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幕間:追う狩人
「――『炎帝』の居場所は?」
静かな部屋に、女の声が、やけに大きく響いた。
「――ええ、その地点で作戦を決行するのね」
「――『炎帝』の息の根は、確実に止めろ? 分かっているわ。私を、誰だと思っているの?」
「――了解。互いの武運を祈りましょう」
そして、女は、携帯電を耳から離した。
「……ようやく、ね」
闘志と、決意と、ほんの少しの怖れと不安。様々な感情が入り混じった呟きは、宙に霧散する。
「もう、誰も殺させるものですか」
彼らが追い続けてきた、紅蓮と殺戮の覇者に、女は、そう宣言した。