第57話 北ペンクスリの街を散策(2)
「戦場の悪魔」はタイトルが短いので、流行りの長文タイトル考えてみました。
「魔法少女になりたかったけど素質がないので悪魔と契約したらチートになりました」
「超美人の悪魔に毎日いじめられてます〜最強魔法少女爆誕〜」
タイトル考えるの苦手なので難しい
二人は通り沿いの食堂に入る。このあたりでは比較的大きい食堂だが、昼食の時間帯を過ぎているせいか空いていた。
提供される料理を取って、テーブルに着く。今日の食事はキャベツのスープ、マッシュポテトを平たくして両面焼いたもの、煮込んだ豆。
どれも一口ずつ口に運ぶ。
「おいしいね、リリー」
「え? ええ、そうね」
がつがつと掻き込むヨハンにリリーはわずかに首を傾げた。
(これがおいしいのかしら? わたしには味が薄くてあまりおいしいとは感じないのだけれど)
それに食事の内容も物足りない。肉や魚が食べたい。施設で食べる食事もおいしいとは思えないが、幾分かマシに感じるほどだ。それとも自分の味覚が狂っているのだろうか。
「街の人たちはいつもこういうものを食べているの?」
「そうだよ。今は女の人も働く時代だからねぇ。料理に時間をかける必要ないから楽なんじゃない?」
「ふぅん」
女性の家事労働を減らすために、前国家主席ランドン・キース・バレットが食堂を全国に造ったというのは本で読んだ。実際に街に来てみて、その通りなのだというのは感じた。しかし、リリーにはそれがひどく窮屈に感じた。娯楽もないのに食事すら楽しむことができないのは、なんて退屈でつまらないことだろうか。
水と一緒に料理を流し込んで、リリーはヨハンと席を立った。そしてリリーが行きたがっていた雑貨屋へと足を運ぶ。
雑貨屋にも客はほとんどおらず、商品の品数も極端に少ない。そしてカップ一つにしてもデザインはほぼ一種類しかない。可愛い雑貨をイメージしていたリリーは落胆し、「また今度」と店をすぐに出た。
そのあといくつかの雑貨屋に立ち寄ったものの、どれも似たようなもので、結局リリーは何も買うことなく店を出た。
車を降りてから三時間も経つことなく、二人はレオのところまで戻ってきた。車の横で立って待っていたレオは二人に気付くと敬礼をした。
「ずいぶんとお早いお戻りですね」
浮かない顔をしたリリーは、愛想笑いをした。
「ダウベルト准尉、ウェルチ博士から至急戻るようにとの連絡がございました」
ヨハンは目をぱちくりさせて、ポケットの中を弄った。
「ありゃ、通信機部屋に忘れちゃってたみたい。わかった。すぐ戻るよ。リリー、僕は一足先に戻ってるから、気を付けて帰ってきてね」
「えっ!?」
ヨハンはヴィネを呼び出すと、「じゃあね~」と手を振って影の中にどろりと沈んでいった。
レオと二人きりになったリリーは背中に冷たい汗が伝うのを感じた。
(ヨハン帰っちゃうの……!? この人と二人きりって……)
レオは助手席のドアを開けた。リリーは後ろの座席に乗り込もうと思ったが、シートを移動させることもなく、無言で助手席に座るように促された。
泣きそうな表情で助手席に腰かけた。
(ま、まあ、後ろの席でルームミラー越しに目が合うよりマシでしょ……)
運転席に乗り込んだレオは車を発進させた。
無言の時間がしばらく続く。それはたった数分のできごとだったが、リリーには何十分にも何時間にも感じられた。
(早く! 早く施設に着いて!)
「まだ時間があるので、少しドライブしましょうか」
「へっ!? えっ?」
唐突に話しかけられ驚いて返事もできない間に、車は施設への帰り道とは違う車線に入って行った。
(ええええーーー!!)
読んでくださっている方、ブクマ、評価していただいている方、ありがとうございます。
とにかく終わりに向かっています。




