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軟弱男の失恋譚  作者: 平 五月
3/8

運命の日

 次の日の放課後。

 ついに作戦を決行する時がやってきた。


  今日の授業中はずっと頭の中で、彼女へ伝えるセリフを何度も繰り返し呟いていた。

 よし、行くか。

 そう決めて席を立ち、少し離れた彼女の席へと近づいて行く。それに連れて心臓が大きく高鳴り、まるで心臓がいくつもあるような感覚になる。

「千里」

 幼馴染ということもあり、普段から下の名前で呼び合っている。僕が女の子を下の名前で呼ぶのは千里だけだ。

「なぁに?」

  1日の授業を終えて疲れているのか、少しだるそうにそう言った。目がトロンとしていて少し眠そうだ。

「今日、なんか用事ある?ないなら一緒に帰らないか?」

 そう言うと、さっきまで眠たそうだった目が少しだけ見開かれた。

「へぇ、奏から誘ってくるなんて珍しいね?何か用事?」

「あ、あぁ、ちょっと話っていうかなんて言うか・・・そう、そろそろ進路とかもちゃんと決めなきゃじゃん?ちょっと相談乗って欲しいみたいな?的な?」

 若干不自然な感じだが、この不自然さも僕にとっては通常運転である。彼女もこんな僕には慣れっこなので、特に怪しんだ様子もなかった。

「進路かぁ〜。もう来年は受験生だもんね。私もだいたい絞り込んでるけど、確かにちょっと迷ってるとこもあるのよね・・・」

 そう言うと彼女は、いかにも考えていますと言うような感じで顎に手を添えてしばらくウンウン唸ったあと、

「よかろう。私に何でも相談するが良い!」

 ワザとらしく手を腰に当て、胸を張ってそう答えた。

 そしてふっといつもの調子に戻って、

「じゃあ、帰りどっか寄っていく?」

 と言ってきた。これは願ってもいないことだ。去年と同じ失敗を繰り返すことなく、予定通り公園での告白が決行できそうだ。

「うん。帰り道にある公園でどうかな?」

 そう思っていたがしかし、

「え、公園!?流石に寒くない?」

 最もである。12月の公園が寒くないわけがない。

「帰り道からはちょっと外れちゃうけど、駅前のカフェはどう?」

 カフェで告白・・・無理かな。平日の夕方のカフェなんて、学校終わりの学生で溢れかえっていて告白するにはイマイチだろう。だからと言って寒空の公園というのもどうかと思うが、カフェよりはマシだろう。 何とかせねば・・・。

「あぁー、その、ちょっと最近金欠なんだよね。誘っといて何だけど、できれば金使いたくないみたいな?」

 流石に苦しいかとも思ったが、

「あぁ、確かに私も金欠はあるかなぁ。カフェって飲み物一杯で400円とかだから確かに厳しいよね。メニュー見てたら何か食べたくなるし。」

 そう言うと、公園ということで納得してくれた。今のところ計画は順調だ。


 そして僕たちは教室を後にし、公園へと向かった。






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