☆ギルドマスター☆
前に控えていたのは大柄な人。
巨人族か?
「我こそはリューイ!」
彼、つまりリューイは大音声でそう、名乗った。
肌が震える。鳥肌が立つ。恐怖か? いや、歓喜だ。
俺は、高ぶる感情の理由を推理する。
俺は、『殺鬼刃』を獲得するような根っこからの戦闘狂なのかもしれない。
俺は、手元に刀を召喚した。
柄を握り直す。
そして武器に属性付与、つまりは武器破壊効果をエンチャントする。
それは黒い光を刀に宿らせた。
「準備も整ったか……。いざ! 我が愚敵を束縛し、貫くが良い! 大地大混乱!」
地面が剥がれ、トゲで覆われた。
それは危ないと身体が叫んでいる。
俺は刀を鞘にしまい、後退した。
漫画みたいに高く跳躍できればいいのだけど、ね。
魔法を発動させたのは杖か?
触媒か何かかもしれない。速めに壊しておこう。
俺は疾走を始める。30の身体ではここまで走れなかった。
もう心臓が4つの部屋にわかれていただろう。
だが、そんなものとも無縁なJCボディ。
若いって、正義ですね!
そして、巨人はでかい変わりに速度が遅い。
だから、さっと追い付けた。
だが、刀を振るったのに避けられた。初心者の攻撃だからなー。
「ぬっ……」
触媒である杖は破壊できた。
つえー!
そのまま、地を蹴り追い付いた。
相手の瞳の色が違う。
怯えている。俺が獲物ではなく、捕食者であることに気が付いたらしい。
その隙を逃さず肩に刃を置いた。
受付の女の人は一瞬ポカンとしていたが、すぐに仕事を思い出した。
熟練の方ですね。
俺は課長止まりだった。一般的な給料で独身なため、お金はそこそこあった。
だからそこまで仕事を極めようとは思わなかったんだよ。
そして、
「こちらに来ていただけますか?」
と言われ、俺は近寄った。
いきなり景色が変わる。
……手を握られ、少し興奮してしまったのは一生の秘密にしよう。
病院の待合室みたいな感じだろうか。
向こう側で男の人同士が会話している。
「俺のこの斧槍でさぁ、相手の腕を断ちきったわけよ! ばぁんってさぁ」
あるあるじゃねーかよ。これで今から絡んでくるんだろ?
何でこうなったんだよ……。
俺は能力がここでも発動できるか確認する。
少し突っかかる感じがする?
が、問題なくスキルが発動することを確認できた。
そして、確認が終わって10秒ほどたっただろうか?
狙いを定めた痩せ気味の男性から小太りの小汚いオジサンが俺に変えてきた。
「何だお前。受付に媚でも売ってきたのかぁ?」
うん、うざい。
更に俺の胸を見る。なに、変態?
うーわむりだわ……。
「俺の元にこれば貧弱なお前を守ってやるぜ?」
きっしょ。おいおいそれは犯罪モンの発言ですよ?
「おい無視すんじゃねぇ! 卑しい女ごときが……」
あ? ジェンダーレスだろ?
おいおい、社会的に死ぬぞ? この世界の警察は何をやっているのやら。
「召喚、刀」
刀に粉砕効果をのせることも出きるのだが、殺したくない。
いや、一撃で、殺したくない。
こんなばか野郎相手に手札をさらしすぎては良くないだろう。
「やるってんのかぁ? お前の愚かな死因、悔いれぇ!」
愚かなのはお前だっつーの。
さっと、俺は刀をふる。
アニメではない、リアルなのだ。
そんな長ったらしい校長みたいな話聞いてられるかよ。
それは膨れたお腹を裂いた。
そこから線状に血を吹き出し、倒れた。
「いっだぁあい……! いだい、いっ……」
お腹を押さえて地面を転がる。
あれ、この世界のなかでこの武器って結構破格の性能してる?
人を傷つけたと言うのに俺の心はまるで痛まない。
異世界転生したからだろうか。
それとも『殺鬼刃』の影の効果なのかも。
え、殺す? うるさいんだけど。
だが、放っておいても死ぬだろう。
思ったより出血が酷い。
と、他人事に思っていたのだが、この、人がどこにいるのか判らぬ状況でこんな叫んでいるヤツの近くにいたくないかも。
と思ったのだが、『魔力感知』が違和感を告げた。
そう、このばか野郎の近くに空間の軸のズレとでも言うのだろうか。
端的に言えばとても違和感があるのだ。
そこをこじ開けるように意識する。すると、『一般能力 魔素操作』を手に入れた。
単純に言うと自分の近くの魔力を感知し、把握するのが所謂『魔素感知』。
一方、周りの魔素を操り、魔法効果を抑えたり上げたりするのが『魔素操作』である。
『魔素操作』を得たことで空間の軸のズレをこじ開けることを成功した。
それと同時に、更に『一般能力 魔法空間』を得た。つまりは空間収納だ。
中には小さな待合せ場所を示すような地図とお金、鍵だ。
「メイさんー」
お、名前をよばれた。少し身体に血がついていないか確認する。
ん、大丈夫。
声の方向へ小走りで向かう。
「あら、ケンカでもしたんですか? 血の香りがします」
え、気付かれた? やっべぇ。
「ケンカを吹っ掛けられて。その辺に怪我した小太りの男性がいると思います、処分、お願いしてもいいですか?」
この流れで隠したら暗殺したと思われても面白くない。
いっそのこと自分から言うべきだ。
「よくあることです。貴女にケンカを吹っ掛けるなんてバカな人もいたものですね」
その通り。いいこと言うね、この人。
「さて、貴女に合う職業を調べます。ここで、この水晶にふれてください」
水晶に触れる。
そこで、受付の人は驚愕を隠せないようだ。
「『戦闘冒険者』『補助冒険者』『解体補助師』『魔窟冒険者』『研究者』『洞窟研究者』……なんて数の適正職……見たことのないくらい……」
感動してるねー。俺もだよ。
なんで? どんな無双ゲーだよ。
「んじゃ、『戦闘冒険者』で!」
なまえ、かっこよくね?
「わかりました。この職業には『職業能力 魔剣士』がつきます。職は後で変えられますが、スキルや魔法が変動、ランクも1からなのでご了承ください」
ま、そりゃそうだろうな。俺は大きくうなずく。
「ご理解、ありがとうございます、そして、我らがギルドマスターがお会いしたいと仰っておりました。来ていただけますか?」
え、ギルドマスター? 会いたいよー!
っていうか『職業能力 魔剣士』ってさ、
一、炎、氷、雷、毒を属性付与する。
ニ、手元に短剣、手裏剣、剣、大剣を召喚する。
三、相手の武器を破壊する。だが、『独創武具』以上は破壊不可。
四、武器を回復させる。さびや小さな欠け程度ならばどの種類でも回復可能。だが、魔力を使う量が増える。
……結構有能じゃんかー!
強いわぁ。
うっとりしていたら、視界が暗転した。
そして、30分ぶりくらいか、日の光が差している。
「君か? このギルドの問題児を倒したのは?」
その前にいたのは長い耳を持つエルフだ。
だが、髪が赤い。エルフなのか?
「私は『火炎耳長族』。炎の精霊と人間の末裔ですよ」
ファイアエルフ……? なにそれ、かっこよ!
「このギルドが嫌煙される理由であったあのエリックを倒しますか」
あ、そう言う屑やろうだったんだ。
「だが腕は確かでしてね。秘密ですよ?」
小さな声で教えてくれた。
いや、声ではない。
思念だ。頭に直接意思を伝えられるのだ。
とても便利だね。
その内容はギルドの会員を殺したり、脅したり、犯したりと。
多種多様な迷惑行為をしていたらしい。
じゃあ、俺の罪は免除だよね。
「この件は隠蔽しましょう。見ていたのも被害者の1人で私のギルドメンバーですし。任務中の事故と言うことでかたをつけます」
俺はふぅん、と考える。
「そして、聞きたい。なぜ、君は『清霊族』を持たないのだ?」
ここでもそれか、と俺は思う。
「魔法を使えないのではないのですか?」
「はい、使えません」
俺はちゃんと声を出した。
「あれか、異世界からの転落者ですか」
何だ? 『異世界人』のことを『異世界からの転落者』というの?
俺は少し危機感を覚えてきた。
この人には逆らえない。いや、何故か威圧的な雰囲気を感じるのだ。
絶賛この世界に来て初めての、命の危機を感じている最中である。
「貴女に初任務を与えよう」
おれは初任務の場所へ向かうのだ。
昨日更新する予定だったんすけどね………。
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