チョコが高いのでカレー粉で代用しました
背景、幼馴染のキミへ。
昨今のカカオの材料価格高騰のため、バレンタインデーは脱チョコします。そもそも、バレンタインデーにチョコというのお菓子メーカーの策略でした。
チョコがなければ、それっぽい色の何かで胡魔化ばいいよね。コーヒー豆も高いので、カレー粉固めます。
草々不一。
教室、幼馴染から悪魔の手紙を受け取った。
甘いから辛いへ。だいたい色が一緒ならいいならば、カレーは例の何かの色で小学生のおふざけで大人気だ。
チョコも元々飲みもの、カレーも飲みもの。
しかし、しかし、そこには、決定的な差がある。
パンがないなら、ケーキでいい。しかし、チョコの代わりは、カレーではない。パンケーキはあってもチョコカレーはない。
せめて、代用はクッキーなどの甘いものだ。砂糖菓子を弾丸したものが、恋心を打ち砕くのだから。
早くなんとかしないと。マリーアントワネットの二の舞いになってしまう。僕の推しヒロインのマリィーーーーーー!!
僕は曲がったロケットのように、教室の椅子から飛んだ。天井には突き刺さらなかった。
「こんなときに場所も選ばず、ごめんなさい。僕はカレーは2月13日の晩から15日の朝まで食べる予定です。だから、カレーは、無理です」
「黙って座りなさい」
僕はチョークを投げつけた先生に敬意を評して、甘んじて甘んじて、辛うじて、座った。
これで世界は救われた。カレー祭りは、僕の心のマトリョーシカに仕舞われた。カレーのあとには、カレーが続く。
「TPOを守れ」
幼馴染から第二の紙飛行機が突っ込んできた。僕は、その紙飛行機を、屋上から投げた。誰とも邂逅しなかった。無聊だ。
僕はバレンタインデー当日まで安心しきっていた。
幼馴染がクリームシチューはホワイトチョコですか、と命題を送りつけてくるまでは。
ビーフストロガノフもボルシチも、チョコじゃないように、クリームシチューはホワイトではない。真っ黒でアウトなのだ。
ああ、そこは母乳だけがセーフだ。聖痕があればーー。
母乳で作れば許してやると、お手紙を送った。
お手紙は、教室で燃やされた。何でライターを持ってきているか、小一時間ほど突っ込みたい。そして、灰皿を準備していた女友達の縁を切らせたい。灰皿は女子のアイテムではない。その大きなぬいぐるみのストラップで、男の我慢は限界ギリギリのサンショウオです。
僕は教室で、チョコレートを受け取り、もうこれでいい。幼馴染からのチョコ(?)なんていらない。クラスメイトからの市販板チョコで幸せだ。甘いだけの夢、それが義理。
帰った家で、幼馴染がエプロンをして、鍋をかき混ぜている。
僕はチョコレート作りで鍋をグツグツさせることがあるのか、考え始めようとして、諦めて、自分の部屋で、布団にくるまった。
ああ、バレンタインが、ブラッディバレンタインがくる。
起きた。太陽は、僕を西日で茜色に染めている。さてとーー。
「えっ、チョコなんてないよ。」
階段の下の安心のセリフなのか分からない台詞に、僕は天を仰いだ。知っている天井だ。
「わたし考えたの。チョコじゃなくていいなら、やらなくていい。そう、年賀状をやめるように、終わろうと」
幼馴染が、昨今のメンドイからやめる行事に、バレンタインデーを入れた件について。そうすると、運動会も午前中で終わろ、になるんですが。
めんどくさいブームは知っているさ。人間何でもめんどくさい。文字も打つのがメンドイからスタンプになるんです。
若さとは、無駄なエネルギーなんですが。
バレンタインというエントロピーを無駄に拡散しないと、人は生きていけないんです。チョコ0が、少子化を生むんですよ。
ここまで5分。思考のトルクは遅かった。
え、矛盾?
チョコはいらないって言った?
男のツンデレを受け入れろ、多様性だろ。
「ということで、俺は、幼馴染からチョコを摂取する」
そう言って、幼馴染の上着をスカートめくりの要領で、まくりあげ、、、られなかった。
「変態、即、斬」
「それでも僕は変態じゃない」
「世間を見なさい」
僕は世間を見た。どうやら沈黙しているようだ。家庭は世間を超越している。大丈夫、オオカミさんも見てないよ。
さぁ、ホワイトチョコをよこせ。僕は吸う準備ができている。
僕の記憶は、アバンチュールに飛んだ。
幼馴染は幼馴染に、プロレスモノホンをかける勇気があった。
「はい。カレーライス」
「カレーとライス。ナンという選択で特別感を与える工夫って知ってる」
「女の子の料理は黙って美味しいと叫んで食べるという伝統芸能を知らない」
黙って叫ぶって、どうやるんだろう。
幼馴染は溶け切っていないじゃがいも、溶かした。物理的に。スプーンの下にじゃがいもという噴火口。
「さて、僕はこれをバレンタインのチョコとして食べよう」
「ただの夕飯だけどね」
「大丈夫。僕は覚悟ができた。カレーはチョコだ」
「そう。じゃあ、これは片付けておくね」
幼馴染がベタなハート型の包みを、これ見よがしに背に隠した。
「まった。カレーがチョコならば、チョコはカレーだ」
「えっ、チョコ混ぜるの。美味しくないよ」
なぜ俺はもらったチョコを即座にカレーに一魂投入するピッチャーだと思われているんだ。
幼馴染は立ち上がって、冷凍庫から、黒くて硬い黒光りする何かを取り出した。
「はい。チョコ」
「なぜ、こんな氷型なんだ。ハート型がいいですございます。」
「ハートのチョコなんてないけど」
「幼馴染様、その僕の心臓を射止めれそうなフリスビーを取ってこいしてください」
「ああ、これ。これが欲しかったの。これ、これはねぇ」
「まさか、カレーっ!?」
「ううん。クッキー」
ありがとう。クッキー。君のおかげで、サンキュー。
ああ、そうだよ。クッキーこそチョコの代用物だよ。載せてもおいしいし。
「ありがとうございます。大切に食べます」
拝啓 この手紙読んでいる幼馴染へ
焼き餅を準備しようとしたら、米が高騰していたので、マシュマロで代用することにしました。
マシュマロはモチっぽいよね。ちゃんと焼くよ。
返信
ホワイトデーに餅の常識ないから。




