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第27話 怒りの特魔
全話からの続きです!
「鈴!ここだ!」
呼ばれて瑤迦の状態を見た鈴の顔も青ざめた。「なんてこと!」
「見ての通りだ。鈴、お前たち、時間がない。私の言うとおりにしろ!」鈴も特魔たちもはいと返事をした。
「鈴。これから瑤の魂魄を身体から切り離す。身体の方を頼む」天帝の言葉に異を唱えたのは特魔たちだった。長い時間を生きる天人たちにも当然死はある。肉体か、魂魄のどちらかが失われ、還る場所を失くした時、天人は消滅する。消滅するのだから、転生もありえない。だからこそ、特魔たちはそれぞれ声を荒らげた。
「天帝!?何言ってんだ!?そんなことしたら瑤は消えるだろうが!」
「瑤を助けないのですか!?」
「天帝!瑤を助けてよ!」
「見損なったぜ、天帝」
言うとおりにすると言っておきながら言うことを聞かない特魔たちを黙らせたのは、鈴だった。
「お黙りなさい!誰が助けないと言いました!?助けます!今は言うことを聞きなさい!」
普段怒鳴ることなどない、やわらかい春の風を纏う皇后の一喝に特魔たちはビクッと身体を震わせ、押し黙った。
まだまだ過去の話が続きます。