第11話 「キャラ変?!」
••✼••トスターコチマ街道沿い••✼••
トスターコチマ街道を歩き続けて、あと2日程度というところ。たぶん。
すると道が二手に分けれていて、南側へ行くと川があるそうで、行ってみたくなった。
どうせ、あての無い旅。
はやく街へ辿り着かなければならない理由などない。
強いて言えば、はやくベッドで眠りたい・・・
それだけだ。
とにかく、今自分達が居る場所を把握したい。
ってな訳で、地図スキルを覚えようと思った。
早速、「地図スキルを覚える豆の種」を生成。
その場の地面に植えて栽培収穫。
すぐさま塩ゆでにして、俺、ロンデル、ロプロプとの3人で20個ずつ食べた。
3人のスキル欄には、【地図Lv4】が追加された!
使ってみた!
「地図オープン!」
フォン!
「ふぉおお~~~!」
目の前に宙に浮くシアターの様に、バカでかい半透明のマップが表示された!
見た印象としては、『グルグルマップ』みたいな、衛星写真の様な感じだな。
手や指で拡大縮小ができ、街や道や森や川や町村などの名称がで表示されていた。
ある程度までスライドできる。
おそらく、目視できる地平線までの範囲だろう。
「これは!」
「ふうむ・・・
空から見た地上絵ですな!」
「え? 地上絵? ああまあ、そうだねえ・・・」
「なるほどなるほど!
コレは、なかなか面白いモノですな!」
「え? なんですかコレ?」
「ああ~~~そっか」
どうやらロプロプには、地図の意味がすぐに理解できたようだ。
いつも空から見下ろす景色そのものだからな。
だがロンデルには、理解できなかったよだ。
上空から地上など見たことが無いのだから。
仕方ないので、ロプロプの背に乗せてもらい、空を飛んで来い!と言ってやった。
ロンデルとロプロプはしばらく空を飛んでから戻って来たかと思えば、ロンデルは大興奮!!
「ご主人様!
この能力は素晴らしいですね!
まるで空から見下ろしてるかのように理解できます!!」
「そうだろう~そうだろう~~~♪
それに、今まで行った場所には名前が表示されているだろう?」
「「・・・はあい?」」
「あ! そっか・・・文字が読めないのか」
だぁ~~~そっかあ!!
ロンデルとロプロプは魔獣だから、人間の言葉は理解できても、識字ができないのか。
そこで、「言語識字理解を覚える豆の種」を生成して、ロンデルとロプロプに20個ずつ食べさせた。
一応、自分も食べておいた。
今後、知らない言語にぶち当たる可能性だってあるからだ。
そして、トロとロンデルとロプロプのスキル欄に、【言語識字理解Lv4】が追加された。
「なんとも、不思議な感覚ですね!
これが文字ですか・・・」
「確かに、不思議な感覚ですな!
人間は、これらの絵を文字とし、そして繋ぎ合わせて言葉や物事の性質や名称を把握するのですね!」
「お、おう・・・
具体的な御説明ありがとうございます・・・」
こうして、ロンデルとロプロプにも識字能力が備わった。
地図スキルは、本当に素晴らしいスキルだった。
今まで行った事のある場所や名称などが表示されている。
まだ行った事の無い場所は表示されておらず、当然名称も無しだ。
この先にあるトスターの街は、以前から聞いていたからか、ちゃんと街の輪郭と名称が表示されていた。
だが、川向うにある村は、輪郭は表示されてはいるものの、名称は「unknown」だった。
「川向うの村の名前は知らないのか?」
「申しわけありません
我らにとって、名前などには興味がなく・・・」
「そうなのか? ロンデルもか?」
「そうですね
ただ、この川を『ボトルペット』と人間共が言っていたのを聞いた事があります」
「ほほお?
この川は、『ボルトペット川』って名前なんだ?
あ! ほんとだ!
『unknown』から、『ボトルペット』に表示が変わった!」
なんと!
常時、地図の情報が更新するのか!
なるほど!
これは、本当に素晴らしい!
だが、トロはここまで精密に設定などしていない。
なのに、ここまで細かく設定された地図スキルとは、過去に精霊が作ったスキルなのかも知れない?
だから、トロが「地図スキルを作る」とイメージしただけで、ここまで精密な地図スキルになったのだと思った。
つまり、この世界には、元々地図スキルがあったという訳だ。
既存のスキルなのだな。
トロは、それを精霊の知識?記憶?から引き出しただけにすぎないと、解釈した。
だが、このスキルは、使う者によって見え方が違う訳だ。
もし、世界中を旅した者が、このスキルを持っていたなら、きっと全てのマップ情報が表示されているはずなのだ。
なので、トロの地図には、『コチマ村』から西へ『トスター』へと続く『トスターコチマ街道』があり、そしてトスターの南側に北西から南東へ流れる『ボトルペット川』を超えると、少し大きめの村がある。
その周辺に森や山脈などが表示されてはいるが、まだこの大陸の形すら見えていなかった。
トロは、思っているほど、そんなに広い範囲を動いてはいなかった事になる。
それはそれで、面白い!
この世界は、広い!!
そして面白い事に、地図スキルで表示されるマップは、ズンズンと拡大していくと、術者の目の届く範囲、つまり地平線ギリギリまで、見える範囲までの山脈や陸の輪郭までご丁寧に表示されていた。
この世界地図を完成させる旅に出るのも面白いかも?
本当に素晴らしいスキルだ!
今のトロ達の地図スキルはLv4だ。
地図スキルのレベルが上がれば、どんな機能が増えるのか?
もし地図スキルのレベルが10になったら、最終的にどんなスキルになるのだろう?
すごく楽しみだ!
そして、3つの反応があるのに気付いた。
真っ直ぐにトロ達の方へ向かって来ている様子。
ただ、その3つの反応は、赤だった。
魔物か? それとも・・・
このマークは、人間だな。
きっと、トロ達にとって、良くない相手だろうと思った。
嫌な予感がする・・・
だがこの時、ロンデルとロプロプのスキル欄に、【索敵スキル】が増えていた。
地図Lv4で、自然に覚えるらしい。
そしてトロの【索敵スキル】が5に上がった。
・⋯━☞ボルトペット川川沿い☜━⋯・
「へぇ~綺麗な川だなあ!
これが、ボルトペット川なんだな」
「・・・・・・」
急に煙たそうな難しい顔をするロンデル。
「む? どうしたロンデル殿?」
「ん?」
「いや、なんでもない」
「あ! もしかしてロンデルってば、水が苦手とか?」
「うにゃあ?!
な、なぜそれを、ご主人様ぁ?!」
「あはははははっ!
やっばり猫なんだなあ!
俺の故郷のロンデルにそっくりな動物もな?
水が苦手だったんだよ」
「・・・動物と一緒にして欲しくないです
それに、別に苦手という訳では
不必要に濡れるのが嫌いなだけです!」
「ああいや、ごめんごめん!」
ワイルド・フォレスト・キャット。
種族の名前を聞けば、森の中でなら自由に活動できそうだけど、やっばり川や海の中だと、自由に活動とは、いかなさそうだ。
ちょっと、可哀想な話題を振ってしまったな。
「だけど、この川の向こうには何があるんだろ?」
「人間の住む少し大きな村があります」
「ほお! 流石はワイバーン
いつも空から見るから、よく知ってるんだな?
じゃあ、地図に表示されていた小さな輪郭がその村なのか!
すごいぞロプロプ!」
「ふふふ お褒めに預かり光栄です」
「ぶぅ・・・」
面白くないロンデル。
「あ、そう言えば、ロンデルは川向うの村には行った事はあるのか?」
慌ててロンデルに話を振る。
「いえ、川向うは、川向うの奴らの縄張りですので、縄張り拡大の殴り込みをする気が無い限り、下手に近付いたりはしません」
「縄張り拡大の殴り込みって、なんとも物騒な話しだな(汗)
なるほど・・・縄張りがあるのか」
「はい ご主人様の従魔となった今では、もう縄張りなど関係はありませんが」
「へえ そういう事になるのか!
ロンデルには、縄張りはあったのか?」
「はい! トスターコチマ街道全域です!」
「はあっ! なんだってえ!?
トスターコチマ街道全域ぃっ?!
お前って、そんな凄い奴だったのか?」
「そうですよお!
こう見えても私は、ここ一帯のボスでしたからね!」
「ええええ~~~?!
ロンデルって、ボスだったのか!!」
「エッヘン!
どうです? 凄いでしょ?」
「あ、ああ、うん! 凄い!凄い!」
「にゃふふふふふ」
「ぐぬぬぬぬぬ・・・」
ロプロプが、面白なさげに唸っていた。
「ご主人様! 川向うの村付近には、ブルやオークが大量に生息する地域です!
特にブルの肉は焼いても美味いですぞ!」
「おおっ! 牛肉だな!
なるほど食べてみたいな!」
なるほど!
炎でやっつけて、焼いて食べたのかな?
流石は、ワイバーンだな。
「オーク肉も、なかなかですぞ!」
「オーク肉? 豚肉だな!
トンカツにして食べたいなぁ♪」
「とんかつ・・・とは?」
「豚肉・・・オーク肉にパンの粉を衣にして包み込み、加熱した油で火を通した料理なんだが、それはそれは美味いもんだぞ?」
「ほほお! 是非食してみたいものですな!」
「おう! 今度作ってやるよ」
「わふふ! それは楽しみですな!」
「・・・」
思わず、トンカツの話題でロプロプとの話に花が咲いた!
だが、ロンデルがなにやら落ち込んでる様子。
「しゅん・・・」
ションボリするロンデル。
「ロンデル?」
「・・・ふっ」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべるロプロプ。
「ロプロプ?」
なんだコイツら?
やっばり、ライバル心か?
仲が良かったり、悪かったり、まったく忙しい奴らだな。
それより、どうやって川向うへ行くんだ?
見渡すが、橋なんて見当たらない。
すると、冒険者らしき連中に声を掛けられた。
うん? コイツら何処から来た?
ああ、そうか!
さっきの赤い反応3つ!
コイツらだったのか。
って事は、怪しい奴らって事だな。
なるほど・・・
どうやら嫌な予感が的中って訳か。
「おーい!」
「ん?」
「「!!・・・」」
「やっぱり俺達狙いか・・・」
この近辺を活動拠点にする冒険者だろうか?
男ばかりのパーティーのようだ。
なら、川向うについて、詳しく知っているかも知れない?
正直、あまり関わりたくないのだが。
「ハンターのようですな」
「ふむ そのようですね」
「ハンター? ああ、冒険者の事か」
この世界には、冒険者という地位・身分がある。
コチマ村の宿屋の主人から聞いたのだが。
これもまさに、異世界名物だな。
上から、神の使徒、王族、貴族(公侯伯子男騎)、冒険者、豪商、平民(農工商)、貧民、奴隷だ。
豪商は子爵位同等の位となる。
冒険者は、レベル100を超えるラピスラズリ級になると騎士爵同等の位であり、オパール級になると男爵位、アクアマリン級で伯爵位、初代勇者がそうだったサファイヤ級にもなれば侯爵位同等の位となる
そのため、貧民でも冒険者になる者が多い。
だがオパール級以下の冒険者は、王侯貴族達からは平民扱いされるが、平民達からは、貴族扱いされるという。
なので、トロはオパール級に匹敵する実力はあるが、実際のクラスは最下のクリスタル級なので、たとえ冒険者になったとしても、なんとも微妙な立場である。
それでも人から見た冒険者とは、王国の騎士団や、貴族の私兵団と同じように、魔物を倒して人や街を守ってくれる、正義の味方的な解釈だ
素行の悪い盗賊のような、どうしようもないバカ共も居るが・・・
でも、ロンデルやロプロプから見ると、冒険者は「ハンター」という認識のようだ。
確かにそうかも知れない。
ロンデルやロプロプのような魔獣の立場から見ると、目が合えば襲いかかって来る奴らなんだから、「冒険者」だなんて認識はないわな。
「魔獣ハンター」
聞こえは良いが、魔獣の立場からすれば、タダの殺人鬼だ。
俺達に声を掛け向かって来る奴らは、剣士と、槍使いと、大剣使い、だろうか?
彼らはまだ若く、二十歳前後ってところか。
この世界では、15歳が成人らしい。
冒険者も成人から成れるらしく、彼らが15歳から冒険者になったと考えると、そこそこの経験者だと思える。
なら、彼らなら、川向うについて何か知ってるかも知れない。
そう思って、彼らから話しを聞いてみようと考えたのだが、どうやらそう言う雰囲気ではなさそうだ。
「やあやあ、お嬢さん達! こんな所で何をしたいたんだい?」
剣士が話しかける。
「「ニヤニヤ・・・」」
嫌らしくニヤけるあとの2人。
「あ、うん 川向うには、どうやって行くのかな?と思ってね」
「!・・・」
そう言って、トロの肩を掴む剣士。
背筋がゾクッとしたトロ。
全身鳥肌ものだった。
生理的に受け付けないタイプだ。
トロは、ふとロンデルとロプロプに視線を向けてみた。
「・・・・・・」
怪しむ目で見るロプロプ。
「ヒクヒク・・・」
彼らの臭いを嗅いでる様子のロンデル。
「・・・・・・」
何となく、ロンデルに視線をよせるトロ。
「ふるふる・・・」
顔を左右に振るロンデル。
「?!・・・」
ロンデルが何か察知したと理解するトロ。
この時トロは、ロンデルに念話で話しかけてみた。
『どうしたロンデル?』
『はい、奴らからは、性的に興奮している臭いがします!
危険です! ご主人様!
このままでは、奴らに食われます!』
『お前がそれ言うか? って、マジか?!』
『はい! どうしますか? 殺りますか?』
『いやいや、待て待て(焦) なるべく穏便にな?
とにかく、関わるのはやめておこう』
『解りました ご主人様』
やっぱり、そうか。
まあ、あの嫌らしくニヤけた顔を見れ一目瞭然だがな。
この時、トロとロンデルとロプロプに、スキルに【思念伝達】が追加された。
「ああ、川向うに行きたいなら、トスター街から橋で渡れるぜ
その先の南南西へ向かえば、サイチ村があるんだ
更に南へずっと行くと、砂漠の国『サララン』があるぜ」
「「「・・・・・・」」」
「どうしたんだい? みんな黙り込んで」
気持ち悪っ!!
この剣士の男。
目の下がヒクヒクした笑みを浮かべるが、その作り笑顔がまた胡散臭ぇ。
「なんなら、俺達が案内しようか?
ここは広いぜ! 迷わないように教えてやるよ!
手とり足とり、と丁寧にな?」
「「「・・・」」」
「ちょうど3人揃ってるじゃないか?
まあ、仲良くしよーぜ?」
「え、あ、いえいえ
私達は私達で行動しますので、お構いなく」
「まあまあ、そう言わずに、な!」
グイッ!
いきなりトロの腕を掴み上げる剣士。
「いたっ! ちょっと、放してくれます?」
「いいから言う通りに相手をしろよ!」
「くんくん・・・
甘い実の様な甘い良い香りがするねぇ~~~お嬢ちゃん達!」
「ホントだ! 今すぐ食いてえ!!」
《《《ぞぞぞぞぞ・・・(冷汗)》》》
全身鳥肌のトロとロンデルとロプロプ。
あああ・・・
やっぱり、こうなったよ異世界名物。
素行の悪い奴らって、なんで女を襲う事しか考えないんだ?
アホか? アホボケなのか?
マジ、ケダモノだな。
それになんだ? この不快な臭いは・・・
「うっ! 臭っ!! キモッ!!
お前達からは、腐った油と汗とドブの臭いがするがなっ!!」
「んだとこのアマあ!!」
「今すぐ食っちまえ!!!」
「いたっ!!・・・放せっ!」
剣士がトロの両腕を掴み高く持ち上げる!
「「ご主人様!!」」
チクショウ!
なんで次から次へと、こうトラブルが舞い込むんだ?!
これも、異世界召喚者の異世界名物の一環なのだろうか?
奴らは男ばかりの冒険者パーティーだからか、女っ気が無いのだろう。
奴らからは、思わず顔を背けたくなる臭いがした。
なんなんだ、このクッサイ臭いは?
ただ風呂に入ってないだけか?
ヘドロみたいたな臭いと、腐って酸化した油の臭いが混ざった様な、吐き気のする耐え難い不快な臭いがした。
ロンデルとロプロプに食われた時は、甘ったるい果物の様な花の様な香り?
思わず包まれたいと思う様な良い香りがしたが、あの時は不快な気持ちなど微塵も感じはしなかったのに。
むしろ安心するくらいだった。
いつの日か、何かの記事で読んだ事がある。
女性を愛してる男性の匂いは、とても安らげる匂いだとか。
また、女性をただ獲物として喰らおうとする男性の臭いは、ケダモノ臭がするとか?
ケモシグナル?だっけか?
あれは、女性の方だっけか?
文字だけでは、まっっったく解らんが。
いったい何が違うのだろう?
そこに愛があるのか否かの違いだろうか?
受け側の認識の違いだろうか?
こんな状況なのに、分析するかのような自分で居る。
と、なぜか不思議と冷静だった。
若い女を見たら性的に興奮するのは解るが、相手が悪かったな!
恐怖耐性Lv3のお陰で、まったく恐怖は感じない。
だが、単純に力では完全に負けている。
トロは賢者と言えども、女の身だからな。
こんな時、「電撃系」の魔法を覚えておけば良かったと思った。
後で、覚えておこう。
などと考えていたら、不意に奴らの唸る声が聞こえ、身体が自由になった。
野郎共が、次々と倒れていく。
バキバキッ! ドスドスッ!
ドサッ! ドドサッ!
「は?・・・なんだ?」
「うぐおお・・・「ぐわああ・・・「いてぇ・・・」
「あれ?」
気が付いたら、野郎共は地面に転がっていた。
「ふっ・・・愚か者め」
「不埒者め」
「カッコイイ~~~♡」
ふと見ると、ロンデルとロプロプが、まるでボクサーの様なファイティングポーズで、倒れた男達を見下ろしていた。
マジ、カッコイイと思った。
「ふん! 糞の役にも立たんクズ共めが!
恐れ多くも、気高きご主人様の玉肌に触れるとは何事か!」
「これからは、相手をよく見て発情する事だな!」
「ぐぅ・・・なんなんだあ前ら・・・?」
「ぐううう・・・痛ぇ・・・」
「・・・んんん」
「お前達こそ、なんなんだ?
いきなり女を襲うだなんて
冒険者は、みんなそう習っているとでも言うのか? あん?」
「チクショウ! 何者だ!?」
何が、「何者だ?」だ、ボケカス!
女を欲求の捌け口程度にしか考えてない奴らに言われる筋合いはない。
コチラこそ、「何者だ」と言いたいわ!
「私か? 私は、ご主人様の寵愛を受けし忠実なしもべ、ロンデル!」
「ちょっと!」
「はあ?「しもべ?「なんだと?」
「同じく、ご主人様の寵愛を受けししもべ、ロプロプ!」
「おいおいこらこら!
極秘同心みたいな自己紹介はやめろ!
いつ誰が誰から寵愛を受けたって?」
「はっ! いや、その・・・」
「それはですね・・・」
「俺はお前達に指1本触れてないだろうが!」
「へっ?! いえ、そんなことは」
「いえいえ、何度も触れましたぞ!」
「そ、そう言う意味じゃない!!
邪な気持ちでって意味だ!!」
「「邪な気持ちだったのですか?!」」
「ちがうわっ!!」
真っ赤になるトロ。
「「「・・・・・・・・・」」」
この時トロには、スキルに【魅了】が追加され、称号には【色女】が追加されていた。
また、従魔達とごちゃごちゃ始まったが、それはすぐに治まり、ロンデルとロプロプにやられた冒険者達は、そのまま放置。
また襲って来られても困るので、さっさとその場を後にする。
そして、木々に囲まれた川縁で、先程欲しいと思った「電撃系」の魔法を覚える種生成と、4~5人乗れる「小舟の生る種」を生成。
「電撃系の魔法を覚える豆」は、100粒以上生り、小舟は2艘も生った。
オール(櫂)が無かったので、後で生成したら、12本もできてしまった。
まあ、それは良しとして、俺達3人で【電撃Lv4】を習得。
その後、小舟に乗って、川を渡った。
思いの外流れが速く、100mほど西へ流されてしまった。
そこから更に南南西へ行くと、「サイチ村」があるそうな。
そして更に南へ行けば、『砂漠の国サララン』があるそうな。
いつか、行ってみよう。
だがそれより、サイチ村に向かう途中で、それはそれは大騒ぎに!
オークやらブルやらが、わんさかわんさか次から次へとエンカウント!
でも、ロンデルとロプロプが魔獣の姿に変身?戻る?して、千切っては投げ、千切っては投げ!で、ブル65頭、オーク82頭も討伐!
ここ一帯のオークやブルを狩り尽くしてしまうのではないか?と心配になったくらいだ。
俺の異空間収納内での「獲物自動解体Lv4」がフル稼働する結果となり、いつの間にか「獲物自動解体」のレベルが6になっていた。
なので、今ではブルやオーク程度なら、1体解体するのに約1分ほどで出来てしまう。
とは言え、解体した獲物は全部で、147頭!
なので、解体だけで3時間近くもかかった。
精神的にヘトヘトになった。
遠目で俺達を見ていた他の冒険者達は、ただただ呆然・・・
討伐よりも、ロンデルとロプロプの姿に驚いている様子だった。
だが、そんな奴らを気にもせずに、マイペースなトロ達。
討伐が終わると、ロンデルとロプロプは、人型に変身。
「ああ~もぉ~疲れた!」
「ご主人様は何をしていたのですか?」
「もちろん仕事だよ!」
「仕事? 何時?」
「今さっきまで! ずっと異空間収納内で、解体作業をやってたの!」
「「へぇ~~~」」
クシャミを我慢する表情でトロを睨むロンデルとロプロプ。
「なんだよ、その軽蔑的な眼差しは?」
「「ご主人様ひどい!」」
「はあっ!? なんでだよ!!」
「ご主人様、嘘付いてる!」
「そうですぞ!そうですぞお!」
「ついてねーよ!!」
「いーえっ!
ご主人様は、ずっと座ってましたあー!
ご主人様は目を瞑ってましたぁー!
ご主人様はサボってましたぁー!
私は、ちゃんと見てましたぁー!」
「いや、だからそれは・・・」
ロンデルよ・・・
そんな、小学校のホームルームの反省会で、他生徒に文句を言う生徒の様な口調で言うなよ。
トロは、座って異空間内で解体作業をしていたのだが、ロンデルとロプロプには、トロがただ座って怠けている風に見えたのだろう。
「私はオークもブルも沢山狩ったのに、ご主人様は一つも狩ってないじゃないですかあ!」
「そうですぞ!そうですぞお!」
「いやいやいや! 確かに、ずっと座ってたけどぉ!
でも俺は解体作業をずっとしていたんだってばぁ!
それなのにサボってたって酷くね?
ってか お前達、キャラ変わってね?」
「「ぶぅー!ぶぅー!ぶうううー!」」
「ぶうぶう言うな!」
「私達、すんごく頑張ったんですぅー!
何か、ご褒美下さいよお!」
「そうですぞ!そうですぞお!」
「ご褒美ってアータ・・・
アンタらが今までやってたの、ごく当たり前の事でしょーがぁー!」(北が国からの五助風)
「「ブツブツブツブツ・・・」」
「ブツブツ言うな!」
しゃがみ込んで、地面に指で『の』の字を書くロンデルとロプロプ。
拗ね方が、一々昭和なんだよな・・・
これも、昭和生まれのトロの影響か?
「拗ねるなあ! サイチ村だっけ?
村に着いたら、また焼肉焼いて食べさせてやるから!」
「肉もいいですが、私はご主人様が食べたい!」
「ぴゃあ?! なんて事を言うんだ!」
「我も、ご主人様が食べとう御座います!」
「へ、変な事を言うなよ!!」
「「食べたい!食べたい!食べたあい!」」
パン!パン!パン!パン!
「・・・・・・(汗)」
ロンデルとロプロプは、女の子座りで両手で地面を叩きまくる!
『まだ遊びたい!』と駄々こねる幼児かよ・・・
なんなんだろうな?
この、ロンデルとロプロプのキャラの変貌ぶりは・・・
よく、「ペットは飼い主に似る」と言うが、従魔もソレなのだろうか?
って、俺ってそんなだっけ???
「ねぇ~~~ご主人様ったらあ!」
トロの右腕に絡みつくロンデル。
「ご主人様ぁ~おお~~~ご主人様ぁ~!」
トロの左腕に絡みつくロプロプ。
ズルズルズルズル~~~
「だあ━━━重いっっ!!」
「はぁむっむう~~~♡」
「ひゃあ!! こ、こら! ロンデル! 耳を噛むな!」
「んんん~~~ペロリ♪」
「きゃあ!! なっなん!・・・
こっ、こらこらあー!! 首筋を舐めるなロプロプ!」
マジで、ゾクッとした。
だが、嫌ではなかった。
だが今ここで2人に食われたら、しばらくは身動きが取れなくなる。
仕方なくトロは、約束をするのだった・・・
「ああ~~もぉ~~~変な声出ちゃうだろお!!
はぁいはいはい! わかった!わかった!
村に着いて宿屋にチェックインしたら、好きなだけ食わせてやるから!」
「「ひゃっほぉ━━━いっっっ!!」」
「このケダモノ共め!」
「「ケダモノですがなにか?」」
「なんでもなぁい・・・・・・」
そして、ロプロプの道案内で、半日ほどで、「サイチ村」に到着した。
ペットは飼い主に似ると言います。
従魔も、主人に似るのでしょうか。。。




