐっ?! んむうう~~~!」



 突然トイレに入って来た誰かに鼻と口に押さえ付けられた!

 相手は、男だと言うことは分かった。

 しばらく抵抗していたが、トロは女の子だったので、男の力には抗えるはずもなく。

 抵抗も虚しく、トロを気を失ってしまう。

 男はトロに、気を失わせる魔法かスキルでも使ったのだろうか?


 男は、グッタリするトロを大きな袋に詰め込み、窓から飛び出すと、夜の暗い村の外へ姿を消した。

 そんな男とトロに気付く者は、誰1人として居なかった。

 トロを袋に詰めて抱える男の影は、森の中へ消えてった。






奴隷商人と盗賊。

奴らに捕まったポショ村の村人達を救い出したまでは良かったが、ずっと以前からトロを狙う盗賊が居たことに気付かなかったトロ。

そしてとうとう奴らは動き出す。

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