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第十話 距離感と苛立ち

兄貴の呪い・・いや、占いは見ていて

どうしようもなく心が焦った。


兄貴にセラフィを取られるのではないかと

そう思ってしまった。・・自分のものでもないのに。


彼女の柔らかい笑みにはそれこそ苛立った。


俺にはあんな表情見せはしなかった、なのに何故兄貴には・・。


そう苛立っているときに

出番が回ってきた。


そして、椅子に付く。


セラフィも椅子に付いた。


「では、はじめます。

殿下、目を閉じてください」


そういわれても、俺には抵抗があった。

ヒトがいるところで閉じるなどーー・・。


「・・・」


俺は何もいえなかった。


「・・無理、か。

じゃあ、この水晶に手をかざして下さい。

水晶の中を見てください」


始め、彼女は俺を悟ったように呟いた。


俺と目線を合わせようとはせずにそう言う。


俺はスッと手を水晶にかざしソレを見つめながら


「これで、いいのか?」


そう、伺った。


「それでいいです。

それだけに集中すればいい」


彼女の口調が冷たくなった。

上から目線の言いようにムカッと来たが

そのまま彼女の言うとおり集中した。


すると・・水晶から十字架が浮かび上がってきた。


黒い十字架、それを縁取る深い青、十字架の中央には真紅の宝玉。

そして銀のチェーン。


俺の怒りが露となったときに現れる紅い瞳。

と言われているが

皆が言うには常に瞳は赤眼らしい。


「貴方の心は常に怒りを示す。

それが何か分かりますか?」


「さぁな。怒った覚えは生憎とないからな」


彼女の冷ややかな問いに首をすくめて答える。


「常に、心の奥で周囲の人間全てに

不満を持っているからですよ。

瞳はそれを過敏に受け取っている。

だから、紅い。でも、もともと貴方の瞳は紫のはず。

でも、鈍くすることはできる。

この十字石があれば」


彼女は俺に大きな十字架のネックレスを渡してきた。


水晶でみた通りのネックレスだ。


「・・やけに大きいな、これは」


手に持っても縦も横も手に余るぐらいの長さだ。


ひんやりとした手触りが心地よい。


「服にでも隠して常にしていてください。

すぐつけて。貴方は今まで危険状態にあったから早くして」


「危険、だと?

今まで過ごしていて何の問題もなかったが?」


俺は今までアクセサリーに興味がなかった所為か

ネックレスなどしたこもなかった。


・・その言い訳でもある。


「はぁ・・。つけれないんだね、殿下は。

仕方ないですね、・・」


彼女は早々に立ち上がり俺にネックレスをつけた。


「・・・」


セラフィの冷たい手が首に触れる。


「おわりました。

じゃあ、続きです。私の眼からそらさないで下さいよ

殿下」


セラフィは椅子に座りなおし

俺の眼を堂々と見つめてきた。

何の感情もないその瞳で。


その中になにかあるはずだと

探せずにはいられなかった。


だが・・見つけようとすればするほど

彼女と距離を感じてしまうのは何故なのか。


しばらくすると彼女は俺から目をそらした。


「十字石は強い保護力があってーー危険から身を守ります。

それと・・良かったですね、殿下。新しい恋人の到来も予期されます」


「・・・」


彼女が何の感情も見せない表情で、

でも、言葉には感情があって

そんな中でよかったねなんていわれれば

俺は絶句するしかなかった。


扉の傍にいる兄貴達の雰囲気が一気に変わったのも

予想ができた。


「くっ・・^

ロキに・・恋人・・っぷっ”」


「ロキ兄上にできるの!?

ほんとっ!?ホント!!?」


「石の力って意思の力を凌駕できるのかな

そしたらすごいよね・・」


予想以上に兄弟妹はウザかった。


俺は・・セラフィの眼中にも入っていないと

ひそかに言われた気がして気が沈んだ。


「殿下はーー、ヒトを信用できない。

信用するに値しない・・そういうヒトの見方で

生きてきたーー違う?」


「・・そうだ」


セラフィはーーあのときそう悟ったのか

俺のこと全てを。

兄貴と同じように・・。


「ヒトの支えを、誰かに助けを、

求めたりしない。必要としない、

すべて、自分のことだけを考え、冷静に先を見通して

生活している」


「・・」


まったくその通りだ。


「周囲の気持ちを貴方は知らない、

知ろうとしないーーといったほうが的確かもしれないけど。

知ってなんになる?と、自分に言い聞かせる。

貴方はーー自己中心的なヒトだ。

いつも周囲に邪な考えを持ったヒトがいたから

そーいう性格になったとも思われる。」


「口に出す言葉がすべて真実とは限らないだろ」


セラフィの言葉はまるで、

邪な考えではなく誠実な考えを持つヒトだっていると

そう俺に言っていた気がした。


それが・・俺を苛立たせた。


「そう、真実とは限らない。

嘘、をつく、表面上だけの言葉を言うヒトだっている。

でも、貴方はーー見抜くことができるはず。

嘘を言っているのか真実なのかを」


「---っ」


完全にとはいかないが多少見抜くことはできる。

それはーーセラフィの言うとおりだ。


「必要としないと言っていても

やはり欲しいと思うときはあるでしょう?

みんなに・・というより誰か、特定のヒトに。

貴方は心を閉ざしてた。それは今も。

でも、閉ざすためのモノが今、もろくなってるのではないの?」


「ーーさぁな」


ギク・・完全にセラフィのペースだ。

少なくともオマエに、信用して欲しいとも思うし

心も開いてきているかもしれない。


「貴方はヒトに弱みを見せない。

強く在ろうとする。誰にもなめられないように。

でも、ニンゲンはそこまで強い人間じゃない。

貴方は特殊なニンゲンだ。

赤眼・・をもつだけのことはある。

たいていのヒトは心が壊れてしまうから」


彼女は淡々と言った。

自分のことは他人事のように。

俺のことだけをーー。


「さっき、危ないといったのはそのことか」


「そう、危ない。

いつから貴方は常々紅い瞳・・のままだったのか

不思議なくらい。あれはーーー」


彼女はちらりと兄貴達の方を見た。


「いや、何でもないです。

とにかく貴方は十字石を常に持ち歩いて

今までの状態から奪回してください、課題はそこからですね。

貴方の悩みも願いも相談には乗りますよ。

じゃあ、これはこれでおしまいです。

次、ルチルさん、どうぞ」


暗にヒトがいるところで話せる話じゃない、

これはまたの機会に。


そういわれた。


「とりあえずこれはつけておくことにする」


俺はそういって立ち上がり扉に向かった。



暗いというより・・なんていうんだろ。

冷静な探りあいかな?

というか、クロセキとセラフィって前途多難な感じがする。

二人とも本音がいえない・・ツンデレじゃなくてツンツン?

プライド高いんだよなーー。


まだつまらないマジナイですが

よろしくおねがいしまーす^

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