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017 船上ブリーフィング

017


 集団戦闘において最も大切なのが、ブリーフィングである。

 彼らは<フォーランド公爵領>に上陸する前にそれを行った。ずいぶんとお互いのことを話したので日が落ちてしまった。

 偵察能力のあるものと、ハギの式神が先に上陸している。 


 

 先程の海上戦で神殿送りになったものと、戦闘が不得手な船の操縦士である召喚術師を除くと、23人と1頭となった。

 

 |大規模戦闘攻略二十四人隊フルレイドが<剣牙虎>の山丹を含めれば組める。これを4つのパーティーに分けることとなる。

 その作業を【工房ハナノナ】の戦力まで把握している龍眼が行った。不足しがちな連携は行軍のあいだに磨くことにして、所属ギルドにかかわらず編成された。


 ここに読み物としても興味深いハギのメモを載せる。これで一戦終えたあとのブリーフィングが和気藹々と進んだことがお分かりいただけるであろう。



第一パーティ:フルオリン・あすたちん・ヨード・あざみ・ドリィ・ボク(※ハギ)

主目的:【主攻】中央突破できる前衛。



フルオリン:ギルド【アロジェーヌ17】のリーダー。

 半ば強引な性格の金髪エルフの美女守護戦士。

 中身も金髪の女性「古尾凛」。永遠の17歳。



あすたちん:【アロジェーヌ17】の一人。

 肉感系美女だが中身は男。男じゃなければ。

 男じゃなければ。男じゃなければー!

 スーパーハイヒーラー。



ヨード  :【アロジェーヌ17】の一人。

 斥候中の忍者キャット。



あざみ  :最近大丈夫か? ただ今睡眠中。



ドリィさん:料理はあすたさんの方が上。

 戦士としては凛さんが上。がんばれ。



ボク   :基本ヨードさんのフォローだろうか。

 どうもヤクモはヨードさんをお気に入りのよう

 だからそれでいいのかもしれない。  




第二パーティ:クロライン・ワタナベ=アリサネ・てるる・バジル・リア・ユイ

主目的:【助攻】撃ちもらしの撃破。



クロライン:【アロジェーヌ17】の一人。

 「黒木泉」。男。凛さんに黒糸に改名しろと無理を

 言われてもめげない寡黙な<抜刀斎>。

 綺麗好きの狼牙族。



アリサネ :イケメン魔法剣士。

 イケメンであることを認識していないギャップ人間。

 神殿送りになった彼女(?)と念話をずっとしている。



てるる  :龍眼さんと全くタイプの違う<付与術師>。

 さっきのバジル級に手数の多い高速詠唱型ビルド。

 奇跡の指を持っていて失敗料理も旨くなるらしく、

 あーんさせてもらった。内気な女子大生らしい。

 気分的にも旨い。



バジル・リア・ユイ:好き放題狩ってよし。




第三パーティ:ブロマイン・U17・龍眼・フォスフォラス・すず・ディル

主目的:【本陣】DPS向上・消費MP管理



ブロマイン:【アロジェーヌ17】の一人。

 元はブロックと名乗っていたが凛に改名させられたらしい。

 鍛冶屋あるあるでシモレンと意気投合。中年ドワーフ。



U17   :【アロジェーヌ17】の一人。

 名前だけでスカウトされた法儀族の少年。

 <生命のセコイア>を召喚。

 元ソロで装備は低位だが、前線突撃も可能。



龍眼   :軍師。目つきが怖いがいい人。

 姿は若いが親分肌。



フォスさん:ソロの吟遊詩人。

 大災害以降組んだメンバーは先ほどの戦闘で散る。

 いうことなすことキザだがバカっぽいところが好感度大。


 

すず   :きつね耳の弓巫女。

 アリサネのお目付け役?

 アリサネの彼女とも念話をしている。

 なぜか話しながらペコペコ謝っている。



ディル  :うちの電撃青年。

 頑なにてるるにあーんしてもらうのを拒んでいた。

 向こうでドリィさんが睨んでいるようにも見えるが

 気のせいじゃないよな。




第四パーティ:黒夢・モリ=タケトノ・リーダー(※桜童子)・シモクレン・イクス・山丹

主目的:【殿】遊撃及び後方支援、緊急時に第1パーティーとの入れ替え



黒夢   :デスサイズに特化した灰猫ネクロマンサー。

 口も性格もネクロマンサー向きだから、怖い。

 <ルークィンジェ・ドロップス>との親和性を考え

 呼んだんだよな、龍眼さん。



トノ   :完全野武士。

 「うむ」とか「応」とかしか言わない。

 ブロさんとは違う種類のおっさん。

 ある意味かっこいい。



リーダー :山丹の背中に鞍状に呪いの椅子設置。

 時折転げ落ちる。なかなか可愛い。



山丹・イクス:大地人なんだから無理せんよーに。



シモレン :第2パーティに優秀な回復役がほしい。

 しかし希望によりこの位置となる。

 Lv.91の刀の作者には龍眼さんも甘い。




守護戦士2・武士3・施療神官2

森呪遣い2・神祇官2・暗殺者1

盗剣士1・吟遊詩人2・妖術師2

召喚術師2・付与術師2・大地人2・虎1


 即席にしてはバランスが取れている気もする。

 だが、よくよく見ると最硬ビルドに居合ビルド、スプリンクラーに殴りドルイド、ミストゥルティンにネクロマンサーと個性豊かにも程がある。

 調整をする龍眼には、相当に戦局を見極める目が必要だ。


 ハギはふと気づいたことがあった。

 しまった、と思ったのは声に出してしまった後だ。



「あれー、<武闘家>がいないっすねぇ」


 2秒ほどしーんとしたと思ったら、寝ていたと思ったたんぽぽあざみがわっと泣き出した。

 あすたちんやイタドリが一生懸命なだめているが、ハギは随分と気まずい時間を過ごす羽目になってしまった。


「<武闘家>はしばらく禁句ですよ、ハギさん」


 ディルウィードに耳打ちされるまでもなく、ハギは反省していた。

 ため息をついて、ハトジュウの視界に意識を合わせた。

 ハトジュウは鳥型式神で、偵察時はハギと感覚を共有できる。

 童形のヤクモも同じだ。


 ハトジュウを選んだのは現実逃避のつもりだったが、突如異常な墜落感にめまいを受けた。忍者キャットに抱きすくめられたようだ。

 その衝撃に、うわっと声をあげてハギは立ち上がった。



「今度は何事ですか」


 たずねるディルウィードを片手で制し、感覚をヤクモに切り替える。

 大災害後、式神が術者と感覚を共有するようになったことは、多くの神祇官の知るところとなったが、大概は紙人形の姿のままである。


 詳しい理由は推測するより他にないがヤクモとハトジュウの姿は紙人形ではない。しかもヤクモもハトジュウも<ルークィンジェ・ドロップス>の影響で多少の自律行動が可能になった。


 この映像は、ヤクモが木に隠れているところか。

 時折光の筋が視界に走る。

 忍者キャットのヨードが高速で移動したあとだ。

 視点が上に移る。

 <一つ目入道>(サイクロプス)のようだ。

 ハトジュウに切り替える。

 無事だ。再び舞い上がって周囲を確認する。


「ヨードさんがこの先1500mの森の中で<一つ目入道>(サイクロプス)と交戦中! 一体のみ!」


 ハギの声にいち早く対応したのが、さっきまで泣いていたあざみだった。彼女の精神構造はアスリートのそれに近い。0の状態から一気に100%かそれ以上の力を出すことができるのだ。


 それに続き、龍眼と第1パーティが立ち上がった。


「おそらくヨードは不意に襲われたから念話ができなかったと思われる。戦闘音はできるだけ立てず、敵を殲滅! 行け」


「了解!!」

■◇■


 U17がなぜ名前だけでチームに入れられたか。

 なぜブロックはブロマインと改名させられたか。

 それがわかると、意外にもフルオリンが理系女子であるとわかる!

 え、別にそれはいらない情報?


 それはともかく次回「戦場のメロディーライン」!

 0時更新できるか怪しくなってきたぞ……。

 

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