おまかせあれ
「目が覚めましたか?」
僕が目を開けるとそこには綺麗な薄藍色をした女性が立っていた。
自分も立っていた。だけど立っている感じはしない、不思議な感覚だった。
「うーん、私、何年もこれやってるんですけど、何回やっても慣れませんね。」
「あなた、死んじゃいました。」
最近、異世界モノのラノベやアニメばっかり見てるせいでこんな夢まで見てしまうようになったか
「あ、その顔は信じてない顔ですね。何百回も見てきたんで分かります。」
あっさりと見抜かれてしまった。
「私の名前はクラリスです。あなたも何か言ったらどうです?」
「え、えーと、にわかには信じ難いんですけど…夢とかじゃないんですかね?これ」
「あなたもつまらないですね。みんなそう言いますよ。」
これ以外言うことなんてないだろう。
「異世界転生ってやつですか?」
「それを聞かれたのも何回目だよって感じですね。」
みんな聞くのか…
「まあ端的に言ってしまえばそういうことです。あなた達が知っている異世界転生と相違ありません。説明しなくていいのが便利ですよね。ほんと。」
これは夢でも嬉しい。最高に楽しんでやろう。
「まだ信じてませんよね?ま、いいですけど、結局転生しますし。不慮の事故で亡くなった若い方は転生できる機会があるって、神様も粋なこと言いますよね。」
「あなたは天使か何かなんですか?」
「まあそんなところです。で、本題に入ります。」
腕を組みながら天使らしからぬ彼女は言った。
「あなたは次の異世界で好きな能力を自分で作れます。楽しいですね。」
「はあ…」
こんなに予定調和の様に容易にことが運ぶものなのか。
「でも、設計するのは私ですので、きっちり自分が欲しい能力の詳細を話してくださいね。」
「わかりました。」
疑問に持つことは少なからずあったが、流れに身を任せることにした。
「それでは、まずコンセプトというか、そこらへんをお聞かせください。」
「うーん、なるべく派手で、攻撃力、攻撃範囲、共に優れた魔法のようなものがいいですね。少し、放つのに手間がかかってもいいです。誓約みたいなものでも。それとできるだけ周りを傷つけない平和的なスキルもほしいですね。」
「長いですね。コンセプトなんですが。」
「まあ、特に希望もないのでこれくらい派手なスキルがいいですね。」
妄想を垂れ流していた日常を思い出したがら語った。少し恥ずかしい。
「まあ、承りました。じゃあ、飛ばしますね。」
「やけに早いですね。」
「こんなもんです。手慣れてますからね。」
身体が熱くなり始めた。
「あ、ごめんなさい。スキルは一つしか覚えられないです。言い忘れてました。」
少し残念だが、問題はないだろう。
「いってらっしゃいませー第二の人生ー。」
そこで意識は途切れた。