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太陽の庭  作者: 小南
第1章 アポロン
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身近な存在

皆さんは『ギリシャ神話』というものをご存知だろうか。ギリシャ神話の神々は実に本能的で人間らしい。

ギリシャ神話の神々は神様と言われて想像する、「何から何まで完璧な全知全能の人格者」というイメージとは少し違うのかもしれないな。神様の全部が全部正しいだなんて、おいおいやめてくれよ。そんなものは人間の妄想、理想でしかない。実際は失敗でいっぱいなんだ。

ある時は人目を盗んで人間と恋をし子どもをつくった。またある時はきょうだい同士で、ある時は掟を破って森の妖精と。自分の気に入らない者がいれば雑草に変えてしまうやつだっているし、あのゼウスでさえ我が子を恐れて飲み込んでしまったこともある。どれもあまり良いとされたことではないけれど、神様にだって我慢できないことはあるんだ。

憎んだり妬んだり、喜んだり怒ったり悲しんだり、人間と同じ様にいつも喜怒哀楽の真ん中にいる。神様であったってそこは人間と変わらない、だって生きているんだから。

お茶目でユニークなギリシャ神話の神々は、実は想像ほど堅苦しく近寄り難い存在ではなくて、案外人間の身近な存在なのかもしれない。


申し遅れたね、僕はアポロン。ギリシャ神話のオリンポス十二神の一人で、予言や牧畜、芸術、医術を司る太陽神だ。

ギリシャ神話きっての美青年とも謳れる僕だけど、残念ながらいいのは見た目だけで中身はその辺のクズ野郎と一緒さ。ただ見た目っていうものには大きな力がある。人間世界でいうなら楊貴妃やクレオパトラなんかの外見的魅力が国を左右してしてしまう程の力を持ったように。それ程に見た目にはかなりの力があるようで、性格には(というか顔以外のすべてに)難があった僕だけど、周りは放って置かなかった。身の周りの事は頼まなくたって気付いたら誰かがやってくれていて、それに加えて僕はやりたい事もなくて。毎日だらだら無気力状態だ。

好きなことを聞かれたらぱっと思い付かないけど、嫌いなことなら直ぐに思い付く。僕の嫌いなことは争いとか仕事、それと会議。うん、すごく嫌いだ。まぁ嫌いな事なんて挙げだしたらきりがないんだ。だって全部面倒だもの、何もかもが面倒臭いんだ。

最終的には誰かがやってくれるよ。実際僕がいなくて困った事なんてなかっただろう。だからいいんだ。


いつからだろう、僕が神々の会議にさえ出なくなってしまったのは。神として最低限やるべき仕事すらもまともにしていない。

その為に人間界が多くの不幸に見舞われていること。わかっている。なのに、どうしてかやる気が起きないんだ。

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