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メリー・サイコワネット物語  作者: 絲璃 露悕
3/5

校長の子ども

教室中は転校生がこの教室に来るという噂で持ちきりだった。

俺の名前は月街(つきがい) 瀬季。

転校生というのはさっきあのクソ親父に紹介されたメリーとかいう子の事だろう。どーせあのクソ親父が俺と仲良くするようにって仕込んだんだろーな。

そんな事をボヤ〜っと考えていると、先生が来た。多分メリーも一緒だ。


「はーい、席に着けー。転校生を紹介するぞー」


先生の声に教室がざわざわと騒ぎ始める。


「やっぱりここに来るんだ〜!」

「女の子かな?男子ならカッコいい人がいいな〜」

「絶対可愛い女子だろ!」

「静かにー。入って来ていいぞ」


先生の声とほぼ同時に教室に、金髪のロングヘアーにリボンが着いていて、その下を三つ編みにしたメリーが入って来た。


(はあ…やっぱりか…)


俺は心の中でため息をついた。


「よろしくお願いします。滅裏夜魔(めりやま) 叉遺娘(さいこ)です」


はっ?


メリーがニコッと笑いながら挨拶すると、またしても教室中から声が湧き上がる。


「めりやま??めーちゃんって呼んで良いかなっ?めりやまさんの方がいいかなっ?どっちがいいかなっ!?」

「いやそこは『めりめり』でしょ!?」

「やっぱり可愛い女子だったーーーーーー!」

「ハーフじゃん(見た目が)!?」

「かわいっすぎだろ!?」


いや、は?なに滅裏夜魔(めりやま) 叉遺娘(さいこ)って。は?お前名前メリーだろーが。

多分俺が漫画の世界の人間なら、余裕で顔面崩壊してる。顔面崩壊しすぎて違う人になってるかも。


「はい!静かに!め、めりやまの席は…月街の隣が空いてるな!」

「え"」


先生の言葉に俺は絶句する。


「いや…ちょ…」

「よろしくね」

「はぁ…」


俺はもう諦めた。もうコイツの事は出来るだけ視界に入れないようにする。


ーーそう思っていたけど、そう上手くは行かない。世の中甘くない。

なんとメリー(今はめりやまだけど)に校内案内をしろと言うのだ。先生はなんて気の利かない先生なんだろうか。


「別に案内しなくてもいいわよ」


メリーが言うが、俺は慌てて否定する。


「え、ダメだろ。案内するよ」

「そう。じゃあ行きたい場所があるんだけど、案内してくれるかしら?」

「ん?どこ?」

「第三体育館倉庫裏」

「え、あそこに行くのか?」

「連れてってくれるんでしょう?」


俺より背が大分低いメリーがにやぁと笑う。


「う、まぁ…」

「さぁ、連れてって♪」



第三体育館倉庫裏ーー


「着いたよ。ここでいいんだろ」

「えぇ、ありがとう。じゃあ本題に入るわ」

「本題?」

「えぇ、貴方(あなた)には私のある目的に協力してほしいの」

「その目的の内容によるんだけど」

「……貴方、憎い奴がいるでしょう?殺してやりたいくらい憎い奴が。それは…まぁ、校長ってところかしら」

「…それを聞いてどうすんだよ」


俺は声のトーンを一、二トーン落として言う。


「殺すのよ」

「こっ、殺すって…」

「人を殺した時のあの快感、一度味わっておいた方がいいわ」

「じょ、冗談だよな…?お前そんな事してないよな…?」

「本気よ。私は今まで何十人と人を殺して来たわ。」

「嘘だろ…?なぁ、嘘って言えよ…」


俺は、胸が張り裂けるように痛かった。転校してきた女の子が人殺し?しかも何十人も殺してる…?信じる方がおかしい。


「そうね…じゃあこれで分かるかしら…?」


そう言い、メリーは血の付いたナイフ、斧、拳銃、色々な凶器を次々と服から取り出し始めた。


『拳銃』


なんの変哲もない、ドラマや漫画などで見る、普通の拳銃。のはずなのに、その拳銃をみた瞬間、俺はとてつもない恐怖に襲われた。


「っ…!」

「私に身を委ねれば、あなたは楽になれるわ。あの快感を味わって、憎き者を殺せば、貴方はもう元には戻れないし、あなたがあなたでなくなってしまうかもしれない」

「でも…それでも…」

「ふふっ」

「俺は(クソ)親父を殺したい…!」

「いい覚悟だわ。私について来なさい?」


そう言い、俺の手の甲にナイフで十字の切れ目を入れる


「これは…?」

「契約の印よ。あなたはもう迷わなくていいのよ!さあ、一緒に新たな世界へ行きましょう!!」

「あぁ!」




メリーのこれは、洗脳に近い。

説得ではなく、洗脳。


メリーが言う事全て、正しい事のように感じてしまう。メリーの言う事がこの世のような、そんな不思議な感覚に襲われる。


その理由として考えられるのは二つ。


一つ目は、メリーの声。メリーの声は圧倒的な存在感を持っていた。


二つ目は、メリーの言葉にかかる圧。命の重さ。


メリーは殺しの全てを教えてくれるようなきがした。

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