第13話 「なんちゃって料理やってみた」
・⋯━☞翌朝☜━⋯・
••✼••サイチの宿屋の食堂VIP室••✼••
「おはよう お嬢さん達! 昨日の疲れは取れたかい?」
「ああ、はい・・・まあ♡」
お肌がツルペカの超元気で超ご満悦なトロだった。
「「あ¨あ¨ぁぁぁ・・・・・・」」
まだ、オネムで腰がガクガクなロンデルとロプロプ。
「なら、良かった!
すぐに朝食を用意するからね!」
「はーい!」
「「うつらうつら・・・」」
「おい、お前達 どうしたんだ? なんだか元気が無いじゃないか?」
「だって、ご主人様が、もっともっとって言うから・・・」
「ぴゃあ!! そ、そんな事・・・い、今言わなくても(汗)」
「まったくですな ご主人様の淫乱性には、驚きましたぞ」
「いやぁあぁあぁあぁ~やめてくれぇ~!!」
「なんだいなんだい! いきなり大声なんてだして!!」
「はうっ!! い、いあえあえっ! なんっなんでもありません!!」
もう、顔の中に心臓があるかのように、顔面全体に脈打つトロ。
自分で見なくても、顔が赤くなっているのを自覚する。
なんとかせねば・・・と思うが、何も思い浮かばない。
何となく、ステータスを確認してみた。
■===========■
・⋯━☞STATUS☜━⋯・
■===========■
名前 トロ
性別 女
年齢 54
種族 人族
職業 種生成術師
・⋯━━☆★☆━━⋯・
LV 14
HP 113
MP 33
STR 26
ATK 28
DEF 22
DEX 17
INT 63
MAT 63
SPD 18
LUK 14
EXP 2163
・⋯━━☆★☆━━⋯・
習得魔法
【ヒールLv3】【種生成Lv4】【ファイヤー・ボールLv4】【ウォーター・ボールLv3】【エアー・カッターLv3】【アース・ニードルLv3】【アース・ウォールLv3】【テレポーテーションLv2】【全ステータス強化魔法Lv2】×5【全ステータス弱化魔法Lv2】【光魔法Lv4(ライト)(ライト・セイバー)】【状態異常回復魔法Lv3】【浄化魔法Lv5】【付与魔法Lv4】【変身Lv5】【誘導ファイヤー・ボールLv4】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
習得スキル
【ステータス】【鑑定Lv3】【異空間収納∞】【剣術Lv3】【熱帯性Lv5】【冷帯性Lv4】【物理帯性Lv4】【魔法帯性Lv4】【テイムLv3】【索敵Lv3】【恐怖耐性Lv3】【麻痺耐性Lv2】【呪い耐性Lv2】【魅了耐性Lv3】【混乱耐性Lv2】【隷属耐性Lv2】【石化耐性Lv2】【即死耐性Lv2】【幻覚耐性Lv2】【洗脳耐性Lv2】【毒耐性Lv2】【獲物自動解体Lv6】【威嚇Lv4】【威圧Lv4】【茨の縛りLv4】【御用だ!Lv4】【地図Lv4】【言語識字理解Lv4】【魅了Lv3】【淫乱Lv1】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
称号
【召喚巻き込まれ異世界人】【賢者】【従魔ロンデルの主人】【従魔ロプロプの主人】【色女】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
資格
【普通自動車】【原動機付自転車】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
従魔
●ロンデル
【ワイルド・フォレスト・キャット】
●ロプロプ
【ファイヤー・ナパーム・ワイバーン】
■===========■
「なんだこりゃあ!?」
「どうしました ご主人様!?」
「何事ですか!?」
「け、経験値がバカみたいに上がってるぅ!!
レベルは確か8だったのに!」
「はあっ!?「なんと?!」
「し、しかも・・・スキルに、【魅了】と、【淫乱】???
はあ?! そんな・・・淫乱だなんて(泣)
称号には、【色女】???
えぇえぇえぇえぇえぇ~~~(焦)」
「まあ、そうでしょうね?
従魔達と交尾する事によって経験知が上がったのでしょう!」
「ぬわにぃ!?」
「うむ 間違いないでしょうな!
そもそも交尾とは、非常に力も体力も消耗するもの!
経験値がバカみたいに上がって当然!」
「ちょっ! お前達! 悪ふざけもいい加減に・・・」
「「ふざけていません! ご主人様は淫乱です!」」
「わっ! ばかっ!!」
「はあ? 淫乱だってぇ?」
「ちっ、違います! 違いますぅ!!」
「「「「ザワザワ・・・・」」」」
「ぐうぅ・・・・」
そうか! なるほど!!
ロンデルとロプロプと交尾すると、経験値が爆上がりするのか!
これは良い事を聞いた!
じゃあ、もっと励まなきゃ!
って、ちがあ━━━うっ!!
いかん! 魔獣のコイツらにとって、俺の羞恥心なんて認識できないはず。
ここは、他の話題に振るしかない!
しかしロンデルとロプロプの声が大き過ぎる!
トロ達が居る場所は、大食堂とは別室のVIPルームみたいなもの。
女将が、人に顔を晒さない様にとの配慮で、この部屋で食事をとらせてもらっている。
とはいえ、あまり大声を出すと、他の客に聞こえてしまう。
「ロンデル、ロプロプ!
あまり大きな声を出すなよ!
俺達は、人に見られちゃいけないんだからな」
「「わかりました ご主人様!」」
「だから、声がデカいってえ!!」
「アンタもね!」
「あ、女将さん!!
って、まだ居たんですか?!
す、すみません・・・面倒をかけます」
「あはは 構わないさ」
「きょ、今日のモーニングは何ですか?」
「ああ、オーク肉の腸詰と、オーク肉の塩茹でスープと、あと黒パンだね!」
「朝から重いな・・・(汗)」
マジ思った。
朝からオーク肉三昧かよ。。。
考えただけで、うっぷ!ってなりそうだ。
これも仕方ないこと。
これが、冒険者の多い宿屋の定番メニューである。
シッカリ食べて力を付けて、今日もオークやブル討伐を頑張っておくれ!ってなもんだ。
たとえ肉でも、朝はハムと目玉焼きとパンとコーヒーで良いんだけどな・・・
この世界へ来てからというもの、軽い食事や、サラダなどももちろん見た事がない。
いや、これこそが、この世界の普通の食事なのかも知れない。
肉たっぷりの脂こってりメニューは好きだが、朝からはやめて欲しい。
「おい、ロンデル! ロプロプ!
しっかりしろよ?」
「「ふぁあ~~~~~~い」」
「あははっ!
昨夜はお楽しみだったようだねぇ?」
「ひやあっ?!
えっと、が、ガールズトークってヤツですよ!」
「へえ~そうかい!
んま、若いってのは良いねえ!」
「・・・・・・///」
どうも宿屋の女将の言い方・・・
もうパレバレだったのかも知れないが、ここは平常心を装って・・・
「と、ところで、冒険者ギルドからは、何か通達は?」
「んやあ、まだ何も~」
「そうですか」
「大人しく」
と言う事は、
「宿屋から出るな」
って、事だよな。
さて、どのくらいの日数を缶詰にされる事やら・・・
って言うか、何時になったら部屋を出て行くんだこの人・・・
だが、妙だった。
女将は、まるで注文を取る体にメモっているが、なにやらまるで報告書でも書いているかの様な・・・?
この人も、食えん人だ。
気を付ける事に越したことはない。
だが、本当に良くしてくれる人でもある
敵にさえ回さなければ、頼りになる人には違いない。
大人しくしておこう。
••✼••サイチ冒険者ギルド••✼••
・⋯━☞ギルド長室☜━⋯・
ギルド長と、受付嬢長が、誰かの事を話していた。
「実に、不可思議な娘だ・・・」
「まったくです」
「しかし、年齢54歳にして冒険者でもなくテイマーとはな
エルフの血筋か何か?なのだろうな
エルフは謎が多いからな!
しかし、あんな恐ろしい従魔を2体も従えるとは・・・」
「はい・・・」
「しかも、レベルたったの8だぞ?
ノービス・クラスよりも低いレベルなのに、ネームド級の従魔をどうやってテイムしたのだ?」
「皆目見当も付きません
高ランク冒険者の手を借りたのでしょうか?」
「いやいや、仮に高ランク冒険者の手を借りるにしても、ワイルド・フォレスト・キャットに、ファイヤー・ナパーム・ワイバーンだ!
アクアマリン級以上の強者でなきゃ無理だぞ!」
「はい・・・」
「それにだな、高ランク冒険者が、わざわざ将来ライバルにも成りかねない奴の手助けなどすると思うか?」
「確かに・・・」
「俺もそうだったが、冒険者なんて奴らは、ライバルを蹴落としてでも、誰よりも強くなりたいと渇望する様な奴らだぞ?
有り得ん!」
「そうですね・・・」
トロの事で混迷していた。
••✼••トスター伯爵家••✼••
「見付けた!」
「では、彼女が?」
「うん そうだね 彼女が欲しい!」
「ですが彼女は、エッセン男爵の婚約者だと」
「いや 彼女自身は、エッセン男爵の嫁になる事を認めていないからね」
「では」
「うん! 頼むよ」
「御意、に御座います」
アンダース・スタンディング・トスター伯爵。
このトスター領の領主。
彼も、トロを嫁に欲しいと狙っている。
••✼••飲み屋街の一角••✼••
「「「「ワイワイガヤガヤ」」」」
「まさか、黒の姉ちゃんと、赤の姉ちゃんが、従魔だったとわなぁ?」
「黒も赤もいいけど、金髪もいいねえ」
「ああ、ぶっ飛んだぜ だが・・・」
「だが、この魔封じの腕輪さえあれば、変身は出来なくなる」
「そりゃあいい!」
「よくそんな物が手に入ったな?」
「メルセンベルグ王国からの流れ物だ
闇ギルドでは、ごく有り触れた代物だそうだぜ」
「へっへ! あの国もヤベぇやあ!」
「俺達3人居るから丁度いいじゃねえか?」
「どれにする? 俺は赤!」
「赤か・・・なら俺は黒!」
「なら俺は金か、悪くない」
オパール級冒険者パーティー、「サンボンノイナズマ」。
トロ達を狙っている。
様々な者達に波紋を広げるトロ。
そんな事など、知る由もないトロだった。
••✼••サイチの宿屋の食堂VIP室••✼••
・⋯━☞午後☜━⋯・
「ぶりえぃっくしょい!! ちきしょう! ぶしゅる!」
「大丈夫ですか、ご主人様?」
「ああ~いや・・・」
「誰か、ご主人様の悪口でも言ってるんでしょうかね?」
一々癇に障る言い方をするロンデル。
「なんでそうなる?!
普通は、『風邪ですか?』って気遣って聞くもんだろ!!
お前は俺が嫌いか? 嫌いなのか!?」
「いえ! 大好きです! 大愛してます!」
「だいあいしてます? 変な表現だなあ?
まあいい、もう少し労わってくれ」
「しっ、失礼しました!
風邪ですか?
お身体を温めてさしあげましょうか?」
そう言ってトロをギュッと抱きしめるロンデル。
「やめろ! こんな朝っぱらから・・・」
「はっ! ご主人様! 夜にします!!」
「ちがあうっ!! まったくもぉ・・・
さぁて、どうすっかなあ?
ギルドからお呼びが来るまで、なんにもする事がねぇなあ~~~」
「そうですねえ」
「・・・うん?」
チラッ・・・チラッ・・・
と、トロを見るロンデル。
そんなロンデルを、愛おしく感じてしまうトロ。
しょうがない奴だな(照)
「まったく・・・しょうがない奴だな?」
「では、やりますか?」
「ぶっ!!」
両手を前に突き出し、『バッチこい!』の姿勢で真面目な顔で言うロンデル。
「このやろ!!」
ポカッ!
「あたっ!」
「TPOを弁えろ!!」
「てぃーぴーおーとは?」
「時と場所と場合って意味だよ!」
「なるほど!!
では、今すぐ2階へ行って・・・」
と言って、トロをお姫様抱っこで抱え上げ、2階へ急ごうとするロンデル。
「ばかっ!」
ポカッ!
「ふぎゃ!」
「いい加減にしろ!! 猿かお前は!?」
「猫ですがなにか?」
「そーじゃない!!
ああもおー! 猿と言っても伝わらないか
このケダモノめ!!」
「ケダモノですがなにか?」
「ああもお━━━おっっっ!!
お前の頭の中には、する事しか無いのか!?」
「私の頭の中には、する事でいっぱいです!」
「!!・・・こぇ~よ、お前・・・(汗)」
「どういたしまして!」
「褒めてねえよ・・・」
「あはははははは!!」
「んな?!「にゃ?!」
「アンタ達、ホントに仲がいいねぇ?」
「はあい! とおってもっ!!」
「いやあぁあぁあぁあぁ~~~!!」
もう、トロとロンデルの仲がバレパレのこの空気。
トロは恥ずかしくて必死に話題を変える。
「あ~~~もぉ~~~退屈だ!
パソコンとか、ゲーム機とか、せめてスマホがあればなぁ~~~」
「ご主人様 その、ぱ・・・なんとか、げー?
とは、何でしょうか?」
「え? ああ~~~(汗)
ええとねえ、俺の故郷にあった娯楽なんだよ
いや、違うか?
でも、間違ってもないよな?」
「はぁ・・・そうですか」
「そう言えば、ロプロプはどうした?」
「はい ロプロプ殿は今、竜人に変身して、ノービス試験パス試合に出場しています」
「はあっ!! なんだってえ?!」
「「「「ザワザワ・・・」」」」
「「!!・・・」」
やっば!
ついつい、大声を出しちまった!
壁に隔たれているとはいえ、板1枚の薄い壁だ。
下手に大声は出せない。
しかしロプロプの奴、いつの間に?
勝手な行動を・・・って、あ!
そう言えば、そんな事言ってたな?
ギルドで聞いたような?
確か、冒険者になる為には、今まで通りの「通常コース」の試験と、新しく設定された「バトルコース」の2コースと、なってるとか?
通常の試験を受け、ノービス冒険者として、薬草などの採集クエストから地道に始めるコース。
または、捕獲されたオークやブルと戦い、冒険者として十分に活動できると証明できれば、一発で初心者冒険者として活動できるコースが設定されたそうな。
食事中に、ロプロプ達とそんな話しもしたな・・・程度の認識だったのだが、ロプロプは本気だったようだ。
「参ったな・・・」
「え? と、言いますと?」
「ロプロプが、そのつもりだったのなら、俺達も最初からそうすれば良かったな?ってな!」
「確かに、その方が手っ取り早いですね
ですが、今となっては難しいと思います」
「だよなぁ・・・
今は宿屋から出られないから、謹慎中みたいなもんだし」
仕方ないので、トロは大人しく宿やで過ごす事にした。
••✼••宿屋の一室••✼••
トロは、やる事が無いので、トイレを浄化して、「浄化機能付きオマル」を設置した。
そしてプランターをバッグから取り出し、新しい豆を栽培する事にした。
宿屋の女将との話しによると、この国では、食事と言えば、「果物や野菜を生で食う」、「肉や果物や野菜を塩やコショウで焼く、水煮か、塩茹でにする」、「麦を挽いて粉にし水に溶かして生地にしてパンを焼く」、くらいしか調理法は無いらしい。
このパターンも、異世界名物だなあ。
この流れで行くと、転移者の俺の特殊能力を使って~とか、日本の技術や知識を使って~とかで、この世界の食事事情を近代化させたり充実させたりするのだろうが、俺はそんな面倒な事はしない!
そこで!
俺が今回作ったのは、
「味噌汁の生る豆の種」
「醤油の生る豆の種」
「酢の生る豆の種」
「ソースの生る豆の種」
「マヨネーズの生る豆の種」
「タルタルソースの生る豆の種」
「ワサビの生る豆の種」
「カラシの生る豆の種」
「ミスタードの生る豆の種」
「トマトケチャップの生る豆の種」
「イチゴジャムの生る豆の種」
これらの全ての種には、本来の効果の下位互換的な処置を施してある。
トロの生成した種は、1分以内に収穫できる。
だが今回生成した物はみな、
3日で収穫できる。
4日で収穫期限最終→腐る。
5日で種になる。
と、設定した。
みんな「枝豆」のサヤの中に、瓶詰めでできるのだが、なぜ「瓶詰め」で生るのかは不明。
またそれが、最終的に瓶が消えて種になるのだから、もう意味不明だ。
これも、「異世界名物」の、「ご都合主義」の一環か。
考えても答えは出ないので、考えるのをやめた。
そしてこれらを、売る!!
後は、この世界の人々が勝手に広めてくれるだろう。
実は、その他にも、「ユニーク・ガチャ」なる物を作ってみたのだが、よくよく考えてみると、そんなモノを世に出してしまうと、「戦乱の渦の核」になりそうなので、異空間収納の肥やしにした。
こんなモノの存在が明らかになれば、きっと取り合いの戦争にもなり兼ねない。
それと、もう1つ。
なんの気なしに、ほい!と作った種。
そして、その種から芽が出て、ぷくぷくと太ったサヤになる豆は、ガラスの小瓶に詰まった あやめ色に淡い光りを放つ液体・・・
エリクサーだった。
これも、「戦乱の渦の核」になり兼ねない。
だが、いざという時のために、エリクサーを異空間収納に収納した。
そして、別口で作ったモノ。
「パーフェクト・バリアを覚える豆の生る種」だ。
パーフェクト・バリアとは、物理も魔法も受け付けない、完璧なバリアだ。
術者を半径2mの球体で取り囲み、たとえ核爆発でも防ぐようにイメージしたのだ。
爆風、閃光、熱、圧力、波動、放射線など、想定される現象を全て遮断!
・・・が、できてしまった。
イメージしたものが、何でもできてしまう。
我ながら恐ろしくなって、ブルっときた。
さて、どこまで使えるのか?
こんど、ロプロプの「ファイヤー・ナパーム」で、試してみよう。
••✼••宿屋裏の空き地••✼••
さて、種をどうしようか?
今は宿屋から出られないから、商人と交渉・・・なんて事もできない。
仕方ないので、宿屋の女将にお願いして、宿屋の建物の裏の空き地に、畑を作らせてもらった。
「調味料の豆を作る」
と言ったら、クシャミを我慢する様な疑いに満ちた顔をされたのだが、でもアッサリ許可がでた。
女将によると、元々畑を作る予定だったとか。
なら、丁度いい!!
トロは、ロンデルと2人で畑作り。
一応、結界魔石も設置した。
「ご主人様、いったい何を育てるのですか?」
「うん! まあ、色々だよ」
「色々・・・ですか」
「うん! 俺の故郷では、ごく普通に使っていた『調味料』が生るんだよ!」
「ちょーみりょーとは何ですか?」
「ああ、そっか! そこからか・・・
調味料っていうのは、料理・・・
焼いた肉など美味しく味付けをするためのモノだよ」
「美味しく味付けをするぅ?!
ご主人様! 早くソレを作ってください!!」
「あははっ! ロンデルは食い意地が強いなぁ」
「ご主人様と出会えて、私は獲物を美味しく食べる術を知りました!
私はもう、以前の様な、血抜きもしない生の獲物の食べ方には戻れません!
じゅる」
「そかそか!
でもなただ、この種は、3日経たないと収穫できないんだよ」
「?!・・・そんなぁ・・・3日ですか」
この世の終わりの様な顔をするロンデル。
「クスッ そうだねえ
ま、3日後、楽しみにしておいてくれ!」
「はい! ご主人様!!」
などとロンデルと話していたら・・・
「調味料の種だって?」
「うをわあっ!「ふぎゃっ!!」
「ああ、すまないねぇ!
驚かせちゃったかい?」
「「ドキドキドキドキ・・・」」
マジ、ビックリした!
後ろか唐突に声をかけて来たのは、宿屋の女将だった。
ロンデルでさえ、気配を察知できなかったようで、猫みたいに飛び上がって驚いていた。
猫だけど・・・
この女将、只者ではないな。
やはり冒険者ギルドと繋がっていて、とんだ食わせ者に違いない。
でも、宿屋から出られない俺達によくしてくれるし、勝手に出ているロプロプの事にも、絶対に気付いているはずなのに、何も言わずに、一切触れてこないし。
よく世話してくれる、良い人だ。
この程度のお礼くらい、構わないだろう。
「この種は、3日ほどで収穫できる豆・・・
みたいなサヤに包まれた『調味料』に生るんですよ」
「・・・・・・・・・はぁい?」
「「・・・」」
くわはっ! でた! 訝しげな顔!
マジ、クシャミ出そうな顔で疑ってる!!
まあ、仕方ないか。
百聞は一見にしかず!
先に作っておいた調味料を見せてみるか。
トロは、マジック・バッグから、黄色いジェル状のモノが入った小瓶を取り出して、女将に渡した。
「コレになる、種なんですよ!」
「ふむ・・・コレは?」
「『マヨネーズ』っていいます!
料理に付けて食べると、今までの料理がビックリするほど美味しくなります!!」
「・・・はあ。。。」
『あ、これ、信じてないな』
ならば! 実際に食べていただこう!
トロは、マジック・バッグにストックしておいた『ブル肉の串焼き』を取り出し、マヨネーズを付けて女将に食べさせてみた。
「なんだいコレ?!
おおお美味しい!!
こんなに美味しい串焼き食べたのは初めてだよ!!
エールに合いそうだねぇ!!」
「あはっ! そうでしょう!そうでしょう!
ですがこれは串焼きが美味しいのではなくて、マヨネーズが串焼きを美味しくしてくれているのですよ!」
「ほんとかい!?
それは、是非他にも試してみたいもんだね!
チョイと分けてくれないかい?」
「コレ、差し上げます!」
「・・・へっ? い、いいのかい?」
トロは、マジック・バッグごと、女将に進呈した。
「もちろんです! あと、畑に生ったモノも、全部女将さんに、差し上げますよ!」
「!!・・・それは、いったいどう言う事だい?
こんな高価なマジック・バッグまで!
あたしゃ、アンタからこれ程の事をしてもらう様な事などしてないよ?」
「何言ってるんですか!
俺達が他の素行の悪い冒険者に絡まれている時に、よく助けてくれているじゃないですか!」
「そりゃあ、コッチとしては営業妨害だからね!
みんなに機嫌よく過ごして貰う為に、当然の事をしたまでだよ?」
「はあい! ですが、それだけではありません!
俺にはもう1人仲間が居ますが、勝手に宿を出ているのに、気付かないフリして黙ってくれているでしょ?」
「それはまあ・・・
なんだい、気付いていたのかい!
アンタも食えない人だね?」
「ふふふ いやいや女将さんには敵いません
だから、それが俺達にとって、本当に救いなんですよ!
だから、そのお礼も兼ねてです
受け取ってください!」
「!・・・そうかい? じゃ、遠慮なく」
「んひひ♪」
こうして女将は、種と各種調味料の入ったサヤと、マジック・バッグを受け取ってくれた。
また、マジック・バッグには、次の通り収納していた。
「味噌汁の生る豆の種」×10個
「醤油の生る豆の種」×10個
「酢の生る豆の種」×10個
「ソースの生る豆の種」×10個
「マヨネーズの生る豆の種」×10個
「タルタルソースの生る豆の種」×10個
「ワサビの生る豆の種」×10個
「カラシの生る豆の種」×10個
「マスタードの生る豆の種」×10個
「トマトケチャップの生る豆の種」×10個
「イチゴジャムの生る豆の種」×10個
「食パンの生る豆の種」×10個
「ミートチョッパーの生る豆の種」×10個
「スライサーの生る豆の種」×10個
「おろし器の生る豆の種」×10個
「大口ガラス瓶(500cc)の生る豆の種」×10個
「鉄鍋の生る豆の種」×10個
「大鉄鍋の生る豆の種」×10個
「寸胴の生る豆の種」×10個
「フライパンの生る豆の種」×10個
「フライ返しの生る豆の種」×10個
「ボウルの生る豆の種」×10個
「おたまの生る豆の種」×10個
「スプーンの生る豆の種」×10個
「フォークの生る豆の種」×10個
「味噌汁の瓶」×1個
「醤油汁の瓶」×1個
「酢汁の瓶」×1個
「ウスターソース汁の瓶」×1個
「マヨネーズ汁の瓶」×1個
「タルタルソース汁の瓶」×1個
「ワサビ汁の瓶」×1個
「カラシ汁の瓶」×1個
「マスタード汁の瓶」×1個
「トマトケチャップ汁の瓶」×1個
「イチゴジャム汁の瓶」×1個
「ミートチョッパー」×1個
「スライサー」×1個
「おろし器」×1個
「大口ガラス瓶(500cc)」×10個
「鉄鍋」×2個
「大鉄鍋」×2個
「寸胴」×2個
「フライパン」×2個
「フライ返し」×4本
「ボウル」×5個
「おたま」×4本
「スプーン」×10本
「フォーク」×10本
「えんぴつの生る豆の種」×10個
「消しゴムの生る豆の種」×10個
「コピー用紙の生る豆の種」×10個
「ノートの生る豆の種」×10個
「バインダーの生る豆の種」×10個
「ノート型バインダーの生る豆の種」×10個
「筆入れの生る豆の種」×10個
「えんぴつ」×500本
「消しゴム」×20個
「えんぴつ削り」 ×10個
「コピー用紙×500枚セット」×10個
「ノート」×100冊
「バインダー」×10個
「ノート型バインダー」×10個
「筆入れ」×10個
「小物用空間拡張ポーチ2t」×3個
コレらが、この世界に広まる事を願って。
「3日後だね?」
「はい 3日後です
3日過ぎると腐って、最後には種になってしまいますからね 気を付けてください!」
「わかったよ!
そう言えば、このマジック・バッグにも、出来上がりの調味料が入ってるんだよねえ?」
「はい! サンプル・・・
お試し品として、1瓶ずつ入れています」
「そうかい! それは楽しみだねえ
早速、試しに何か作ってみるよ」
「はあい!
あ、それなら俺にもなにか作らせてくださいよ!」
「へえ? アンタが作んのかい?」
「はあい!
俺の故郷の簡単な料理だけどね!」
「ふふん! 面白いねぇ?
お手並み拝見って行こうじゃないか?」
「あはは お手柔らかに」
「にやん! じゅる」
ってな訳で、俺が料理をする事になった。
新しく作った、この世界には無かった調味料で。
••✼••宿屋の厨房••✼••
「さあて! 作るのは、ハンバーグだ!」
「はんばーぐ? どんな料理だい?」
「オークの挽肉と、ブルの挽肉とを混ぜて焼いた、柔らかくて、すんごく美味い手作りステーキだよ」
「ほお~~~どうやるんだい?」
「ま、見てて!」
トロは、自分のマジック・バッグからミートチョッパーと、フライパンと、フライ返しと、ボウルと、箸、そしてブル肉とオーク肉を取りだし、女将にマタギネ(玉ねぎ)と、卵と、塩コショウを用意してもらった。
「先ずは、マタギネをみじん切りに
んで、ブル肉とオーク肉を、このミートチョッパーで挽肉にする!」
とんとんとんとんとん・・・
グリグリグリグリグリ~~~
「そして、マタギネ(玉ねぎ)をみじん切りにして、フライパンで色がきつね色になり、少し透明感がでて色が薄くなり柔らかくなるまで炒める!
できたら、皿にでも出して冷ましておく!」
ジャ~~~!
「ふむふむ」
「うにゃ」
「んで次は肉!
ブル肉が5に対して、オーク肉は1を、塩だけで練る練る練る!」
ぐっちゃ!ぐっちょ!ぎっちゃ!
「ほおほお」
「にゃ?」
「このとき、ただ練るだけでなく、時々下から上へ混ぜ込むようにね!」
「なるほど」
「にゃむにゃむ」
「そして混ぜた肉は、氷室で四半時ほど寝かせる」
「なんで?」
「???」
「肉の水分や汁や味が馴染んで、崩れにくくなる、そう習ったからだ」
(ネットで見ただけ)
「へえ・・・なるほどねえ!」
・⋯━☞四半時後☜━⋯・
「んで 肉を寝かしたら、さっき切ったマタギネと、卵と、ウスターソースちょびっと、トマトケチャップちょびっと、牛乳も少し入れて、混ぜる!!」
グチャグチャグチャ・・・
「わぁ・・・」
「ふぎゃ!」
「この時、肉が手の温もりで温まらないように、素早くね!」
「ほおほお」
「にゃんと!」
「混ぜ合わせたら、これをまた氷室で一時寝かせる」
「ふんふん で、何のために?」
「これも味を馴染ませるためだ
そう習ったからだ」
(ネットで見ただけⅡ)
「・・・そうかい?」
「ご主人様・・・」
しばらく経って・・・
「よし! 次は成形だ!
適当な大きさに取って、丸めて両手でキャッチボール!」
ピタン!ピタン!ピタン!・・・
「なんでだい?」
「にゃっほー!」
「肉の中の空気を抜くためだそうだ!
これも、そう習ったからだ」
(ネットで見ただけⅢ)
「ほほお! なるほど」
「ふむふむ!」
「できたら、いよいよ焼くぞ!」
「おおお!」
「おおおお!!」
「フライパンに、菜種油をひいて、火をつけて焼く!
火力は弱めでな」
「ふむふむ」
「にゃむにゃむ」
「四半時焼いたら、ひっくり返して、四半時の半分の時間焼いて、またひっくり返して、少し焼いてから、指で押して透明な肉汁が出たら焼き上がりだ!」
「ほほお!」
「にゃあんとお!!」
「味付けのソースはお好みだな
俺は、ウスターソースとトマトケチャップを混ぜたソースをぶっかけて、マヨネーズをくるくるくる~~~とチョイとかけるのが好きだな!」
「ほほお! これで完成かい?」
「はやくぅ! はやくぅ!」
「ああ! 完成だ!」
「おおお!!」
「やったぁー! ご主人様あー!!」
••✼••宿屋の食堂••✼••
「では、いただきまーす!」
「なんだいそりゃ?」
「あ・・・うん
これは、俺の故郷で食事前にする感謝の気持ちを込めた挨拶みたいなもんだな」
「感謝の気持ち?」
「ああ 俺の故郷では、米や麦1粒にでさえ神様や魂が宿ってるという考えでな、自然の恵み、生き物の恵み、そして料理を作ってくれた人への感謝の意を込めて、『いただきます』と言い、食べ終わったら『ご馳走様』って、言う風習があるんだよ」
「へぇ~~~面白いねえ!」
「ご主人様! はやく食べましょう!」
「え? あははっ! ああ、わかったよ!
では、いただきます!」
「「いただきます!」」
・⋯━☞食事ちぅ☜━⋯・
「これは、美味しいねぇ!!
ブル肉をただ焼いただけとは大違いだよおー!」
「でしょう?
ブル肉だけだと固くなっちゃうんで、オーク肉も少し混ぜたんだよ」
「なるほど!
肉を混ぜるのは、そういう訳かい!
噛むと肉汁がじゅわぁ!っと出て、肉の旨み臭が鼻に抜け、肉の味と香りで旨みも倍増するようだねえ!
ずっと噛み続けて旨味を堪能し続けたいくらいだよお!
また肉汁が肉を飲み込みやすくしてくれるから、ついつい口いっぱいに頬張ってしまうねえ!」
「はい! 只今の食レポは25点!」
「はい? なんだいそりゃあ?」
「あ・・・いえ・・・なんでもありません」
「ガツガツ! うみゃうみゃうみゃ!
ご主人様! これ、すっごく美味いですう!」
「そうかそうか!」
トロ達は、ハンバーグを2個ずつ食べてお腹いっぱいになった。
また他にも教えろと女将にせがまれたが、また別の日に教えると言って、何とか納得してもらった。
そして次の日の食堂の夕食には、ハンバーグがキッチリ出た。
他の客達も、全員お代わりしたと言う。
宿屋でのトロの、料理教室。
それは、トロ自身が日本で作ってた、男の料理だった。




