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第一話 呪い師

主人公セラフィ視点です。

第一話ですからちょいと長めです^

“ヒト”は皆、それぞれココロに 形 が存在する。

四方八方歪んでいる形もあれば、正多角形でもある形も。

完璧な球体などありはしない。


そしてそれには 色 もある。

ヒトぞれぞれのと特有な波動や色。

赤もあれば黄も、白があれば黒も。


その色も形の器も私には見える。

それは私が


      “ヒト”ではないからーーー


********************************


私は旅をして呪い師(マジナイシ)をやっていた。

あるいは未来を予言したり、あるいはヒトを導く・・

そんなことだ。


ガヤガヤガヤーー


ある城下町を歩いていた時だ、

町人が()を見て騒ぎ出す。


私が歩けばそこから避けるように人々が行き交う。


こんなことは初めてだ。


不思議に思っていると


突然周囲を囲まれた。


ガチャガチャ


と兵士達が騎士服をきたヒトの背後に立っている。


見ればそれが四方八方隙間なく存在した。


逃げ場などない。

いや・・逃げる必要はないと思うが。


私はとりあえず周囲を警戒しながら


「国のお偉い方が私に何か御用デショウカ?」


と、問う。


警戒をにじませたその問いに一人の騎士が

前へと出てーー


「棒読みとはーーさすがに噂に及ぶ

“無関心呪い師”なんですね。」


彼はにこりと笑った。

その笑顔には裏があると私は思った。


「失礼ですが再びお聞きお願い申し上げマス、

国のお偉い方が私に何か御用デショウカ?」


私は再び問いかけた。


じりじりと間合いが詰められていることに

私は安心などできはしなかった。


「用がなければ貴方の道を阻むことなどしませんよ。

本当に貴方は無関心な方ですね。

単刀直入に申し上げるとーー

王が、貴方を御所望です。」


「国王陛下が、ですか。

それで、私にどうしろ、と?」


「私達と来てもらいます。」


「ーー私の意志は・・無視も同然なのですね」


私は気づかれぬようため息をついた。

まぁ所詮、王族など、権力、武力、金、がすべてだと理解はしていたが。


「なにかおっしゃいましたか?」


「いいえ。ただ、貴方のお名前を聞いていないと思いましたので」


私は嘘を平気でついた。


彼はーー


「ワタシは騎士団長を務めております、グリーンといいます。

どうぞ、おみしりおきを。」


優雅に私に対して騎士の礼を取り、名乗った。


「グリーンさん、ですか。

私はセラフィといいます。石を使用するマジナイをしています。

まぁご存知かと思いますが」


私はそう淡々と名乗った。


「はい、噂はご存知です。

その噂の正体が貴方のような方だとは思いもしませんでした。」


グリーンさんは私を見て苦笑する。


どうやら本当に噂の正体が私のような者だとは

思いもしなかっただろう。


「では、行きましょうか、セラフィ殿」


彼はにっこりと笑って私を手招きして

王城へと向かった。


すたすたすた、

すたすたすた、・・


がやがやがやがやがやがやがやーー・・


騎士に囲まれる私を見て町人はざわめく。


それはいたしかたないことだと諦めがちに私は思った。


ここでは・・もう商売などできないかもしれない。


「門兵、門を開けろ~」


グリーンさんとは違う騎士がそう発した。するとーー


ガラガラガラガラ~


門は開いた。


鉄格子の形をかたどった威厳のある門。

そして、大きな敷地にそびえ立つ洋風の城。

今は朝、のはずだが・・その周囲だけ暗く見える。


城自体、派手でもなく地味でもなく・・という風な印象を受ける

壮大な城だがーー国旗が黒を象徴とする十字架(クロス)の国旗が

怪しい雰囲気を漂わす。


「では、今から王に会って頂きます」


「・・はい」


グリーンさんの言葉に私は内心断りたい思いで頷いた。


そして城内に入り、王の応接間に案内される。


「ジル陛下、

ご命令どおり、あの噂の呪い師を連れてまいりました」


グリーンさんは優雅に礼をとって陛下に告げる。


陛下は王の座る椅子に座っており、私を驚きの目で見つめてきた。


つやのなくした黒髪でもう年老いた王だった。


「そなたが・・噂の・・。

グリーン、よくやった。下がってよいぞ」


王は驚きを隠せないままグリーンさんを引き下がらせる。


王と二人きりになったところで


「セラフィといいます。

本日はお呼び頂き誠にアリガトウゴザイマス」


と最上級のお辞儀をして言う。


棒読みなのはあきらかで、下を向いてても

陛下とあろう偉大な方が眉を寄せたのも分かる。


「前置きはどうでもいい。

それより、そなたに頼みがあってここへつれてきた。

そなたには我が子たちを・・救って欲しいのだ。」


「・・救う、ですか?」


病気か何か、なんだろうか。


彼は沈んだ心持で話し出した。


「我が最愛の妻は一昨年不治の病で亡くなってな、

我が子達は自分の未熟さを嘆き、今では学院での勤勉にあけくれている。

我が子達には支えとなる者がいなくてな・・

我も年々老いてきているのは自覚している。

だから我の命あるうちに我が子達の支えとなり傍に在れる者が

現れて欲しいと思っているのだ。

でなければ・・死にたくても死にきれんしな・・」


彼はどこか遠くを見つめるまなざしで話した。


そうか、この国が平和で豊かなのは・・王のおかげ。


王の心の波動は落ち着いた波長で、色は黒だが清く美しくもあった。

それはまるで、ジルコンというパワーストーンと同じ力を持っているよう。


「我が子たち、上から・・長男のメラル、

次男のクロセキ、それから双子で姉のルチル、弟で三男のアフィラ。

この中でクロセキが・・どうも我は不安なのだ。」


「・・支えとなり彼にふさわしい者がいないということですか?」


私は王を伺いながら悟ったように尋ねる。


「それもあるが・・クロセキはーー女嫌い、でな。

それが一番の難関になっているのだ。

我が一族は・・裕福という面や高い地位という面でも

狙われやすく、そういう意味で寄ってくる連中が今も大勢いる。

それが女嫌いのきっかけとなったんだろうなと我は思う」


「・・私はどうすればいいでしょうか。

彼が女嫌いとなれば・・私のような者が近づけるわけでもないでしょうし」


私は呟くように言う。


私には無理でしょうと言っているつもりでもあるが・・


「そなたには我の頼みが達成するまで長期滞在を許す。

そして、我が子達の通う学院に通って欲しいのだ。」


「・・学院へ?

・・私のような者がいける場所なのですか?」


学院?

そんな場所へ何故私が行かなければならないの。

そこは ニンゲン の学ぶ場所、私の居場所ではないのに。


「そこへの入学は、すべて実力テストで決まる。

知識がなくとも入れるし、学費免除も可能だ。

貴族のような位がなくとも入れる場所であるから

問題ないだろう。」


「・・・。

ちなみに・・どのようなテストを行うのですか?」


せめて心の準備はしたい。


「魔力量の検査、魔法の属別テストが主になる。

属別テストは、それぞれ、空、自然、地、理、だ。」


彼は平然と答えた。


ここはもともと獣が住まう世界だった。

だが、時がたち、環境変化によって特殊な進化を遂げたのがニンゲン。

そのニンゲンたちが今、強く在ろうと世界の理をも揺るがすものを造っている。

それが魔法だ。


ニンゲンの秘めた精神エネルギー、それを魔力とニンゲンは呼ぶのだった。


空  とは、跳躍力、飛翔の力、風を操る力、また・・雷、雲を司る力

自然 とは、火、水、緑、三つの自然要素を操る力

地  とは、大地を司る力である、重力を操る力でもある

理  とは、呪文による具現化、呪文による操作、呪文による増幅の力


この四柱を基本とする魔法が人間世界では成立していた。


「・・そうですか」


「そなたは引き受けたくないと思っているだろうが

そなたがここへ来た瞬間から拒否権などないことは承知していたであろう?

脅しという手を使いたくないのだが、我もそうとう焦っているのでな、

どうか、頼む。これが果たされた日にはどんな願いも聞いてやろう。

ソレ相応の褒美もな。」


脅しと懇願、その矛盾した二つが交じり合った言葉と感情で

彼は私に言葉を放った。


「王族を敵にするほど私は馬鹿ではありません。

ですがーーかかわりたくなかったのも事実です。

しかし、この依頼、この命に賭けて、果たして見せましょう」


私はそう正直に話し、忠誠の態勢を取った。


「あぁ、頼んだぞ。

そなたには特別私室を用意しよう。

侍女もつける。分からないことがあればなんなりと尋ねるが良い。

では侍女はーーそうだな・・コハク・・、コハクにしよう。

兵よ、コハクを連れて来い」


彼は兵にそう命令し、コハクという女性を連れてきた。


「お呼びですか?ジル陛下」


まだ若く凛とした若々しい声で

そのコハクという侍女は陛下に尋ねる。


栗色の髪を二つに束ね、侍女服を着る見た目聡明な女性だった。


まるで名前のように琥珀色の心を持つ清い人だと私は思った。



「コハク、今日から呪い師のセラフィ殿の侍女をまかせる。

良いな?」


「あの噂の!?とてもうれしゅうございます。

そんな大役をお任せさせてくださいまして光栄です!陛下っ」


陛下の言葉に彼女はとびきりの笑顔を見せた。

不幸など消し去ってしまうような笑顔だった。


「セラフィ様!コハクといいます、どうぞ

よろしくお願いいたしますね!!」


「は、はい、こちらこそよろしくお願いします、コハクさん」


コハクさんは私にも強烈な笑顔を振りまいた。

私はそんな免疫などなくて・・戸惑いながらも挨拶した。


「セラフィ殿、早速、今日午後、入学試験を受けてもらうが・・

良いか?」


「はい、分かりました。

精一杯やらせていただきます。」


そう答えたものの、私はやる気が出てこなかった。



登場人物のすべてパワーストーンからもじってます。

セラフィは、セラフィナイトというストーンからです。

グリーンは、グリーンクリスタルメノウ、

ジル陛下は、ジルコン

ジルの子供達・・

メラルは、 エメラルド

クロセキが、十字石 (色は黒(十字架はクロスとも呼ばれる

ルチルが、ルチルクォーツ

アフィラが、アストロヒィライト

コハクは、 アンバー


など。意味は後ほど出ると思います^


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