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幸せとは
今まで全てを与えられて生きてきた。
好きなものは好きなだけ手に入った。
やりたいこともなんだってやれた。
何をせずとも全てが手に入った。
生まれてこの方、何もかもが思い通りだった。
しかし、そうした過去を遡れば遡るほどに、僕は僕自身が何なのかが分からなくなっていた。
そんなつくられた幸せは、
なんの達成感も得られないこの与えられた幸せは、
果たして本当の幸せなのか。
そして僕はこれからもそれを続けていくのか、
果たしてそのことに意味はあるのか。
僕は段々とそれが本当に幸せなことなのか疑問を抱くようになった。
『僕は生きながら死んでいる。』
そこで僕が出した答えは、
それは幸せじゃないってことだ。
それからというもの、すぐにでも僕のつまらない毎日になんらかの変化があることをいつも期待していた。
かといって自分では何をどうすればいいかわからなかった。
思っていても行動には移せなかった。
考えたって無駄だと諦めていたんだ。
臆病な僕は何も考えないようにしていた。