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創造世界《ファンタジー・ワールド》  作者: タナトス
world《1》:厨二病のせいでつい・・・
6/9

life《4》:編入しました!(問題児が一人増えるそうですよ)

――ルートを間違えた……

 編入初日、わたし―赤羽叶(あかばねかなえ)―は、銀髪のきれいな女性教師と共に教室に向かって廊下を歩いていた。

 彼女の服装は紺色のブレザーに、灰色のスカートだ。どこからどう見ても女子高生スタイルだが、これでも教師であるらしい。しかも、自分がこれからお世話になるクラス担任だ。

 どうする!?担任教師ルートになったらどうする!?、と頭を悩ませていると、いきなり声をかけられた。きれいなハスキーボイスだ。


「どうしたんだ少年?……いや、叶。相談があるなら言ってみろ」

「ヒャッホ……。い、いえ、なんでもありません」


 ついうかれて早口になってしまった。話し方が少し男勝りだ。

 こんな調子では、今後話すこともできない。

 さてこんな時はどうしたことか、と考えていると……


「ついたぞ。ここが教室だ」


 教師が扉に手を()えながら言った。

 もう着いたようだ。緊張のためか少し不安になってきた。


「準備はいいか?」


 気持ちを察したのか、()いてきた。


「だ、大丈夫です」


 頷く。「はい、大丈夫です」と、意味を込めて。


「そうか」


 その後、数秒の沈黙が流れた。担任教師も緊張しているようだ。

 教師は肩の力を抜き、スライド式の扉をスライドさせて――


 ――『妖気』(ようき)!?


 扉をスライドさせた瞬間、『妖気』を感じた。

 素早く担任教師の方を向く。その顔には微笑が――。


 クソッ!

 やられた。(はか)られた。今のでわたしが普通の人間でないことを知られた。たぶん教師は『妖怪』などのことを知っている。


 そして、おそらく教室には『妖怪(ようかい)』、又は『半妖(はんよう)』がいて、その『妖気』に反応するか試された。

 普通、『妖怪』や『半妖』、『巫女(なぎ)』などが表社会で生活する時は力を抑える。普通の人間でも何か(寒気など)を感じることができるからだ。


 だが、今回は抑えていない。

 おそらく、この教室にいる『妖怪』もしくは『半妖』は、この教師に従っている。

 つまり、この教師は『妖怪』や『半妖』を従えさせるほどの力を有しているということだ。


 今、わたしは力を抑えている。故に今まで教師にばれてはいなかった。こちらも教師の力に気づかなかったのは教師も力を道具か何かでおさえていたからだろう。ちなみに『妖力』などは、『妖怪』や『半妖』、『巫女(なぎ)』であれば、力を抑えていても感じることができる。


 そして、『巫女(なぎ)』とは――『見鬼(けんき)の才』を持つ巫女(みこ)のこと。『見鬼』ではない巫女(みこ)は普通に《みこ》と呼ばれている。


 さて、どうするか……。

 そう考えていると、教師は意地の悪い笑みを浮かべながら口を開く。


「話は後で聞こうと思う。まずは自己紹介からだな」

「…………」


 まだ気づかれていない、という希望を込めて無言で頷く。100%ばれていると思うが……。

 教師が先に教室に入り、その後に入室する。

 き、緊張するー。


 教師と共に教壇に立つ。

 教壇から見渡すと教室の雰囲気がよく分かる。

 人数は三十人前後で行儀よく座っている。だが、中にはひそひそと話している人もいる。喋っているのはおそらくクラスの中で上位カーストに君臨する者だ。おそらく最初に絡んでくるであろう者たち。

 教室を見渡しながら、先ほどの『妖気』を特定しようとするが特定できない。『妖気』を感じない。抑えたようだ。

「今日からクラスメートになる、赤羽叶だ」


 担任教師が電子黒板にわたしの名前を書く。それと同時に教室がざわつきはじめる。

「『アカナ』じゃない?」「え、本物?」「すげー!」といった声が聞こえる。

 わたしは見せ物じゃありません!、と言いたいがさすがに言わない。

 それより賑やかなクラスだと分かってよかった。仲の良い友達がつくれそうだ。


「おーい、次、自己紹介なー」


 担任教師がざわつきを治め、次に進める。


 ほのかに顔を熱くしながら、自己紹介を始める。

「京都府から来ました、赤羽叶です」から始め、色々とコメントを並べる。敵から逃げてきました、とは言わない。別に怖がらせる必要はないし。


 流れ的に次は質問タイムだ。

 一人目から、「アカナですか?」と皆が知りたがっている質問をぶつけられた。

 さて、どうするか……。確かに表社会の仕事で(、、、、、、、、、、)は『アカナ』と名乗っ(、、、、、、、、、、)ている(、、、)が、本名が赤羽叶だとは皆知らないはずだ。


「ええ、まあ」


 とりあえず曖昧にしておいた。

 その後、精一杯の笑顔で「よろしくお願いします」と一礼する。

 そうして顔を上げた瞬間、教室中から大歓声が沸き起こった。


 そんな中「と、とりあえず、せ、席ってありますか」と担任教師に聞く。とりあえず席に行きたいのだが、


「あっちだ」


 そう指差したのは、窓側の一番奥の席だ。教壇から遠い。


「一番良い席にしましたよ、姫」


 いきなり声色変えないでくれます!?なんかいじめっぽいんですけど!教師が生徒に流されていいんですか!?

「お疲れでしたら寝てもいいですよ」と担任教師は付け足す。

 他教師の授業で寝て、あなたのせいにしていいんですね!


 席に行こうと机の間を通ると、視線が気になるッ!顔、胸、お腹、足などを様々な視線に舐め回される。

 ズボンでよかった。本当にそう思った。


 わたしが席に着くと、朝のホームルームが始まった。

 隣をチラッと見ると、わたしと同じ薄桃色の髪の女子がいた。ショートカットでけっこう可愛い。


 視線を前に戻し、担任教師の話に耳を傾ける。

 ちなみに担任教師の名前は天乃朱鷺奈(あまのときな)と言うらしい。

 天乃ってママの旧姓と同じだ。親戚かな?

 ふと思う、問題児ってどんな人だろ?


――セーブデータなし……

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