第17話 緊張
翌朝、まだ陽が登ったばかりの時間に、特魔五人は天帝の執務室に集合していた。朝も早いから服装や髪など必要以上に整えなくても良いのに、なぜか五人とも略式ではあるがきっちりと整えて。それぞれがこの格好は自分だけだと思っていたから、お互いの姿を見た時は全員思わず吹き出した。特に炎迦が少しも着崩していないのは珍しかったから、他の四人から着方知ってたんだと驚かれた。炎迦は動きにくくなるのが嫌らしく、公式の場でもいつもどこか自然に着崩していた。おかげで迅迦にはやればできるんじゃねぇか。いつもそれで来いよとか言われた。そうしている間に近づいてくる足音があった。二つ。
扉が開き、先に声を出したのは皇后の鈴だった。「おはよう。朝早くにごめんなさいね」ついで天帝が「全員揃ってるな?」と言った後、炎迦を見て分かりやすく固まった。「天帝?」という迅迦の声にハッとした天帝はあまりの驚きに声がでなかったといわんばかりだったが、思ったことをそのまま炎迦に言った。「お前、頭でも打ったのか?変なものでも食べたか?」この言葉に炎迦は顔を赤くし、「打ってねーし食ってねーよ!なんだよみんなして!俺がちゃんとしてんのがそんなにおかしいかよ!」と真面目にしてる自分が急に恥ずかしくなって叫んだ。全員がいや、おかしいでしょ。と思ったが、言葉にするのがかわいそうになってきたので、
ハハハ…と笑って誤魔化したのだった。
「本当に仲が良いわね、あなたたち。では、行きましょうか」話題を変えたのは鈴だった。
「行くって、どこに…?」五人とも思っていたことを瑤迦が尋ねた。
「仙界です」鈴の返事に、今度は五人全員で反応した。「仙界!?」
まだ真実は明かされませんね…笑
仙界に乗り込む前の楽しい一幕をお届けしました。
こんな回があっても良い?