君のためにできること。
僕が千里に振られてから、一月くらいが経った頃だった。千里は頑張ると言った言葉通り、思い人に告白をしたが残念ながら振られてしまった。
「5つも食べたら太るかな?」
千里は散々泣いた後、唐突にケーキを奢れと言い出した。それくらいお安い御用だと僕は早速泣き腫らした目の千里を連れて、ケーキ屋に来ていた。
「いや、買う前に僕もそう言ったよね?」
「でも、食べないとやってらんないんだもん。奏の奢りだし」
すっかり泣き止んだ千里はなんだか吹っ切れた感じだ。
「じゃあ今日は気にせず、思いっきり食べなよ。僕の奢りだし」
「それもそうだね。じゃあ、いただきまーす」
千里は美味しそうにケーキを食べている。そして、1つ目のケーキを食べ終えたとき、
「奏が振られた時は、私が何か奢ってあげるね」
なんて事を言い出した。
「一ヶ月前に千里に振られたばかりだから、しばらくは大丈夫かな」
冗談のつもりで言ってみたのだが、千里のケーキを食べる手が止まってしまった。
「えっと、それは、その・・・」
なんだかあたふたし始める千里を見て、僕は吹き出してしまった。
「冗談だよ。もし僕が振られた時は、映画にでも連れて行ってよ」
そう言うと、千里はパッと笑って大きく頷いた。
僕は今日も千里のそばにいる。そして、千里も僕のそばにいてくれる。彼女の恋を応援すると言ったにも関わらず、僕はこの関係がいつまでも続けばいいなと思いながら、2つ目のケーキを食べ始める千里を眺めていた。




