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SANTA!!  作者: 木村睡蓮
10/33

#9 大男

 時計を見ると明日になっていた。

 昨日の出来事がすべて夢の様――出来れば夢であって欲しい。基地司令官は十杯目のコーヒーを啜りながら思い、自分のオフィスの壁に掛かった日本時間に合わせてある時計を見ていた。お陰でちっとも眠くならない。夢で片づけるのは、まだまだ先になりそうだ。代わりに胃が痛い。そして目の前に居る二人組のせいで、ますます胃が痛くなる彼だった。

 あれから数時間も経つのに、二人組はまだ此処、基地司令官のオフィスに居て、ファットマンは忙しそうに携帯電話とワルツを踊り、トールボーイは長椅子に腰を落ち着け、基地司令官の斜め向かいに座り、両手を組んで口に当て、ただ黙って基地司令官をじっと眺めていた。視線が横たわる直下の机には、自分と二人組のコーヒーカップ、そして彼等が『文章』と呼ぶ、ビニール袋に入った古い紙切れが置いてあった。

 数時間も経つのに、この部屋に戻った瞬間から、基地司令官の目にはこの情景しか映らなかった。基地司令官は十杯目のコーヒーを飲み終え、胃をさすった。

「違うよ! 何度言ったら解るんだ!? 五基だよ! ――四じゃ駄目だ、足りないんだよ! ――仕方無いだろ!? 狭くても、縦に長い国土なんだよ、この国は!」

 相手がステップを間違えたのか、ファットマンは酷く怒っていた。

 その様子を、トールボーイの頭を避けながら、基地司令官は眺めた。

 食堂から戻って来て数時間経った今迄、ずっとあの調子だ。一番重要と言ってた『文章』も手に入れた事だし、基地から消えてしまった大男――ケニー・ニコルは、もう良いだろう。後でゆっくり勝手に探せば良い。何で未だ此処に留まって、何で普段は平穏なはずの自分のオフィスを、険悪な雰囲気で飾るのか、基地司令官には理解出来無かった。『文章』とやらが、おそらくは想像を超えるとてつもない物だとするなら、平穏を愛する自分は、もうこれ以上、この二人組に関わりたく無いと思うと、いてもたってもいられなくなり、数時間たった今、基地司令官はやっと此処十数年出してなかった勇気を振り絞り、二人組に質問をしようとした。

「彼は何をしようとしているんだ?」

 ファットマンを指差し、トールボーイに訊いたつもりだが、大男は組んだ両手を寸分も動かさず、もちろん唇も動かさなかった。

 勿論こちらも返答を待ったが、ファットマンが発する怒声と、けたたましい足音しか聴こえてこなかった。

 基地司令官は耐え切れず、部屋の端に置いてあるコーヒーメーカーから十一杯目のコーヒーを注ごうと、空のカップを持って席を立った。

 トールボーイが、その度に繰り返していた行動……ただ目だけを動かして、まるで監視しているかの如く、基地司令官の姿を追った。

 気付くのは数度目で、その度に不気味がり、無視していたが、基地司令官は初めて言葉を乗せて、トールボーイに別の質問をした。

「コーヒーのお代わりは?」

 するとトールボーイは数時間ぶりに目以外の部分、口を動かした。

「まだ、一杯目を飲み干していない」

 解り切った事だったが、基地司令官がトールボーイのカップを覗くと、水平線は最初に注いだ位置のままだった。

「私のに注いでおいて下さい! もちろん砂糖タップリ、溢れるくらいのミルクも忘れずに!」

 携帯電話の口を押さえながらファットマンが口を挟んだ。

 トールボーイは立て続けに、微動だにしなかった大きな身体を動かし、ファットマンに振り返った。

「お前はもう止しとけ。これで二十杯目だぞ!」

 ファットマンは両手を広げてみせたが、トールボーイが姿勢を戻すと中指を立てて、彼の背中に向かって顔を顰めた。そしてその指をそのまま下に向け、すぐさま基地司令官に向かってコーヒーを注ぐ様、自分のカップを何度も指しながら、携帯電話の通話に戻った。

 基地司令官は呆れた顔で溜息を吐き、ひとまずはコーヒーを注ごうと腰を曲げ、テーブルに置いたままのファットマンのカップに手を伸ばそうとした。

 瞬時にトールボーイの大きな手の平が、机と基地司令官の手を遮った。相棒のコーヒーを注ぐのを拒んだか、それとも大切な『文章』を守ったのか、覆い被さる面積大きすぎて基地司令官には解らなかった。

「衛星を――」トールボーイは珍しく基地司令官から視線を外し、正面を見据えて呟き始めた。「監視衛星を配備してるんだ、彼は……」

 トールボーイが――また随分と時間がかかったが――自分の最初の質問に答えた事に驚き、基地司令官は出し掛けて忘れていた手を引っ込めた。もっと驚いていたのはファットマンで、口を大きく開けて、こちらを呆然と眺めていた。

 我に返るとすぐに彼は開けた口から、通話中にも関わらず大声を発して、トールボーイの背中を押した。

「な、何で、ばらすんだよ!」

「お前に次のコーヒーを飲ませない様にする為だ」トールボーイは微動だにせず、答えた。「――ったく、いつまでも、いつまでも、飽きもせず、コーヒーばっかり飲みやがって……」

「仕方ないだろ! 五基のスパイ衛星だぞ! 国家権限が使えるからって、その〝権限〟とやらが大気圏まで行って、軌道修正してくれるのかよ! いくら命令が自由に通っても、物理的な問題は別なん――」

 途中まで勢いが良かった口ぶりは、気が付いたファットマン自身によって減速された。やがて額から汗を流し、気まずそうな顔を基地司令官にみせると、口は完全に停止した。

 捲し立てていた相手が突然黙ると、携帯電話からは、逆に心配する声が大きく聴こえてきた。

 トールボーイは鼻だけで笑った。

「聞いての通りだ。我々は、我々に与えられた権限をフルに活用し、高性能の最新監視スパイ衛星まで投入し、この国の全土を監視してまで、今度は〝ケニー・ニコル〟を見付け出そうとしている。……大使館お達しの重要人物やら、NSAやら、究極の予言書やら、あんたんたにとっては、さっきから夢を見ているみたいだろう?」

 基地司令官は無言で酷く頷いた。

 ファットマンはまた、ぽかんと口を開け、落ち着きなさそうに小さな身体を揺らし、電話の相手を待たせてまで、相棒の次の行動を見守った。

 トールボーイは続けて話を始めた。

「しかしこれは現実なんだ。最初はこの現実を、あんた方に一切黙って内密に、まるで一切無かった事の様に音便にやろうとしてたんだよ。もし手違いがあったとしても、我々の権限をちらつかせ、あんたらを上手く使って、事を納めようと――。勿論あんたタらには何も話さずに、夢だったのか、現実だったのか、解らないように工作して――。それがいつもの我々のやり方だったし、今回もそうするつもりだったが……今回は手違いがデカ過ぎた。まさか、マークすべき中心人物が逃げ出しちまうなんて。こんなの我々だって初めてだ。手違いを直すのに、こんなにも時間が掛かるとは思わなかった。正直、もう時間が無くなってきた。この現実を目の当たりにしたあんたらに、夢だったと思わせる工作をしてる暇もない。我々はどうしても、明日のクリスマスまでには、ケニー・ニコルを見付け出したいんだ」

 突然ファットマンが携帯電話を切り、突進しそうな勢いで叫び始めた。

「な、何喋ってんだよ! もうすぐ残りの一基が来るから、黙れよ! これ以上、奴の事、絶対に話すなよ!」

 顔が真っ赤に染め、短い腕を振り回し、ファットマンはトールボーイを何度も指差したが、逆にトールボーイは長い腕だけを一振りして、ぴたりと相棒を黙らせた。

「俺たちのヘマで、明日以降のクリスマスが一生来なくなっても、いいのか?」

 オーバーなジョークに聴こえたが、事態を把握している彼等には、冗談でも無さそうだった。いきなり真顔に戻り、それ以上何も言わなくなったファットマンの態度が、それを証明していた。

 一連を見ていた基地司令官の顔も神妙になっていた。

 トールボーイは長い腕を戻すと、また口元で両手を組んで話を続けた。

「――そうなんだ。『文章』はもちろん最重要だが、ケニー・ニコルも必要なんだ。我々はもちろん、合衆国――いや、全世界にとっても、彼は必要だ。普段手の内を絶対に明かさない我々が、手の内をバラしてでも見付け出したいのが、ケニー・ニコルなんだ。……そこで協力してもらいたい」

「……協力?」

「施設や装備、部下を自由に使わせて欲しい。我々の権限など公使しないし、もし強制的に〝命令〟したとしても、さっきから普通に命令しても、まともに動いてくれないあんたらだ、説得し難い相手を納得させてる時間も、嘘吹いて誤魔化してる余裕も我々には無い。つまり〝お願い〟してるんだ。こんなのも、我々は初めてだ」

 トールボーイの顔が少し緩んだ気がした。気のせいかも知れないが、そう感じさせる程、目の前の彼は数時間前より多弁になっていた。これも手の内なのか、作戦なのか……疑う気持ちは多々あったが、基地司令官は何よりも、彼等が何に怯えて、何を追っているのかが知りたくなった。少なくとも目の前で起きてる夢の様な話に、少しでも現実感を持たせ無ければ、頭がおかしくなってしまう。

 基地司令官は少し考える振りをしてから、慎重に答えた。

「我々が動くには……理由が必要だ。我々は軍隊なんだ。上からの命令が無ければ、本来は動けない。それにも勝る、単独で動かなければならない危機的理由……例えば、治安維持的な――この基地で暴動が起きるとか、放って置けば、基地の存続に関わるとか、……何かそういう理由でも、あるのかね?」

 真面目に説明したつもりだった。

 ところがトールボーイは目を丸くして驚き、次には吹き出して笑い出した。

 後ろで慎重に相棒の動きを見ていたファットマンも、口の端を持ち上げ、笑いながら呆れた顔を見せた。そして彼は、自分達にとってあまりにも間の抜けた質問に耐え切れず、ついつい基地司令官に進言をした。

「司令官、我々はNSAですよ。我々が直接動くという事は、そこに国家レベル以上の治安維持活動が必要だから、という事です」

 ひとしきり笑いながら、大きな身体から大量の息を吐いた後、トールボーイは机の上に置いてあるビニール袋を手にとって、基地司令官にちらつかせた。

「いいかい、これは現実だ。この紙切れは本物だなんだ。この部屋にいる誰もが生まれる前から存在していた〝究極の予言書〟なんだ。これが読めれば、過去も知れるし、未来も予測出来る。……もし、これが一部の、独裁的思想を持った国家権力者に渡ったとしたら、その国は世界を制する事も出来るんだぜ。そんな危険な紙切れが、今あんたの目の前に……あんたが管理する空軍基地のオフィスにあるんだ。普通だったらこの時点で、上の命令が無くとも、基地を閉鎖して戒厳令を布くがね」

 目の前でビニール袋が踊った。その中身――彼等が呼ぶ『文章』の信憑性すら、それを見詰める基地司令官には信じられなかった。 すると疑惑の念を拭い切れない彼に向かって、トールボーイが質問して来た。

「司令官、……歴史は誰が作る?」

 突拍子も無い内容に、基地司令官は一瞬戸惑った。しかし大男に睨まれて、何か答えねばと、彼は咄嗟に頭に浮かんだ答えを口にした。

「さぁ? 大統領とか、大きな権力を持つ人間が、作るのではないのかね……?」

 想像力の欠如した余りにも一般的な解答に、トールボーイはあからさまに馬鹿にした目付きをして、鼻で笑った。

「少しは考えろよ、仮にも、あんたは〝司令官〟だろう? まぁいい、今あんたは頭を使いたく無さそうだし、無理なら教えてやる。――人々だよ。隣り合う知り合いや、見ず知らずの人間だ。無人島に一人で住んでいれば、歴史は作られない。つまり横にいたり、遠く離れている人間同士の影響力で歴史は決まる」トールボーイは説明を続けた。「俺とあんた、息子同士が将来友達になるとしよう。遊んでいる途中、川で溺れてしまったあんたの息子を、俺オレの息子が助けるんだ。――もしそうなったら、それが歴史だ」

 基地司令官の頭に、今度は別れた娘の顔が浮かんだ。只でさえ横暴な二人組に悟られたくない彼女の顔を隠そうと、余計な想像を掻き消す為、彼は頭を横に振った。

「わ、私に息子なぞ居ない。……それに、未来なんか誰にもわからないじゃないか」

 トールボーイが更に笑った。

「俺にだって、息子は居ないよ。まだ結婚すらしちゃ居ない。――しかし、あの『文章』に書いてあったら、そうなるんだ。『文章』に書いてあるなら、意識せずとも俺はこの先結婚して、確実に息子が生まれ、自覚無くとも俺の息子は、あんたの息子――仮に居るとして――その息子を助けるんだ」

 およそ信じられない話だった。そんな話を真面目に語る目の前の大男が、少し滑稽に思えた基地司令官は、およそ信じられないといった態度で笑い返した。

「じゃあ、仮に――もし、『文章』にそう書いてあったとして、もし、君が私を気に入らないとしよう。それで、私を痛い目に合わせたい君は、将来絶対に息子を作らない……すると、将来川で溺れた私の息子は、溺れ死ぬって事になるじゃないか。助けるべき、君の息子が存在しないんだから――『文章』を所有していれば、そんな回りくどい殺人も可能になるって事なのか?」

 目の前の大男の顔が笑いもせず、真剣な表情に戻った。

 その、余りにも真剣な眼差しが、こちらの目を捉えて離さなくなると、基地司令官も合わせて笑みを消し、大男の鋭い視線を避けるようと、目を泳がせ始めた。

「ま、まさか……本当に?」

「……理解した様だな。歴史は〝人々の繋がり〟が作り、歴史を変えたければ、その〝人々の繋がり〟を、ほんの少し、いじれば済む。そんな脆い歴史と〝人々の繋がり〟が、この『文章』には書いてあるんだ」

 真剣な、二人の間の空気を切り裂く鋭い眼光に、基地司令官もつられて笑いを顔から消し去った。

 大男は更に空気に裂け目を入れた。

「あんたが気に入らなかったら、あんたの息子を抹殺する事も可能だ。もっと最悪なのは、もし〝文書〟に書いてある俺の息子が助けるはずの相手が、あんたの息子だけで無く、もっと大勢の人間だったら……」

 信じられなかった。基地司令官は未だ、この夢の様な話を信用していなかったが「もし本当だったら?」と考えると、背筋が凍る感覚を覚えた。大男の語る、気紛れで世界を滅ぼせる可能性が、現実の物にしか感じられなくなってきていた。

 そしてこの数時間の、夢みたいな話に対する彼等の真剣な行動を照らし合わせてみると、妙に納得せざる得なかった。

 基地司令官は新たに自分の中に生まれた、ささやかな恐怖心を何とか押さえ、納得したつもりで納得したなりの言葉を、意識せずとも震え出した唇から、大男にぶつけてみた。

「では、その紙切れを……早く私の基地から持ち出してくれ。そうすれば私は関係が無い。あとはNSAでも、CIAでも……職務に従って、その紙切れを守ればいい――」

「今さら無関係な面をするじゃあないよ、准将――」

 それまで冷静に応対してたトールボーイが少し苛ついた口調で咄嗟に言葉を重ねると、追い込むようにファットマンも咄嗟に言葉を重ねてきた。

「〝役職〟だよ、〝階級〟じゃなくて〝役職〟で呼ぶんだよ」

 トールボーイは恥ずかしげに咳払いをして言い換えた。

「司令官……ケニー・ニコルは、あんたの基地で居なくなったんだぜ?」

「そ、それは少しは責任も感じるが……」

「ならば、我々に協力してくれて当然だろ? なにも全軍用機のエンジンに火を入れさせ、全部飛ばして、空から奴を探そうって言う訳じゃあないんだ」

「そんなもんで見付かれば、とっくに指示してるさ。だいいち――」ファットマンの呟きが部屋に響いてくると、トールボーイが静かに、大きく言葉を重ねてきた。

「相棒は、ああ言っているが、それで見付かるとしても、大事は避けたい。目立つのは困る。だから司令官……協力と言っても、大層な事じゃあない――」

 余程、協力したくないのか、恐らくは二人組を避けたいのだろう――基地司令官もトールボーイに言葉を重ね、口籠もりながらも、なおも抵抗した。

「し、しかし、一番大事なのは、その紙切れなんだろう? それさえしっかりと守れば、ケニー・ニコルとやらは関係ない――」

たびたび重なる、しかしまったく先に進まない言葉の応酬に、ついに頭に来たらしく、突然トールボーイは長い腕を振り上げ、勢いよく弧を描いて『文章』の入ったビニール袋を机に叩き付けた。

「こいつが読めるのは、ケニー・ニコルだけなんだよ!」

 余りもの風圧で、近くにあったコーヒーカップが少し浮いた気がした。

 その様子を見て、相棒は目を覆った。

「奴の事、話すなって言ったのに……」

 言葉は汚いが、今まで冷静に話し続けてきた大男の突然の振る舞いに、基地司令官は只呆然となった。

 トールボーイはまた恥ずかしげに咳払いをすると、喋らなくなった基地司令官の耳に、今度こそと、一方的に言葉を注いだ。

「正直に言うと、読むだけなら、トップクラスの学者を集めれば何とかなる。……それでも何年……いや、何十年かかるか知らんがね。だが、今すぐこの『文章』が読めるのは、この世に奴しか居ない。あんたが逃がしちまったケニー・ニコルだ。しかも、こいつの解き方を知っているのはケニー・ニコルだけだ。……これだけは何百年かかろうと、奴にしか解けない。名も無き僧侶だった奴の祖先が、先祖の代から何百年も掛けて解いて、それから何百年もの間、奴の家系だけが、『文章』を守り続け、解読方法を隠し続けてきたんだ。――つまり、歴史を意のままに、意とも簡単に操作出来る道具アイテムだけは、我々に確保は出来た。……ところが、肝心のキーを、あんたがなくしちまったんだ! こんな間抜けな話があるか!」

 少しの間だけ沈黙が出来た。

 ファットマンは話すまいとしていた自分らだけが知りうる秘密を少しばかり話してしまった相棒に、只々呆れ、只々片手で顔を覆い隠していた。少しの沈黙を携帯電話の着信音が破ったが、それにも出ようとせず、彼は同じポーズを繰り返すだけだった。

 トールボーイは既に冷静さを取り戻しており、基地司令官の次の行動を待っていた。

 そして基地司令官は暫くすると、ゆっくりと口を動かし、当然と言えば当然の、誰もが予測出来る質問を、やっと吐いた。

「そのキーとは……、いったいケニー・ニコルとは、何者なんだ?」

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