☆捕まえた先☆
身動きの取れない現行犯を連行してきた。
もはや戦意などなさそうである。
可憐な少女二人組に尾を掴まれた挙げ句、拘束されてしまったのだから。
面目丸つぶれである。
「そうだ」
俺が手を叩くと、メルが
「はい、なんでしょう?」
彼女は気がついていないのだろうが、かなり黒い笑顔である。
美人属性とも相まって最強である。
「彼はここに置いていくんだけど、それまで暇だろう?」
「暇ですね。ギルド何も無いですし」
全くそのとおりである。
前世だと病院の待合所にも雑誌なんかがおいてあったりしたのだが、全く無い。
強いて言うならば観葉植物ぐらいだろうか。
「だからこの暇すぎる部屋にこいつをおいて俺等帰ろ」
そう言うと、
「おっと、それは困る」
と、誰かが入ってきていった。
面倒臭そうなやつである。
「困るというのは?」
俺は堂々とそう問うた。
「新人ごときが勝手な判断下していることにだろ」
やはりこれは、面倒くさいタイプの先輩である。
「そう」
メルは無沈着なのは不幸中の幸いだろうか。
「お前は潔くこの部屋で待ってりゃいいんだよ」
何なのだろうか。すごい腹立つ。
それはおそらく、弱者からの威圧的な態度に矜持が許さなかったのだろう。
まぁ、もう少しは我慢するが。
「はいはい」
いや、無沈着なんじゃないかもしれない。
瞼を閉じて気を失っている。
これは完全に寝てますね。あっちゃーといった感じである。
「おいお前、何もわかってないな」
それはその通りではある。この世界については全く知らないし知りたいとも特段思っていない。
魔物の王つまり、魔王が新たに誕生しないでほしいの会の会員がギルドメンバーたちである。
だからこそ、魔物を捕まえて仲間にするのが合法なのである。
「んで今回捕まえてきた奴らはギルドにゃ関係ないっつう話だろ?」
「そりゃな」
ふむ、ならこいつをどうすれば良いのやら。
「お疲れ様〜」
ギルドマスターが遅れて登場してきた。
もう少し早いと嬉しいかも。
「あれ、こいつは誰ですか?」
ギルドマスターの顔はやはり彼に向いていた。
「犯人の主格です」
ギルドマスターの精霊を初めてちゃんと見たな、と思いつつそう返事をした。
「あれ、僕何頼んだっけ」
ん、忘れられてた?
そりゃ、ショックなんだけど。
「あの、魔法具の回収……」
その言葉にピンと来たらしく、
「だよね!? なんで犯人捕まえてるの!?」
あ、こっちもしっくり来たわ。
なるほどな。だからそんな謎に満ちた顔してたんだ。
「こいつが物の在処を知ってるんで捕まえました」
俺はそう伝えた。
ていうか、それしかなくないか?
「あぁ、そういうことか!」
え、本当にこの人がリーダーで大丈夫そ?
不安しかないけど。
「えと、じゃあ、教えてくれないか?」
現行犯にそう聞くと閉じていた目を薄く開け、
「教える、報酬は?」
ほう、そうきたか。
「あ? あるわけねーだろ!?」
良くない、良くない。
絶対今刺激すべきじゃないもの。
「わかった、考えておく」
ほらそうなった、と思ったが、その言葉を発したのはまさかのギルドマスター本人であった。
「こちらも報酬を提供する、だからあんたも恩を恩で返してほしい」
その言葉が意外だったのかもう少し目を開いて小さく唇を噛む。
そして、口を開ける。
「俺が案内する」
そして肩から出てきた赤い精霊が黒い穴を作った。
「入れ」
彼はそう言うとそのまま入っていった。
そこにギルドマスター、俺とメル、そしてなぜかウザ先 (=ウザい先輩)もついてきている。
この先何が待ち受けているのか、とてもわくわくしているのだった。