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この手に  作者: 詞乃端
終わりの日
9/11

狩人の魔弾

ちょっと短いです。

数キロ先の、しかし、レンズにより目の前に在るかのように拡大された死闘を、彼女は眺めていた。

手の中に在る強化プラスチックの冷たさは、彼女の在り方を一個の機械へと導く。ただただ、遠くの的をその弾丸で射抜くモノへと。そうなった時の彼女には、人間の感情ではなく、一つの銃としての冷徹なまでの思考のみがある。

彼女は、レンズの向こう側の二人のように、異能を有して生まれることはなかった。徒人でしかない彼女にあったのは、狙撃に関する天賦の才だけ。しかし彼女には、それだけで十分だった。

彼女は、何処までも冷静に黒髪の男に狙いを定める。

『炎帝』。炎を統べる、戦場の覇者。幾多の道筋を断絶させた、非情なる咎人(とがびと)。――その男の凶行を止めるのが、彼女の使命だ。

彼の罪人との間に、彼女の鉄槌(てっつい)を遮るものは何もない。

己の直観に(ささや)かれるまま、彼女は人差し指に力を込める。

銃声は消音機に減殺され、やや間の抜けた音となる。排出された空薬莢(やっきょう)が床に落ち、無慈悲で澄んだ音色を立てた。


ふと、視線が巨狼から離れたのは、一体どうしてだったのか。刹那にも満たない一瞬、レックスは艶やかな黒髪を幻視した。レックスの体を彼の無意識が動かすも、もう遅く。

衝撃。

しくじった。

その言葉が脳裏を(よぎ)ったのと、彼の腹に灼熱(しゃくねつ)が広がったのは、どちらが早かったのだろう。


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