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世界の果ての島

PCで書いたからPCで読むの推奨。携帯による閲覧者様への配慮は全く行っておりません。

夜。

見渡す限り大海原。

遠くまでは夜の闇で見えない。

星の光だけの暗い海上を等間隔で列を組み進む船の集団。

私は大きな船に乗っていた。

海上は夜の闇に包まれ月の光で黒く光る海面はどこまでも続いていて奇麗だった。


先程、私の乗った船の向かう先はガダルカナル島と告げられた。

聞いたことも無いしどこにあるかも知らない世界の果てだ。

私はその世界の果てにこれから戦争をしに行くのだ。


1941年、アジアの侵略を進めていた日本帝国は突如、我がアメリカ合衆国に戦争を仕掛けてきた。

日本軍はアメリカ海軍の太平洋艦隊の拠点であるハワイのパールハーバーに突然、奇襲攻撃を仕掛けてきたのだ。

この奇襲攻撃でアメリカ海軍の太平洋艦隊は大打撃を受け壊滅してしまった。

以来、太平洋は日本海軍の暴れ放題となり我がアメリカ合衆国はフィリピンを失い、東南アジアと太平洋の島々は日本軍の手に落ちていった。

だがパールハーバー以来、合衆国総力を挙げた艦隊再建の必死の努力でやっと反撃可能な戦力が戻りつつあった。

そしてついに日本帝国への我がアメリカ合衆国反撃開始の第一歩として本作戦が発動された。

この作戦の目標はガダルカナルという太平洋のどこかにある島の日本軍が建設中の飛行場で、

我々の任務はこの飛行場を日本軍からすみやかに奪取することであると我々兵士は説明を受けた。


「現在、日本軍は本作戦の目標であるガダルカナル島に新たな飛行場を建設中である。

日本軍がこの飛行場を完成させここに日本軍の航空戦力が進出することになると

アメリカ海軍の南太平洋での作戦活動は著しく限定される上、オーストラリアまで日本の手に落ちる危険がある!

今回の作戦は我がアメリカ合衆国反撃の先駆けとなるだけではなく戦略的にも極めて重要な作戦である!」

今回の作戦を指揮する将軍が我が上陸部隊の兵士たちの前で説明した。

この島は日本軍にとって重要な拠点であり相当な抵抗が予想されるとのことだ。

南洋の常夏の島は地獄の島と化すであろう。


地獄行きの船にはたくさんの兵士達が乗っている。

不安そうな面持ちで家族への手紙を書いている者、神に祈っている者、はしゃぎまわったりしている者など、いろいろな兵士たちがいた。

いよいよ上陸が近いようで我々は上陸の準備と武器の最終点検を行うように言われた。

私の中隊の隊員たちはよく訓練され士気も旺盛だった。

「あんな小さな島国の猿がでかい中国相手に戦争始めるなんてワケわかんねーやつらだと思ってたが今度は世界相手に戦争はじめやがった。

イカれてんのか?ジャップってのはまったく理解不能だぜ!」

「まったくだな。ジャップがトチ狂ってパールハーバー奇襲なんてしなけりゃ

今ごろベガスで一発当てて金髪で胸のでけー娘嫁にもらってたのによ!

ジャップのせいで太平洋の果ての聞いたこともねー島でバカンスだ」

隣にいたウィルソン一等兵とマイケル一等兵が愚痴を言い合っている。

しかし見たことのない日本兵との実戦を間近に控えどこか緊張しているようにも見えた。


「日本国民はエンペラーに忠実で命令があれば自らの命さえ捨てる」

「責任をとるときには腹を切る野蛮な人種」

「日本兵は頑強で我々より少ない食料で我々よりもたくさん歩きたくさん働く」

「また器用でずる賢くジャングルなどでの戦いを得意とする。」

「木登りが得意でゴム底の靴で足音も無く忍び寄ってくる。」

船で配られたジャップについて書かれたパンフレットを読んでいるとウィルソン一等兵が尋ねてきた。

「少尉はジャップについてどう思いますか?ジャップは殺しても殺しても沸いてくるって聞きました」

「ばかばかしい。昔、本国のリトルトーキョーでジャップを見たことがある。

本当に猿のような顔をしていた。中国人よりも小柄だ。そんなやつらが強いとは私は思えんね」


実際の日本兵は見たことがない。

想像もつかない相手と戦うのだ。

私も本当は不安な気持ちもあった。

何せやつらはパールハーバーからたった半年で世界の10分の1を占領した奴らだ。

しかし小隊を預かる立場上そんな感情を表に出す事は私には許されない。

それにこれから戦う相手に恐れをなしていては勝てる戦も勝てない。


そんなときマイケル一等兵が

「おい!中隊のドーソン軍曹が日本兵を見たことあるらしいぜ!」と言いふらしていた。

ドーソン軍曹は隊員たちに囲まれ質問攻めにあっていた。

「フィリピンで日本兵を見たが鬼のような強さだった」

「日本兵に捕まったら厳しい拷問を受けた上で処刑される」

などと集まっていた兵士達に吹き込んでいた。


そんな時、目標のガダルカナル島が近いのか我々の乗った船が停船する。

夜の海は神秘的だったが遠くに見える島影は不気味だった。

さながら悪魔の島のようだった。

夜明けと共にその悪魔の島に上陸する。


夜明け前、地獄の扉をノックする艦砲射撃が一斉に始まった。

我々が乗っている船の上空を爆音高くやってきた友軍の爆撃機が飛んでゆく。

私は中隊長の命令を受け部下に上陸の準備を指示する。


私は準備完了と共に隊員達とに上陸用舟艇に乗り込みガダルカナル島に向け出発した。

乗り込んだ当初は遠足気分の隊員が暢気に口笛を吹いたり、小突き会っていた。

しかし上陸ポイントに近づくとともに艇内の空気も緊張感が増していき次第に会話もなくなっていった。

私自身も表面上は冷静を装っていたが尋常ではない緊張感に襲われていた。

上陸用舟艇のゲートが開いたとき待ち受けるものは日本兵の大軍か大量の銃弾による洗礼か。


ゴウゥン!ガクン!

上陸艇が砂浜に乗り上げる衝撃が伝わってきた。


カラカラカラカラ・・・


ゆっくりと上陸艇のゲートが開く。

地獄の門が今、開いていく。


1942年8月7日 ガダルカナル島


文才の無さに泣いた。

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