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第一集 人類は初めて、自分達を絶滅させる事の出来る道具を手に入れた。 ~第一次世界大戦 world war Ⅰ

作者: ふに豆

殺戮兵器(さつりくへいき)

この言葉を聞いて、皆は何を思い浮かべるだろうか。

戦車、銃、原爆、核兵器......答えは様々。

私の友人にこの質問をしたところ、『世界三大兵器』と答えた。

世界三大兵器は、核兵器、生物兵器、化学兵器の三つである。

日本の近隣である北朝鮮は1993年と2003年にNPT脱退を表明。

2006年、2009年、2013年、2016年1月、同年9月、2017年と、次々に核実験を実施した。

現・最高指導者に就いている金正恩は、父である金正日よりも遥かに危険な政治を行っている。

金正日の時代の方が、冷淡沈着な政治であった。

そんな金正恩は、世界で有数の最も危険な人物にランクインしている程だ。

大量殺戮兵器。そんな恐ろしい物が最初に生まれたのは、第一次世界大戦の最中だった。

略称・W.W.I。1914年7月28日~1918年11月11日にかけて、連合国対中央同盟国の戦闘により繰り広げられた世界大戦である。

当時の大日本帝國も、日英同盟を理由に参戦。民間人をも巻き込む『総力戦』と化した。

殺戮兵器または武器と聞いて、まず真っ先に挙げられるのは、銃。

詳しく述べると、銃が発明されたのは中国であり、八世紀の末から九世紀の初頭、唐で開発された。

日本には1543年、ポルトガル商人によって初めて火縄銃が伝えられる。これより日本にとっての銃の歴史が始まった。

そして銃の進化版・『機関銃』。

機関銃は弾薬を自動的に装填しながら連続発射する高性能な銃である。略称・機銃。

この機関銃が世界大戦で使われた際、戦場の兵たちは塹壕(ざんごう)という穴を掘り、砲撃から身を守った。

塹壕の中に隠れる兵士は機関銃の砲撃から逃れることができる。

今までの戦法は、ゴリ押しに近い『突撃戦法』だったが、第一次世界大戦から『塹壕戦法』に変わった。

そんな塹壕の兵士を殺めるべく開発されたのが戦車である。

───それこそが、第一次世界大戦にて現れた新兵器の一つである。

戦車の開発を推進したのは、当時の英軍(イギリスぐん)海軍大臣であったウィンストン・チャーチル氏。

チャーチルによって開発された世界初の戦車、それが、イギリス製戦車『マーク(ワン)』。

農業用トラクターをヒントにして作り上げたのが戦車である。

『機関銃を搭載した動くシェルター』と、チャーチル氏は語っていた。

それは全長およそ10メートル、30トン近い巨体に57ミリ砲2門、軽機関銃3門が搭載された動く要塞。

先ほど登場した、機関銃の弾も難なく弾き返す戦車。

実践で使われたのは、W.W.I中の西部戦線にて。

戦車を見たドイツ軍の兵士は、成す術も無かった。

それに加えて、戦車のうるさい砲撃の音で精神的ダメージを受けて『シェルショック』になる兵士も続出した。

第一次世界大戦で最も多い死因は、銃弾による死が約30%。砲撃による死が約70%である。

これにより各国は軍事強化の為に、戦車の開発を進めた。

ドイツ軍最初の戦車・『A7V』。

フランス最初の戦車・『シュナイダーCA1』。

アメリカ最初の戦車・『フォード3t戦車』。

日本最初の戦車・『八九式中戦車』。

────これから戦車は、重戦車、水陸両用戦車などの高性能戦車が産まれてくることになる。

戦車の次の主力兵器といえば戦闘機である。

『空飛ぶ生物』と呼ばれた戦闘機だが元々、地形の偵察に使われていた戦闘機。

当然ながら、敵の位置を知るために用いられていた。

初期の戦闘機は自動要素がなく、兵士が手動で爆弾を落とさなければならなかった。

そこから戦闘機の改良を進め、自動式になると、ボタン一つで爆弾を落とせる仕組みに変化した。

他には、毒ガスが挙げられる。各国で密かに作られてい毒ガス。大戦中、塩素ガスで失明した英兵も現れた。

クロロピクリンやホスゲン、シアン化水素(青酸ガス)は、第一次世界大戦で使われた毒ガスである。

皮膚がただれる等の被害をもたらす、びらん剤のマスタードガス(イペリット)が世界最強の毒ガスとなっている。




サラエボの銃声から始まった第一次世界大戦。

連合国側の戦死者553万人、戦傷者1283万人、行方不明412万人。

中央同盟国側の戦死者439万人、戦傷者839万人、行方不明363万人。

この四年間に渡る大戦で、世界は大きく変わった。数ヵ国が滅んだ。

現在の殺戮兵器の基盤を作った第一次世界大戦。

イギリス海軍大臣のウィンストン・チャーチル氏は、第一次世界大戦を総括してこう述べている。



戦争から煌めきと魔術的な美が遂に奪い取られてしまった。

アレクサンダーやシーザーやナポレオンが兵士達と危険を分かち合いながら馬で戦場を駆け巡り、帝国の運命を決する、そんな事は、もうなくなった。

これからの英雄は安全で静かで、物憂い事務室にいて、書記官達に取り囲まれて座る。

一方何千という兵士達が電話一本で機械の力によって殺され、息の根を止められる。

これから先に起こる戦争は、女性や、子供や、一般市民全体を殺す事になるだろう。

やがてそれぞれの国では、より大規模で、限界のない、一度発動されたら制御不可能となるような、破壊のためのシステムを生み出す事になる。

人類は初めて、自分達を絶滅させる事の出来る道具を手に入れた。

これこそが、人類の栄光と苦労の全てが最後に到達した、運命である。


~ウィンストン・チャーチル 『世界の危機』より








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