コント「ゲーム実況」
A「最近ゲーム実況って流行ってるじゃないですか」
B「藪から棒になんですか」
A「俺もやってみたいんだよね」
B「別にいいんじゃないですか?」
A「今から俺が動画撮るから見て感想くださいよ」
B「えー嫌だよ。俺あんまり詳しくないし」
A「普段見ない層もターゲットにしたいのでお願いしますよ」
B「仕方ないなあ」
A『Aのーっワクワクゲーーーム実況!どんどんぱふぱふ』
B「やたらテンション高いの始まったな」
A『今日は今話題のこちらのゲームをプレイしてみます』
B「おお、パッケージ見せてくれてわかりやすいですね」
A『さあA選手早速パッケージのビニールに手をかけた!』
B「え?」
A『あーっと爪が引っかからない。痛恨!A選手昨日爪を切ってしまっていたー!このままではパッケージを開けられないぞ!どうするんだ!』
B「待て待て待て」
A「なんですか?」
B「いや、俺は今何見せられたんだよ」
A「ゲーム実況」
B「違うだろ!」
A「じゃあゲーム開梱実況?」
B「違っ、いや、それは正しい。けど何?お前が見せたかったのってそこ?」
A「やっぱりゲーム実況見る人って、プレイする時間がないけどゲームのワクワク感を楽しみたいんだと思うんです。それに、同じ動画を見てゲーム内容や感想を視聴者同士で共有したいんじゃないかと思いまして」
B「言うことだけは一人前だな」
A「だからパッケージ開ける瞬間の最高潮のワクワク感を感じてほしたかったのと、なかなか開かないってあるあるネタを共有したかったんですよ」
B「なんでそうなる!」
A「何が?」
B「そういうのは自分で開けるからいいんであって、誰もお前が開梱に悪戦苦闘する姿にはワクワクしないんだよ!確かにあるあるだけど動画にするほどのものじゃないの」
A「そっか」
B「そうなの」
A「じゃあ続きやりますね」
B「待てって。まだあるから。置いていくな」
A「ちゃんとついてこいよ」
B「なんでそんな偉そうなんだよ。大体、口調がおかしいだろ。妙に溜めたり自分のことA選手とか呼んだり」
A「だって実況ですし」
B「いや、それはそうだけども違うんだよ」
A「じゃあ続きやりまーす」
A『さあなんとかパッケージを開けたA選手だがなんと痛恨!ゲーム機本体を購入していない!』
B「何で!?」
A『勇者Aはゲーム機本体を購入するために旅立ったのである。【勇者Aの大冒険】始まるよ!』
B「ゲームを見せろ!」
A「また邪魔するんですか?」
B「誰がお前の買い物見たいんだよ。そんなもん事前に買っとけよ」
A「でもRPGっておつかいクエストとかあるじゃないですか」
B「おつかいはゲームの中でやれ!」
A「はあ、わかりましたよ。じゃあ続きやりますね」
A『勇者Aはゲーム機本体を求めて旅立ち、なんやかんやあって手に入れたお宝がこちらになります』
B「もう本体買ってたのかよ」
A「動画のテンポ大事じゃないですか」
B「なら一連のやりとり全部いらねえよな。なんやかんやってなんだよ。手に入れたものがこちらって料理番組かよ」
A『さあ早速ゲームを起動していきます』
B「もううかがいも立てずに続き始めたなあ」
A『このゲームはストーリーだけでも数百時間のボリュームでやり込み要素も満点、さらに超美麗なグラフィックで話題なんですよね』
B「ようやくゲーム実況らしくなってきたじゃない」
A『そしてこちらボス戦まで進めたデータがこちらになります』
B「え?」
A『やっぱりね、このゲームの売りはぜひ皆さんの目で確かめていただきたいので』
B「ゲーム実況やめちゃえよ!」
A「またですか?」
B「いきなりボス倒すって大事なところすっ飛ばしすぎ!視聴者ネタバレ喰らうだけじゃん」
A「差別化したかったんですけどダメですか?」
B「その差の付け方はどうなんだろうね」
A「でも俺ゲーム苦手で道中は攻略サイト見てるんですよね」
B「そういうの教えてもらうのも視聴者との交流じゃない?」
A「いや、教えてもらうのってなんかダサくないですか?」
B「じゃあなんでゲーム実況やろうと思ったんだよ!」
A「そりゃゲーム実況見るのが好きだからですよ」
B「ゲームするの自体は?」
A「そんなに好きじゃない」
B「やめちまえやめちまえ!そういうのは好きな人がやるんだよ」
A「じゃあゲーム実況を見るの好きだし、ゲーム実況の実況っていうのは?今から撮るから見てくれよ」
B「付き合ってられるか。もういいよ」