第26話 「テイム」
今回トロ達は、大物狙いです。
••✼••サイチ村冒険者ギルド••✼••
「おめでとうございます!
貴女は、ラピスラズリ級冒険者となりました!」
「やった! やったわトロ!」
「うん! やったね!」
「やるじゃねぇか姉御!」
「流石は姉貴だ! 何処までも付いて行きますぜ!」
「?!・・・(焦)」
ナディーは、限界突破によりレベルが100を超え、晴れてラピスラズリ級と格上げとなった!
ナディーもトロも喜んでいたが、なぜか受付嬢の表情が急に困惑したように見える。
・・・なんだ?
「あの~~~なにか?」
受付嬢の表情の変化に気付くナディー。
「そんなまさか・・・有り得ない!」
「受付嬢さん どうしました?」
トロが受付嬢に聞く。
「あの・・・ナディーさんの従魔、クノイチ・アサシンですよね?」
「あ、はい そうですが? それが何か?」
「い、今、喋ってませんでしたか?」
「はい?」
「いえ、ですから、ナディーさんの従魔のクノイチ・アサシンですが、いま喋りましたよね?」
「あ、はい そりゃ喋りますよ! 従魔ですから!」
「ええっ?! うそお!!」
「おっと、姉ちゃん! 俺が喋るとなにか都合が悪いのかい?」
「きゃあ!!」
「なにを驚いてるのさ? 姉ちゃん顔が青いぜ!」
「いや・・・いや・・・
いやあぁあぁあぁあ━━━!!」
「「「「!!!~~~(汗)」」」」
突然、受付嬢が発狂したかのように悲鳴をあげるものだから、トロ達もビックリ!!
冒険者ギルド内の冒険者達もビックリ!!
「有り得ない! 有り得ないんですよお!
従魔が喋るだなんてえ~~~!!」
「だから、従魔なんだから喋りますって!」
ナディーは、ニヤリと不敵な笑みを浮かべていた。
『なるほど・・・そうくるか。
なら、俺達も合わせるとするか。』
と、トロは思った。
「受付嬢さん! 俺達の従魔も、ワイルド・フォレスト・キャットに、ファイャー・ナパーム・ワイバーンに、エルダー・ロック・ゴーレムだけど、ちゃんと言葉を話しますよ?」
「ええええ~~~?!」
バターン!
「おうわっ!「ああっ!」
「チョイと、イタズラが過ぎたかな(汗)」
受付嬢は、飛び上がるように驚いたと思ったら、白目を向いて、ひっくり返ってしまった!
それからと言うもの、ギルド内は大騒ぎに!
後で、サイチギルド長が出て来て、ギルド長室に連れ込まれてしまった。
話しによると、4ヶ月に1度のペースで、ギルド長会議がトスターで開かれるらしい。
トスター、サイチ村、ポショ村、ネチコイ街、コチマ村、イスヤリヤ王都のギルド長が、トスター冒険者ギルドに集まる。
『冒険者トロの従魔は人の言葉を話し、トスター伯爵の権限で冒険者としても認められている』
との話を聞いたとして、トロの従魔の場合はすんなり認められたのだが、ナディーの従魔の場合は突然変異種として、冒険者としては認められていなかった。
ナディーの従魔のクノイチ・アサシンは、いたって並レベルだし、何処に突然変異な要素があるのかさえ解らなかった。
当たり前である。
ナディーの従魔のクノイチ・アサシンのシシーとリリーは、トロの【不思議な豆】の力で話すようになったのだから、解明できるはずがない。
だが、実例があるのは事実となるので、
『稀に人語を話す従魔が生まれる可能性あり』
に、留まった。
これは、トロの不思議な豆の力なのに、テイマーの概念を書き換えかねない結果となる。
ちょっとした悪戯心が、とんでもない騒動になってしまった・・・(汗)
「姉御、大丈夫ですか?」
「もしかしてアタイ達、なにかやらかした?」
「え?! うぅん! シシーとリリーは何にも悪くないのよ!」
「そうかな・・・えへへ」
「なら、良かった!」
「うふふ♡」
ナディーは、気を使ってくれるシシーリリーが愛おしくて堪らなかった。
思わず、抱きしめたくなる心情だった。
なので、ナディーにとってシシーとリリーは、従魔という扱いができない。
心強い仲間や友達みたいな感覚だった。
しかし、テイムしたばかりの頃のシシーとリリーは、まるで小人のような小さな身体だったのに、今ではレベルも100を超えて、普通の人と変わりないほどの大きさに成長していた。
一見すると、アサシンや忍者系の職種の冒険者にだって見える。
なので、シシーとリリーは何も知らない冒険者などから、声を掛けられるほどだ。
ただ、シシーとリリーは、魔獣クノイチ忍者である。
主人であるナディーですら、シシーとリリーの素顔を見た事がない。
ナディーは勿論、トロもシシーとリリーの素顔が見たいとは思っている。
ま、難しいだろうなぁ・・・
そんなシシーとリリーだった。
いつか冒険者になれたらいいな。
••✼••サイチ村宿屋••✼••
「今日は、色々大変だったね! お疲れ様!」
「うぅん! 大変だったけど、楽しかったわ!」
「そう言ってもらえると、気が休まるよ」
今回のレベリングにより、シシーとリリーもドン!とレベルが上がった!
■===========■
・⋯━☞STATUS☜━⋯・
■===========■
名前 シシー
性別 女
年齢 8
種族 魔獣
職業 クノイチ・アサシン
・⋯━━☆★☆━━⋯・
状態
【健康】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
LV 125
HP 1064
MP 33
STR 250
ATK 405
DEF 425
INT 36
SPD 196
LUK 22
EXP 332554
・⋯━━☆★☆━━⋯・
習得魔法
・⋯━━☆★☆━━⋯・
習得スキル
【タゲ取りLv2】【双剣Lv2】【連続斬りLv2】【言語識字理解Lv4】【以心伝心Lv2】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
称号
【ナディーの忠実なる下僕】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
資格
【テイマー・ナディーの従魔】
■===========■
■===========■
・⋯━☞STATUS☜━⋯・
■===========■
名前 リリー
性別 女
年齢 9
種族 魔獣
職業 クノイチ・アサシン
・⋯━━☆★☆━━⋯・
状態
【健康】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
LV 126
HP 1075
MP 33
STR 252
ATK 408
DEF 428
INT 36
SPD 197
LUK 22
EXP 338705
・⋯━━☆★☆━━⋯・
習得魔法
・⋯━━☆★☆━━⋯・
習得スキル
【タゲ取りLv2】【双剣Lv2】【連続斬りLv2】【言語識字理解Lv4】【以心伝心Lv2】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
称号
【ナディーの忠実なる下僕】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
資格
【テイマー・ナディーの従魔】
■===========■
「すんごい上がってるな!」
「え? そうなの?」
「うん! 俺・・・私なんか足元にも及ばないわ」
「そんなに?!」
確かに、シシーとリリーのステータスは凄かった!
レベルの割には、攻撃力も防御力も素早さも飛び抜けて高かった。
テイマーが好んで「クノイチ・アサシン」をテイムする訳だ。
「そうだ! ナディーにプレゼントがあるんだ!」
「えっ?! うそ! なになに???」
「はい! コレ!」
「!・・・・・豆?」
「タダの豆じゃないよ!
【回復魔法】と、【浄化魔法】と、【生活魔法】と、【鑑定】と、【バーフェクト・バリア】を覚えられる豆なんだ」
「わあ! ホント?! ありがとう!!」
「4つも覚えるには、沢山の豆を食べなきゃだけど」
「うぅん! こんなに簡単に覚えられるなら、無理してでも食べる!!」
ムサャムシャ・・・
ナディーは、そう言ってムシャムシャと50個の豆を食べきった!
「ぷふ━━━っ! 流石にもう食べられないかも?」
「あははっ! 頑張ったね!」
「うぅん! 豆を食べるだけで魔法やスキルを覚えられるんだから、お易い御用よ!」
「そっか! なら良かった
そしてコレは、マジック・バッグだ!
時間停止機能付きで、獣車100台分は入るよ!」
「わあ! 素敵っ!
獣車100台分って、規格外よね?!
普通は、獣車1台分でも500万Tiaはするのに!
でも、こんなにも規格外な物を持ってたら、襲われそう?」
「大丈夫だよ! 『所有者設定』すれば君以外は使えなくなるし、たとえ盗まれたとしても、『リターン』の合言葉で一瞬で手元に戻って来るから!」
「何それ?! 規格外の更に規格外?!
貴族だってこんな凄いの持ってないはずよ!
ああ~今日はなんて日なの!
今までの思い描いていた願いが、まるで魔法のように叶うなんて!」
「一応、魔法なんだけどね・・・」
この後ナディーは嬉しさの余り、子供のようにワンワン泣いた。
女の子を泣かせてしまったと、オロオロしたトロだった。
それにオマケとして、マジック・バッグの中には、【ハイ・ポーション×99】と、【マジック・ポーション×99】と、【復活の魔晶石×2】が入っている。
これで、ナディーに万が一の事があっても、大丈夫だ。
従魔は、HPが0になり戦闘不能になっても魔晶石に戻るだけで、時間が経てば勝手に復活するので、【復活の魔晶石】は不要だ。
本来なら、【回復魔法】と【浄化魔法】は、教会で。
【生活魔法】は、冒険者ギルドにて、それぞれ100万Tiaを支払えば覚えれれる魔法である。
だが数ヶ月前までは、その手の師を見付け、弟子入りして学び習得するものだった。
しかし、師となる技術提供者がなかなか見付からないのが現状である。
これは、将来ライバルにもなり兼ねない冒険者を育てる事になるが正直嫌だからだ。
ケチだな・・・
それを何とかしたいと考えたのが、とある大魔女である。
だが、トロから貰った豆は、ただ食べるだけで覚えられるという不思議な豆なのだ
ナディーは、疑うこと無く豆を食べてくれた。
■===========■
・⋯━☞STATUS☜━⋯・
■===========■
名前 ナディー
性別 女
年齢 17
種族 人族
職業 シンニング・テイマー
・⋯━━☆★☆━━⋯・
状態
【健康】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
LV 108
HP 208
MP 39
SP 49
STR 33
ATK 31
DEF 19
DEX 31
INT 49
MAT 20
SPD 31
LUK 132
EXP 237599
・⋯━━☆★☆━━⋯・
習得魔法
【回復魔法Lv4】【浄化魔法Lv4】【生活魔法Lv4】【パーフェクト・バリアLv4】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
習得スキル
【テイムLv3】【従魔の治癒Lv2】【従魔の増強Lv2】【従魔の防御Lv2】【従魔の加速Lv2】【従魔の復活Lv2】【限界突破Lv1】【鑑定Lv4】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
称号
【ビースト・テイマー】【シンニング・テイマー】【パーティー名『トロと愉快な仲間達!』副リーダー】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
資格
【ラピスラズリ級冒険者】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
従魔
●シシー
【クノイチ・アサシン】
●リリー
【クノイチ・アサシン】
■===========■
「回復魔法はレベル4になってるから、ハイ・ヒールまで使えるよ」
「やったあ!!」
「そして、浄化魔法は、任意の物を浄化できる魔法だね
身体や武具も洗えるし、従魔達も綺麗に洗ってあげられるよ!
それにレベル4だから、麻痺や毒にも効くからね!」
「ふんふん! 嬉しい!! こういうの欲しかったの!
ありがとう! ありがとう!!」
「そして、生活魔法は、地、水、火、風の四属性の初歩魔法の他に、光魔法は暗闇で明かりを灯せる魔法が使えるよ
四属性もレベル4だから、ちょっとした攻撃にも使えるかもね!
もしかしたら今の私達なら、ドラゴンだって倒せるかもよ?」
「ドラゴン!! それ、本気なの?!」
「本気も本気さあ! ロンデルとロプロプだって、きっとドラゴンを倒せるくらい強くなってるはずだよ!
それにドラゴンを倒したなら、『ドラゴン・スレイヤー』の称号が与えられて、『候爵位』同等の身分になれるんだ!」
「そうなのね! 凄い!凄ぉい!!
本当にありがとう!!」
トロに抱きついて大喜びのナディー。
「いやいや(照)」
そしてこの後、トロは自分の部屋へ戻って休んだ。
・⋯━☞次の日の朝☜━⋯・
••✼••サイチ村冒険者ギルド••✼••
「アース・ドラゴン討伐ですか?!
この討伐依頼は、サファイヤ級ですよ!」
次の日冒険者ギルドにて、アース・ドラゴン討伐のクエストを受けようと思った。
ここ最近、何ヶ月も上級冒険者達が戻らないので、彼らの戻り待ち状態だった。
アース・ドラゴンとは、ドラゴンの仲で1番弱いと言われているので、トロは本気で勝てると思っていた。
「はい ロンデルとロプロプがサファイヤ級冒険者なので、問題はありませんよね?」
「そ、そうですが・・・
でも、ナディーさんはまだ、ラピスラズリ級冒険者ですよね?
大丈夫なのでしょうか!」
「大丈夫です!
どんなに時間がかかっても、必ず仕留めます!」
「でも、絶対に無茶はしないでくださいね?
命大事に! で、お願いしますよ!」
「分かってますって!」
「・・・そうですか わかりました!」
ドン!
受付嬢は、渋々といった様子だったが、「アース・ドラゴンクエスト」に、受理印を押してくれた。
なぜ、アース・ドラゴン討伐の依頼を受けたのか?
それは、【ドラゴン・スレイヤー】の称号が欲しかったからだ。
昨日もナディーと話したが、【ドラゴン・スレイヤー】の称号があれば、【侯爵位】同等の身分となるからだ。
公侯爵同等の身分ともなれば、万が一トスター伯爵に無理難題をふっかけられても、頭ごなしに断る事だってできる。
実はコレは、トスター冒険者ギルド長からの入れ知恵だ。
トスター伯爵と、トスター冒険者ギルド長とに、どんな確執があるのかは知らない。
仲が悪い訳ではないが、何かしらの隔たりを感じさせる。
でも、トロも冒険者としての、上位の地位を得れるのは良い事だ。
「移動に、【空飛ぶ絨毯】は使用しますか?」
「「空飛ぶ絨毯?!」」
「はい! 受けたクエストの難易度がどうあれ、1日1万Tiaにて空飛ぶ絨毯を貸し出しております!
支払い額は、返却時に使用日数に応じて計算されます
これも、とある大魔女様のお計らいです」
「「へぇ~~~」」
「この!空飛ぶ絨毯はですねぇ・・・」
『空飛ぶ絨毯』とは、大魔女が作ったとされる、高速移動用の魔導具である。
使用前は巻物となっており、紐を解き広げると浮かび上がり、乗ると少し凹むだけでとても座り心地の良いのだ。
しかも、移動し始めると身体の接地面が絨毯に吸い付くようにくっ付き、絶対に落ちない設定である。
高度は、地上から50cmほど浮くらしい。
また、山や谷となると、山や谷の面に沿って50cm浮いて移動するらしい。
デコボコだったら、船酔いしそう・・・(汗)
ただ、水の上は飛べないらしい。
陸専用かよ・・・。
そして、基本的には使用者の意志通りに動かせるが、衝突の危険がある場合は、自動的に回避するか急停止するそうな。
すげえっ! 衝突安全性!
最高速度は90kmで、通常運転速度は50~70kmだ。
まあ、自動車並みだな。
そう言えば、ここ最近【大魔女】ってキーワードが頻繁に聞くようになった。
冒険者達が少しでも効率的に活動できるようにとの配慮だそうだが、いったいどんな人なのだろうか?
だがギルドでも【大魔女】については、禁忌事項とされているらしく、聞いたところで話してはくれるはずもなく、深入りして詮索すると罰則が与えられるそうな。 怖っ!
まあ、考えても仕方ない。
「じゃあ、お願いするよ!」
「畏まりました!」
トロは、【空飛ぶ絨毯の巻物】を受け取った。
使わない時は、巻物に形を変えるようだ。
なんとも便利で不思議な魔導具だ。
使った後で、同じ物を種生成魔法で作ってみよう!
トロは、1度使った物なら、なんでもコピペするように、種生成で作れるのだ。
なので、構造も動作もそ素材も知らない、明確にイメージできない物は作れないのだが、1度手にして使った物なら、ほぼ作れるのだ。
••✼••サイチ村南詰••✼••
「さ! 行くか!!」
「うん!」
トロ達、「トロと愉快な仲間たち!」は、アース・ドラゴン討伐に飛び立った!
・⋯━☞空飛ぶ絨毯にて飛行中☜━⋯・
びょおぉおぉおぉおぉおぉ~~~!!
「ひゃあぁあぁあぁあぁ~~~(汗)」
「大丈夫! 絶対に落ちないって聞いたから!」
「で、でも、やっぱり怖ぁ~~~い(汗)」
「・・・そうかな?」
ナディーは、必死になって空飛ぶ絨毯にしがみつ付くように、身体を低くしていた。
最初は女の子座りでスカートがめくれないように手で抑えていたのに、今は手もついてスカートがめくれようがお構い無しに、土下座してるみたい必死に絨毯にしがみ付いている。
でもトロは、まったく平気な様子。
なぜならトロは、空飛ぶ絨毯などよりも、もっと速い乗り物に乗った事があるからだ。
ジェットコースターとか、オープンカーとか、レース用カートとか、原付きスクーターとか。
なので空飛ぶ絨毯のスピード程度には慣れていた。
高度はそれほど高く飛べず、地面から50cmほどか。
高さ的には、原付きスクーターと、レース用カートとの中間の高さの乗り物に乗ってる気分だ。
不思議なのは、座ってると尻が絨毯に吸い付くようにピッタリくっ付いていて、急な発進や停止、左右に旋回しても落ちる気配すらないので直ぐに慣れた。
トロには恐怖感などない。
なので、空を飛ぶ以外は、時速70kmほどなので、さほど大した事などない。
原付きスクーターだって、フル・スロットルで60km以上は出る。
原付きスクーターで転ぶ方が怖い。
空飛ぶ絨毯は、トロにしたら、物足りないくらいだ。
2時間ほど経って、やっとアース・ドラゴンの狩場に到着。
依頼書の挿絵にあった『女性の横顔』みたいな形の岩がランドマークであり、依頼書に書かれていた通りだ。
アース・ドラゴンの湧く地域に間違いない。
••✼••アース・ドラゴン生息地••✼••
「ここだな」
「着いたの? 暑わね・・・日陰がまったく無いわ」
「うん もうここは、ヒーテミーナ南大陸の最南端に位置する、『ガングロ領』になるみたい
本当に暑いね! それにほとんど、砂漠だよね」
「うん ああ~んもぉ! 日焼けしちゃう!」
「ホントだね! 先にテントを張ろうか!」
「そうね・・・って、テントまで持ってたの?!」
「うん! 野営に必要な物は大概は持ってるよ?」
「すごいわね! 流石は旅の商人だわ!」
「その呼び名は、絶対に他所ではしないでね?」
「わかってるって!」
「・・・」
『本当に大丈夫かな?・・・』
ちと、心配なトロだった。
それより、テントを持ってるというのは嘘だ。
異空間収納内で、種生成から栽培までして、今しがた作ったものだ。
5つもできてしまったが、後でナディーに1つあげるとしよう。
トロは、マジック・バッグからテントを取り出すル振りをして、異空間収納からテントを出した。
ワンタッチで、ポン!とテントに早替わりするタイプの小さいものだ。
ま、女の子2人なら平気だろう。
従魔達には、残りの3つを使ってもらう。
でも、テントだけでは暑いので、種生成で魔導スポット・クーラーを作った。
電化製品店で普通に売ってるスポット・クーラーを、魔力で動くようにイメージした小型のものだ。
これは快適!!
テントから、出るのが嫌になるくらいだ。
「はあぁあぁあぁあぁ~~~涼しい~~~」
「いかんいかん! このままじゃ、外に出るのが嫌になってしまうね!」
「あははっ! 確かに」
「さて! そろそろ狩りますか!」
「おーけー!」
砂漠地帯とはいえ、所々に甘い木が立ち並び、そんな甘い木に囲まれた小さなオアシスのような池がアッチにも、コッチにもある。
他には、エジプトの階段ピラミッドほどの大きさで高さの岩山が、アッチにも、コッチにもある。
実はここは、『砂漠のダンジョン群』であり、小規模のダンジョンが数多くある。
勿論、殆どが踏破されてはいるが、まだ全てのダンジョンは生きており、アース・ドラゴンやツノエリケラトプスの生息地であり砂漠でなければ冒険者達の人気なダンジョン群となっていたであろう。
なにせ、あまりにも並の冒険者達にへ太刀打ちできないレベルの魔獣や魔物が多く生息する地域なので、今日は他の冒険者達の姿を見る事はなかった。
空には、小型のワイバーンのような空飛ぶ魔獣が沢山居るが、ロプロプを警戒してか全く襲って来ない。
他には、オアシスに水を飲みに来ている、小中型の草食恐竜みたいな魔獣もウジャウジャ居る。
オアシスと言っても、テニスコートの半分ほどの小さなものから、野球グラウンドほどの大きなものまで。
よく水が干上がらないものだな。
驚いたのは、こんなクソ暑い砂漠にも、スライムが沢山居る事だ。
『森の掃除屋』と呼びれるスライムが、なぜこんな所に?とは思うが、ここは異世界。
地球の常識で考えてはいけない。
考え悩むだけ無駄だ。
しかし、ドデカい魔獣達が目立つ。
まるで恐竜時代にタイムスリップしたかのようだ。
こんな景色、地球では絶対に見られない流石は異世界。
地球の常識は通用しない、このムトランティア。
まったくもって、改めて不思議な世界だと思った。
そんな小さなオアシスの1つに、ツノエリケラトプスや、巨大なワニに似た怪物がワラワラと集まってる。
どうやら、動物達の水飲み場のようだ。
常に40℃を超える高温の砂漠とはいえ、オアシスの周りには甘い木やヤシの木のような木や芝生のような草が沢山茂るように生えているので、生き物にとっては水にも食べ物にも恵まれている。
魔獣にとって繁殖地になる訳だ。
巨大で強力な魔獣さえ居なければ、沢山の人達で賑わったていただろう。
魔獣達はみんな、水を飲んでいるため無防備だ。
アース・ドラゴンは、そんな魔物達を餌にしているのか。
静かに餌とする魔獣達に、背を低くして後ろからジワジワと近付いている。
あんな巨大な図体では、バレバレばとはお思うのだが。
アース・ドラゴン討伐の目的は、その頑丈な素材だ。
鱗状の皮膚はとても硬く、防具に最適で人気が高い!
だが、アクアマリン級以上の冒険者が圧倒的に少ないこの世界では、ドラゴン級の素材なんて滅多に手に入らない。
もしアース・ドラゴンを仕留めたら、肉も素材も高値で売れるだろう。
しかし見た目は、砂漠に適応した保護色なのか?黄土色した前足のデカい、まんまティラノサウルス!
恐竜じゃん!! 獣脚類じゃん! でけぇ!!
すんげぇえぇえぇえぇ~~~!!
ロンデルやロプロプやロキシーには、非現実感があったからか恐怖心など抱かなかったが、アース・ドラゴンは、ヤバい!!
大見栄切って飛び出して来た手前、ちょっとビビって恥ずかしかった。
【恐怖耐性Lv5】があるので、一瞬で恐怖感は萎えたが、ナディーはダメだ。
アース・ドラゴンを見て、ガタガタ震えていた。
そりゃそうだろう。
それが当たり前の反応だよな。
ナディーにも、【恐怖耐性】を与えておけば良かったと今更ながら後悔した。
いやいや、今だって遅くはない。
トロは、ナディーに【恐怖耐性を覚える豆】を10個食べさせた。
「モグモグモグ・・・」
「・・・・・・どうだ?
恐怖を感じたら発動するはずなのだが・・・」
「あっ・・・なんだか急に落ち着いたわ!」
「そうか・・・すまない! 軽率だった!」
「うぅん! ありがとう! でももう大丈夫よ!」
「そうか・・・だが、これは予想以上だったな
あんなにデカイ奴だったとは・・・」
「うん・・・それで、どうするの?」
「ちょっと待ってくれ ステータスを見てみる」
「う、うん!」
■===========■
・⋯━☞STATUS☜━⋯・
■===========■
名前 アース・ドラゴン
性別 雄
年齢 24
種族 獣脚魔獣
・⋯━━☆★☆━━⋯・
状態
【健康】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
LV 525
HP 5521
MP 36
STR 450
ATK 479
DEF 510
DEX 19
INT 19
SPD 68
LUK 14
EXP 9022697
・⋯━━☆★☆━━⋯・
習得魔法
・⋯━━☆★☆━━⋯・
習得スキル
【噛み付きLv5】【踏み付けLv5】【引っ掻きLv4】【尻尾攻撃Lv3】【威嚇Lv5】【睨み付けLv5】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
称号
・⋯━━☆★☆━━⋯・
■===========■
「ほおお・・・ロンデルやロプロプに匹敵するのか」
「え? そうなの?」
「うん! 先ず、縛りスキルが有効な距離まで近付かなきゃいけない」
「それって、どれくらいなの?」
「10m・・・くらいかな」
「近っ!! できるの?! 大丈夫?」
「ロンデルとロプロプに気を向かせば、大丈夫だろ!」
「そう? 本当に大丈夫?」
「ああ 任せて!」
「う、うん! 任せたわ!」
「あっと! その前に・・・」
「・・・???」
トロは、異空間収納内で、【隠密を覚える豆】を作った!
種生成→栽培→収穫で、100個以上の豆ができた!
その豆を、1人に10個ずつ食べさせた。
みんなそれぞれに、【隠密Lv4】がスキルに追加された!
「この【隠密スキル】は、敵に見付かりたくないときに有効なんだ
「隠密」と発言するか念じるだけで発動するからね!」
「なるほど、すごいわね! ありがとう!!」
「これは有り難いね!「良きかなですな!」
「私みたいなゴーレムでも効くの?」
「勿論!」
「まったく便利なスキルを貰ったぜ!」
「アタイ達に、ピッタリなスキルじゃね?」
「じゃあ早速、行動開始だ!!」
「「「「「隠密!!」」」」」
「「「隠密!!」」」
フッ・・・
トロ達は、【隠密スキル】を発動させて、気配を消した!
アース・ドラゴンまでの距離は、およそ50m。
こんなに離れていても、アース・ドラゴンの大きさには圧倒される。
【茨の縛り】と、【御用だ!】をダブルで発動したなら、きっとアース・ドラゴンだって動けなくできるだろう。
それでもダメなら、【鋼の鎖の楔縛り】使えば大丈夫だろう。
「俺がそっと近付いて、【全ステータス弱化魔法】で奴を弱体化させたら、【茨の縛り】と【御用だ!】を発動する
奴を縛り上げたら俺が合図を出すから、みんな一斉に攻撃!
集中的に、『首』を狙ってくれ!
出血多量で弱化させる狙いだ!
【全ステータス弱化魔法】で、きっと攻撃は通るはずだから!」
「「「了解!!」」」
「「「了解!!」」」
「あと、奴は動きは遅いが、尻尾には気を付けろ!
尻尾だけは、縛りのスキルは効果が無いからな
縛り上げたまんまでも、ぶん回してくるはずだから」
「「「了解!!」」」
「「「了解!!」」」
「じゃあ・・・・・・・・・行くぞっ!!」
「「「!!」」」
「「「!!」」」
トロは、忍足でアース・ドラゴンに近付く。
少し離れて、他のメンバー達も忍足で追ってくる。
そそそそそそそそそそそそ・・・
「・・・もう少しだ もう少し近付けたら・・・」
・・・と、思った瞬間!
アース・ドラゴンは、狙い定めたツノエリケラトプスに襲いかかった!!
ドスドスドスドスッ!
「グワオッ!!」
ガブッ!!
「ケェアアアッ!」
「えっ?! なっ?! ちょっ(焦)」
トロが、【全ステータス弱化魔法】を発動有効範囲にまでアース・ドラゴンに近づいたと思ったら、奴はツノエリケラトプスの襟の後ろの首にガブッ!
ツノエリケラトプスも負けじと、3本の角で応戦!
ツノエリケラトプスの後ろ首から大量の流血が!
そして、ツノエリケラトプスの角でやられたアース・ドラゴンの腹にも流血が!
しかも!
アース・ドラゴンは、『回復魔人』と呼ばれる、『回復魔法が使える魔人』を従えている!
傷を負ったアース・ドラゴンに、回復魔人が回復魔法をアース・ドラゴンに施す!
あっちゃあ! これはイカン!
あんな奴が居たのか!?
これは想定外だ!!
上手くいけば、魔獣達で同士討ちしないかな?
なんて甘い事も考えたが、全身真っ黒ローブを纏った『回復魔人』がひょっこり出てきたお陰で、状況が一変した!
仮に、アース・ドラゴンがツノエリケラトプスを倒したとして、次に俺達との一騎打ちとなったとしても、先に回復魔人をやってけなきゃ、どうにもならない!
そこで思い付いたのは・・・
「ナディー!」
「な、なあに?」
「アース・ドラゴンと、ツノエリケラトプスが戦ってる内に、俺が黒い奴を縛って弱らせるから、テイムしてみて!」
「えっ?! テイムするの?! 私がっ???」
「そっ! あの黒いの、回復系の魔物らしいから、テイムできたら絶対にお得だよ!」
「?!・・・・・・そうね! そうかもね!」
「よおし! 話しは決まったな!
じゃあ、黒い奴を縛って弱らせるから、合図をしたテイムしてね!」
「おーけぇーい!!」
急展開な感じになっちゃったが、後々邪魔になるだろう存在を味方にできるならベリーグゥ!じゃん!
トロは、回復魔人がアース・ドラゴンから少し離れたのを見逃さず、「御用だ!」を発動!!
「御用だ!」
パシ━━━ッ!
「ギャパッ!?」
回復魔人は、ミノムシみたいな姿に!
続けてトロは、【全ステータス弱化魔法】を発動!
「全ステータス弱化!!」
キュウゥゥゥゥゥゥゥ・・・ン・・・
グッタリ・・・
全ステータス弱化魔法をかけられた回復魔人は、釣り糸が切れたかのように、大地にパタリと倒れた!
「今だナディー!」
「?!・・・テイム!!」
キュルンキュルンキュルン・・・
パシッ!!
『回復魔人のテイムに成功しました!』
「やった! やったわトロ!!
黒い奴のティムに成功したわー!!」
「でかしたぞ! ナディー!!」
「きゃはっ♪」
なんと!
ナディーは、回復魔人のティムに、ぶっつけ本番で成功してしまった!
すげぇ! すげぇぞナディー!!
ならお次は、真打!大トリ!本家本元!!
アース・ドラゴンをやっつける番だ!
・・・と、思いきや(汗)
「グルルルルルル・・・」
「「はうわっ?!」」
なんとアース・ドラゴンは、ツノエリケラトプスへの攻撃を止め、トロ達に視線を向けた!
ツノエリケラトプスは猛ダッシュで逃げてった!
それに続くように、他の魔獣達もワラワラと逃げて行った。
あっ・・・コレ、ヤバくね!?
トロとナディーは、凍り付いた・・・
回復魔人をテイムできたナディー。
歓喜にはしゃぐナディーだったが、次の瞬間!
思考停止したのだった。
チートとは言え、思い通りにいかないのが、異世界系のセオリーですよね。




