第十二話 予期せぬ事態
はじめはルチル視点で
最後はセラフィ視点です^
「邪魔者は、いなくなったね^
これなら素直に言えるでしょう~?
大丈夫、私は貴方の敵じゃない。
味方だから。落ち着いて
私にいってごらん?」
そういう彼女は無邪気に笑ってた。
結界で、兄様達の姿も見えない。
半円のドームに閉じ込められたような感じだった。
「あ、なた、に・・」
貴方にあたしの何がわかるの?
さっき思ったことは問えなかった。
あたしを見つめる彼女のまなざしには
誠実さと真実、それだけだった。
ただ、すべて包み込むような優しさ、
それだけが、あたしには見えた。
「ぜんぶ、わかるよ。
ルチルちゃんの思ってることも、
言いたいことも。
わかってる・・けど、ルチルちゃんの
言葉が聞きたいの、言葉にすることで
ルチルちゃんの中のわだかまりが消えるから。
貴方の中で変わるところがあるから」
私を、・・あたしを救いたいという
真実が宿る瞳。
無理・・だよ。
いくらすべて分かるッたって・・
わたしは・・あたしはー・・
「私は、自分から壁を隔てて
距離を置く貴方に、壁をつくる意味がないことを
教えたいの。」
ヒトとの・・壁ー・・。
作る意味がない?
だってつくらなきゃー・・私はーー・・
あたしはーー・・どうやってまもればいいの?
油断した所為で、過去にはーー・・。
「守るから。
私が命に代えても守るから。
身体も心も。全部。
ヒトと心を寄せ合うということは
互いに守りあうからなんだよ?
心を、相手に譲ることなんだ」
彼女は必死に言い募った。
「あ、たしっは・・--ッ」
あ、あたしはーー・・。
迷ってるときだった。
どうすればいいか分からなかったときだった、
ガタガタガタガタガタガターー・・・!!
床がーー・・大地が揺れた。
「地震!?」
思わず、天井を見てしまう。
「っーー・・」
彼女がうめいた・・それと同時に
「おいっ!!早く解け!!
地震だぞ!?」
「このままだとーー・・!!」
結界を破こうとする兄達の声がした。
「っ”!!」
彼女が更なるうめき声を上げたとき、
結界が壊れた!
ぱりぱりぱりーんっ”!!
ガシャシャーーッ!!
「っ”あぶないっーー!!
とっさに、
ドンッ
と、身体を押され、飛ばされた。
「ぁー・・!」
視界にはー・・あたしを突き飛ばした彼女がー・・
シャンデリアの下敷きになる瞬間ー・・。
ひゅーーっどさっ
突き飛ばされたあたしを
抱きとめたのは兄上だった。
「セ、セラフィちゃんっ!?」
兄上はあたしを抱きとめたまま、
彼女の方を見た。
「っ!?--セラフィッ!!」
がしゃがしゃがしゃーー、ドサンッ
兄様は急いで彼女の上に落ちた
シャンデリアを魔法でどかした。
そこに横たわるのは、血まみれのー・・セラフィ、さん・・
「あ、--・・!!」
あたしは、思わず、そこに横たわる彼女に近づく。
あ、たしの、・・所為・・だ。
あたしのーー・・
あた、しのーー・・。
「あ、あたしの、所為だー・・
あたしがー・・、あたしがー・・ッ」
あたしが早く言わなかったから、
答えなかったからー・・彼女は、こんなめにーー・・
ぽろぽろと涙が溢れてくる。
「ッ!!
ルチル、まだッ、間に合う。
そこをどけ!」
兄様が私を叱咤する。
「で、でも・・ッ!
で、でもーーッ!!
あたしの、せいだっ、あたしのーーッ!!」
あ、たしのせいなんだーー・・
こんな血まみれで・・絶対助からないーー!!
私は・・あたしはー・・人殺しなんだーー・・・!!
「落ち着け!ルチル!!」
兄様は焦っていた。
だから私を彼女からどかそうとしてる。
「でもー・・ッ!
でもっーー・・ッ!!」
あたしが・・あたしが代わりに死ねばよかったんだ!
あたしが代わりにーー・・!!
「ッ、
もう、いいっ!!
眠れ!ルチル!」
トンッ”!!
首に強い衝撃。
「ッ”!?」
視界が暗くなり、そこで意識は途絶えた。
************************セラフィ視点
結界を張り、私はルチルと二人きりになった。
なんとか、彼女の本心を探ろうとする。
彼女を救いたい、守りたい。
そう本当に思ってる。
だからこそ、本心を言葉にしてほしかった。
でも、彼女はなかなか本心が出せないでいた。
過去に何か、なにか、あったのかもしれない。
ヒトを信じたことによって、認めがたい、裏切りにあったりとか
あったのかもしれない。
トラウマー・・それが邪魔してるのかもしれないーー。
ヒトとの距離を置いて、自分を守ろうとする、
それがいかに自分を苦しめるか。
私はソレを知っていた。
どれだけ辛いのか、苦しいか。
経験したことがー・・いや、
経験してる最中だから、尚更、余計に。
私より、ニンゲンは強くない。
ソレに強い人間は、ニンゲンじゃない。
私は必死で彼女に言い募った。
彼女の心が揺らいでる途中、予期せぬ事態に陥った。
ガタガターー・・と床が大地が揺れ始めた。
それに伴い、
魔力
精神力
気力
体力
それらが奪われていく。
今までの透視で、ずいぶん使い果たしたのに。
「っーー・・」
思わずうめいてしまう。
結界の中にいれば安全ー・・
それなのに、
「おいっ!!早く解け!!
地震だぞ!?」
「このままだとーー・・!!」
クロセキ殿下とメラル殿下が
結界に干渉してきた。
「っ”!!」
余計にチカラが奪われる。
結界もすぐに壊れてしまった。
上からシャンデリアが落っこちてくるーー。
なにがなんでもーー守らないと!
「っ”あぶないっーー!!」
ドンッ!
私は彼女を突き飛ばした。
ソレと共に、大きな衝撃と騒音と
激痛。
霞む視界にメラル殿下が
彼女を抱きとめたのを確認できた。
それに安堵しー・・、身体の限界から
意識を沈めたーー。
あー、自分でも書いてて予期せぬ事がー・・。
もともとこれ書くつもりはなかったんですが
あるとこれからがやりやすいかと思って・・--。
では、次回を楽しみに。
絶対、アフィラ殿下の視点もいつか入れて見せます!!




