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常夏の楽園のような島

上陸用舟艇のゲートが開くと同時に我々は一斉に飛び出しビーチに展開した。

しかし意外なことにビーチに敵の弾丸は一発も飛んでこなかった。


「何か変だぜ、静かすぎる」

中隊のウィルバート少尉が我々が上陸したビーチの異様な静けさに反応した。

「ジャングルの中で我々を待ち伏せているのではないか」

とドーソン軍曹は日本軍の不可解な沈黙に警戒した。

「ジャップはどこだ?逃げちまったのか?」

「ジャングルの中から狙ってんじゃねーのか?油断するなよ」

マイケル一等兵とウィルソン一等兵も反撃してこない日本軍に不気味なものを感じていた。

確かにおかしい。

ここは日本軍にとっても重要な拠点であるはずなのに何故一発も撃ってこないのか。

島を防衛する上で水際で反撃しないなどありえるのだろうか?

ジャングルの中からビーチを狙っていて我々が展開したところを一斉に撃ってくるのかとも思ったがその様子はない。

ジャングルの中に隠れて我々を待ち伏せているのだろうか。

それとも上陸前に行われた艦砲射撃と爆撃に日本兵は怖気づいて逃げてしまったのだろうか。


司令部も沈黙する日本軍に対して罠ではないかと疑いを抱きつつも

ついにこの作戦の第一目標である敵が建設中の飛行場を奪取するべく前進せよとの命令を出した。


我々は中隊集合の号令受け集結しジャングルの中へと入っていった。

ジャングルの中でも日本軍の抵抗は無く我が上陸部隊は飛行場へとひたすら前進する。

私はジャングルに日本兵が潜んでいると考えていたが抵抗してくる様子はない。

「飛行場に大軍で待ち構えているに違いない」とドーソン軍曹は日本軍に対する警戒を強めていた。

我々上陸部隊は飛行場にさしかかる。


その時だった。

ダダダ・・ダダ・・ダダダダ

と、聞きなれない機関銃の音が聞こえてきた。

敵の機関銃だった。

「やっぱり来たぞ!」

ドーソン軍曹が叫ぶと

「撃ち返せ!!」

と私は号令して展開し我々は応射した。

それまで極度の緊張状態に皆おかれており、いよいよ戦闘が始まると思いっきり日本兵に銃弾を浴びせた。

我々の一斉射撃を受けると日本兵は装備を捨ててジャングルに逃げていった。


マイケル一等兵はあまりにあっさり戦闘が終わってしまったため拍子抜けしたのか言った。

「なんだ、ジャップってのは大したことねーな」

私自身も、相当激しい抵抗見ることになると覚悟していたのに予想外にあっけなく飛行場を奪取できたため拍子抜けした。

この戦闘の後、皆飛行場をあっさり捨て逃げていった日本兵を見て楽観的な考えを抱くようになった。

しかしこの考えは後日間違っていた事を思い知らされようとは、この時は考えてもなかった。


話によると島と飛行場を守っていた日本軍は予想よりも遥かに少なかったらしい。

飛行場も司令部はまだまだ未完成と考えていたらしいが実際に占領して見てみるとほとんど完成しており驚いたそうだ。

飛行場に残された日本軍の兵器や車両、機材を集めて調べていた連中から聞いた話では日本製ブルドーザーや製氷機なんて珍しいものまであったらしい。


我々が占領したこの飛行場はヘンダーソン飛行場と名付けられた。


我々は逃げた日本兵を飛行場周辺に潜伏していないか捜索するべく小規模な部隊を複数組みジャングルに入った。

ここで最初の困難にあたることとなった。

用意された地図と実際の地形が一致しないのである。

地図では草原になっているところが実際にはジャングルであったり、

地図にない川が流れていたり逆に地図では高地になっているところがただの野原だったりした。

この不手際は上陸当初の飛行場周辺のパトロールではさほど支障はなかったが後々次第に作戦に支障をきたすこととなる。


さらに上陸前は南洋の島と聞いていたこともあり常夏の楽園のような島を想像していたが実際には山やジャングルばかりだった。

ジャングルの中は昼間でも薄暗く有毒な虫やマラリアを持った蚊などもおり上陸当初の我々にとっては日本軍よりもこれらのほうが脅威であった。

ただ日本兵に対しては隊員たちは先ほどの戦闘で完全になめきっておりマイケル一等兵に至ってはパトロール中もおふざけしている有様だった。

しかしフィリピンで強力な日本兵を目の当たりにしたことがあるドーソン軍曹はここに至っても日本兵に対する警戒心を捨ててはいなかった。

「お前達、あれくらいで日本兵を侮らない方がいいぞ」

しかし隊員たちはドーソン軍曹の警告にもはや耳を傾けなかった。

「ジャップなんて大したことなかったぜ。ビビらせるだけビビらせやがって。

ドーソン軍曹はとんだ腰抜けだぜ」

マイケル一等兵が近くの隊員に漏らしていた。

その時だった。

我々の頭上に10機、20機、30機と翼を日の丸に染めた雷撃機が爆音高くやってきた。

「敵機だ!!伏せろ!」

と、私はとっさに叫ぶ。

しかし日本機は我々には目もくれずにそのまま通過してかなたへ飛んでいってしまった。

直後、日本機が飛んでいった方角から激しい艦砲の砲音が響き渡ってきた。


砲声は翌日まで鳴り続き、この時聞いた砲戦の音は後の戦史に残る第一次ソロモン海戦のものであった。


戦争体験記風、史実に沿っているという所が本作品と似た匂いを感じたから徳次郎先生のスタンレーに響くを読んでみた。レベル違いすぎワロタ

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