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第18話 西の塔
まだ誰もいない天宮を歩き、西の塔まできた時、瑤迦と炎迦と流迦の三人は流石に驚きを隠せなかった。
何せ、以前興味本位で錠を壊し三人で侵入し天帝にこっぴどく怒られた原因がこの西の塔。
三人は必死で無表情を貫こうとしたが、何を考えているか先に天帝に言い当てられた。
「何もなかったはず、か?」三人はギクっとした。「西の塔は仙界の入口…?」瑤迦が恐る恐る尋ねた。
仙界は、文字通り仙人と仙女がいるところ。何者にも侵されない静かで清浄な地。興味本位なんかで入って良い場所では絶対ない。当然、仙界への入り口には天門の入り口同様目くらましの仙術がかけられている。それほどに重要な場所なのだ。知らなかったとはいえ、そんな場所の錠を破壊して侵入していたなんてー。三人とも分かりやすく汗をかいていた。
そんな三人の心境を知ってか知らずか、鈴が答えた。「ここは仙界以外のものにはただの回廊です。仙界のものが入って初めて入口が開かれるのです」
そう言って回廊を一番下まで降り、扉を開くと、以前侵入した時にはなかった世界が広がっていたー。