第八話 黒髪王家の的となった呪い師
クロセキ殿下とセラフィ以外の視点は
今回はありません。
次回!入れてみます!!
夜、王は王子、王女の四人を呼び出した。
そして今宵はーー呪い師がテーマの意見が炸裂するーー!
*****************************クロセキ殿下
夜、何故か王に呼び出された。
そしたら王族だけの議会室には
王の側近でもあるグリーンさんと
他、兄貴と弟妹がいた。
「なぁーんだ、ロキも呼ばれたんだね?」
兄貴はにっこり笑って声をかけてきた。
男嫌いとは言ったが兄弟は例外らしい。
まぁ、どうでもいいことだ。
女嫌いの俺も、王妃と妹は
周囲の女よりはマシだしな。
「ロキ・・兄上か。
ねぇ!ボクしかられないよね!?
炎だって立派な撃退方法だよね!?」
アフィラは今日のことを根に持ってるらしい。
セラフィに消されたことといい
ケモノが牙をむいたことも・・。
「・・そういう手段もあるとは思うがな」
俺はとりあえず刺激しないよう言っておく。
一番キョウダイの中で幼く見える奴だ。
すぐ、ぐずって拗ねる。
俺はそこが苛々する。
部屋の中は他より質素な作りだが
椅子はすべてで五つ。
清い漆黒に塗られた椅子は黄金を縁取り
存在を主張していた。
「・・・・」
ルチルは自分用の椅子に座りなにやら考えている。
ルチルは基本幼さを感じさせない。
だが、容姿は幼いから臣下に甘く見られてしまうことが多い。
しかし、類稀なる能力があるから彼女は俺の次の
継承権が備わっている。
兄貴やアフィラに話しかけるよりは
話しかけやすい相手かもしれない。
そう思いながらも王はすぐにやってきた。
「お前たちに今夜集まってもらったのはだな・・
あの、呪い師、セラフィ殿についてだ」
王はそのままストレートに本題に移した。
「そのことだと思いましたよ、父上」
兄貴はにっこりと不敵に笑う。
・・これはライバルになりそうだと
そう直感した。
「ボクの火を消した、あのッ!?」
アフィラは驚きをにじませた声を発する。
「・・兄様のクラスメイトの?」
首をかしげる仕草をルチルはした。
「・・・。具体的にはどういうことを
話し合うつもりですか」
俺は冷静にそう尋ねた。
「・・お前たちに
彼女の印象や思ってることが聞きたくてな。
そのために彼女に依頼をしたからなー。
メラルはどうだ?今日の一件、何かと大変だったようだが?」
「そうなんですよねー。
ボクとしてはすごく興味深い方だと思ったんです!
冷静で落ち着いててー・・それからどことなく可愛らしくて
それでそれでー・・」
兄貴は一目見たあのセラフィのことを永遠と
語り始めた。
それに飽きたのか王は俺に聞いてきた。
「クロセキ、お前はどう思う?」
「・・授業を見てれば彼女は才能溢れた
異常なほどの素質を持っているようだ。
俺よりはるかに超えている。
勝てる気がしない。
それにー・・彼女は孤立し
ヒトと距離を置いている。
似ていると思った、俺と」
俺はそう言った。
正直、・・俺とはかなり距離を置かれてる気がするが。
「ボクはッ!
強いと思った、あの人!!
ボクのあの自慢の日を遠くから全部一瞬で消すんだもん!!
ボク!このごろ授業飽きてきたんだッ
ねぇ、父上!家庭教師、つけてよぉー!」
アフィラは何か企みのある笑みで王に願った。
「そ、それで、お前がしっかり勉強するなら
考えてやってもいいが・・」
「ほんとぉ!?
そしたらボクねーあの人にねぇーー・・」
アフィラも自分の世界に入り込んで
ひたすら何を教えてもらうかと語り始めた。
「・・・。
ルチルはどう思う?」
「・・んーー、私は・・
詠唱なしであれほどの威力をだせるなんてすごいなぁー
と思ったけど・・なんか怪しいしキニナルの・・。
興味がわくし、惹きつけられていくようで。
兄様も、今日彼女にきーつかってたでしょう?」
ルチルは眠そうに言いながら俺に問いかける。
「・・あぁ。
俺も気になったからな」
素直に俺は頷いた。
「普段無関心な兄様が気になったのだもの・・
なにか・・なにか・・あるはず・・」
ルチルは考え事を始めてしまった。
こうして、俺と王以外、自分の世界に
入り込んでしまったのだ。
「・・・」
「・・・」
俺と王の沈黙はかなり長く続いた。
他の兄弟妹はぶつぶつ独り言のように呟いていた。
そうして長い間、・・夜中まで
それは延々と続いてようやく解散となった。
ただ、最後に・・
「彼女には王家の指輪を嵌めてもらっている、
あれは王族の血統なら誰でも居場所が分かるようになっているから
彼女に何か用があるならたずねるが良い。
明日、彼女には皆のこと占ってもらうからそれも頼んだぞ」
と、言っていた。
そのことに関しても俺以外の奴はぶつぶつどうしようかなどと
悩んでいた。
・・明日が休みでよかったと心底思う。
こんなのにつきあってられない。
俺は自室に戻ろうと廊下を歩いていたとき
前方に妹を見つけた。
かなりふらついているようだった。
フラーーッ、グイッーー、・・ぽすっーー・・
ふらついているところを引っ張り
引き寄せた。
「・・だいじょうぶか?」
「兄様・・?
ん・・ねむぃ・・だけ。
だいじょー・・ぶ・・だよ。」
身体はそれでも動こうとしたが
俺は引き止めた。
小さな身体が俺の身体に沈む。
こうして眠そうな姿を見ると
本当に幼いと思う。
ルチルは俺を兄様で呼び、兄貴を兄上と呼ぶ。
そういった違いはどこから来るのか分からない。
「俺が運んでやる。
身をゆだねろ。」
俺はルチルを抱き上げた。
あたたかく・・軽い。
少し熱を持ってるのかと疑いたくなるぐらいだ。
・・それは
セラフィの体温の低さと比較してるような気がする所為なのか?
「ルチル、一つ聞くが・・
兄貴と俺で・・何故俺を様付けで呼ぶ?
兄貴のほうが偉いだろ?」
「んー・・?
・・だって・・、にぃー・・様
のほうが・・強い・・気が・・するし・・
なにより似てるから・・かなぁ・・」
彼女は本当に眠そうに笑って言った。
・・やはりそう思ったのか。
俺も似てると思った。
セラフィとは違う点が。
兄貴より俺のほうが強いと
自覚してるつもりはないがそう思えるときはある。
俺の部屋は兄弟妹の近くにあり、
使用人の使う部屋にも近くに属している。
「ルチルはーー、アフィラの隣にあったよな」
「うん・・・。」
今にも寝てしまいそうな声をルチルは発した。
そんな彼女を抱えながら歩いていると
俺の足音以外に、静かに気配を殺した足音が
聞こえた。
かつん・・かつん、・・カツン
「セラフィ・・っ!?
何故ここにーー」
正体はセラフィだった。
「クロセキ殿下、・・ですか。
それとーールチル王女殿下まで・・」
セラフィはさして驚いてはいないようだ。
「お前、こんな夜遅くに・・
どこへ行ってた?」
「・・別にどこ行こうが関係はないでしょう。
ーーそれはあなた方にも言えることですし。
・・--それよりもルチル殿下はさぞかしお疲れのようですね」
セラフィは俺が触れられる距離まで近づいてきた。
「ん・・、貴方が・・セラフィ・・?」
ルチルがぼんやりと彼女を見上げる。
「そう、私がセラフィです。
だいぶ疲労がおたまりのようですね。
私が回復させてあげます。
ーー良い眠りを、貴方にあらんことを。
セラピスティー、ヴッジューネ」
セラフィはルチルに呪文をかけた。
するとルチルは脱力し、腕にかかる重みは増した。
温かみも退いていった。
やはり・・熱があったらしかった。
ルチルが回復した
これもーーセラフィのおかげだと
礼を言おうとしたら
彼女は去ろうとしていた。
さっきより、不安定な足取りで。
「おぃー、お前ーー」
大丈夫なのか、手を貸してやろうか
その言葉を言う前に
「おやすみ、なさい・・殿下」
と、気配を殺し闇にまぎれていってしまった。
「・・・」
俺はそれからほどなくして歩き出し
ルチルをルチルの部屋に送って寝かせ、
自分の部屋に戻ったときだーー。
その向かいの扉の前にうずくまるセラフィを発見してしまった。
*******************************セラフィ
「セラフィッ!?
オマエーー」
自分の部屋の扉の前で
力尽きてそろそろ入らないとーーと思ってたときに
厄介な彼がきた。
「っ・・--。
なんですか・・で、んか」
「お前、・・俺の向かいの部屋が
お前の部屋なのか!?」
聞くのはそこか。
そのことに疑問を持つが安堵して
「そう、・・ですよ」
そう頷いて立ち上がろうとしたときーー、
彼の腕のせいでバランスを崩し
彼の中に引き寄せられた。
「なにをーーっ」
いきなり抱えられた。
自分の腰に彼の腕を感じた・・。
視界も歪む。
それは彼が私を担いだからであった。
「部屋、入るぞ」
私の返事も聞かずに
ドアを開け、中に入った。
そしてベットに寝かされる。
「今までーー、城内ですれ違うことがなかったのは
お前の策略か」
「・・は?
身に・・おぼえのないこと、・・
いわれてもーー」
そう身に覚えもなった。
今の今まで私の向かいの部屋が彼の部屋などとは。
まぁ、彼を避けてたのは事実だが。
「ーーそうか。
今はゆっくり休めよ、セラフィ。」
「ぁ・・りがとぅ・・、
ござぃ・・・ま・・す、・・でん、か・・」
わたしは礼を言った。
「オヤスミ。また明日な」
彼は私の部屋から去っていった。
疲れとーーどうしよーもない開放感から
私は気を失うように眠りについた。
次回、ぜったい入れてみます!!
黒髪王家キョウダイの視点!!
さすがに冷め切った二人の視点ばかりだと
話が盛り上がらないんですよねーと自分でも思うけど
主役はこの二人だから仕方がない^
他の視点はいらないと思ってくださるとうれしいです。
妹に気配る兄的な存在のクロセキ殿下はどうですか?
一方、ちょっとか弱いセラフィも・・(か弱いかな?
感想、評価、お待ちしてます!なんといってもやる気の源ですから!!




