童話の世界に転生したと思ったけれど~義妹が攻略対象だった 編~
続きません。
私は、この世界で一番好きなのは美少女です。
美少女は愛でてこそ!
私は、エスティ・ベックストレーム。
有名なベックストレーム商会長の長女でした。
妹が一人います。
妹は、お母様と同じく精魂が腐った性格です。
『シンデレラ』に出てくる意地悪な義母と義姉のような感じの人。
今の義父は、四人目。
母と妹の金遣いが荒く、過労死一直線という死相が顔に見えてきました。
予想通り、彼もお亡くなりになりました。
母は新たな金づるを見つけるべく、パーティー三昧しています。
義父が死んでから一ヶ月後に、「この人が新しい父親よ」と言って、真面目で誠実そうな男の人を連れてきました。
私は、「この方の娘さんか息子さんが反対するなら反対です」と母に言いました。
その男の人は、「娘なら、反対しないから大丈夫だ。心配することはない」と笑って帰って行きました。
男の人が帰ってから、「お前は、余計なことを言うんじゃないわよ!」と私を叩いてきました。
私はこの時に、歴代の父たちを過労死に追いやっているのだから、遠回しに止めるのは当り前だろうと思いました。
数日後、その男の人は嬉しそうに家にやって来ました。
娘の許可が取れたから、母と再婚したいと。
これには、母と妹が大喜び。
また、豪遊して遊んで暮らせると。
馬車に乗り、新しい義父の家に行きました。
新しい義妹を紹介されたのですが、彼女はものすごくきれいな美少女です。
彼女は、レイラという名前です。
レイラを見た瞬間、まさかの転生先は『シンデレラ』!?
いやしかし、シンデレラの世界だと決めつけるのはまだ早い。
だって、シンデレラの義母は再婚したのが一回ではないですか!
ですが、予想というものは常に裏切られるというもの。
再婚してから毎日のように、母は家でパーティーを開きました。
明らかに、お金の使いすぎです。
私は無駄だと知りながら、母に苦言を呈しました。
予想通り、「家の中のことを何も知らない癖に、余計なことを言うんじゃないわよ!」と怒鳴り散らされ、不機嫌になってしまいました。
母と結婚してから、義父はかなり早いペースで仕事をし何度も家を開けています。
母は、相変わらずパーティー三昧。
私は数日おきに家を空け、母には内緒で父から教えてもらった仕事を続けています。
母は、私が遊び歩いていると思い込んでいますけど。
今では、大きな仕事になっているので家に帰るにも、ちょっと大変になっています。
私が家に久々に帰った時に、泣いて悲しんでいるレイラを見つけました。
なんと、義父は仕事先で亡くなっていたのです。
そして、母と妹がレイラを使用人扱いしてイジメていました。
しかも、雇っていた使用人たちは無駄になるからと辞めさせていました。
ここって、シンデレラの世界ではないよね?
大好きな父を亡くして、悲しんでいる美少女にむごい仕打ちです。
私は急いで仕事先に、手紙を送り帰らないことを伝えました。
仕事は溜まるけど、今は仕方がないですしね。
私が表立って手伝うと、母がレイラにする仕打ちが酷くなるので、影からできるだけ手伝っています。
食事の量を母がわざと少なくしているので、お菓子をレイラにこっそり渡しています。
レイラの部屋は、無理矢理母が奪い取って妹に使わせています。
今の彼女の部屋は屋根裏部屋でなく、物置ですけど。
ハ●ー・ポ●ターでもないのに!
妹がレイラの母から譲り受けた大切な物を奪ったらしいので、『姉特権』を使い取り返せるだけ取り返して、私の部屋に置いておきました。
レイラはある日、街に出てお使いをしました。
そこで、「この国の王子が、花嫁募集を兼ねた舞踏会なので女性は参加するように」と御触れを出したそうです。
これはひょっとして、新手の人妻狙い!?
どこかで、手を出してはいけない人妻と密会ですか!?
母は乗り気で、私と妹に王子を狙えと言ってきます。
もちろん、私は王子を狙いませんよ。
生活習慣から、違うじゃないですか。
私は母と妹がレイラにする仕打ちを簡単に予想できたので、急いで街まで行き舞踏会用のドレスを依頼しました。
舞踏会当日、ドレスを着たレイラを見て母と妹はハサミとナイフで、レイラのドレスをズたボロに切り裂きました。
高笑いしながら、「こんなボロボロのドレスじゃ、舞踏会には行けないわよね!」と満足そうにしていました。
私はレイラに駆け寄り、私たちが出て行った後に私の部屋に行くようにと言いました。
私はレイラが着るためのドレスの用意と、彼女が母から譲り受けた宝石を綺麗な状態にしていたのです。
母と妹の準備がまだなので、少し外に出るとどこかのおばあさんがいました。
「そこのあなた、私の役目を取らないでおくれよ」と言いました。
もしかして、シンデレラに出てくるやさしい魔法使いさん?
「シンデレラ?なんだい、それ」
何気に心を読んでくる、魔法使いさん。
彼女の顔をよくよく見ると思いだしました。
ここが、18禁男性用恋愛ゲーム『destiny~運命のブレスレット~』の世界だということを。
18禁女性向けゲームをゲーム開始からわずか五分でやめた後(シナリオが合わなかった)、絵が好みなこのゲームを購入してプレイしたのです。
攻略する女性が可愛かったのでしたのですけど、プレイヤーの王子がかなりイライラする性格です。
このゲームは、プレイヤー(王子)が運命のブレスレットを持つ女性を探すというもの。
攻略対象は、全部で五人。
その中に、最愛の義妹レイラも入っているのです。
正直、あの王子に義妹をあげるのは気に食わないのですが、この状況よりましでしょう。
妹と母なら、喜んで熨斗をつけてあげるのに...!
「考え事はいいけど、私は自分の役目をしないといけないから邪魔をしないで欲しいんだけど」
「それは、ごめんなさい。でも、あの母と妹の仕打ちを見て超絶に可愛い義妹を助けないという選択肢はないのですが。むしろ、あの妹と母に魔法をかけて王子に押し付けれませんか?」
「イヤだよ、あんな精魂が腐った人たちに」
「ですよね」
「後の私の役目は譲ってくれるかい?」
「もちろんです、魔法使いさん。私はこれで」
「そうじゃな」
気合を入れすぎる恰好をした母と妹が馬車の前で私を待ち構えていました。
そして、馬車に乗って王城に行きました。
王城につき、踊る時間に入ると王子は誰かを探すようにしています。
彼はレイラを見つけると嬉しそうに、ダンスに誘いました。
レイラは誘いを受けました。
めんどくさいダンスの相手をしていると、時計がもうすぐ十二時を指しそうです。
私は急いで会場を出てレイラを探します。
ゲームだと間に合うのですが、現実になると時間との勝負ですからね。
走っいるレイラを見つけると、迷っているようです。
私はレイラに駆け寄ると、有無を言わさず出口の方まで引っ張って行きました。
「お姉さま、私が分かるの? 魔法使いさんは、家族にバレないって言ってたのに」
「それより、もうすぐ時間ですよね。早く行きますよ」
「はい!」
出口には、逃げるのに遅れる定番の階段があります。
「王子様に追いつかれるわ、お姉さま!」
「そのブレスレットを投げて時間稼ぎをしなさい」
「でも...」
「いいから、早く!」
「はい!」
レイラが投げたブレスレットは、王子の大切なところに当たり、王子が悶絶して足止めを食らいました。
王子の従者が、王子を心配して駆け寄ります。
レイラさん、ひょっとして王子のことが嫌い!?
その間にも、私たちは急ぎました。
レイラを無事に馬車まで送り届けました。
家に着くと、レイラは今日のことを楽しそうに話してくれました。
どうやら、あの王子は街でならず者に絡まれたレイラを助けたんだそうです。
その後、王子と話していて打ち解けたんだとか。
翌日、機嫌が悪くなった母と妹がレイラに八つ当たりし、彼女を気絶させました。
私は、レイラの看病をして彼女が目覚めると、
「お姉さま! 私を見捨てないで! 王子様と結婚したくない!」
と泣きついてきました。
話を聞けば、彼女も前世であのゲームをしていたんだそうです。
前世の兄のを勝手に借りて。
あのゲーム、どのルートに入っても、結局ハーレムになるんですよね。
前世の知識があるばかりに、その状態は拒否反応が出るそうです。
「大丈夫ですよ、レイラ。今から、攻略対象たちを集めてくるので」
「お姉さま、ひょっとして私と同じ?」
「そうです。実は、お母様に内緒で商会の経営者の一人なんです。そこで、恩を私に売られるに仕向けた人たちの娘が、攻略対象たちなのです。だから、大丈夫ですよ」
「お姉さま、大好き!」
「私が雇っている使用人が来たら、家の掃除はその人たちに任せて下さいね」
「うん!」
私は、ブレスレットを持つ謎の女性を探す王子が家に来る前日に攻略対象たちを連れて家に戻りました。
レイラには当日、物置に隠れてもらいます。
王子一行が家に来て、「ここに住む女性に、このブレスレットをはめてもらう」と言いました。
私、母、妹はもちろんブレスレットが拒絶反応を起こしてはめられませんでした。
このブレスレット、攻略対象なら誰でもはめれるんですよね。
まだ諦めれない王子は私に「お前があの女性を連れ去ったのは分かっている。差し出せ!」と言ってきました。
「王子様、恐れながらどの女性を指しているのかが分かりません。ですので、あの日、私が馬車までお連れした女性をすべてここに、この日のために連れてきました」
「それはご苦労だったな。連れて来い!」
「分かりました」
私は、王子の前に攻略対象たちを連れてきました。
当然、攻略対象たち全員ブレスレットをはめれました。
王子は混乱しました。
「どういうことだ!?」
「私には分かりませんが、王子様」
「なんだ?」
「ブレスレットをはめれる女性と結婚をするとのことでしたが、今日のために連れてきたお嬢様方と結婚なさるのですか?」
「それは...」
そこに出てきたのが王様。
なんでここまで来てるのですか? 王様! ビックリです。
「もちろんだ、お嬢さん。王子のためにわざわざ女性を連れてきたとあなたが言ったのだからな。もちろん、領民にもそう約束している。王族は約束を違えん」
「王様。それでは、私はお嬢様方を家までお連れし、そのことを伝えればよろしいですか?」
「それには及ばない。私が責任を持って伝えよう」
「わかりました、王様」
王様一行が帰った後、母は私に激高しました。
言いたい放題文句を言わせた後、家族の縁を切る用紙にサインしてもらいました。
母はいえ、元母ですね。
元母は、新たな金づる(夫)と結婚するために妹と家を出て行きました。
去り際に、「あんたははじめから気に入らなかったのよ」と私に吐き捨てて行きました。
「お姉さまはこれからどうするの?」
レイラが心配そうに聞いてきました。
「仕事先に家がありますので、そこに帰ります。レイラも来ますか?」
「うん!」
「それじゃあ、待ってますので用意をしてきてください」
「分かった」
家に着くと、鬼部下が待ち構えていました。
「お帰りなさいませ、エスティ様。仕事がたまってるので早く片付けやがって下さい」
私は鬼部下に仕事部屋に連行され、レイラは使用人に部屋に案内されました。
仕事がひと段落して、やっと食事にありつけます。
「お姉さま、聞いたわ。この商会の会長なんですって! まさかのチート!?」
「違います。元母が浪費家だったので、父に仕込まれたんですよ」
「なるほど」
「まあ、父は私が元母を見限ることなんて予想済みだったんでしょうけど。雇っている人たちや商会に入っている商人たちのこともありますし」
「そうなんだ...」
「気に病む必要はありません。あの人の切り捨てれないと、商会長なんてできませんよ」
「それにしても、あの家で雇っていた使用人たちここで雇ってくれてたんだ」
「あの後すぐに部下に探してもらい、他に雇われているか訊いたところ運よく求職中だったので」
「ありがとう」
「慣れていた人がいたら、レイラが過ごしやすくなりますしね。なんなら、結婚相手でも探しましょうか? あのことは私が潰したようなものですし」
「当分、いらないよ...」
「ですよね」
そこにすかさず入ってくる鬼部下。
「さすが会長。義妹様の結婚相手として相応しくないなら潰すとは。だから、馬鹿相手に恩を売りまくっていたのですね。そろそろ、お仕事にお戻りくださいバ会長。では失礼、レイラ様」
私は再び鬼部下に引き摺られていきました。
王子の情報を収集した鬼部下によると、あの街であったレイラのことは忘れ、ハーレムを楽しんでいるとのことです。
「結局、複数の女を侍らせれば誰でもよかったのか」と呆れながら鬼部下が言っていました。
その後のウワサによると、どこぞの美女すぎる人妻もハーレム一員に王子が無理を言って加えたとか。
これを聞いた、私とレイラと鬼部下がビミョーな気持ちになったのは言うまでもない。
読んでくださり、ありがとうございました。




