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第22話 「勇者とBBQ」




••✼••トスター大草原••✼••



「ふぎゃあ━━━!!」


「クワアアアアアア━━━!!」


 ズガン! ドガッ!! ドバッ!! バキッ!!


「っはぁー! すごいなロンデルとロプロプ!

 いったい、どういう風の吹き回しだ?」

 ポカーンとして言うトロ。


「何か、鬱憤(うっぷん)でも溜まってるのかな?」

 まるでロンデルとロプロプの気持ちが解るかのように言うロキシー。


「え? なんで?」


「さあ・・・?」



 確かに、ロンデルとロプロプは、まるで鬱憤でも溜まってるのか?と思うぼとに、大暴れだった。

 この地域では最強とされている、ツノエリケラトプス(サイの数倍の大きさの恐竜のような怪物)でさえ、一撃で倒す暴れっぷりだ。



「しかし、ロンデルとロプロプ・・・

 人の姿でも、あんなに強かったのか(汗)」


「すごいよねぇ!

 私も、もっと強くなれるように、頑張んなきゃ!」


「はは・・・置いてかれそう(汗)

 ってか既にロキシーにも負けているがな・・・」



 ロンデルとロプロプの鬱憤ばらしはしばらく続いたが、それでも不完全燃焼の様だった。



「おっ! やっと戻って来たか」


「ああ~~~! 暴れ足りないなあっ!」

 ポキッ! ポキポキッ!



 首を左右に曲げて、首を鳴らすロンデル。



「まったくですな! もっと骨のある奴は居ないもんですかな!」



 このままドラゴンでも倒しそうな雰囲気のロプロプ。



「何を言ってんだよ、お前達・・・やり過ぎだ!

 なんなんだよ、あの死体の山は・・・」


「「はい?」」



 ロンデルとロプロプの後ろには、ツノエリケラトプスの(しかばね)の山、死屍(しし)累塁(るいるい)たる有様だった・・・



「こんな有様、まず見る事なんて有り得ないぞ?」


「凄いですね・・・」


「あんなの、ただ図体がデカイだけで、恐るるに足らず」


「ふむ ちょっと太いだけのトカゲですな!」


「・・・マジかよ(汗)」



 倒したツノエリケラトプスは、全部で17体だった。

 よくもまあ、こんなに・・・(汗)

 改めて、ロンデルとロプロプの強さを知ることとなったトロだった。

 もし、変身を解いた場合なら、いったいどうなるんだろか?

 我が従魔ながらも、ゾォ・・・っとした。


 トロは、全てのツノエリケラトプスをマジック・バッグに仕舞うと、【獲物自動解体】スキルで、チャッチャと解体した。

 どれもこれも殴り殺されたので、素材としては良好。

 滅多に捕れない獲物なので、肉としても珍味として人気が高い。

 まだ食べた事が無いので、少し食べてみようかな?


 トロは、【種生成】スキルでレンガと、網と、炭と、トングと、焼肉のタレと、皿と、コップと、箸用トングと、ビールをを作り出した。

 なぜかビールは、樽で出来ていた。

 チラッと樽ビールをイメージしたせいだろうか。

 また、焼肉のタレは、イメージした銘柄だった。

 こんなの、この世界の人に見せられないなぁ・・・

 万が一、日本から来た転移者や召喚者や転生者が居たなら、俺が日本から来た、もしくは召喚された者だとバレてしまう。

 慌てて、銘柄のシールを剥がした。

 

 そして、レンガでBBQ用の(かまど)を組み立てた。

 日本に居る時、BBQなんてやった事などなかったが、知識だけでも、なんとかなるもんだな。


 そして、最小力にてファイヤー・ボールを発動し炭に火をおこし、頃合いを見て、ツノエリケラトプスの肉を網の上で食べやすい大きさに切り刻み焼いていった。



「ご主人様! もういいですか? もういいですか?」


「あははっ! 気が早いなロンデル!

 ま、本来生肉を食べてるんだから別に構わないが、一度完全に火を通してタレを付けて食べてみなよ?

 きっと、気に入ると思うぞ!」


「ほおお! 良い匂いだね!」


「それは楽しみですな!」


「コレ、食べるの?」


「うん? ああ、そうか・・・

 ゴーレムは普通は食べたりしないんだ?」


「うん! 何かを食べるのは初めて!」


「そうかそうか! ん、焼けたぞ! ほれ!」

 トングで挟んで、ロキシーの持つ、タレの入れた皿に焼けた肉を分けてあげる。



「わあ・・・」


「「ああああ~~~!!」」


「うるさいなあ!

 ちゃんとロンデルとロプロプにもやるから、ほら!」


「「おおおおおお~~~!!」」


「はい! 焼肉のタレ!」

 肉の上に、更にタレをかけてあげる。


「「おおおおっ!!」」


「もう、食べていいの?」


「うむ 食べてみな!」


「「いただきまーす!」」


「おう! 召し上がれ

 ほら、ロキシーも食べてみな?」


「う、うん・・・食べます」


「ロキシー? 食べるときは、ロンデルとロプロプのように、『いただきます』と言ってから食べるんだぞ?」


「へえ~そうなのね? いただきます!」


「うむ! 召し上がれ!」


 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・


「「うんまあ━━━━━━いっ!!」」


「あ、とっても綺麗な味!」


「うむ それを、『美味しい』って言うんだよ」


「!・・・美味しい?」


「そ! 美味しい」


「うん 美味しい!」


「そうかそうか! うんうん!

 はむっ! うむうむうむ・・・うんんんっ!!

 本当に美味しいなコレ?! なんだあコレ?!

 鱗のような硬い皮を食えないようだが、中身は硬い牛肉のようで、すぐ内側は鶏のもも肉のようで、内側は鶏肉の胸肉のようだ!

 また、脂の乗ったところは牛脂みたいで、意外と味が濃くて実に美味い!!

 こんな高級な美味い肉を、財布を気にしないで食えるなんて最高だなあ!」



 ツノエリケラトプスは、マジで美味かった!

 強敵なので、高ランク冒険者が居ないときには入手困難な肉で、滅多に出回らないとされる、これこそが!高級ツノエリケラトプスの肉!


 また、ビールを飲みながらの焼肉は最高だ!

 肉の油っこさを洗い流すように冷たいビールをがぶ飲みすると、スカッと爽やか!またまた食欲が湧き出る!

 冷たいビールが飲みたかったので、【超冷却】で冷やしたら、コップごと凍ってしまった。

 なので、宙に浮かせたウオーター・ボールに超冷却を施すと、大きな氷の塊となって、ドスん!と落ちた。

 その氷を叩き割って、樽が埋まるほど山のように敷き詰めて、注ぎ口だけ出してビールを冷やしたのだが、それがまた正解だった。

 ビールはキンキンに冷えて、実に良い!

 ロンデルとロプロプにもビールを飲ませてみたら、思いの外気に入った様子だった。

 ロキシーには、まだ子供なので飲ませなかったが、めちゃくちゃ飲みたそうだった。

 すまん・・・まだ出来上がってない子供の身体には、アルコールは害悪でしかないのだ。

 どうか、堪えてくれ。

 ゴーレムなのだから、気にするところじゃないのかも知れないが・・・


 しかし、ツノエリケラトプスの肉は最高だな!

 これは、今後も自分達が食べる分は絶対に残しておかないとダメだな。

 全部、卸してしまうのは勿体ない!


 そして、炭も火の勢いも乏しくなり・・・



「はぁー! 食った! 食った!

 もお〜食えん!! 1人で1キロは食べたかな?」


「ふっ・・・甘いですなご主人様?」


「はあん? ってか、なんだその腹わっ!!」


「まだまだ食べられそうですが、今日はこれくらいにしておきましょう!」


「ぷわぁはっ! ロンデル!

 お前も、なんだよその腹っ!」



 ロンデルとロプロプの腹は、まるで臨月を迎えたかのように、パンパンに膨れ上がっていた。

 普通の人なら、そんなになるまで食べたら死ぬぞ!

 いったい、何キロ食べたんだ?

 2人とも、軽く10キロは食べてるだろ!

 なんて思っていたのだが、なぜかロンデルとロプロプの腹は、みるみる内に引っ込んでいった!

 なんだこりゃ? いったい、どんな腹をしてるんだ?

 こんなの、人間じゃねえ!!

 って、コイツら人間じゃなかったな・・・(汗)


 などと、考えていたら・・・



「ちょっと、すまない!」


「え?」


「「何者だっ!!」」

 戦闘態勢に入るロンデルとロプロプ。


「ひっ!! コイツキライ!!」

 なぜか恐れるロキシー。


「あ!・・・」



 不意に後ろから声を掛けられたが、まったく気配を感じなかった!

 何者だコイツら?!

 と、思ったのも束の間。

 なんと、ソイツらは、トロと一緒にメルセンベルグ国王に召喚された、勇者御一行だった。

 ステータスを覗いてみたら、勇者、聖騎士、プリースト、大魔道士・・・間違いない。

 会いたくない奴らと、出会ってしまったな。

 気付かなかったのは、余りにもレベルが低かったからか?




■===========■

・⋯━☞STATUS☜━⋯・

■===========■

名前 ハヤト

性別 男

年齢 17

種族 人族

職業 勇者

・⋯━━☆★☆━━⋯・

状態

【健康】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

LV 99

HP 1000(+1000⬆ )

MP 100(+100⬆)

STR 99(+90⬆ )

ATK 99(+90⬆ )

DEF 99(+90⬆ )

DEX 99(+90⬆ )

INT 99(+90⬆ )

MAT 99(+90⬆ )

SPD 99(+90⬆ )

LUK 99(+90⬆ )

EXP 2160443

・⋯━━☆★☆━━⋯・

習得魔法

【プチ・ヒール】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

習得スキル

【スラッシュ】【斬鉄】【乱れ突き】【力溜め】【心頭滅却】【庇い】【アルティメット・スラッシュ】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

装備によるスキル

【MP回復(1/5秒)】【HP回復(1/5秒)】【状態異常回復】【全ステータス+100%】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

称号

【召喚された勇者】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

資格

・⋯━━☆★☆━━⋯・

■===========■




■===========■

・⋯━☞STATUS☜━⋯・

■===========■

名前 セイヤ

性別 男

年齢 17

種族 人族

職業 聖騎士

・⋯━━☆★☆━━⋯・

状態

【健康】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

LV 99

HP 1000(+1000⬆)

MP 300(+300⬆ )

STR 99(+99⬆)

ATK 99(+99⬆)

DEF 99(+99⬆)

DEX 99(+99⬆)

INT 99(+99⬆)

MAT 99(+99⬆)

SPD 99(+99⬆)

LUK 99(+99⬆)

EXP 2095235

・⋯━━☆★☆━━⋯・

習得魔法

【プチ・ヒール】【ヒール】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

習得スキル

【ダブル・スラッシュ】【ピュリフィケーション・スラッシュ】【サンダー・スラッシュ】【サンダー・ストリーム・スラッシュ】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

装備によるスキル

【MP回復(1/5秒)】【HP回復(1/5秒)】【状態異常回復】【全ステータス+100%】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

称号

【召喚された聖騎士】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

資格

【原動機付自転車】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

■===========■




■===========■

・⋯━☞STATUS☜━⋯・

■===========■

名前 テツジ

性別 男

年齢 17

種族 人族

職業 プリースト

・⋯━━☆★☆━━⋯・

状態

【健康】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

LV 99

HP 200(+200⬆ )

MP 500(+500⬆ )

STR 59(+59⬆)

ATK 59(+59⬆)

DEF 59(+59⬆)

DEX 59(+59⬆)

INT 99(+99⬆)

MAT 99(+99⬆)

SPD 59(+59⬆)

LUK 99(+99⬆)

EXP 2089521

・⋯━━☆★☆━━⋯・

習得魔法

【プチ・ヒール】【ヒール】【ハイ・ヒール】【エクストラ・ヒール】【ピュリフィケーション】【ホーリーショット】【継続回復】【悪霊退散】【アンチ・カース】【蘇生】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

習得スキル

【即死抵抗】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

装備によるスキル

【MP回復(1/5秒)】【HP回復(1/5秒)】【状態異常回復】【全ステータス+100%】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

称号

【召喚されたプリースト】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

資格

・⋯━━☆★☆━━⋯・

■===========■




■===========■

・⋯━☞STATUS☜━⋯・

■===========■

名前 ミヨ

性別 男

年齢 17

種族 人族

職業 大魔道士

・⋯━━☆★☆━━⋯・

状態

【健康】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

LV 99

HP 200(+200⬆ )

MP 800(+800⬆ )

STR 29(+29⬆)

ATK 29(+29⬆)

DEF 29(+29⬆)

DEX 29(+29⬆)

INT 99(+99⬆)

MAT 99(+99⬆)

SPD 29(+29⬆)

LUK 99(+99⬆)

EXP 2195863

・⋯━━☆★☆━━⋯・

習得魔法

【パワー・アップ】【ディフェンス・アップ】【スピード・アップ】【パワー・ダウン】【ディフェンス・ダウン】【スピード・ダウン】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

習得スキル

【全回復魔法薬精製】【全回復魔法】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

装備によるスキル

【MP回復(1/5秒)】【HP回復(1/5秒)】【状態異常回復】【全ステータス+100%】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

称号

【召喚された大魔道士】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

資格

・⋯━━☆★☆━━⋯・

■===========■



 なんだコイツら・・・

 未だに、レベル99止まりか?

 もしかして、【限界突破】スキルの習得方法を知らないのか?

 経験値からして、とっくにレベル200を超えていても不思議じゃないのに・・・

 正直、関わりたくない奴らだが、今の俺は女の子だから、コイツらは俺の事を、一緒に召喚されたアラフィフのオッサンだとは気付いていないはず。

 それでもまあ、同じ召喚されたよしみだ。

 アドバイスくらいは、してやろうか。


 ・・・と、思った。



「なに? オジサン達?」


「「「オジサンじゃねぇーしっ!!」」」


「私も、オバサンじゃないかね!」


「お・・・おお・・・」



 誰もそんな事、言ってないし・・・

 今の俺は、アラフィフのオッサンじゃなく、見た目はJCなので、下手な事を言って悟られないように、あえて「オジサン」って言っただけなのだが。

 思いの外彼らには、ダメージが大きかったようだ。

 まあ、高校生が中学生女子にオジサン呼ばわりされたら、そりゃあダメージは大きいだろうな。



「それで、何か用ですか?」


「あ! そうだった!

 実は俺達、昨日から何も食ってなくてさあ

 もし良かったら、少し分けてもらえないかなって」


「うん! BBQだなんて久しぶり!」


「遠くから、BBQの匂いに誘われたよ!」


「ごめんね突然!

 お姉さん達、今本当に困ってるの

 まだお肉が残ってるのなら、食べさせてくれないかな~って(汗)」



「BBQ」なんて、この世界では言わないから、俺が「BBQ」だなんて発言はできないな。

 日本でしか使わない単語は、絶対に言ってはいけない。

 じゃなきゃ、俺の素性がバレる可能性がある。

 一緒に召喚されたアラフィフのオッサンだとは気付かれないにしても、同じ同郷だと思われてもつまらない。

 だからわざと、『BBQ』を知らないフリをした。




「ばーべきゅーってなんですか?」


「ああ、すまない!

 俺達の故郷では、お嬢ちゃんのように肉を焼いて食べる食事法を、BBQ(バーベキュー)って呼ぶんだよ」


「へぇ~~~そうなんですね?

 オジサン達、外国の人なのね?」


「「「だからオジサンじゃねぇしっ!!」」」


「ふぅん?」

 あざとく首を傾げて、カマトトぶるトロ。


「やだなにこの娘!? 可愛い~~~♡」


「おぶっ!! んんんん~~~(汗)」



 勇者御一行の大魔道士のミヨは、トロを頭から被りつくように抱き締める!

 するとロンデル達が、慌ててトロを助けようとする。



「貴様っ!! 私のご主人様に何をする!!」


「ご主人様から、離れるのです!!」


「やめて! ご主人様を虐めないで!!」


「え? なに? ご主人様ぁ?」


「んんん~~~! んんんもおお~~~!!」



 トロは慌てて手をブンブン振って、ロンデル達を制する。



「ぷわあっは!!」


「ああ~~~ごめんねえ!

 貴女が、あんまり可愛いから(汗)」


「いえっ・・・ゲホゲホッ! 大丈夫です」


「ところで、ご主人様って、どういう事だい?」


「あ、はい この娘達は私の従魔なんです!」


「「「「従魔あっ?!」」」」


「こんな別嬪さんが従魔?! なんて羨ましい!」


「ちょっと!」


「本当だぜ! 人にクリソツな魔獣が居たんだな?!」


「ちょっと、アンタ達!!」


「俺も、こんな美人な従魔が欲しい!!

 これから探しに行かないか?」


「さっきから何言ってんのよバカっ!!」



 この、大魔道士のお嬢さん・・・

 なんだか男ばかりの中での女の子1人、苦労していそうだな。 

 同い年なのに、「(あね)さん要素」が強そう。

 大魔道士のお嬢さんだって、特別美人って訳じゃないけど、結構可愛い娘だとは思うのだが。

 恋愛事情の1つくらいあっても不思議じゃないが、異世界に自分の意思とは関係なく勝手に召喚されて、勇者として祭り上げられて、魔物と戦い強くなる事ばかりに必死になってて、恋愛どころじゃないんだろうな。

 今の内はいいだろう。

 男共が、異世界をゲーム感覚で堪能している内は。

 だがこの先、この異世界で好きな異性ができなかったら?

 ずっと、元世へ帰る事を目指すなら、彼らが彼女1人に固執する可能性は低いかも知れないが、もしこの異世界から元世へ戻れないと知ったら?

 彼女は元世の仲間の彼らを頼るのは必至。

 そうなると、彼らもきっと彼女を取り合う事になるのは想像に難くない。

 トロは、勇者御一行の野郎共よりも、女の子1人の大魔道士ミヨが、すごく可哀想に思えてきた。



「ええっと・・・お腹が空いてるんですよね?

 まだお肉は残っていますから、良かったら食べますか?」


「「「おおおお━━━!!」」」


「ごめんね? ありがとう!」




 こうしてトロは、勇者御一行達に、肉を食べさせてあげた。

 だが、焼肉のタレは、トロの素性がバレそうなので、塩だけの味付けで食べさせてやった。

 それでも勇者御一行達は、美味しそうにバクバク食べていた。


 一通り食べ尽くした勇者御一行達は、お礼にとお金を渡そうとするが、トロはお金の受け取りを断った。

 別にお金が欲しくて、食べさせてやった訳じゃないし。

 トロは、勇者召喚に巻き込まれた被害者ではあるが、勇者御一行の彼らこそが、本当の被害者だと思った。

 なにせトロは、結構楽しく異世界生活を堪能している。

 でも勇者御一行達は、元世へ帰るためには、魔王を倒さなきないけないとされている。

 やりたくもない事を押し付けられて、本当に可哀想だと思った。

 だから、【限界突破】について、教えてあげた。

 それなりに経験値を稼いでいるのに、レベルが99でカンスト状態であり、その原因が【限界突破】スキルを習得していないのがステータスを見て明らかだったので。

 そして、勇者御一行達は、異世界召喚のテンプレなはずのユニーク・スキル、「異空間収納」を持っていなかったので、勇者御一行達一人一人に、「マジック・バッグ」を、汚れの不良品として破格な格安で提供した。

【ステータス】スキルは、トロの素性がバレる可能性があるので、譲らなかった。


 すまん! どうか、堪えてくれ!


 そしてトロ達は、勇者御一行達と別れた。


 トロは、最弱でウォーター・ボールで(かまど)を洗い流し、更に浄化魔法で綺麗にすると、マジック・バッグに納めた。



「さて! そろそろトスターに戻るか!」


「「はい! ご主人様!」」


「あ、はい!」



 こうしてトロ達は、トスターへと向かった。




久しぶりに、勇者御一行達と再会したトロ。

でも、今のトロはアラフィフのオッサンではなく、見た目はJC。

勇者ご主人様達は、トロが同郷の召喚者とは気付かなかった。

ホッとするトロ。

しかし、勇者達は【限界突破】スキルを習得しておらず、未だにレベル99のまんま。

そんな勇者達に、トロは少しの施しを与えるのだった。

次に会う時は、立派な勇者になっている事を期待して。

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