表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

地獄の島

横一列に並び突進してくる日本兵は我々の十字砲火の前にバタバタと薙ぎ倒されていく。

何が何でもこの陣地を突破しようとする日本兵は我々の濃密な射撃の前に倒れながらもそれをものともせずなおも突進してくる。

日本兵は膨大な損害を出しつつも我々の陣地との距離を確実に距離を縮めてきた。


そのとき私の塹壕側面のジャングルに異様な気配を感じその方向に向かって撃ちまくると二、三人の日本兵が悲鳴を上げて倒れた。

するとその倒れた日本兵の死体を飛び越えて数人の日本兵が躍り出てきた。

飛び出してきた日本兵は私の分隊が守る塹壕に銃剣突撃を仕掛けてきたので私は無我夢中で撃ち続けなんとかその日本兵を倒す。

他の塹壕も手榴弾や銃剣突撃による肉薄攻撃を受けいくつかの塹壕が突破された。


日本軍の猛攻撃は夜を徹して行われた。

私の分隊が守る塹壕の部下たちはよくがんばり夜明けまで守り抜いた。

夜明けとともに日本軍の攻撃は止むが日本軍は壊滅したわけではなく身を隠してこの高地を突破しようと狙っていた。

さらに中隊から衝撃的な情報を伝えられた。

同じ大隊の別の中隊は日本軍の攻撃によりこの大隊と分断されて日本軍の中に孤立しているという。


戦闘が終わり塹壕にこもる私の部下たちは夜通しの戦闘で疲れきっていた。

士気が下がると我々の命にかかわるどころか戦局にも影響する。

私はできる限りの励ましの言葉を部下に言って鼓舞する。

「ジャップ共も我々の機銃掃射であれだけ死んだんだ。ビビってる奴もいるに違いない」

「だな!小隊長の言うとおりだ!今晩も奴らは攻撃を仕掛けてくるだろうが昨日のジャップよりは腰が抜けてるに違いねえ!」

マイケル一等兵も応える。

しかし私は部下たちの士気を維持するためとはいえ口ではそんなことを言ったが内心は微塵もそうは思っていなかった。

マイケル一等兵も合わせてくれただけである。

今まで見てきた日本兵は勇猛でどんな恐怖にも屈しない。

今晩も必ず我々を打ち砕くべく我々の陣地めがけて突進してくるだろう。


しかし朝日が昇ると我々が疲れきっていたところに眠ることも許されず反撃命令が出される。

我々はジャングルに潜む日本軍に肉薄攻撃をしかけ日本軍を押し戻すことに成功した。

孤立した中隊を救い出すことはできたが日本軍も白兵攻撃で反撃してきたため昨夜に続き激戦となった。

白兵戦で多数の日本兵を倒したがさすがに我が中隊からも死傷者が多数出た上、日本兵も激しい抵抗を見せたためついに後退命令が出された。

日本軍を粉砕し切れなかった我々は日本兵の夜襲に備え新たな防衛線を敷く。


眠ることさえ許されない長い一日を終え日が傾き始める。

日が暮れジャングルが闇に包まれると同時に日本軍は攻撃を再開させる。

日本軍は前日に引き続き雄たけびを上げながら突進してきた。

我々もそれに対し十字砲火で応戦する。

銃剣突撃で押し寄せる日本兵は我々の弾幕の前に次々に倒されていくがいくつかの防衛線が突き崩される。

隠れながらいく日本兵は次々に突破口を見出し我々の火点を迂回して後方へと回りこんでいく。

私が気づいたときには側面を何人もの日本兵が通過していた。

「おい!ジャップは横からも来るぞ!何か物音がしたり少しでも怪しいと感じたらそこに撃ち込め!」と部下に指示した。

濃密な十字砲火をたくみに潜り抜け日本兵の突撃波が我が軍の防御陣地の一角に押し寄せる。

日本軍の決死の肉薄攻撃に耐え切れずについに側面を守っていた別の中隊が後退をはじめた。

「ファック!このままじゃ戦線が崩壊するぞ」と、この展開にはマイケル一等兵も悲鳴を上げた。

事実、このままでは日本軍との戦線は崩壊してしまい混戦になろうとしており、それは我々にとって避けるべき事態であった。

日本軍の突撃波の一波が我々の防御線にも押し寄せてきた。

機銃陣地に備え付けられた重機関銃がそれを薙ぎ払う。

そのとき私達のタコツボの近くの味方のタコツボに一人の日本兵が日本語で何かを叫びながら突っ込んできた。

その日本兵は我々の弾幕をくぐり抜けそのタコツボに滑り込んだ。

するとドドドン!と複数の手榴弾の炸裂音とともに仲間のタコツボは吹き飛んだ。

「ジーザス!なんて事しやがる!自爆しやがった!」とマイケル一等兵はその光景を見て叫ぶ。

すぐさま私は指示を部下に指示を出した。

「袋を持った日本兵は最優先で射殺しろ!袋にたらふく手榴弾につめてやがる!自爆攻撃仕掛けてくるぞ!」

「クレイジー!」

日本兵の一撃必殺の捨て身の戦法にジャクソン軍曹は正気の沙汰では無いと叫んだ。

「ヘンダーソン!ジャクソン!ついて来い!残りの者と30口径はここを死守しろ!一人も通すな!」

と言い残し部下二人を連れタコツボを飛び出した。

穴の開いた防衛線を埋めるのだ。

先ほど自爆攻撃を受けた仲間のタコツボを目指して敵味方の銃弾を潜り抜けて走り抜ける。

短機関銃で武装した私と部下二名は無事にタコツボに滑り込んだ。

自爆した日本兵と味方の死体がバラバラになってタコツボの中に四散していた。

タコツボの中は全滅だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ